今最も熱い若手俳優・菅田将暉の主演作が、寺山修司・原作の映画化として上映されます。
いよいよ配信版も、劇場版の後編にあたるストーリーに入っていきます。
第4話でもいきなり新次とバリカンの間に驚きの関係があったことが発覚するなど、ボクシングとはまた別の、それぞれの運命が動き出します。
配信版では劇場では未公開のシーンを盛り込んだ【完全版】となっています。
1.映画『あゝ、荒野』【第4話】の作品情報
【公開】
劇場版後編は2017年10/21より公開
配信版・第4話は10/20より配信
【監督】
岸善幸
【キャスト】
菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、高橋和也、今野杏南、山田裕貴、河井青葉、前原滉、萩原利久、小林且弥、川口覚、山本浩司、鈴木卓爾、山中崇、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリア
【作品概要】
『二重生活』で初長編にして高い評価を得た、岸善幸監督の2作目。寺山修二、唯一の長編小説を2021年の新宿を舞台とし、独自の設定やストーリーを交えたトータル300分ほどの超大作。
ボクサーという青春モノを描きながら、愛憎渦巻くそれぞれの因果関係をも、岸監督独特のタッチで描いており、青春・スポ根ものには珍しい雰囲気を漂わせています。
『二重生活』同様、東京の雑踏、町並みすらも美しく描いており、前作のファンもストーリーは違えど、楽しめる要素が詰まっています。
▼▼U-NEXTで『あゝ、荒野【完全版】』はご覧いただけます。
映画『あゝ、荒野【完全版】』を今すぐ無料で見る
2.映画『あゝ、荒野』【第4話】のあらすじとネタバレ
前編のラストから数ヵ月後。
祐二は雑誌で特集が組まれるほどの大躍進をしていました。
その雑誌を、恐ろしいまなざしで睨み付ける新次。
バリカンが図書館で本を探していると、そこに妊娠している西口恵子が現れます。
すると、突如恵子は破水し、バリカンに担がれ救急車が呼ばれます。
病院で恵子の経過を待つバリカンに、赤ん坊は亡くなったと伝えられます。
宮本の事務所に、太平洋拳闘クラブを設立した男の息子が訪れて、ジムをたたんで葬儀場の倉庫にすると、一方的に話してきます。
話を聞いた宮本と君塚はその憂さを晴らすがごとく、バッティングセンターでバッドを振りまくります。
介護センターでは、一人の老婆が亡くなります。
君塚は亡くなった老婆が入居していた部屋の掃除を急ぎますが、そこに新次が現れます。
新次は10歳だった自分を捨てた母親を「昔と変わらない」と吐き捨て、自死した父のことを聞きますが、君塚の口から父の死を悔やむような言葉はありませんでした。
さらに彼女は、新次の父が所属した軍の長官はバリカンの父・建夫で、彼の厳しいし対応によって父は死んだのだと新次に打ち明けます。
新次は君塚から渡された建夫の記事と、ドキュメンタリー書籍に目を通すと、君塚がインタビューで、夫は建夫に殺されたも同然だと語っていました。
新次はバリカンを置いてジムを飛び出し、杏子の部屋へ向かい、彼女の両親について聞きます。
杏子は自分が東北地震の被害者だと語り、そこの仮設住宅に母親を置いてきたと語ります。
そう話すと、彼女は新次にバリカンも誘って、たまには3人でどこか遊びに行こうといいます。
新次はバリカンの勤める床屋に行って、改めて両親のことと、自分たちのことは何の関係もないと確認します。
宮本は新次に「人は生まれたときから不完全な死体であって、何十年もかけて完全な死体となるって知ってたか?(原作者・寺山修司『懐かしのわが家』より引用)」と聞くと、杏子のメモを渡します。
新次はメモのとおり、父の墓がある墓地に向かうと、そこには建夫が待っていました。
彼はガンで余命幾ばくもなく、最期に君塚に話がしたいと思っていましたが、彼女は建夫に会うつもりはありませんでした。
新次はバリカンはガンのことを知っているのかと聞くと、建夫はバリカンがボクサーになったことすら知らず、信じてもくれませんでした。
その建夫の態度に怒りを覚えた新次は、建夫に生きているのだから自分の口でバリカンに話せときつく言い放ちます。
新次たちが練習をしていると、そこにバリカンにお礼を言いに来た恵子が現れます。
バリカンは恵子を食事に誘いますが、そこで恵子は亡くなった子の親(川崎)は自死したので、この子も同じ選択をしたのではないかと言い出します。
また恵子自身もリストカット癖があり、バリカンになぜ人は生まれてくるのか問います。
彼は「誰かと繋がるため」と答えますが、恵子に「あなたは誰かと繋がっているのか?」と聞かれ、答えることが出来ません。
片目は行き付けの居酒屋で最近働き始めた、足の不自由な女性・尾根セツを背負って帰路に着きます。
彼女は津波によって、足が不自由になってしまいました。
新次、バリカン、杏子は誰もいない海で泳ぎます。
杏子はそこで、仮設に置いていった母が買ってくれた靴を、海に投げ捨てます。
しかし日が暮れること、海に投げた靴は波に流され岸へ戻ってきてしまい、杏子は涙します。
海洋拳闘クラブに、新次と祐二の試合が決まったと連絡が入ります。
馬場は新次に「殺しても良いぞ」と言い、新次は狂喜し、その様子を見るバリカンはどこか複雑な様子でした。
新次は練習試合相手にも容赦しません。あまりに凶暴な試合に、相手方のコーチも片目に向かって声を荒げます。
当の新次もへぼな相手を連れてくるなと激怒します。
その時、宮下がオーナーの息子・川口を連れてジムに顔を出します。
そこで片目に、ジムをたたむよう川口に言われていることを告げ、バリカンの練習試合を見てもらうことになります。
防戦一方のバリカンだが、徐々にカウンターを決めてK.O勝ちします。
バリカンの姿に見入った川口は、なぜボクシングをするのか、その動機を2人で話します。
その頃、杏子は男2人にナンパされ、面倒くさそうについていきます。
馬場はバリカンに散発してもらい、腕はあるのだからチャンピョンを目指したくないのか聞きますが、それにはあの新次を倒さなくてはなりません。
減量を続ける新次に辛くないかと、バリカンは尋ねますが、新次は勝てない奴や運の無い奴は嫌いだと言うだけでした。
2人の練習内容にも、徐々に開きが出てきます。
バリカンは川口に食事に誘われ、幼い頃喘息持ちだった川口はずっと強くなりたいと感じており、それはバリカンも同じと分かります。
新次は車椅子バスケをしている立花の元を訪れます。
立花は、祐二が自分のスポンサーになるために妻も生まれたばかりの子供もいるのに、金を工面していると新次に説明します。
どうして祐二を許せるのか、新次はきつく立花に問い詰めますが、障がい者の自分は、結局健常者には叶わないのだとこぼし、新次はそんな立花に失望してしまうのでした。
【第5話につづく…】