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Entry 2020/10/25
Update

Netflix映画『レベッカ(2020)』ネタバレあらすじと感想考察。ヒッチコックの名作アカデミー受賞作品をリメイクさせた内容とは⁈

  • Writer :
  • からさわゆみこ

知らなくてよかったこと、全てを知っていれば回避できたこと・・・運命に翻弄されて、姿なき亡霊に追い詰められた“私”の回想録。

イギリス人作家ダフネ・デュ・モーリアの同名小説を基に、新しい解釈で描いた心理サスペンス映画『レベッカ』。

1940年に巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督で映画化された際には、第13回アカデミー賞で作品賞、撮影賞を受賞しました。

2020年にNetflixにて配信されたリメイク版『レベッカ』の演出を務めたのは、はトム・ヒドルストン主演の『ハイ・ライズ』、ブリー・ラーソン主演の『フリー・ファイヤー』などの作品で知られるベン・ウィートリー監督。

妻を亡くした男が、傷心の旅で訪れた夏のモンテカルロ。世間知らずで純真無垢な主人公の“私”が、数奇な運命で彼と出会い恋に落ちます。

そんな“私”が彼の妻となり、マンダレーにある呪われた屋敷で、姿なき亡霊に追い詰められていくミステリー。

かつての名作を現代によみがえらせた、ベン・ウィートリー版『レベッカ』をご紹介します。

映画『レベッカ』の作品情報

Netflixオリジナル映画『レベッカ』

【公開】
2020年(イギリス映画)

【原題】
Rebecca

【監督】
ベン・ウィートリー

【原作】
ダフネ・デュ・モーリア

【キャスト】
リリー・ジェームズ、アーミー・ハマー、クリスティン・スコット・トーマス、サム・ライリー、キーリー・ホーズ、アン・ダウド、トム・グッドマン・ヒル、マーク・ルイス・ジョーンズ、ジョン・ホリングワース、ビル・パターソン

【作品概要】
主人公の“私”を演じるのは『シンデレラ』(2015)、『イエスタデイ』(2019)のリリー・ジェームズが、世間知らずな女の子から、愛する男性を救うために、強い女性に成長する姿を熱演します。

妻を亡くし傷心の旅をする富豪マキシム・ド・ウィンターは、『君の名前で僕を呼んで』(2018)、2020年12月に公開される『ナイル殺人事件』に出演する、アーミー・ハマー。家政婦のダンバーズ夫人は、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)で、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞などで、主演女優賞にノミネートされた、実力派女優のクリスティン・スコット・トーマスの凄みのある演技が圧巻です。

映画『レベッカ』のあらすじとネタバレ


Netflixオリジナル映画『レベッカ』

ヴァン・ホッパー夫人に雇われていなければ、親を亡くし、世間知らずで純粋だった私は、どうなっていたかわからない・・・。

ホッパー夫人の旅に世話役として付き添い、南フランスのモンテカルロに滞在中、私はイギリスの大富豪マキシム・ド・ウィンターと出会います。

夫人が彼をみつけ、ランチを一緒にしたいという“好奇心”が、私の運命を大きく変えていきます。

彼には“レベッカ”という妻がいたが、不慮の事故で亡くなったようで、ホッパー夫人はウィンター卿は、愛する妻を失い傷心のため、旅をしているのだろうと話していました。

夜通し噂話に花を咲かせ、上流階級のご婦人たちと飲みあかした、ホッパー夫人は二日酔いで起きられず、私に思いがけず余暇の時間ができました。

上流社会というのは、とにかく使用人には冷たい。いくら顔見知りになったとしても、主人が一緒にいないと、食事をする席さえ区別されてしまいます。

私が席にありつけず諦めようとした時に、“あの人”が支配人に声をかけ、「その人の席を隣りにセットして」、ウィンター卿でした。

断ろうとした私を彼は、自分の勝手で招くんだと、気取ることなくフランクに接してくれます。

私は世界を旅したかったこと、年間90ポンドもらえる理由で、ホッパー夫人に雇ってもらったのだと話しました。

私は読書するのが好きだったから、会話で彼を退屈にさせることはなかった。モーニングタイムが過ぎて、従業員が困り果てるまで時間を忘れて話し、久しぶりに楽しいひとときをすごせました。

ウィンター卿と会話するのはこれで最後だと思っていた。ベルボーイがメッセージを届けてくれるます。

あの人からの伝言だった。“明日、ドライブへ行こう”。私はホッパー夫人に、“テニスのレッスンへ出かける”と、嘘をついて、彼とドライブへ出かけることにします。

私の父は自動車に詳しかったので、彼の愛車を“ベントレー3.5L”か?と、たずねたらすごく嬉しそうに、詳しいのか?と聞かれ、父のことを話すと、両親のことも尋ねられました。

母は2年前の冬にインフルエンザで亡くなって、後を追うように父が4日後に亡くなった。愛を失うと人は死ぬのね・・・。私は彼がレベッカを亡くしていたことに失念して、うっかりしたことを言ってしまいます。

私は“外国植物園”に行ってみたくて、彼に連れてきてもらった。植物の特徴についてガイドをしたら、感心してくれたわ。若くて経験の少ない私は、本から知識を得ていて、旅をしていろいろ学びたいと思っていました。

海が見渡せる絶景の場所で、彼の顔が急に曇った。彼はレベッカとの新婚旅行でここを訪れたのです。またしても私はやらかしてしまったのです。

レベッカの記憶を思い出させてしまい、彼は先に行って車のそばで待っていてくれた。怒っているかと恐る恐る近寄ったら、彼は車のキーを投げて私に運転するよう促します。

私が運転するドライブで、彼は英国で最も美しい邸宅と呼ばれる、マンダレーの屋敷について教えてくれました。

彼にとって“命”とも言うべき邸宅。“父から息子へ代々受け継がれてきた”と・・・彼はレベッカとの間に、跡継ぎの息子がほしかったのです。

夕刻、ドライブを終えてホテルに戻った。車を降りようとダッシュボードに入れた、植物園のパンフレットを取り出そうとしたら、”レベッカよりマックスへ”と書かれた、愛の詩集が出てきました。

詩集を読み始めた私に気がついた彼は、怒って元に戻すように言ってホテルへ入っていきます。

次の日・・・きちんと謝ろうと、彼を探しにレストランのテラスに行くと、支配人が彼からのメッセージを私に渡してくれたわ。“カップ=ダイユでランチを”。ホッパー夫人はあれからずっと、体調が優れず看護師がついてくれました。

そして、私はあれから1週間、ウィンター卿との時間をすごすことができました。

夢のような楽しい時間だった。1週間がたったときには、2人とも恋に落ちて、私達は結ばれました。

それでも楽しい時間には終わりがあるもの・・・。デートから戻ると、すっかり体調を取り戻したホッパー夫人は、急にニューヨークへ行くから、翌日にはホテルを発つと言い出しました。

ホッパー夫人の気まぐれには慣れてきたつもりだったけど、私の気持ちは整理がつかない・・・。ホッパー夫人は言ったの。「NYへ行けば男は選び放題よ。“同じ階級”のね。私の耳に入らないとでも思ったの?」彼女は言います。

妻を亡くしたばかりで気落ちしているところに、うまくつけ込んだけど、愛されているわけじゃない。ただの気晴らしだというのです。

ここのことなど忘れ、ニューヨークへ行って自分の人生をみつめ直せと、彼女は言います。

けれども私は最後に彼に会って、お別れを言いたかった。彼は私のあまりに急な話しに、驚きながらも、しばらく考えて「私と一緒に・・・マンダレーへ、僕の妻として」私にプロポーズをしてくれました。

彼はホッパー夫人にも正式に話してくれた。夫人は結婚の話を心から歓迎したように見せました。

だけど、彼がその場をはなれると私を蔑むように「手が早いわね。詮索しない家族がいないのは幸い。マンダレーは大変よ。あなたの手に負える場所じゃない」。

そして、夫人が最後に言った言葉は「屋敷に住む亡霊と暮すのが嫌だから、おまえと結婚するのよ」といいました。

今思えば彼女の言ったことは一理あったし、あのまま素直にニューヨークへ行っていたら、知らなくてもいいことを知らないまま、忌まわしい悪夢に苦しめられず、美しい思い出にできたでしょう。

でも、私は彼と結婚しマンダレーへ行くことを選び、そこで私を待ち受けていたのは、ホッパー夫人など足元にもおよばない、悪意に満ちた家政婦の仕打ちの数々でした。

以下、『レベッカ』ネタバレ・結末の記載がございます。『レベッカ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
結婚式をあげ新婚旅行でヨーロッパを周遊し、なにもかも順調で幸せな生活が送れると、私は思っていました。

門を抜けると広大な敷地には森があり、木々に囲まれ隠れるように、長い歴史を誇る大邸宅が姿をみせたのです。

大勢の使用人たちが出迎え、上流社会の威厳を否応なく、私に向けてきました。

中でも家政婦長のダンバーズ夫人は、ことあるごとに“前の奥様は”と、前置きをして屋敷やウィンター家のしきたりについて説明します。

屋敷の中に赤いドレスを身にまとい、漆黒の髪のひときわ美しい、女性の肖像画がありました。それはマキシムの大叔母キャロラインの肖像画です。

マキシムが、“最も気に入ってる絵”だと言いました。そして、主寝室に案内される途中、他の扉とは、明らかに雰囲気の違う部屋があったけど、夫人はその部屋の案内はしてくれませんでした。

彼女が案内された部屋は“客室”として使われていた部屋で、先妻がいた時の主寝室は窓から反対に見える、雰囲気の違う扉のあの部屋でした。

慌ただしく1日が終わり就寝したものの、私は悪夢を見ます。うっそうと茂った木々を抜け、門から屋敷に向かって、赤いドレスを着て、漆黒の長い髪をした女性が歩いてくる夢です。

目を覚ますと、となりで寝ているはずのマキシムがいない・・・。彼を探しに部屋を出ると、彼は長い廊下を進み、先妻と過ごした主寝室の前に立ちました。

私が彼の肩を叩こうとすると、背後から「おやめなさい。夢遊病者を起こすのは危険よ」と、ダンバース夫人が声をかけてきました。

マキシムは導かれるように、部屋へと入って行き、ダンバース夫人は、その扉を閉めてしまいます。

この日から私は屋敷に漂う、姿なき女主の亡霊に苦しめられ、追い込まれていきます。

マキシムは夢遊病の症状を自覚していないようでもありました。朝食の時間に遅れ食堂へいくと、会計士のフランクがマキシムと打ち合わせをしています。

フランクは唯一、私に親切に接してくれますが、よそよそしさは他の使用人たちと同様です。

朝食後、屋敷内を散策していたら、愛犬のジャスパーが、石像で目立たないようにしてある、地味な扉をひっかいています。

その扉を開けると、ジャスパーは迷わず中に入って行きました。そこはまるで隠し部屋のような、小さな執務室です。

ライティングデスクに“R”という頭文字が施された、来客の芳名録があり、引き出しには最新のランジェリーカタログ、仮装舞踏会の招待状などがありました。

高価な調度品に囲まれたその部屋は、先妻のレベッカが、上流階級のくらし満喫するために、アイデアをだしていた場所でした。

私はそこでミスを犯してしまいます。ライティングデスクに置かれた、マイセンの置物を落とし割り、それをデスクの戸棚に隠したのです。

使用人たちが休暇の日、私たち夫婦は久しぶりに2人きりになれました。ジャスパーを連れて屋敷の周辺を散策します。

海の見える岸壁に来ると、ジャスパーが急に走り出し、崖下まで行ってしまいます。私は慌てて追いかけますが、マキシムは、「すぐに戻ってくる放っておけ!」叫びます。

海岸に出たジャスパーは、海岸線の小高い崖上にある、小屋の中に入っていきます。小屋の戸が開いており、私もジャスパーを追いかけ中に入ります。

そこには布がかけられた家具などが、ほこりをかぶって置いてありました。

ジャスパーをつなぐ紐を探していると、“私は戻ってくる”と書かれた救命具もあります。ジャスパーはカーテンのかかった角の部屋を座ってジッと見ています。

首輪に紐を付けようとすると、ジャスパーはカーテンの向こうに入っていったので、私はカーテンをめくって、ジャスパーを呼びます。

しかし、そこにはジャスパーを抱く、不審な男が座っていて、「犬はド・ウィンターさんの・・・彼女の犬だ。彼女はもうここへは来ない。海にいっちまったんだった」と言います。

私はレベッカは海で、溺れ死んだのだと知り、マキシムが海岸に来たくない理由がこれでわかりました。

別の日、マキシムの姉夫婦とおばあ様が、私と対面するためお茶会に来てくれたけど、おばあ様は私を見ると、「この子はいったい誰なの?レベッカはどこにいるの?」と、パニックを起こして、早々に帰ってしまった。

雨の中、皆を見送って屋敷に戻るとモーニングルームにあった、マイセンの置物が1つなくなり、ダンバース夫人から、若い使用人が疑いをかけられていました。

私は慌てて自分が誤って割ってしまったと言い、マキシムや使用人からの信用は下がってしまいました。

次の日、ジャスパーの散歩にでかけ、再び崖の上の小屋に行ってみます。家具にかけられていたシーツをはがし、デスクの上を見るとレベッカの書いた文字、そして見知らぬ男の写真がそこにありました。

そこへフランクが小屋に、施錠をするためやってきます。船もなくマキシムは、船が嫌いだという理由でした。私はフランクにレベッカの死は、溺死だったのか聞いてみました。

ひどい雨の日に、レベッカは海に船を出したが、操縦の上手い彼女でさえも嵐にはかなわず、船ごと沈没し、船はまだ上がってこないが、遺体は2ケ月後に打ち上げられました。

フランクはマキシムを立ち直らせたのは、私だと言ってくれた。私はレベッカに同情しました。独りきりの海で怖かっただろうと。

そして、レベッカは美しい人だったかと聞いたら、「これまでの人生で、一番美しい女性に会った思った」とフランクは言ったのです。

私は急にレベッカに対して、“対抗心”のような感情が芽生えて、彼女という女性が知りたくて、レベッカが生前使っていた主寝室へ入ってみた。

Netflixオリジナル映画『レベッカ』

扉を開けると鏡の中扉があって、それを開けると白、シルバー、アイスブルーを基調とした、美しい主寝室が目の前に広がりました。

家具や調度品、アメニティなどの全てが、洗練されセンスの良いものばかりで揃っていました。

そこへダンバース夫人がやってきて、レベッカの身のまわりの世話をしてきて、部屋も生前のまま残してあるのは、マキシムの意志ではなく、ダンバースが彼女の存在を、その部屋に感じているという理由でした。

そして、マキシムの妻として私がここにいることを、快く思っていないと言い、私は彼さえ幸せならそれでいいと返すと、ダンバースは「幸せになんてなれない。生涯の恋人を亡くしたのだから」と言い放ちます。

悪夢を見た次の日、マキシムがロンドンへ出かけ留守の時、ジャスパーが再び外へ飛び出し、見知らぬ男にじゃれています。

その男は、レベッカの従弟ジャック・ファベルで、ダンバース夫人からお茶に呼ばれたと、やってきたのです。

彼は私にレベッカの事故のことを、マキシムから聞いているかと訊ねました。

レベッカが船で夜の海に出た日に、彼女はロンドンへ行っていたか?船を出す前に2人は会っていたのか?などです。

その日、“大事な話しがある”と、ジャックはレベッカから、呼び出されていたからです。

マキシムに直接聞くよう促すと、ジャックはマキシムから、屋敷への出入りを禁止されていると言いました。

マキシムとジャックの間には、何か確執があったのです。ジャックは会ったことをマキシムに言わない方がいい、“かんしゃく”を起こされると、言って去ります。

私はダンバース夫人に、出入りが禁止されているジャックをなぜ、お茶に招いたのか、使用人達の目の前で問いただしたが、“彼とは1年以上会っていない”、こう言いました。

私はロンドンから帰宅したマキシムにいち早く、ジャック・ファベルのことを報告しようと、待ち構えましたが、それよりも先に執事が報告してしまった。

マキシムは今までに見せたことのない怒りをあらわにして、私を責めた。これがジャックの言っていた、“かんしゃく”なのです。

私とマキシムは言い争い、ジャックはダンバース夫人から、お茶に招かれたと説明しても、聞き入れず「教えてくれていれば」と、訴えるしかありませんでした。

ダンバース夫人がなぜ、ジャックをお茶に招き、そのことに白を切ったのは、私を貶めるための敵意と悪意としか思えません。

私はダンバース夫人を解雇することに決め、彼女の部屋に行ったのです。

しかし、ダンバース夫人とレベッカの“絆”の話し、屋敷のことを何も知らない私が、彼女に助言を求めなかったことを指摘され、自分にも非があったと認めざるをえなかったです。

私はダンバース夫人に助けを借り、ここで暮すことを決心し、その手始めにマンダレー恒例の、“仮面舞踏会”を再開すると決めたのです。

私が心を開きダンバース夫人にアドバイスを求めると、彼女は何でも丁寧に答えてくれた。そして、周りの使用人たちも次第に協力的になってくれました。

しかしそれは、ダンバース夫人の計り知れない怨念で、巧妙に仕組まれた罠でした。「最も重要な人物という観点で、衣装を決める」と、仮面舞踏会に着る衣装を決めかねていました。

メイドのクラリスが、いいアイデアがあると、“キャロライン婦人”の肖像画を指して、あの方の衣装なら、相応しいと提案してくれたのです。

肖像画の女性がきているドレスなら、マキシムもきっと喜んでくれると、私は思っていました。仮面舞踏会のその日まで・・・。

肖像画の赤いドレスを身にまとい、颯爽(さっそう)とパーティー会場に出ると、そこにいたマキシムやゲストは凍りつき、マキシムは「今すぐ戻って着替えてこい!」と、怒鳴ったのです。

ダンバース夫人の怨念と敵意は消えていなかったのです。私を大勢のゲストの目の前で、破滅させマンダレーから、追い出すことが目的だったと知りました。

ダンバースはレベッカの主寝室で、無情に私を虐げ、部屋のテラスから身を乗り出すと、飛び降りることを促したのです。

その時、あの海岸に漁船が座礁したという、合図の照明弾が打ち上がります。

潜水士が事故を調査すると、偶然、消息不明だった船も発見され、引き揚げられたのです。中からはレベッカと思われる遺体が発見されました。

しかし、遺体は既にみつかりマキシムが確認し、埋葬が済んでいます。そして、そのマキシムは姿を消し、警察が彼を聴取するため、捜索していました。

私はマキシムはあのボート小屋にいるような気がして、行ってみることにしました。ボート小屋にいたマキシムは、ようやくレベッカのことを話し始めたのです。

彼女はダンバレーに近づくために、妻としての振る舞いを演じつづけ、マキシムと結婚をしたが、ロンドンの屋敷で他の男を連れ込み、淫らな行為をしているような女でした。

つまり、家名を傷つけたくないマキシムの気持ちを利用し、ぜいたくな生活を手に入れつつ、複数の男たちとの関係を続けていたのです。

さらにレベッカは、マキシムではない男との間に子供ができ、「“自分の子供じゃない”と、一生、言えないのよ」と、言いました。

そして、マキシムに殺人はできないと目論み、彼に銃を渡して自分につきつけ、「いいのよ。引き金を引けば解放され、自由になれる」そう言って、彼を追い込みました。

マキシムは引き金を引きました。レベッカは“安堵したように”死んだと言います。それから彼は船底に穴をあけ船ごと沈め、レベッカを葬ったのです。

いずれにしてもレベッカの思惑通り、マキシムはバレたら名声を失うことをしてしました。

2カ月後、あがった水死体が誰かはわからないけど、それをマキシムはレベッカだと証言し、この忌まわしいできごとから逃げるように、旅をしていたのです。

私はレベッカの勝ちを認めたくありません。マキシムを無実にしたてるため、この秘密を共有することにします。

レベッカの事故死に疑惑を持った検察と警察は、殺人を視野にマキシムの取り調べもはじまりました。

“自殺”なのか“他殺”なのか審議が始まった晩に、ジャックが屋敷にやってきます。そして、“自殺”しようとした晩に客(ジャック)を招くか?と、マキシムに疑問をぶつけます。

ジャックは、レベッカがマキシムに離婚を切り出したから、怒って殺害したのだろうと考えています。

ジャックはレベッカから、“大切な話しがあるから、できるだけ早くマンダレーに来て”と、手紙を受け取っていて、それを証拠に脅迫をしてきました。

ジャックは1万ポンドくれたら、翌日の証言台には立たないと言い、私たちはそれを受け入れました。

しかし、次の日の証言台にはジャックではなく、ダンバース夫人が立ち、レベッカとジャックの関係にはうすうす気がついていて、家に招くメモのことは認識していたと話します。

そしてそれを隠ぺいするために、1万ポンドの小切手を渡したことを証言し、その小切手が証拠として出されました。

ダンバース夫人はさらに、レベッカの体調に変化があったこと、家庭医ではなくロンドンの医師に診てもらった理由を、妊娠だったのではと匂わせたのです。

検察は愛人の子供を妊娠したレベッカが、ジャックに知らせようとし、マキシムは逆上して、彼女を殺害したと動機づけしました。

ダンバース夫人にはレベッカの行動を示す、書類などの提出を求められ、捜査官はロンドンの婦人科を調べ上げるよう、命令をしていました。

私はすぐに屋敷へ戻り、フランクの執務室へ行き、レベッカが受診したロンドンの病院を調べ、“ベイカー医師”の名前をみつけました。

そこにダンバース夫人が現れ、レベッカが繰り返した淫らな行為を正当化し、レベッカを崇拝するようにかばったのです。

私はダンバースに「レベッカの秘密を共有できず、死んだことがつらかったのね。」と言って解雇しました。

ロンドンのベイカー医師の病院に行くため、1人で車走らせ、診療時間が終わるのを待ち、病院に財布を忘れたと嘘をつき、中に入ってレベッカのカルテを探しました。

少し遅れて捜査員たちがベイカー医師を連れて、病院に戻ってきたとき、私はレベッカだけが抱えた秘密を知ったのです。

レベッカは妊娠などしておらず、子宮がんに犯され、手の施しようがなくなっていました。私と警察はお互いにこの事実を確認しました。

ベイカー医師は「痛みもそうとう酷かったはず、どうやって自殺を?」と、自殺をしたものと疑っておらず、「船で・・・船底に穴を開けて水没させたの」と、私は話しました。

マキシムが釈放され一緒にマンダレーへ帰ると、マンダレーは炎に包まれ、使用人たちが逃げまどっていたのです。

避難したクラシスにどうしたのか聞くと、ダンバース夫人の姿を見て、ボート小屋の方へ向かって行ったと教えてくれた。

ダンバース夫人はボート小屋にも火を放ち、崖っぷちに立ち「私の愛する者は殺された。マンダレーは、あなたに渡さない!“私たちのものよ”」

彼女は私にマキシムのそばにいたら、幸せになんてなれないと言ったけど、「絶対に幸せになってやる!」そういうと、飛び降り海に沈んでいきました。

また、ダンバース夫人とレベッカが出てくる夢をみて、うなされて目を覚ました。でも私は、既に2人への気持ちは断ち切れていました。

私はマキシムとの新しい家を探し、旅の途中に立ち寄ったカイロの部屋で、今の自分はもう昔の私ではなく、生まれ変わったのだと実感したのです。

炎をかいくぐるように、彼を救い“愛”を守ったのは正しかったと・・・。

映画『レベッカ』の感想と考察


Netflixオリジナル映画『レベッカ』

本作品『レベッカ』は、主人公の“私”の視点でストーリーが展開し、レベッカ像はダンバース夫人の口から語られる情報と、マキシムの告白からしかわかりません。

レベッカは快活で人に取り入るのが得意で、馬やヨットも操れ美人でスタイルもよく、自信に満ちた女性でした。しかし、その裏の顔はロンドンやマンダレーで、多くの男性と淫らな関係を繰り返す、好色な面もあったのです。

ダンバース夫人が、レベッカの幼いころからの侍女であり、お互いなくてはならぬ存在であったことはわかりましたが、家柄や育った環境などはわかりません。

とにかく、夫人のレベッカに対する溺愛ぶりと、猟奇的なサイコパスが異常で恐ろしいものでした。

レベッカが複数の男性と関係を持ちながらも、男を蔑んでいたことや、ダンバース夫人も男性に、憎悪を抱いているようにも感じられました。

最初はダンバース夫人がジャックと手を組み、レベッカを使いマンダレーを乗っ取ろうと、計画したものとも考えました。

だけど、途中から逆に、レベッカを不憫に思ったダンバースが、ロンドンから距離をとった、ド・ウィンター家に嫁がせようと、仕向けたのかとも?そんな想像もしました。

そして、マキシムでさえもレベッカを満足させ、幸せにできなかったことに、ダンバース夫人は、憎悪を増幅させていったのでは?とも思えます。

ところが、秘密を共有していたダンバース夫人に、レベッカが“子宮がん”だった、という事実を言わなかった理由を考えた時、また説が浮かびました。

レベッカは最初、妊娠したと考え受診したが、腫瘍がみつかり2度目の受診で、余命もわずかだと絶望したのでしょう。

放っておいても死ぬ身でありながら、レベッカは妊娠したことにし、マキシムに自分を殺させ、ダンバースやジャックに、反感を抱かせるように仕向けたのではないでしょうか?

初めマキシムが、“安堵したように死んだ”と言った時は、レベッカの本心は愛する人に殺してほしかったのか?と思うほどでした。

つまり、私も主人公の“私”みたいに、情に流されかけたのです。

しかしそうではなく、より“絆の深い”ダンバース夫人に、マンダレー死守を託せた“安堵”ではないでしょうか?

レベッカの実家は彼女の浪費で、傾いたのではと想像できます。ジャックはギャンブル好きでお金の工面を、レベッカに頼っていたと考えれば、3人が結託していたと考えやすかったからです。

最後にひとつ疑問が残るのは、全編のほとんどが、“私”の視点と聞いた話しで描かれていますが、ダンバース夫人がレベッカの部屋に火を放つシーンだけは、“私”が実際に見たわけでも、誰かがはっきり目撃したわけでもない、“想像”にゆだねられたものと、見てもよいでしょう。

ダンバースが私にマンダレーは渡したくない思いもありますが、むしろ私にもレベッカの影が残るマンダレーには、用がないのですから・・・。

まとめ

歪んだ愛情から、欲望のまま生きるレベッカを制止できなかった、ダンバース夫人が哀れで、人の怨念が心理的に迫ってくる恐ろしい作品でした。

原作小説の『レベッカ』ファンからは、1940年に公開されたヒッチコック版『レベッカ』の演出に違和感を感じたという、感想もありました。

ベン・ウィートリー監督の2020年版『レベッカ』は、ヒッチ版にリスペクトしつつも、新たな解釈を入れて制作されています。

また原作ファンがウィートリー版『レベッカ』を観たらどう感じるのか、そういう点にも興味がもてる作品です。

新作ウィートリー版『レベッカ』を含め、オスカー受賞の名作ヒッチ版、原作小説と、3つの楽しみ方ができ、いっそう面白さを膨らます作品に仕上がっています。

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