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ドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』劇場公開は2月1日。表現者・友川カズキの日常を描く

  • Writer :
  • 大塚まき

歌手、画家、詩人としてカルト的人気を誇る友川カズキ。
その競輪に狂う日々を記録したドキュメンタリー。

ちあきなおみ、大島渚、中上健次らを魅了したアーティスト・友川カズキの生活の一部とも言える競輪とその合い間の表現活動を収めたドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』。


(c) SHIMAFILMS

友川カズキのドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』が、2020年2月1日(土)より新宿 K’s cinemaにて公開することが決定しました。

公開決定に加えて本作のメインビジュアル、佐々木育野監督のコメントも到着しましたので併せてご紹介します。

友川カズキとは?


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友川カズキ(ともかわ・かずき)は、1950年秋田県生まれ。ミュージシャン、画家、詩人としてカルト的人気を誇っています。

1974年にレコードデビュー、代表曲に「生きてるって言ってみろ」、ちあきなおみに提供(作詞作曲)した「夜へ急ぐ人」などがあります。デビュー以後、計30作を超える作品を発表。

また、執筆活動や画家活動も並行して行い、80年代以降は絵画個展も多数開催

その多彩な表現活動は、作家の中上健次、映画監督の大島渚ら多数の芸術家、文化人から惜しみない賛辞を浴びました。

2010年、フランス人映像作家・ヴィンセント・ムーン監督によるドキュメンタリー映画『花々の過失』が国内公開。

2018年6月には2000年代PSFレーベル時代の音源を集めたベスト盤「先行一車」をリリースしました。

そして、2019年6月には、これまでのエッセイ・詩などをまとめた『一人盆踊り』(ちくま文庫)を上梓し、各方面で話題を呼びます。

69歳にして、ますます進化し深化する「表現者」として旺盛なライブ活動を今日まで続けています。

映画『どこへ出しても恥かしい人』について


(c) SHIMAFILMS

本作は、友川カズキの2010年夏の記録を収めたドキュメンタリー映画です。

一部では高く評価されながらも、広く大衆に受け入れられることはなく、川崎の小さなアパートで今も粛々と暮らしている友川。

20年来、どっぷりのめり込んでいるのが競輪で、3年ぶりに会う大学生の四男までも競輪場に連れ出し、指南するほどのハマりっぷり。

本人は「競輪が病気なら、生涯、治らないでほしい」と豪語しています。

基本的に大穴狙いで、競輪仲間には滅多に当たらないとも言われています。それでも、今日もまた、一日の大半の時間を競輪場に出向くか、あるいは家でのレース予想に割いています。

映画は、その生活の一部始終をカメラに捉えていきます。

またこの映画の為に、石塚俊明、永畑雅人らと車中で演奏したシーンも見どころの一つです。

監督:佐々木育野のプロフィール


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本作の監督を務めた佐々木育野(ささき・いくや)は、1980年12月9日、岩手県宮古市生まれ

大学在学中から自主映画の制作を始め、東京で映像制作の仕事に携わった後、長野県御嶽山、瀬戸内の島など国内を転々としながら、様々な職業に従事。

現在は大阪在住。山小屋業務をまとめた映像作品『或る山』は第2回恵比寿映像祭にて上映されました。

佐々木育野監督のコメント

本作の公開にあたり、佐々木育野監督は以下のようにコメントを寄せています。

初めて友川カズキのライブを観たとき、まるでグリコ森永事件の犯人のようだと思った。
そんな友川さんにグリコ森永事件のナビゲートを依頼したのが始まりだった。結局、その企画はなくなり、友川さん自身のドキュメンタリーを撮ることになった。
撮影は難航した。友川さんは自分の世界にひきこもるアナグマのように見えた。友川さんをそこから引きずり出そうとしたが、友川さんのギラッとした眼で見返されると、臆病な僕は怖気づき、軽く怒らせるぐらいが関の山だった。有能なスタッフに恵まれながら、素材をうまくまとめられず、ただただ自分に絶望していた。この素材と鬱が僕の中で混ざり合い、もはや鬱そのものであった。この素材のせいで、僕はこの10年間一歩も進めなかった。

そんな折、友川さんが大阪に来ていることを知り、ライブを見ることにした。この映画のことをすっかり忘れながらも、何も変わらない友川さんの姿を見て、「あ、進歩ってしなくてもいいんだ」
と気づいた。

進むのはやめた。人生を遊ぼう。
人生はかるい悲劇だ。

佐々木育野監督のコメントから、撮りためた素材を抱え10年という月日を経過し、その行く末に着地した本作に捉えられた友川カズキが映画の中でどう生きているのかとても興味が湧きますね。

ぜひ、映画が捉えた友川カズキの一部をご覧ください。

映画『どこへ出しても恥かしい人』のポスタービジュアル


(c) SHIMAFILMS

ポスタービジュアルには、万札で口元を隠すように携帯電話で話す友川カズキが切り取られています

ギラついた眼からは、競輪の大穴を狙い、今まさに車券を買う目前を捉えているようです。

途方に暮れながら、生きる」というキャッチコピーに佐々木育野監督のコメントに綴られた“人生はかるい悲劇だ”という言葉と重なります。

映画『どこへ出しても恥かしい人』の作品情報


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【日本公開】
2020年(日本映画)

【監督】
佐々木育野

【キャスト】
友川カズキ、石塚俊明、永畑雅人、及位鋭門、及位然斗、及位玲何、大関直樹、安部俊彦、林秀宣 六兵衛鮨、菊池豊

映画『どこへ出しても恥かしい人』のあらすじ


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本作は、異形のアーティスト、友川カズキの2010年夏の記録を収めたドキュメンタリーです。

友川カズキは20年来、どっぷりと競輪にのめり込んでいます。

本人は「競輪が病気なら、生涯、治らないでほしい」と豪語するほど。

今日もまた、一日の大半の時間を競輪場に出向くか、あるいは家でのレース予想に割いていています。

映画は、その生活の一部始終をカメラに捉えていきます。

部屋のTVの前で、競輪場で、車券を握りしめて叫ぶ姿、近所の公園の噴水で水浴びをする姿、そして絵を描き、ライブで歌う姿…この現代にあって奇跡的ともいえる無頼詩人・友川カズキの慎ましくさえ見える日常の中で、もはやギャンブルや音楽というジャンルに収まりきらないほどの熱量が表出します。

まとめ


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本作は、冒頭から競輪の予想を外し続ける友川カズキを映し出しています。

果たして劇中で万車券を手にすることができるのでしょうか?

その悲喜こもごもの顛末についてはぜひ本篇でお楽しみください。

友川カズキのドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』は、2020年2月1日(土)より新宿 K’s cinema にてロードショーです。

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