映画『この世界の片隅に』が昨年2016年11月12日から公開され、今だロングラン上映中ですが、まもなく1年を迎えます。
先のキネコ国際映画祭2017では、キネコグランプリの日本作品の長編Feature film部門で、本作が受賞の栄冠を獲得するなど、『この世界の片隅に』の広がりは留まることを知らないようです。
1.『この世界の片隅に』の海外渡航報告
2017年11月8日PM19:00。
東京にある牛込箪笥区民ホールで開かれた『この世界の片隅に』の海外報告会に多くの人が集まりました。
片渕須直監督の渾身の一作である本作を、海外への上映に送り出そうとクラウドファンディングにて支援した人たちへ御礼の3度目に報告会です。
壇上には演出を務めた片渕須直監督、そしてプロデューサー真木太郎らによって、心から感謝が述べられていました。
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片渕監督の言葉「独りじゃない」
メキシコでの上映のために訪問して以来、多くの海外に足を運んだ監督は、その国々で多くの鑑賞者と自ら進んでコミュニケーションを図ってきたようです。
もちろん、言語の違いから言葉の壁はあったようですが、それを取りのぞいても各国で共通したのは、本作を観た観客がすぐには言葉に変換することのできない思いだったようです。
映画館での上映が終わると、現実世界の街に解放された観客たちは、“どのようにこの作品と向き合えばいいのか”、言葉にできずにその場を去ることが出来ない様子を、片渕監督はたくさん見かけたそうです。
外国ではモノを見たり、体験したことを言語化する自分の意見を持つ教育は、おそらくは日本以上に行われていると言ってもよいでしょう。
それでも映画を観て感想を言語化できないのは、『この世界の片隅に』を鑑賞後の状態が、各国ともにどこも変わらずに1人では受け止め難い状態であり、親の世代や友人たちと、“言葉よりも思い”を先ずは共感せずにはいられなかったのです。
このことに通ずることで真木太郎プロデューサーは、メキシコでの2017年3月3日よりシネコン公開から、ふたたび8月6日より異なるシネコンでの再上映という極めて珍しい出来事を引き合いに出しました。
メキシコではより本作について理解しあってほしいという、地元の評論家の思いがあったことを紹介してくれました。
また片渕監督は、メキシコのマツダ自動車の工場で働く女性が、「戦争体験はよく知らないが、主人公すずが体験した貧しさに関しては子ども頃に経験したことがあり理解できる」という言葉に強い感銘を受けていました。
これは『この世界の片隅に』という作品が、単に戦争の賛否を問う描写したのではなく、昔の日本の暮らしぶりである生活そのものを克明に描いていたことで伝わったことではないでしょうか。
海外の国々とは発展や進歩の時間軸は大きく異なります。それでも伝わる何か、言葉にできない何かは、本作の主人公すずを中心に登場人物たちの誰もが、“生きる”ということを見せてくれた。
いや、“息づいていた証”に違いありません。
片渕須直監督は言いました、「独りじゃない」と。本作は作る前、作るとき、上映されてかと多くの人とともにある極めて稀な映画として、本作はひとり一人の多くの片隅で出来上がっているのでしょう。
2.「繰り返し」観るということ
片渕須直監督のもう一つの言葉で印象に残ったのは、「繰り返し」です。
当たり前でありますが、映画は舞台演劇とは違い何度も繰り返して観ることができる特徴を持っています。
それは実写であれば映像に収められた偶然の出来事や撮影時には意識せずに気が付かなかったことを発見することのできるのが、映像の繰り返しの良さです。
しかし、本作『この世界の片隅に』はアニメ作品であり、実写ではありません。
片渕監督が自身の生活を家族ともども切り詰めた生活をしながら、丹念な深掘りの取材を重ねた後に、必要不可欠なものをスクリーンに映像に描いた作品です。
当たり前ですが、どれも偶然的にキャメラに映り込んだもの無く、全てが必然の結果が本作の映像です。
片渕監督は言いました。
「原作者こうの史代さんは気がついちゃったです。爆心地である広島から20キロ離れた場所にいた人にも55秒後に熱風が届いた事実に」。
このことを原作漫画から読み取った片渕監督は、“もう1人のすずである左手で娘の手を引く母親”を本作から外さずに描いたのです。
すずがあの時に左手で手を引いていたら右手は失っても…。その思いが被爆地の広島にいた母親とすずに重なり合う鏡合わせになっています。
気になったあなたには、ふたたび『この世界の片隅に』を観ることをオススメします。
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まとめ
真木太郎プロヂューサーは片渕須直監督に、『この世界の片隅に』の上映を1年かけて行うことを以前から約束していたようです。
そして片渕監督は、「ふたたびアメリカへ行く」と呟いていました。
『この世界の片隅に』の海外渡航報告会に参加して、映画の魅力や凄さを再認識させられました。
言語化すること、またできない思い。
世界に共通する独りではなく分け合う感情。
そして、繰り返して観ることで忘れない思い。
ぜひ、あなたもご一緒にロングラン上映中の『この世界の片隅に』をもう一度ご覧になってはいかがでしょう。
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