映画『塔の上のラプンツェル』は
ディズニー初の「3Dで描かれるプリンセスストーリー」
映画『塔の上のラプンツェル』は、グリム童話の『ラプンツェル(髪長姫)』を映画化したもの。ウォルト・ディズニー・スタジオの長編アニメ第50作となる記念映画です。
逃亡中の大泥棒フリン・ライダーが、山奥の谷にそびえ立つ高い塔にいる娘を見つけます。髪が驚くほど長い不思議な娘はラプンツェル。彼女が18年間、塔の中に閉じ込められた生活をしてきたのにはわけがありました。
映画『塔の上のラプンツェル』の作品情報
【日本公開】
2011年(アメリカ映画)
【原題】
Tangled
【監督】
ロイ・コンリ
【キャスト】
マンディ・ムーア、ザカリー・リーバイ、ドナ・マーフィ、ロン・パールマン
【作品概要】
『塔の上のラプンツェル』は、2010年のアメリカのアニメ映画です。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ長編作品第50作目の作品で、原作はグリム童話の『ラプンツェル』。ディズニー映画初の「3Dで描かれるプリンセスストーリー」です。声の出演は、ラプンツェルにマンディ・ムーア、盗賊フリン・ライダーにザカリー・リーバイ。日本語吹き替えには、中川翔子と畠中洋が挑みます。
映画『塔の上のラプンツェル』あらすじとネタバレ
昔むかしのこと。一粒の陽の光が空から落ちてきて、神秘的な黄金の花が生まれました。それは病気や怪我を治す魔法の花でした。
やがてその地にコロナ王国が栄えます。国王も王妃も国民に愛されていました。
そして王妃は赤ちゃんを身ごもりますが、出産前に重い病気にかかり、国中総出で病気を治すといわれている「魔法の力を持つ黄金の花」を捜すことになりました。
捜索隊は森の奥深くで「魔法の力を持つ黄金の花」を捜しあてます。その花はゴーテルという老婆が育てていました。ゴーテルは花の治癒力を独占し、何百年も若さを保っていたのでした。
捜索隊に奇跡の花を持って行かれたゴーテルはなんとかして花を取り戻したいと思います。
病にかかった王妃は「魔法の力を持つ黄金の花」のおかげですっかり元気になり、輝くような金髪の女の子を出産。王女誕生のお祝いに、灯りを入れたランタンが空一杯に飛ばされました。
ある夜、ゴーテルが窓から赤ちゃんの王女が眠る寝室に忍び込みました。
「魔法の力を持つ黄金の花」を育てた時の歌を歌いながら王女の金髪に触れると、たちまちゴーテルの肌のシワが取れていきます。
嬉しくなったゴーテルが王女の髪の毛を切って持って帰ろうとしますが、あっという間に手にした髪の毛は黒くなり、魔力を失ってしまいました。慌てたゴーテルはそのまま王女を攫って行きました。
王女が攫われてから18年。どこかで王女は生きていると信じる国王夫妻は、毎年王女の誕生日の夜に、王女の無事を願って多くのランタンを空に飛ばしていました。
攫われた王女・ラプンツェルは、森の奥深くにそびえる高い塔で、ゴーテルの子どもとして育てられていました。ゴーテルは毎日のように歌を歌ってラプンツェルの金髪をとき、若さを維持し続けていたのです。
約21メートルにもなる長い金髪を持つ美しい娘に育ったラプンツェルですが、ゴーテルから塔の外に出ることを禁じられています。
「外には危険がいっぱい。ここに居れば安全なのよ」と、ゴーテルは毎日のようにラプンツェルに言い聞かせていました。
それでも彼女は、自分の誕生日の夜に遠くの空に現れる無数のランタンを不思議に思い、外の世界への憧れを持っていました。
18歳の誕生日を翌日に控えたラプンツェルは思い切って「今年こそあの灯りを見に行きたい」とゴーテルに言います。けれども、例の如くに「外は危ないから」と説き伏せられてしまいます。
一方、お城ではその日の朝早く、ティアラが盗まれるという騒動が起こります。大泥棒フリン・ライダーが仲間と一緒に城からティアラを盗み出したのです。フリンは衛兵に追われて森へと逃げ込んで来ました。
追っ手を振り切り、泥棒仲間を置いてきぼりにして逃げ切ったフリンは、辿り着いた窪地の先にある塔を見つけ、壁をよじ登って侵入することに成功。
けれども油断したところをラプンツェルにフライパンで殴られて気絶します。一人で侵入者を捕まえたことで自信をつけたラプンツェルはティアラを隠しました。
フリンが意識を取り戻すと、ラプンツェルは”自分をランタンが現れる場所まで案内し、それが済んだら塔まで送り届けること。そうすればティアラを返す”という条件を突きつけます。
得意の口説き顔も通じない相手に、フリンはしぶしぶ条件を受け入れました。口うるさいゴーテルが出かけている隙に、2人は外へ出ることにしました。
塔の外へ出る方法はラプンツェルの長い髪。窓から地面へ向かって垂らすと縄梯子のようになります。
「世界は広い。出る勇気はある?」歌いながら自分を鼓舞し、フリンの助けを借りてラプンツェルは初めて地上へ下りました。
映画『塔の上のラプンツェル』の感想と評価
ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』は、コロナ王国の王女が隔離された塔から飛び出して、自分の居場所を捜しあてる物語です。
よくあるようなプリンセスストーリーですが、隔離されて暮らす箱入り娘のラプンツェルが‟強い女性”の象徴として描かれています。
まずその勇気に驚かされます。誕生日に夜空にあがるランタンを近くで見てみたいという夢を叶えるため、塔の窓から飛び下りるラプンツェル。
ラプンツェルは、母と信じるゴーテルの言いつけに背いていると自己嫌悪に陥りながらも飛び出します。そこには、自分を打ち破る勇気があり、自立や自己主張といったものの芽生えも見られます。
次に驚くのは、見ず知らずの若者のフリンと行動を共にする行動力です。
これは「何が何でもやりたい」という強い気持ちがないと、普通に育った人でもなかなかできないこと。それだけ、ランタンを見たい思いは強かったのでしょう。
ラプンツェルが咄嗟の判断で初対面のフリンを殴るのに使ったのは、フライパンでした。それを振りかざし、長い髪の毛を自由自在に操って、追っ手と闘う姿も見ものです。
ラプンツェルは、いざとなったら自分を護れる術を本能的に持っている娘だったのです。
塔に閉じ込められる環境をじっと我慢し、自分の力で扉を開いて未来を取り戻したラプンツェルには、学ぶところも多いことでしょう。
森の中の敵味方入り乱れてのドタバタ脱出劇から、夜空いっぱいに舞うランタンのロマンチックなシーンまで。
楽しく美しい映像から、現代社会へのメッセージ性の強いエールが伝わってきます。
まとめ
子供から大人まで幅広い世代に人気のあるディズニー映画。50作目の『塔の上のラプンツェル』は、ディズニー初の「3Dで描かれるプリンセスストーリー」です。
フライパン片手に隔離された塔から脱出するプリンセス。彼女に味方するのは、大泥棒と目つきが悪く気性の荒い白馬、それにペットのカメレオン。言葉にするとなんともちぐはぐな一行ですが、映像となるとインパクトのある仲間たちでした。
映画では、ラプンツェルによって女性の真の強さが表される一方で、悪役のゴーテルには女性の弱さとエゴが見られます。
ゴーテルが事の発端の「魔法の力を持つ黄金の花」に魅せられたのは、「永遠の若さ」が欲しかったから。いつも女性はこの「永遠の若さ」に弱いのです。
ラプンツェルを我が子として育てたのは、いつまでも手元において、自分一人だけの黄金の花としたかったから。これは、大事なものを独り占めしたいという我儘です。
自分勝手な育ての親の呪縛を解き自由になったラプンツェル。彼女がラストで見せるのは、晴れ晴れとした笑顔でした。
『塔の上のラプンツェル』は、未知の世界へ飛び出す勇気をもらえるディズニー作品なのです。