テレビアニメ『妖怪人間ベム』のリブート版は、ベラ中心の実写作品
映画『妖怪人間ベラ』は、テレビアニメ『妖怪人間ベム』に登場するキャラクターの女性妖怪人間ベラに焦点を当て、女子高生という新たな設定で描く実写作品。
『ハンサム★スーツ』でデビューした英勉監督が、誕生から50年以上が経つ今も高い人気と支持を誇る『妖怪人間ベム』を大胆にリブートしています。
先行する形でAmazonプライムでドラマ版も配信。主演はモデルとして活躍するemma、『レディー・プレイヤー1』『蜜蜂と遠雷』の森崎ウィンが主人公を務めています。
『妖怪人間ベラ』は、2020年9月11日(金)池袋HUMAXシネマズ、渋谷HUMAXシネマズほかで全国順次ロードショー中。
映画『妖怪人間ベラ』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【脚本】
保坂大輔
【監督】
英勉
【キャスト】
森崎ウィン、emma、堀田あかね、吉田泰佑、吉田凛音、桜田ひより、清水尋也、六角精児
【作品概要】
1968年にアニメーションとして誕生した『妖怪人間ベム』。その中で重要なキャラクターである妖怪人間ベラを主人公にしたリブート作。
ベラに人生を狂わされていく主人公・新田を「レディ・プレイヤー1」の森崎ウィン、ベラをファッションモデルのemmaが演じています。監督は『貞子3D』(2013)『賭ケグルイ』(2019)の英勉。本作のベラはなんと女子高生という設定、新しい妖怪人間ワールドが展開されます。
映画『妖怪人間ベラ』のあらすじとネタバレ
広告代理店に勤める新田康介は、今や忘れ去られた懐かしのコンテンツ『妖怪人間ベム』特集のために、後輩の弘樹とともに訪れた廃墟で、幻とされていた最終回を見ます。
そこには人間に襲われ死んでしまう妖怪人間たちの姿が描かれていました。ベムとベロを殺されたベラは怒りを爆発させ、その場にいた人間たちを皆殺しにしていました。
新田はその映像を見て、狂いだしそうになるほどの衝撃を受けました。
時を同じくして、ある高校に一人の女子生徒が転校してきます。名前は百合ヶ崎ベラ。
物静かなベラはいつも独りでいます。けれども、周りとは明らかに違う雰囲気を持ち、自然と校内でも目立つ存在になります。
その独特な美貌と存在感で彼女に興味を抱く生徒も少なくありません。写真部の牧野沙織もそんな中のひとりでした。
圧倒的に目立つベラは、嫉妬と羨望の両方を集めるようになります。校内にはモデルの仕事をしている綾瀬莉子がいて、ベラが転校してくるまでは彼女が校内の華でした。
莉子に強い思いを抱く沙織はベラに寄り添うふりをしながら、ベラへの嫌がらせをします。しかし、そんな沙織に怪異が襲い掛かります。
莉子への思いからベラを部室に閉じ込めますが、気が付くと閉じ込められていたのは沙織の方でした。
ベラへの仕打ちを知った莉子は沙織を拒みます。狂気にかられた沙織は莉子の目の前で、ベラ、そして莉子を刺し殺します。
映画『妖怪人間ベラ』の感想と評価
ハーフモデル、ハーフ女優、ハーフタレントという人たちが、日本のエンターテイメントに当たり前の存在として活躍するようになって久しいですが、そんな彼女たちはやはりちょっと突飛な世界がはまります。
「A-Studio」の9代目アシスタントとして知られるemmaもまた、本作『妖怪人間ベラ』でそのオリジナリティを遺憾なく発揮しています。
一方、彼女に関わることで狂気に落ちいていく役を演じる、桜田ひよりと森崎ウィンも好演しています。かなり壊れていくので、その荒みぶりは見応えがあります。
「呪怨」シリーズや『シャイニング』(1980)などの狂気で壊れていく人の姿にぞくっとした人には、たまらない作品なのではないでしょうか。
まとめ
本作の監督の英勉は2008年に『ハンサム★スーツ』(2008)で監督デビューして以降『貞子3D』や『ヒロイン失格』(2015)『あさひなぐ』(2017)など話題作が続き、今年は『前田建設ファンタジー営業部』『ぐらんぶる』『映像研に手を出すな』『東京リベンジャーズ』そして本作と、話題作が続いています。
やや勢い任せなところもありますが、題材を選ばずにエンターテイメントに昇華できる職人と言えるでしょう。
本作でも最初のアイデアから、上手い具合に物語を派生させて楽しませてくれます。Amazonプライムで連動したドラマを見ることができるので、可能であればチェックしておくとよいかと思います。
『映像研には手を出すな!』に続いてドラマとの連動企画となる英勉監督ですが、世界観を作り上げていくことが好きなのかもしれません。
また『貞子3D』『貞子3D2』以来のホラー映画となるわけですが、これが中々の手腕を見せてくれます。
アイドルとのコラボレーション企画なども手掛けていますが、もう少しホラー畑での作品も見てみたいところです。