連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第35回
少年パパラッチが、お騒がせセレブたちに突撃取材!
今回取り上げるのは、2010年にアメリカ公開されたドキュメンタリー映画『ティーンエイジ・パパラッチ』。
アメリカの人気テレビシリーズ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」で知られる俳優エイドリアン・グレニアーが、13歳の少年パパラッチの姿に密着します。
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CONTENTS
映画『ティーンエイジ・パパラッチ』の作品情報
【公開】
2010年(アメリカ映画)
【原題】
Teenage Paparazzo
【製作・監督】
エイドリアン・グレニアー
【製作】
マシュー・クック
【撮影】
デビッド・セラフィン
【編集】
ジム・カーティス・モル
【キャスト】
オースティン・ヴィスケデイク、エイドリアン・グレニアー、エヴァ・ロンゴリア・パーカー、パリス・ヒルトン、マット・デイモン、アレック・ボールドウィン、ウーピー・ゴールドバーグ、マリオ・ロペス、リンジー・ローハン、ロージー・オドネル
【作品概要】
映画『プラダを着た悪魔』(2006)や、テレビドラマシリーズ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」の俳優エイドリアン・グレニアーが監督・主演を務めたドキュメンタリー。
セレブたちに密着する13歳のパパラッチ少年オースティンの日々の生活を追い、彼の心の成長を通し、世界中で過熱するセレブリティビジネスの実像に迫っていきます。
マット・デイモンやパリス・ヒルトンといった、豪華セレブたちが出演していることでも話題となりました。
映画『ティーンエイジ・パパラッチ』のあらすじ
アメリカのテレビドラマシリーズ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」でセレブ青年を演じ、一躍人気となった俳優エイドリアン・グレニアー。
このドラマの役柄同様、パパラッチに追われる立場となった彼はある日、大人たちに混ざって高級カメラを構える少年を見つけます。
その少年は名をオースティンといい、離婚した両親の家を往き来し、昼は家庭教師と勉強をしたのち、夜はセレブを追っかける生活を送っていたのです。
若干13歳にしてパパラッチとして活動するオースティンに興味を持ったエイドリアンは、彼を逆取材することにします。
イケメン俳優エイドリアン・グレニアーが少年パパラッチを逆取材
エイドリアン・グレニアーのツイッター
Thanks to everyone who supported @LonelyWhale and our vision of a plastic-free #ocean this #GivingTuesday. 👊🏼 #podsquad
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— Adrian Grenier (@adriangrenier) November 28, 2018
本作『ティーンエイジ・パパラッチ』は、俳優のエイドリアン・グレニアーが監督・主演を務めたドキュメンタリー映画です。
『プラダを着た悪魔』などで脚光を浴びたエイドリアンですが、実は彼はドキュメンタリー作家としての顔も持っており、2002年には『Shot in the dark』(日本劇場未公開)を発表。
監督デビュー作となったこの『Shot in the dark』では、エイドリアン自ら、長らく行方知れずだった自身の父親を捜すうちに、秘められた自身の出自を突き止めていきます。
この映画で、優れた作家性があることを証明した彼が続けて発表したのが、『ティーンエイジ・パパラッチ』にあたります。
パパラッチとセレブは持ちつもたれつな関係?
エイドリアンは、13歳の少年パパラッチであるオースティンに密着し、パパラッチになった経緯や、仕事の魅力などを尋ねていきます。
普段パパラッチに追われるセレブのエイドリアンがパパラッチとなり、普段セレブを追っかけるオースティンがセレブに密着されるという逆転現象の中で、本作はベテランのパパラッチや、大物セレブたちにもマイクを向けます。
それらから導き出されるのは、とかく非難の的となりがちなパパラッチと、彼らに追われるセレブとの関係性です。
パパラッチがいるからこそセレブはセレブたり得るし、パパラッチに追われるという状況も、ある意味で仕事の一環であるという、いわゆる持ちつ持たれつな間柄なのではという見解が浮き出てきます。
お騒がせセレブの筆頭であるパリス・ヒルトンが、相変わらずの世間知らずな顔を見せる一方で、パパラッチを責めずに自分の立ち位置を理解しているようなコメントを発するのも、興味深い場面です。
その後のパパラッチ少年・オースティン
オースティン・ヴィスケデイクのインスタグラム
そして、少年パパラッチとして注目されるようになったオースティンもまた、ミイラ取りがミイラになったようなメディアの取材攻勢を受けるようになったことで、予期せぬ顛末を迎えることに。
本作製作から10年近く経った現在では、SNSなどの情報発信手段が進歩し、下手すれば13歳以下の子どもでも容易にパパラッチになれる時代となりました。
しかしながら現在のオースティンは、パパラッチではなく、フォトグラファー及びショートフィルムの撮影監督となっています。
カメラを構える仕事に変わりはないものの、レンズを向ける被写体や目的が大きく変わったのには、もしかすると本作出演がきっかけとなったのかもしれません。
次回の連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』もお楽しみに。
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