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Entry 2019/12/31
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女優リリー・ジェームズへのインタビュー【シンデレラ・ストーリー】FILMINK-vol.33

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  • FILMINK

FILMINK-vol.33「Lily James: A Cinderella Story」

オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche」が連携して海外の映画情報をお届けいたします。


(C)FILMINK

「FILMINK」から連載33弾としてピックアップしたのは、イギリス出身の女優、リリー・ジェームズへのインタビューです。

【連載レビュー】『FILMINK:list』記事一覧はこちら

女優リリー・ジェームズについて

今最も注目を集めるひとり、英国出身の女優リリー・ジェームズが、自身の軌跡について語ってくれました。

交際していた俳優マット・スミスと破局し、騒々しいメディアから逃れた直後のリリー・ジェームズですが、International Film Festival & Awards Macaoにホストとして笑顔で登場。

イギリスの美である彼女は『シンデレラ』(2015)『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』(2018)『イエスタデイ』(2019)、「ダウントン・アビー」シリーズなど多様なキャラクターで観客を楽しませてくれます。

近日公開予定のベン・ウィートリー監督作品『Rebecca』やサイモン・ストーンの『The Dig』にも出演する現在30歳のジェームズ。

彼女のキャリアは約10年前にスタートしました。

演技に目覚めたきっかけ


(C)FILMINK

──何歳の時に演技の虜になりましたか?

リリー・ジェームズ(以下、ジェームズ):幼い頃から踊りと歌が大好きで、もう周りをうんざりさせるくらい夢中でした。12歳の時、普通の学校に進学しましたが、スポーツよりも舞台芸術に重きを置いていました。

演技をしようと思っていたわけではなくて、好きなのは歌と踊りでした。それからギルドホール音楽演劇学校に進学したのですが、そこでのトレーニングは信じられないものでした。

──何が一番好きでしたか?

ジェームズ:想像力を働かせて何かのふりをすることと、ダンスクラスのコミュニケーション要素が好きでした。俳優のアンサンブルとダンスのカンパニーはコミュニケーションが大事と考えています。私はコラボレーションすることが好きなんです。

「ダウントン・アビー」での学び

──「ダウントン・アビー」があなたを世界的な女優にした作品のひとつかと思います。何か思い出は?

ジェームズ:最初の二つのシーズンは以前に観ていて大ファンだったので、出演が決まった時は本当にうれしかったです。時代劇的な物語が大好きで、『タイタニック』(1997)はその中でも私が最初に観た映画で、ケイト・ウィンスレットに夢中になりました。

最初にオーディションを受けた時はただひたすら一生懸命に取り組みました。自分にとってフィットする良いキャラクターと、他の人にフィットするキャラクターがありますが、自分にぴったりなものはいつかやってくると信じています。もし役を手に入れられなくても、そんなにショックを受けることはありません。

私はレディー・ローズ・マククレア役を掴み取ることができました!成功しているドラマですし素晴らしいキャストたちの中に入るのはかなり緊張しましたが、彼らは私を迎え入れてくれました。最初の撮影の日、家具の後ろに隠れていたキャストのみんなが飛び出してきたんですよ!マギー・スミスも含めた皆さんが。

──「ダウントン・アビー」の経験で学んだことは?

ジェームズ:高いプレッシャーの中で演技をしたので、ミスは犯してはならないと感じました。少し恐ろしかったけれど、それまで私が与えられた中で最高の機会でした。素晴らしいアンサンブル作品から学ぶことができたからです。

『シンデレラ』のキャスティング

参考動画:『シンデレラ』予告編

──『シンデレラ』にキャスティングされた過程を教えてください。

ジェームズ:7000回もオーディションを受けて、それは文字通り拷問でした!スクリーンテストは直前にエージェントから言われて、そこには私を含め、あんまり見かけたことのない女の子が3人いました。「この役をあなたがもらうことなんて決してないので、とにかく楽しんでください」といったリラックスしたものでした。

本当にこの役を手に入れられるとは考えていませんでしたが、これはケネス・ブラナーと全プロデューサーの前でのチャンスだと思いました。テストの場所は森林の中の巨大な倉庫のセットスタジオで、カメラと照明もあり、ブルーのガウンを着せていただきました。

オーディションの最中も「ダウントン・アビー」を撮影していたので、マギー・スミスがよく結果を尋ねてくれたことを覚えています。そしてシンデレラ役が決まった時はヒュー・ボネヴィルが立ち上がって「ダウントン・アビー」スタイルで“おめでとうスピーチ”をしてくれたんです。本当にみなさんが優しくサポートしてくださいました。キャストは皆今でも家族のようです。

この仕事、培った友情、俳優として学んだこと、その学びがもたらしてくれた機会に私は永遠に感謝します。「ダウントン・アビー」は非常に多くの扉を開けてくれました。

──『シンデレラ』の後、舞台『ロミオとジュリエット』のジュリエット役で再びケネス・ブラナーと一緒に仕事されましたね。

ジェームズ:ええ、プリンス・チャーミングを演じたリチャード・マッデンもロミオ役でしたので、相手役として、舞台で再会しました。

ですが、リチャードが足首を骨折して六週間も舞台に立つことができなくて…でも稽古は続き、彼は次は膝も怪我をしてしまいました。そのため、私は3人のロミオと演技をすることになりました。

影響を受けた人物について

──『シンデレラ』や舞台の後、それまでとキャリアに違いが見られましたか?もっと力があるように感じられましたか?

ジェームズ:すぐに実感はわかなかったけれど、ある出来事がありました。私が人生で最も影響を受けた女性のひとりはアリソン・シェアマーです。彼女は近年の「スター・ウォーズ」や『シンデレラ』、『高慢と偏見とゾンビ』を手がけた素晴らしいプロデューサーでしたが、本当に悲しいことに亡くなってしまいました。

彼女は私を本当に信じてくださいました。それにナタリー・ポートマンやジェニファー・ローレンスのような素晴らしい女優たちとたくさん仕事をしていました。彼女は女性の中の真のチャンピオンです。自分自身を縛り謝罪し続けるのをやめること、許可ではなく許しを求めることを教えてくれました。私を強くしようとしてくれたんです。

──彼女は成功していましたか?

ジェームズ:ええ、彼女は彼女自身の力を取ること、持つことに成功していました。人に指示する仕事ですから、それに自信を持つことは難しいですが、その機会は自分が思っているより早くやってくる場合もあります。そうしたら追いつかなければなりません。

今後の出演作は


(C)FILMINK

──『シンデレラ』で歌声を披露なさいましたが、ミュージカル要素が決め手のひとつですか?

ジェームズ:歌っている時はとてもエモーショナルになります。歌声は魂と心から直接生まれますから、非常にオープンな気持ちでリラックスしていることが必要です。今の私の信条は間違いなく、すべてが挑戦であり、自分自身を時に怖がらせ奮い立たせるということです。

──ベン・ウィートリーのNetflix作品『Rebecca』の撮影は終了しましたか?

ジェームズ:これは小説家ダフニ・デュ・モーリエによる素晴らしい物語です。ゴシックロマンス、スリラー、ホラーで非常にダークな作品。ヒッチコックが以前に映像化していますが、本作は彼の映画とは大きく異なります。

──そ舞台『イヴの総て』ではジリアン・アンダーソンと共演されたのですよね。

ジェームズ:ええ、素晴らしい経験でした。舞台に立つことはキャラクターの人生を引き継いでるようなものですから難しく感じています。それにとても緊張するので、最初の10週間はまともに食事もできません。

──新作映画『The Dig』について話してくださいますか?

ジェームズ:第二次世界大戦直前のある考古学的な発見を描く映画で、レイフ・ファインズとキャリー・マリガンが出演しています。

自身が理解できる女性たちに惹かれる

──強い女性キャラクターに惹かれますか?

ジェームズ:強いキャラクター、には惹かれません。彼女たちの戦いや物語、長所や短所、輝きや狂気など理解できる、自身と関連付けられると感じる女性たちに惹かれます。

──いつもセットで聴くのは何の音楽ですか?

ジェームズ:エモーショナルになりたい時にはたくさんホイットニー・ヒューストンを聴きます。あとは素晴らしいジャズピアニストであるキース・ジャレットも。

──次の予定で、何か考えていることは?

ジェームズ:プロジェクトの合間合間にもっと期間を取ろうとしていて、準備に時間をかけようと思っています。次のプロジェクトではエグゼクティブ・プロデューサーも務めます。役者とは違う立場から関わるのは素敵な経験です。私が見つけた愛すべき本があって…絶対に素晴らしい映画になると確信しています。

FILMINK【Lily James: A Cinderella Story

英文記事/Gill Pringle at International Film Festival & Awards Macao
翻訳/Moeka Kotaki
監修/Natsuko Yakumaru(Cinemarche)
英文記事所有/Dov Kornits(FilmInk)www.filmink.com.au

本記事はオーストラリアにある出版社「FILMINK」のサイト掲載された英文記事を、Cinemarcheが翻訳掲載の権利を契約し、再構成したものです。本記事の無断使用や転写は一切禁止です。

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