異世界とつながる闇の力に覚醒した主人公が難事件の解決に挑むダークファンタジー映画『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち』。
イゴール・バラノフが監督を務めた、2017年に製作されたロシアのダークファンタジー映画『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち』。
ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリが、異世界と繋がる闇の力に覚醒し、腕の立つ名探偵グローと共に難事件の解決に挑む姿を描いた本作は、具体的にどういった内容なのでしょうか。
今回は19世紀の文豪ニコライ・ゴーゴリと、『アトラクション 制圧』『ガーディアンズ』を手掛けた最高峰のスタッフが放つ、ダークファンタジー映画『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生贄の美女たち』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち』の作品情報
【公開】
2019年(ロシア映画)
【脚本】
ティーホン・コルネフ、アレクセイ・チュポフ、ナタリア・メルクロワ、アレクセイ・カラウロフ
【監督】
イゴール・バラノフ
【キャスト】
アレクサンドル・ペトロフ、オレグ・メンシコフ、ユリヤ・フランツ、イフゲニー・スティチキン、タイーシャ・ビルコバ、アルチョム・トカチェンコ
【作品概要】
ヒューマントラストシネマ渋谷の特集「WCC ワンダーナイト・シネマカーニバル2019」内の「WWC ホワット・ア・ワンダフル・シネマ2019」で上映された、ダークファンタジー作品。
2020年公開の映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版』『ANNA アナ』『ザ・スパイ ゴースト・エージェント』『アトラクション 侵略』『T-34 レジェンド・オブ・ウォー 最強ディレクターズ・カット版』に出演される、ロシアの俳優アレクサンドル・ペトロフが主演を務め、ロシアのエドガー・アラン・ポーとも呼ばれる19世紀の文豪、ニコライ・ゴーゴリを演じています。
映画『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち』のあらすじとネタバレ
ディカーニカ近郷の荒涼とした森の中、誘拐した美女を3人の男が強姦しようとした際、突如謎の黒い騎士が上等な馬具をつけた馬に跨って現れます。
男たちは黒い騎士から金を巻き上げようと近づきますが、黒い騎士の背中から4本の鋭い角が現れたことで愕然としていると、黒い騎士は近づいてきた2人の男を無言で殺しました。
それを見て逃げ出そうと走り出した1人の男も、黒い騎士が投げつけた剣で木に磔にされて死んでしまい、残った美女は短剣で胸を斬りつけられて、そこから出た大量の血を黒い騎士は吸い込んでいくのです。
これは19世紀のロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリの著作に基づく物語、ここからは『第1章 ディカーニカ村の殺人』についてお話ししましょう。
1829年サンクトペテルブルク、豪邸のリビングにある暖炉前で、その豪邸に住むエレーナ夫人が何者かによって殺害された事件が発生しました。
体の数か所に火傷の痕と首を絞められた痕が残るエレーナ夫人の遺体がある現場では、霊的能力を持つ駆け出しの作家ニコライ・ゴーゴリが、捜査内容を記録する書記官として訪れます。
病的に青白い肌に常におどおどしているゴーゴリは、捜査官のグローが事件現場に入ってきた瞬間、エレーナ夫人が犯人に殺された際のヴィジョンが頭に浮かび、一心不乱にその事を紙に記した直後に椅子から崩れ落ちてしまいました。
それに驚くグローは、意識を取り戻したゴーゴリの捜査記録を手に取り、彼が一心不乱に書いた言葉からヒントを得て、エレーナ夫人と顔見知りであるイワンが殺したと突き止めます。
グローに尋問されたエレーナ夫人の御者で敬虔なクリスチャンのイワンは、恋仲である彼女が家の破産を理由に他の男性と婚約してしまい、それに怒って大事な十字架のペンダントで首を絞めて殺害してしまったと自供しました。
事件解決後、小地主の生まれで裕福な家柄のゴーゴリは、自費出版した本が少しでも批評されるとすぐ執事のヤキムを連れて本屋へ行き、自分の金で買い取って泣きながら暖炉で燃やします。
夜が明け、暖炉の前で椅子に座ったまま眠ってしまっていたゴーゴリの屋敷へ、グローが朝早く訪れ、捜査記録からヒントを得たおかげで事件が解決できたことへのお礼を述べました。
洞察力が優れており、いくつもの難事件を解決してきた敏腕捜査官のグローがこれから行く難事件の現場が、ゴーゴリの夢に出てきたボルタバ州だと知り、ゴーゴリは「自分を書記官として、捜査に同行させてほしい」とお願いするのです。
ヤキムが運転する狭い馬車に揺られて、ポルタバ州ディカーニカ村へ向かうゴーゴリたちが捜査するのは、ろくに教育も受けていないせいで迷信的になっているその村で、3人の若い女性が遺体となって発見された事件です。
恐らく儀式殺人だと思われるこの事件は、今は被害者は3人となっているものの、これからさらに被害が拡大する可能性がありました。
ディカーニカ村に到着したゴーゴリは、赤いコートに着替えたグローと一緒に、地元警察の署長アレクサンダー・ピンフと合流し、事前に冷蔵保存するよう伝達していた遺体の検分をしようとします。
しかし、アレクサンダーの後ろに控えていた司教曰く、「キリスト教の教えに反する」として既に遺体は埋葬されてしまっており、グローは事件の早期解決のためにすぐに3人目の被害女性の遺体を掘り起こすよう命じました。
遺体が検分できるまでの間、宿でグローと一緒に昼食をとることにしたゴーゴリは、彼から地元警察の捜査記録によれば、事件現場には必ず悪魔のような風貌をした黒騎士が現れるという目撃情報があったと聞かされます。
掘り起こして貰った3人目の被害女性の遺体を納屋で検分した結果、グローはプロの医者か肉を切る専門家が大動脈を切って失血死させたと断定し、その証拠に遺体には血液が一滴も残っていませんでした。
グローが遺体を淡々と解剖していく様を、間近で見ていたゴーゴリは気分を害し、川へ行って気分を落ち着かせようとしますが、突如現れた馬車に轢かれてしまいます。
どうやらゴーゴリを誤って轢いてしまった馬車の主は、ディカーニカ村の丘の豪邸に住む貴族アレクセイ・ダニシェヴェスキー伯爵のものだったようで、彼の妻リザにゴーゴリは介抱されていました。
ダニシェヴェスキー伯爵夫妻に食事に誘われたゴーゴリでしたが、その食事の途中、急に具合が悪くなったリザが自室へ戻っていってしまい、彼女を心配するゴーゴリはダニシェヴェスキー伯爵から「薬を飲むのを忘れただけだ、女の体は脆い」とだけ説明を受けます。
ゴーゴリもこの後すぐに、ダニシェヴェスキー伯爵から与えられた馬に乗って豪邸を後にしますが、雷雨で視界が悪い森の中に差し掛かった時、彼は黒騎士の姿を目撃しました。
ゴーゴリは黒騎士から逃げるように馬を走らせますが、雷に驚いた馬に振り落とされてしまい、彼は風車の前で倒れて、そこに心配して駆け寄って来てくれた粉屋の娘オクサーナと出会います。
焚火のそばでゴーゴリを介抱するオクサーナに、彼は渡された温かい飲み物を飲みながら「君は怖くないのか?3人の女性がこの村で殺されたというのに」と尋ねました。
するとオクサーナは、妖艶な笑みを浮かべながら「もっと殺されている。眠るのよ、すぐに目が覚めるから。全てには時がある」と謎の言葉を告げ、それを聞いていたゴーゴリは強烈な眠気に負けて眠ります。
宿屋のベッドの上で目覚めたゴーゴリはすぐさまこの事をグローに伝え、彼とアレクサンダーたちと一緒にとっくの昔に壊れた風車のところへ行くと、そこで村の人から「30年前にオクサーナは沼に落ちて溺死し、娘の死に嘆いた父親は首を吊り、娘の継母はどこかへ消えた」と聞かされました。
30年前に起きた事件では、オクサーナが言っていたように10人以上もの女性が消息不明となっており、これを聞いたグローは「今起きている事件と同じことがあったことを何故報告しない」とアレクサンダーを詰問しますが、彼は「悪い噂が村中に広まることを防ぐのは私の使命だ。30年前の事件と今回の事件は無関係であり、今の犯人は生まれていないかもしれない」と答えるのです。
映画『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち』の感想と評価
ゴーゴリが殺害現場へ行くと、必ず被害者が殺害されるところを写したヴィジョンは、闇の世界に繋がった故に与えられた彼の力なのでしょうか。
ヴィジョンを見るたびに倒れてしまうのは難点であるものの、そのおかげでゴーゴリが事件を解決へと導いていくのですから、そう悪い力ではないのだと考えられます。
しかし物語の中盤までゴーゴリと一緒にいたグローが、燃え盛る小屋の中で黒騎士と剣を交えた末に亡くなってしまうので、凄腕の名探偵の早すぎる退場に驚きます。
それからのゴーゴリは、グローのためにもこの難事件を解決しようと奔走し、真犯人を闇の力で見たヴィジョンから突き止めて、逮捕する一歩手前まで犯人を追い詰める快挙を成し遂げるのです。
ところが既に真犯人であるパラスカは黒騎士によって殺されており、その黒騎士が次に狙うのはゴーゴリの好きな人、リザだと判明します。
さらに物語の最後には赤いコートを着たグローが登場しているのも相まって、この話の続きが気になって仕方ない気持ちにさせられると同時に、誰もがこの映画の虜となっていることでしょう。
まとめ
次から次へと発覚する謎、それらが上手くパズルのピースのように組み合わさった瞬間、真犯人へ繋がる糸口が見えてきます。
それによって解決していく難事件の真相に、ゴーゴリたちと一緒に辿り着いた瞬間、観ているこちらも探偵になった気分がして楽しかったです。
しかし、そのゴーゴリの才能に気づいたグローが、物語の中盤で死んだことによって退場してしまったことに関して、続編に繋がる意味があったのでしょうか。
もしグローがあの火災の中生き残ったとしたならば、ゴーゴリと再びタッグを組んで黒騎士を捕まえようとする話が続編で描かれているかもしれません。
一瞬森の中にグローが佇む姿を見たときは、もしかして彼が黒騎士なのではと予想する人が多いことでしょう。
夫人の亡霊や若い娘たちが惨殺されるシーンは肝が冷えるほど怖いものの、魔女と謎の力を持った黒騎士に立ち向かう捜査官と書記官の姿が描かれた本作は、ドキドキハラハラするスリルと謎解きを求める人にはオススメな映画です。