Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/12/20
Update

映画『名も無き世界のエンドロール』あらすじと感想評価レビュー。キャストの岩田剛典×新田真剣佑が描き出す“世界の終わり”の顛末|映画という星空を知るひとよ43

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第43回

第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名小説を、『キサラギ』の佐藤祐市監督が映画化した『名も無き世界のエンドロール』が、2021年1月29日(金)全国ロードショー。

岩田剛典と新田真剣佑が初共演しているのも話題となっている作品です。

温かな家庭とは縁遠い幼馴染の少年キダとマコト。2人は10年の歳月と人生をかけて、ある女性へのプロポーズ大作戦を計画します。しかしそれは、日本中を巻き込む壮大なプロジェクトだったのです。

岩田剛典が冷酷な“闇の交渉屋”キダ、新田真剣佑が会社経営者として表舞台を歩くマコトに扮し、深い絆で結ばれたふたりを熱演しています。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『名も無き世界のエンドロール』の作品情報


(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

【公開】
2021年(日本映画)

【原作】
行成薫『名も無き世界のエンドロール』(集英社文庫)

【脚本】
西条みつとし

【監督】
佐藤祐市

【キャスト】
岩田剛典、新田真剣佑、山田杏奈、中村アン / 石丸謙二郎、大友康平、柄本明

【作品概要】
岩田剛典と新田真剣佑が初共演し、第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名小説を映画化された『名も無き世界のエンドロール』。監督は『累 かさね』(2018)『キサラギ』(2007)の佐藤祐市です。

『AI崩壊』(2020)に出演した、EXILE / 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの岩田剛典と、新田真剣佑が初共演しています。山田杏奈がふたりと知り合う転校生・ヨッチ役、中村アンがトップモデルとして活躍する政治家の令嬢・リサ役を務め、柄本明、大友康平、石丸謙二郎らが共演。


映画『名も無き世界のエンドロール』のあらすじ

(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

クリスマスイブの街。サンタクロースの赤い服を着た青年・キダが、白い袋を持って、イベントが行われる予定の会場へ向かっていました。

キダのスマホが鳴り、準備の確認をするマコトの声が流れます。

キダとマコトは、それぞれ複雑な家庭環境で育った幼なじみです。

小学生の時、転校してきた同じ寂しい境遇のヨッチも加わり、3人でいつも支え合いながら成長してきました。

前の学校でいじめられ無視されたことで、自分の存在を否定されるのをとても怖がるヨッチ。そんなヨッチのことをキダもマコトも「決して忘れないから」と支えていました。

高校を卒業してから、キダとマコトは小さな修理工場で働きだしますが、ある日、高級スポーツカーの修理依頼をリサという名前の美女から頼まれます。

彼女は政治家令嬢でトップモデルです。どうみても、住む世界が違うのですが、マコトは彼女に強い興味を抱きます。

けれども、やはり、食事に誘っても、まったく相手にされません。

当然の結果と思えて、キダはリサをあきらめるようにマコトに忠告しますが、マコトは仕事を辞めて忽然と姿を消してしまいました。

マコトを探すために裏社会に潜り込んだキダは、2年後にリサにふさわしい男になるため、必死でお金を稼いでいたマコトを探しあてました。

マコトのリサへの執念とその理由を知ったキダは、マコトに協力することを誓います。

マコトはますます実業家として成功し、リサに近づいて親しくなりました。一方、キダは裏の仕事の「交渉屋」として、その地位を確立していきます。

そして迎えたクリスマスイブ。マコトはキダの力を借りて、リサにプロポーズを決行しようとします。

それは2人が10年の歳月をかけて企てた、ある壮大な計画でした。

映画『名も無き世界のエンドロール』の感想と評価

(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

クリスマスイブの夜。大勢の人々に見てもらうべきプロジェクトの決行にキダが赴くところから、映画は始まります。

思いつめたような顔で決戦場となるイベント会場へ向かうキダに、やはり緊迫した表情で電話をするのは、幼馴染みのマコト。

2人が何をしようとしているのか、これから何が起こるのかとドキドキしますが、次にはキダの回想場面になりました。

ヨッチという少女も交えて、幼馴染み3人が過ごした温かで楽しい青春時代が映し出されます。

キダとマコトが過ごしたのは、両親はいなくても穏やかでささやかな幸せに満ちた日々でした。

なぜそこからクリスマスのプロジェクトに繋がるのかと、興味をそそられながら物語の推移を見守ることになります。

スクリーンで過去と現在が交互に映し出されるにつれ、パズルのピースが1片ずつはまるように、次第にこの作品の全般が見えてきます。

殺しさえも厭わない裏社会の一員ですが、本当は優しい性格のキダを岩田剛典が熱演。陰ながらも命がけでマコトをしっかりとサポートする姿には、友情以上の深い絆が見えます。

一方のマコトを演じるのは、新田真剣佑。マコトは、マジック好きで学生の頃にはしょっちゅうキダをからかっていたトリック魔。天真爛漫な明るい性格ですが、あることがきっかけで自分の素性を偽り、大きな計画を胸に青年実業家への道を進みます。

岩田と新田は初共演ですが、息のあった演技で“表と裏社会で生きる”キダとマコトを披露。

物語が進むにつれて明らかになる、彼らの深い友情と絆に比べ、「住む世界が違う」と豪語し、上から目線で見下す上層社会のやり方に激しい怒りを覚えることでしょう。

名も無い下層の者にも生まれて来た意味があり、生きていく権利があります。生命を授かった以上、その存在は絶対で、何者もそれを犯すことはできないはず……。

貧しい下層社会の者たちでも生きています。その存在と主張をしっかりと伝える本作に、感無量となるのに違いありません。

まとめ

(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

映画『名も無き世界のエンドロール』の原作は、第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名小説で、タイトルに“エンドロール”とあるように、本作は映画というものを意識しながら完成された作品だそうです。

「映画化されることとなり、頭の中に漠然と思い浮かべていた映像がスクリーンで観られるということに、わくわくしております」と、作者からコメントが寄せられたと言います。

チラシのキャッチコピーにもなっている、“ラスト20分の真実”はとても重いもの。エンドロールを見守るキダの毅然としつつもどこか寂しい表情には、生きることへの切なさすら漂っていました。

この作品は、1人の人間の存在がどんなに大切かを切実に訴えるラブストーリーとも言えるでしょう。

映画『名も無き世界のエンドロール』は、2021年1月29日(金)全国ロードショー。

次回の連載コラム『映画という星空を知るひとよ』もお楽しみに。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら






Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/demachi2026/cinemarche.net/public_html/wp-content/themes/stinger8-child/single.php on line 150

関連記事

連載コラム

映画『永遠の故郷ウクライナを逃れて』あらすじ感想評価レビュー。現在のウクライナから避難する人々を活写する意義とは⁉︎|いま届けたい難民映画祭2024・6

連載コラム『いま届けたい難民映画祭2024』第6回 「難民映画祭」は難民をテーマとした映画を通じて、日本社会で共感と支援の輪を広げていくことを目的とした映画祭であり、世界各地で今まさに起きている難民問 …

連載コラム

Netflix映画『赤い光点』ネタバレあらすじ感想と結末の考察解説。スウェーデン発のスリラーで“獲物になる恐怖”と有色人種への“差別”|Netflix映画おすすめ19

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第19回 雪山を逃げ惑う夫婦を描いたスウェーデンのスリラー映画『赤い光点』。 妻の妊娠発覚をきっかけに夫婦関係を再構築のため、ハイキングへと …

連載コラム

映画『ゴンドラ』あらすじ感想と評価解説。セリフなしの狭小ロープウェイで繰り広げられる寓話的魅力とは⁈|TIFF東京国際映画祭2023-7

映画『ゴンドラ』は第36回東京国際映画祭・コンペティション部門で上映! 『ツバル TUVALU』(1999)、『ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛を』(2018)などで、セリフを一切使わない作風で知られ …

連載コラム

映画『レッド・ホークス』あらすじと感想レビュー。男の友情が泣かせるトルコ製ミリタリーアクション!|すべての映画はアクションから始まる4

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第4回 日本公開を控える新作から、カルト的評価を得ている知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画はアク …

連載コラム

映画『モラルセンス 君はご主人様』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。少女時代のソヒョンとU-KISSのジュンによる“愛の多様性”とセクシャルハラスメント|Netflix映画おすすめ85

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第85回 2022年2月11日(金)にNetflixで配信されたウェブトゥーン原作漫画の映画化『モラルセンス 君はご主人様』。 アイドルグル …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学