佐藤健と土屋太鳳が描く奇跡のラブストーリー
結婚を控えた幸せなカップルにおこった突然の出来事。なぜ8年ものあいだ結婚できなかったのか。実話をもとに、人気実力派俳優の佐藤健と土屋太鳳の共演で映画化が実現した『8年越しの花嫁 奇跡の実話』。
もしも恋人が病に倒れて意識不明になったら、何年ぐらい待つことができるでしょうと、思わず考えたくなる作品です。8年もの歳月をかけて実った真実の愛の物語とは?
映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【原作】
中原尚志・麻衣
【監督】
瀬々敬久
【脚本】
岡田惠和
【キャスト】
佐藤健、土屋太鳳、杉田哲太、薬師丸ひろ子、中村ゆり、北村一輝、浜野謙太
【作品概要】
原作は『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』のタイトルで書籍化された実話です。結婚を約束し幸せの絶頂にいた20代のカップル・尚志と麻衣。しかし結婚式の3カ月前、麻衣が原因不明の病に倒れます。尚志と麻衣の家族の懸命の介護があり、麻衣は意識を取り戻しますが、記憶障害により尚志に関する記憶を失っていました。
佐藤健&土屋太鳳の主演で映画化が実現しました。『64 ロクヨン(前編・後編)』(2012)の瀬々敬久監督が演出を担当し、『いま、会いにゆきます』(2004)の岡田惠和が脚本を担当。第41回日本アカデミー賞優秀賞で4部門を受賞。
映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』のあらすじとネタバレ
岡山県に住む、西澤尚志と中原麻衣はごく普通のカップルです。
仲睦まじくデートを重ね、麻衣は尚志に手料理を振舞ったりと、幸せに満ちた毎日を過ごしていました。
「結婚しよう」。ある日尚志は麻衣にプロポーズ。喜ぶ麻衣と一緒に結婚式も予約しますが、その3カ月前に突然麻衣が倒れました。
尚志はあわてて救急車をよび、麻衣はそのまま病院へ搬送されましたが、意識不明の重体です。
検査を受けると「抗NMDA受容体脳炎」という病であることが判明しました。脳内で興奮刺激などを伝える「NMDA受容体」が、卵巣奇形種などによる免疫反応でできた抗体からの攻撃を受けて機能低下して発症するという病気です。
人工呼吸器に繋がれ、植物人間のようになった麻衣ですが、尚志は、毎日出勤前に病室に顔を出し、見舞いに行くことを忘れません。
スマホの録画機能を利用して、眠り続ける麻衣を撮り続け、寝た切り状態の麻衣の手足のマッサージやリハビリもしてあげます。
そんな尚志を見かねた麻衣の両親から、尚志は「もう麻衣のことは忘れてほしい」と言われました。「麻衣さんのそばにいさせてください」と頭をさげるても、麻衣の母はすまさそうに「もう忘れてください」と……。
それでも尚志は諦めずに病院へ通い続け、麻衣の回復を祈り続けました。
長い年月がたち、ようやく麻衣の意識が戻りました。喜ぶ尚志と麻衣の両親。ですが、尚志と麻衣にはまだまだ乗り越えなければならない壁が立ちはだかっていました。
映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の評価と感想
この映画の主演の一人は佐藤健。仮面ライダー役でデビューした佐藤が、病に侵された恋人の回復を待ち続ける男性・尚志を熱演します。
「尚志」は人と接するよりも、物言わぬ車を愛する内向的な若者です。派手なダンスなどよりも車で回れるドライブなどを好んでいます。
運動神経抜群で活発な役が似合う佐藤からは想像できないタイプの「尚志」。うまく演じられるかなと危惧しましたが、佐藤はイメージと若干異なる役柄を想像以上にすんなりと演じています。
俳優としての彼の成長と新たな可能性を発見できることでしょう。
もう一人の病と闘うヒロインは土屋太鳳が好演。愛らしさの中にも芯の強さを持ち合わせ、意識が回復してもまだ続く辛い試練と直面して悩み苦しむ「麻衣」。
可憐な麻衣そのままの土屋ですが、発病して半狂乱になって病院へ担がれるシーンは、とてもインパクトがあります。迫力満点の体当たり演技といえるでしょう。
今までの佐藤健や土屋太鳳とはちょっと違う一面が見えるのもお楽しみかも。
ハッピーな前半、試練の後半
出会いから病気発症までの前半は、2人にとってハッピーな日々です。
車でデートを重ね、尚志の部屋で手料理を振舞う麻衣の姿がとても微笑ましい……。結婚の約束を決めるまでは本当にバラ色の日々でした。
2人が結婚の約束をした後、突然麻衣に襲って来た病魔によって、後半は暗い雰囲気へ。麻衣の意識が戻っても、恋人の目覚めをずっと待っていた尚志の記憶がないという厳しい現実が待っています。
必死に病気と闘う麻衣と、絶望に浸りながらも健気に彼女を支えようとする尚志の姿が、痛々しく映りますが、ついに奇跡が到来します。
大切に思う人への思いはいつか必ず相手に届くものと、勇気づけられる瞬間でした。家族だからこそしてあげられることがあるでしょうが、家族でなくても大切に思う人への思いはあるものです。
自分の将来よりも2人の将来を夢見て8年も待ち続ける尚志の辛抱強さに感動です。実話であるだけに、本物の愛がズシリと感じ取れる感慨深い作品でした。
まとめ
YouTubeに投稿された一本の動画から映画化が実現。これが本当にあった話だというのに驚かされるでしょう。
寝たきり状態で植物人間のようになってしまった麻衣を献身的に支える尚志ですが、意識が戻っても自分の記憶が彼女の中に無いという辛い現実と向き合うことになります。
どんなに好きでも彼女にとって自分は見知らぬ人。こんなつらい現実を乗り越えて、もう一度、麻衣の心を取り戻す尚志の一途さが胸を打ちます。
撮影にあたってスタッフが原作者の尚志さんに「どうしてそんなに長い間、麻衣さんを待ち続けられたのですか?」と聞かれたそうです。
答えは「僕にとっては当たり前のことだったんです」。麻衣さんも「彼はずっと信じて待ってくれた。私にはこの人しかいなかったと思います」と。
スーパーマンでも正義の味方でもない普通の人が、相手をずっと思っているという信念で得た‟奇跡”。まさに信じる力が生み出した愛の奇跡といえるでしょう。