映画『恋恋豆花』は2020年2月22日(土)より全国劇場公開!
人気モデルとして知られ、近年では『風の電話』など数々の話題作にてその独特な存在感と演技力を発揮している女優・モトーラ世理奈が主演の映画『恋恋豆花(れんれんどうふぁ)』。
スイーツやグルメをはじめ様々な魅力を持つ台湾を舞台に、恋愛や人間関係に行き詰まってしまった主人公が旅を通じて思いがけない人々と出会い、少しずつ成長してゆく姿を描いた作品です。
このたび本作の劇場公開を記念し、女優として日々各方面からの注目を浴び続けているモトーラ世理奈さんにインタビューを行いました。
本作の出演経緯をはじめ、撮影にて赴いた台湾での思い出、自身の視点からみた今関あきよし監督の魅力、今後の女優として目標などなど、貴重なお話を伺いました。
CONTENTS
“旅する人”のリアルさ
──本作へのご出演はオーディションによって決まったとお聞きしましたが、そのオーディションに関してどういうことが印象に残っていますか。
モトーラ世理奈(以下、モトーラ):そうですね……実はそのオーディションでは、お芝居などの他に「服装」に関する審査もあったんです。「旅に行く際の服装で会場にお越しください」ということで、その際に私は、Tシャツにショートパンツというとてもラフな、パジャマみたいな格好でオーディションに行ったんですよ。
──それが監督の目に止まったということですね。
モトーラ:そうですね。監督はそれが面白かったみたいです。でも、「旅する時」って、ラフな格好ですよね。たとえ着飾っても、旅先で暮らしている地元の方々はラフな格好で日常を送ってるので、むしろ悪目立ちしちゃう。その土地に馴染むためには、まず格好からかなって。それに台湾は、日本の沖縄よりも南にある場所ですから。
──世理奈さんが監督の目に止まった。ということは、オーディションに来ている他の方々はどのような服装をされていましたか。
モトーラ:その服装で実際に会場へ行ってみると、他の参加者の方々はきっちりとした服を着ていました(笑)。ただ、だからこそ今関監督は「一人だけ服装のテイストが異なる」と私の姿が印象に残り、かえって「旅する人」のリアルさを感じたんだそうです。
美味しくてやさしい街・台湾
──本作は実際に台湾へ行かれて撮影をされていますが、どのような形で撮影は進められたのでしょうか。
モトーラ:台湾での撮影は10日間程度だったんですが、現地に到着し「とうとう着いたんだ」と感慨深さを味わう間もなく撮影は始まったので、心を切り替える時間もないままお芝居に臨みました。
ただ、いろいろなモヤモヤを抱えたまま台湾に訪れた主人公の心境を考えると、心を切り替えずに撮影に入った私はぴっ彼女にぴったりだったのかもしれないし、撮影を続く中で少しずつ台湾に馴染んでいったのも、「旅する人」にとっては大切だったんだとも感じてます。
──劇中ではグルメやスイーツ、さらには風景と台湾の魅力が存分に描かれていますが、モトーラさんご自身の記憶に残っている食べ物や風景はありますか。
モトーラ:実は劇中で奈央たちがとっている食事は、そのほとんどがキャストやスタッフさんの食事でもあったんです。本当にどれも美味しかったんですが、南国だからなんでしょうけど、美味しい果物がたくさんあったのが印象的でした。
──それでは、かなり台湾の食事は気に入られたんですね。
モトーラ:そうですね。特に私が個人的に気に入っているのは、九份(キュウフン)で飲んだ金柑のジュースですね。本作の撮影で九份に行った際にもお店を探して飲んだんですが、とても甘くて美味しいんですよ。日本ではほとんど見かけないものですし、果物が豊富な台湾ならではのスイーツなのかもしれないです。
──食事以外では台湾で気に入れられたものはありますか。
モトーラ:やっぱり、夜市の風景は覚えています。海外の方にとっては幻想的な風景に思えますけど、そこで暮らす方にとっては毎日の食事を摂るために行く場所、日常生活の風景なんですよね。現地にいる方たちの活気や空気感を知ることができたのもよかったですね。
──台湾で暮らしている地元の方々に対しては、どのような印象を抱かれましたか。
モトーラ:「本当に優しいなあ」と感じましたね。日本の方がよく訪れるからかもしれないですけど、他の国の方に対しても非常に親切で、歓迎してくれました。
日本語を話せない方でも「これは、わかる?」「じゃあ、これも食べてみる?」と丁寧に接してくださるし、愛想よくしてくれる。その姿は、とてもいいなって思いましたね。
“ムードメーカー”今関あきよし監督
──今関あきよし監督について、モトーラさんご自身の目からはどのような映画監督であると感じられましたか。
モトーラ:今関監督が一番撮影を楽しんでいましたし、何よりも監督が本当にずっと元気だったんですよ。私や綾役の大島葉子さんが連日の撮影の中で徐々に疲れが出始めた頃にも今関監督は元気で、現場の空気をよくしてくれていました。「少年のような人」という印象は、初めてお会いした時からずっと変わらなかったです。
──今関あきよし監督がムードメーカー役になっていたんですね。
モトーラ:そうですね。台湾での撮影はキャスト・スタッフ含めて10人ほど、少人数の撮影でしたが、撮影を通じて台湾を一緒に旅したので、みんなで団結することもできましたし、撮影に参加したみんなが台湾のことを好きなったんじゃないかな(笑)。体力的には大変な場面もありましたが、とにかく楽しかったです。
また撮影の合間、台湾の美味しい食べ物をキャスト・スタッフ全員が一緒になって味わっていたので、そうした食事が撮影を支えてくれましたね。
自分の“新しい表情”を見つけていきたい
──本作の撮影を終えた現在、ご自身が演じられた役に対する思いを改めてお聞かせください。
モトーラ:本作で演じた奈央は、「人生に悩む、普通の女子大生」というすごく等身大な女の子です。私がこれまでに私が演じた役は「影を持つ女の子」という役が多かったため、撮影前は「自身が“普通の女の子”を演じたら、どんな姿に映るのだろう」とあまり想像することができませんでした。
ですが、実際に彼女を演じたことで、自分の中にあった“等身大”の部分に気づけました。「私もこういうことを考えたり、悩んだりしていたんだ」と改めて気づけたというか、撮影当時の私はちょうど20歳になったばかりだったので、「20代の女の子」の心境を、奈央を演じたおかげで逆に実感できたんです。
──20歳という節目の年に撮影された本作は、「20歳のモトーラ世理奈さんの姿を記録した映画」としても楽しめるのかもしれませんね。
モトーラ:そうですね。これまでとはまた違う顔が、本作には映っているんじゃないかなと。今関監督も「モトーラさんのいろんな表情が見てみたい」と奈央を演じる私の表情を引き出そうとしてくださったので、本作では「私にはこういう表情もあるんだ」というある種の発見もありました。
──最後になりますが、これからの目標はありますか。
モトーラ:やっぱりいろんな表情ができる女優にはなりたいと改めて思いましたね。女優というお仕事の中で様々な役を演じる中で、自分の知らないいろんな表情をもっと知りたいですし、見つけ出していきたいですね。
インタビュー/河合のび
撮影/出町光識
モトーラ世理奈プロフィール
1998年生まれ、東京都出身。
2015年「装苑」でモデルデビューし、現在は専属モデルを務める。また2016年RADWIMPSのアルバム「人間開花」のジャケット写真に起用されたことで注目を集め、数多くのファッション誌や広告に出演。2018年にはパリコレデビューを果たした。
一方で2018年には、『少女邂逅』にて長編映画初主演を務め女優デビュー。同年にはNHKドラマ『透明なゆりかご』にてその演技力を存在感を多くの人々の記憶に残したほか、2019年には映画『21世紀の女の子~out of fashion』『おいしい家族』、映画&シンドラ&Hulu『ブラック校則』といった話題作に出演した。
また2020年1月に公開を迎えた諏訪敦彦監督の映画『風の電話』では主演を務め、シルク・ドゥ・ソレイユでバイオリニストと音楽監督を務めるポール・ラザーとの共演で注目されている『MEMORIES』の公開も控えている。
映画『恋恋豆花』の作品情報
【公開】
2020年(日本・台湾合作)
【脚本・監督】
今関あきよし
【キャスト】
モトーラ世理奈、大島葉子、椎名鯛造、真宮葉月、石知田、潘之敏、陳詠華、Gladys、TSAI、翁兆璿、山田知弘、友咲まどか、龍羽ワタナベ、洸美-hiromi-、芋生悠、落合真彩、桐生桜来、藤原希、梶健太、劉高志、利重剛
【作品概要】
恋愛も人間関係も悩みつつある女子大生の奈央は、父の3度目の結婚相手となる女性とともに台湾へ旅行することに。そんな彼女が色々なモヤモヤを抱えつつも渡った台湾を舞台に、魅力的なスイーツやグルメ、そして思いがけない人々との出会いを通じて成長してゆく姿を描いています。
富田靖子・松浦亜弥・佐藤藍子など数多くの美少女の面差しを映し出してきた今関あきよし監督が本作の主人公役に選んだのは、モデル活動のみならず近年では女優としてもその独特な存在感を発揮しているモトーラ世理奈。本作では新たにどのような表情や佇まいが映し出されているのか注目です。
共演には、『朱花の月』『ヘヴンズ ストーリー』の大島葉子、本作が今関作品初出演となる利重剛、『刀剣乱舞』『最遊記歌劇伝』などの2.5次元舞台で活躍中の椎名鯛造など。また『若葉のころ』などで知られる台湾の人気俳優シー・チーティエン、日台ハーフのシンガーソングライター洸美-hiromi-も本人役で出演しています。
映画『恋恋豆花』のあらすじ
彼氏と意見が合わなくなり、授業もさぼりがちで大学生活に行き詰まりぎみの奈央(モトーラ世理奈)は、父・博一(利重剛)の勧めで、彼の3人目の結婚相手となる予定の綾(大島葉子)と2人で、1週間の台湾旅行に行くことになる。
気乗りしない奈央とは対照的に、これから娘になる奈央との距離を詰めたい思いで明るく行動的に振舞う綾。台湾の美食に顔をほころばせて、徐々にではあるが奈央も彼女との距離をつめようという思いを抱くようになるも、綾から前の夫との間にもうけた娘が台湾にいる話を聞かされて、これから母になる綾に「???」となり……。
そんな2人が夜市で偶然出会ったのがバックパッカーの日本人青年・清太郎(椎名鯛造)。台湾の魅力を知りつくす彼は翌日、台北でも評判のお店「庄頭豆花坦」へと案内する。奈央に目の前に出された「豆花」、スプーンにすくい口に移す。「好吃!(ハオツー)」。奈央の全宇宙が歓喜を上げて、台湾モード全開に。
その後2人は台中へ移動し、彩虹眷村や第二市場などの観光名所で心を癒し、芋園や魯肉飯などの台湾グルメでお腹を満たす。完璧な母娘となった奈央と綾に見えるが、綾が奈央に語りかける時の「ママが」という言葉がなんだか気になり、奈央のもやもやはなかなか晴れない。そして旅も佳境を迎え、台南へ移動するという時に博一から交通事故に巻き込まれたとの連絡が入る。綾は日本に帰ることにするが、残って旅を続ける奈央は清太郎との思いがけない再会を果たすのだが……。
編集長:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身の詩人。2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、2020年6月に映画情報Webサイト「Cinemarche」編集長へ就任。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける。
2021年にはポッドキャスト番組「こんじゅりのシネマストリーマー」にサブMCとして出演(@youzo_kawai)。