ヤクザのボスが国会議員を目指す!!
マ・ドンソク主演で大ヒットした『犯罪都市』の監督&オールキャストが再結集!ヤクザのボスがなんと政界に進出か!?
韓国で100万人動員の大ヒットを記録した爽快アクションコメディー『英雄都市』が「のむコレ3」(シネマート新宿、シネマート心斎橋)にて公開されています。マ・ドンソクも意外な場所に登場していますよ!
映画『英雄都市』の作品情報
【公開】
2019年公開(韓国映画)
【原題】
롱 리브 더 킹: 목포 영웅(英題:Long Live the King)
【原作】
ウィロウ・フォレスト「The Long Live the King」
【監督・脚本】
カン・ユンソン
【キャスト】
キム・レウォン、ウォン・ジナ、チン・ソンギュ、チェ・グィファ、マ・ドンソク、ユン・ゲサン、チェ・ムソン、
【作品概要】
『犯罪都市』(2017)のカン・ユンソン監督が、韓国の大人気WEBコミックをキム・レウォン主演で映画化。『犯罪都市』チームが勢揃いした笑いあり、恋あり、アクションありの痛快アクションコメディ。
『エクストリーム・ジョブ』、『神と共に』で活躍したアクションコーディネーターのチョン・チェヒョンが本作にも参加している。
映画『英雄都市』あらすじとネタバレ
モッポ(木浦)のヤクザ組織「パルリョン会」のボス、チャン・セチュルは、テーマパーク建設に反対する市場の住人たちを鎮圧するため現場にやってきました。
彼はそこで懸命に住民たちを支援する女性弁護士ソヒョンをみかけ一目惚れしてしまいます。ソヒョンから『恥を知れ!』と罵られた彼は手下たちに撤退するよう命じ、彼らを驚かせます。
3ヶ月後。あいかわらず反対派とパルリョン会のにらみ合いが続いていました。セチュルはソヒョンと親しくなろうと試みますが、いつもいつも撃沈していました。「何か俺が悪いことしたか?」と彼が問うと、ソヒョンは「ヤクザが悪くないと?」と言い返します。
彼はヤクザから足を洗い「いい人」になろうと決心。「クラブを売り払うぞ!」とボスに言われた手下たちは右往左往するばかりです。
元ヤクザで今はすっかり住民にも親しまれている立派な男がいるときいたセチュルは、教えを乞おうとその男、ファンボを訪ねていきました。
ファンボは貧しいお年寄りたちのための食堂を経営し、街の人のために様々な慈善活動を行っていました。ファンボとセチュルがある店に入ると、金貸しのグアンチュンの手下が、店の従業員を殴っているではありませんか。セチュルは、男を殴りつけ退散させます。
しかし店のオーナーは喜ぶどころか、借金をしているんだから復讐されたら大変だとまくしたてました。
「暴力がしみついている。まずそれを直せ」とファンボはセチュルに言うのでした。
セチュルは手下に「店のオーナーに無利子で金を貸してやれ」と命じ、またまた彼らを驚かせます。
セチュルを毛嫌いしていたソヒョンは、彼が市場の反対派の前に立つことで、他の勢力を寄せ付けないよう、一種のバリアになっていたことに気付きます。
国会議員を選ぶ選挙が近づき、ファンボは地元の市民から出馬することを切望されていました。迷っていたファンボもついに皆の期待に応えるべく出馬を決意します。
対抗するのは、3選を目指すチェ・マンス候補です。彼は元検事の切れ者で、再開発事業の中心にいる人物でした。
ファンボはセチュルに食堂を任せることにします。セチュルと手下たちは厨房に入り悪戦苦闘しますが、次第に慣れ、セチュルの作る料理はおいしいと好評を得ます。
ある日、木浦大橋でバスに乗用車がつっこみバスが橋の上で宙ぶらりんになる事故が起こります。このバスにはセチュルが乗っていました。セチュルは運転手が気を失っているのに気付き、バスの運転手を命がけで救い一躍「木浦の英雄」として時の人となります。
ファンボもセチュルの決心が本物だと認めてくれたようです。
チェ・マンスの側近はこのままではファンボに負けると予測していました。チェ・マンスは金貸しのグアンチュンに連絡をとり、ファンボを襲い、出馬を断念させるようにしろと命じました。
光州から来た巨漢の3人組がファンボを襲い、ファンボは数ヶ月の怪我を負ってしまいます。ファンボはセチュルに自分の代わりに出馬するよう要請し、ソヒョンもそれを後押ししました。
はりきって選挙演説を行うセチュルでしたが、聞く人もまばら。支持率も3番目ということで、当選する確率がないなら他の候補を推すと住民たちもあきらめ顔です。
しかし、市民の役に立ちたいと懸命に選挙運動に励む彼を見ていた労働党のノ議員が応援にまわり候補を一本化してくれたおかげで、徐々に支持が集まってきました。
その頃、ファンボを襲った3人組がフィリピンにいることがわかり、セチュルはこちらに連れてくるよう支持します。
映画『英雄都市』の感想と評価
マ・ドンソク主演の『犯罪都市』の大ヒットで一躍ヒットメーカーに名乗りを上げたカン・ユンソン監督が人気WEBコミックを映画化。
『犯罪都市』で強面(こわもて)を演じた面子がここでも勢揃いしていますが、本作は、ヤクザを主人公にしつつ、コメディ―要素を全面に押し出したすこぶる楽しいアクション・コメディーに仕上がっています。
ラブコメ的な要素や、高速でのバス横転事故というパニックアクションも加わり、まさにオールジャンル映画として存分に楽しめ、見終えた時に尋常でないカタルシスを覚えます。
大まかに本作は2つのパートに分けることができるでしょう。1つは「ヤクザの主人公がいい人になれるか」というもの、もう一つは「いい人が政治家になれるか」というものです。
元ヤクザが「いい人」に改心するパートは、ヤクザという強面のイメージと、「いい人」とのギャップが大きければ大きいほど面白みが増し、またその過程で、主人公に対しての共感が生まれてきます。
一方、「いい人」となった元ヤクザが政界を目指すというパートでは現在の政治や政治家への不信感が浮上してきます。
弱者を切り捨て、財閥や富裕層を優遇し、至福を肥やす政治家にNO!を突きつけ、本当に国民のことを思って政治をしてくれる人を求めている現代人の切実な願望が主人公に込められているのです。
アメリカのテレビシリーズを韓国に置き換えてリメイクしたドラマ『サバイバー 60日間の大統領』(2019/全16話)では、現政権がテロで全て壊滅し、偶然一人生き残った学者あがりの素人大臣が大統領代行になるという物語でした。
これもまた、「いい人」が大統領になれるのかという問いと、彼のような人間が政治家になるべきだという願望を込めたエンターティンメントとして大変見応えのある作品でしたが、この『英雄都市』にも同じ匂いを感じ取ることが出来ます。
従来の政治家とイメージが離れていればいるほど面白く、また政治に良心を求める観客たちの願望が満たされていくことで、映画のジャンルを越えた別のカタルシスが生まれ、満足度を高めているのです。
まとめ
主人公セチュルを演じるのは、原作ファン投票で“主人公を演じてほしい役者”第一位に輝いたキム・レウォンです。
『マイ・リトル・ブライド』(2004/キム・ホジュン)や『江南ブルース』など、幅広い演技で知られる彼は、“いい人”を目指すヤクザという複雑な役どころを豪快かつナイーブに演じています。
『犯罪都市』で活躍した面々が今回も役柄を変えて登場。『犯罪都市』ではマ・ドンソクの頼りない上司を演じていたチェ・グィファが、対立候補役で、いや~な人物をこれでもかとねちっこく演じています。こういう役柄が実に上手いチェ・グィファですが、どこか憎みきれない愛嬌があります。
また、『犯罪都市』で凶暴な悪役を演じブレイクしたチン・ソンギュは、キム・レウォンと対抗するこずるいヤクザを溌剌と演じています。
イ・ジョンジェ主演の『サバハ』(2019/チャン・ジェヒョン 日本ではNetflixで配信)では僧侶を演じたチン・ソンギュ。本作ではコミカルな演技もこなし、新たな一面を見せています。
セチュルが一目惚れした勝ち気で正義感の強い女弁護士には、ウォン・ジナが扮しています。2人の恋の行方もみどころのひとつです。
また、オールキャストが歌って終わるエンディングが最高に素晴らしいのです。歌われているのは、キム・ドンリュルの3rd Album「귀향 (歸鄕)」に収録されている「사랑한다는 말(愛するという言葉)」という楽曲です。