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Entry 2020/01/26
Update

山谷花純映画『フェイクプラスティックプラネット』感想レビューと考察。似てる芸能人を知ったことをきっかけに“不思議な国の自分探し”へと奔走

  • Writer :
  • 黒井猫

『フェイクプラスティックプラネット』は2020年2月7日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて順次公開。

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」のファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門や「ブエノスアイレス・ロホサングレ映画祭2019」に正式出品された映画『フェイクプラスティックプラネット』。

マドリード国際映画祭2019では最優秀外国語映画主演女優賞を山谷花純が受賞するという快挙を成し遂げました。宗野監督の独特で奇妙な世界観が織りなす作品を紹介いたします。

映画『フェイクプラスティックプラネット』の作品情報


(C)Kenichi Sono

【公開】
2020年2月7日(日本映画)

【監督】
宗野賢一

【撮影】
小針亮馬

【音楽】
ヴィセンテ・アヴィラ

【キャスト】
山谷花純、市橋恵、越村友一、五味多恵子、長谷川摩耶、大森皇、右田隆志

【作品概要】
完全自主制作で撮られた長編第一作目の『数多の波に埋もれる声』(2016)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016のオフシアター・コンペティション部門にノミネートされ、注目されている監督の一人・宗野賢一監督がプロデューサー、監督、脚本を務める。「シンクロニシティ、偶然起こったことだけど必然を感じるもの」にインスピレーションされ、運命に翻弄される女性を描く。

主人公・シホを演じるのは『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』(2018)で末期癌患者を熱演した山谷花純で、マドリード国際映画祭2019で最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。また、ブエノスアイレス・ロホサングレ映画祭2019に正式出品。

映画『フェイクプラスティックプラネット』のあらすじ


(C)Kenichi Sono

風俗嬢として働き、ネットカフェでその日暮らしをしているシホは、仕事帰りに占い師の老婆から「25年前にもここに来た」と言われます。

そんなある日、デリヘルの顧客からもかつて有名だった女優にそっくりだと言われます。ただ一人の友人である優子にその出来事を伝えると、ある計画を実行しようと言われるが…。

自分が誰で、その女優は誰なのか。運命のいたずらに翻弄されながらも生き抜くシホが導き出したものとは・・・。

映画『フェイクプラスティックプラネット』の感想と評価

(C)Kenichi Sono

映画『フェイクプラスティックプラネット』は、本作のキャッチコピーである「この世界は嘘でできているー」を見事に表現しきった作品であり、そして宗野監督の演出と表現、シホを演じる山谷花純の演技によって見ている者の目を奪われる作品です。

本作は始まりから全体的に青みがかった映像で展開していきます。それにより、世界の無機物的な冷たさと虚構で構成されている世界を視覚的に観客に提示します。

さらに、監督はインタビューの中で『不思議の国のアリス』を引き合いに出しているように、シホが生活しているネットカフェや登場人物、夜の街並み、夢の世界などシュールレアリスム的な現実と乖離した世界観の物語に引き込まれました。

その現実と虚構が交錯した世界を、物語最初と最後に挟まれるカメラを横にしたアングルで電車を捉えたショットで明示し、観客の無意識下に落とし込む演出には感嘆しました。

また、本作の「運命に翻弄されながらも自分のルーツを探す主人公」を描いた似た作品に『ジョーカー』(2019)がありますが、『フェイクプラスティックプラネット』では正反対な手法がとられています。

『ジョーカー』では、観客をホアキン・フェニックス演じるジョーカーに感情移入させるため、クローズアップが多用されているのに対し、本作では演者とカメラの間に物を挟んだ構図での映像が繰り返し用いられています。

それによって、彼女たちが運命に翻弄されていく展開を第三者の視点で客観的に見ることができ、作品の主題を見失うことなく観ることができるのです。

これらの他にも宗野監督のとても考えられた演出にはニヤリとさせられました。

そんな宗野監督の演出に合わせて作品をさらに高次のものへと昇華させているのが「山谷花純の演技力」にあります。

虚構が渦巻く世界の中で、シホの挙動と表情による感情だけは唯一の真実として観ている者の記憶に刻まれます。

何が偽りで何が正しいのか、まさに不思議の国に迷い込んだアリスが出口を探すように、シホも暗中模索しながら解を導き出します。この場では、シホが何を導き出したかは綴りません。是非、ご自身の目で作品を鑑賞して、シホがどんな結果を導き出したか確認してください。

まとめ


(C)Kenichi Sono

宗野賢一監督は1985年生まれ、兵庫県出身。高校卒業後、アメリカに渡り、大学で映画制作を専攻。卒業後、2010年から現在まで東映京都撮影所で助監督として様々な作品に参加。

過去の監督作品は、大学の卒業制作作品で『There But Not There』を制作し、Crossroad Film Festival 2010、Ivy Film Festival 2010、Black Hills Film Festival 2010に選出されています。

日本に帰国後、初の長編作品『数多の波に埋もれる声』で「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」、本作で「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」のオフシアター・コンペティション部門に2作品連続ノミネート。

またテレビドラマ「科捜研の女 19」の第27話『マリコの動画チャンネル』でテレビ監督としてもデビューを果たします。

そんなホットな宗野賢一監督が手掛ける映画『フェイクプラスティックプラネット』は、“現実と虚構の世界で彷徨う主人公シホ”を創意工夫で描いた素晴らしい作品でした。

映画『フェイクプラスティックプラネット』は2020年2月7日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて順次公開。




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