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Entry 2020/01/01
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映画『ペット・セメタリー 』感想とレビュー評価。名作ホラーのリメイクでガチ怖い「深みと強さ」が増した死よりのメッセージ

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ペット・セメタリ―』は2020年1月17日(金)より全国ロードショー!

先住民によって語り伝えられてきた秘密の森、そこに死体を埋めれば生き返ってくる。そう信じた父は娘を森に運びました。それが惨劇のはじまりになるとも知らずに…。

1989年に映画化された作家スティーブンン・キングの人気小説の映像化作品をリメイクした映画『ペット・セメタリ―』。邪悪な精霊の集う禁断の場所とされた地に足を踏み入れた一家が、恐怖に陥れられる様を描きます。

作品はケヴィン・コルシュとデニス・ウィドマイヤーのダブル監督で制作、ジェイソン・クラーク、エイミー・サイメッツ、ジョン・リスゴーら実力俳優が名を連ねています。

映画『ペット・セメタリ―』の作品情報


(C) 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

【日本公開】
2020年(アメリカ映画)

【英題】
PET SEMATARY

【監督・脚本】
ケヴィン・コルシュ、デニス・ヴィトマイヤー

【キャスト】
ジェイソン・クラーク、ジョン・リスゴー、エイミー・サイメッツ、ジェテ・ローレンス、ヒューゴ・ラヴォイエ、ルーカス・ラヴォイエ

【作品概要】
人気ホラー作家のスティーヴン・キングが、自らの体験を基に執筆した小説を原作にしたホラー。死者を復活させる森の存在を知った一家に訪れる恐怖を描きます。『セーラ 少女のめざめ』などを手掛けたケヴィン・コルシュとデニス・ウィドマイヤーが監督。

キャストには、主人公のルイス・クリード役を『ナチス第三の男』などのジェイソン・クラーク、妻のレイチェル役を『ビューティフル・ダイ』などのエイミー・サイメッツ、クリード家の隣人ジャド役を『人生は小説よりも奇なり』などのジョン・リスゴーらが務めます。

映画『ペット・セメタリ―』のあらすじ


(C) 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

妻子と田舎に引っ越してきた医師ルイス(ジェイソン・クラーク)の一家。その娘のエリー(ジェテ・ローレンス)は、ある日家の裏山でお面をかぶり更新する奇妙な一団を目にします。

その後、親しくなった隣人のジャドよりその場が、動物用の墓地であることを知らされます。

一家が新天地での生活にも慣れてきたころ、飼っていた猫のチャーチが事故で死んでしまいます。不憫に思ったルイスは墓地の向こうにある森の奥深くに猫を埋葬します。

するとその翌日、チャーチは腐臭を漂わせ凶暴化した猫として一家の元に戻ってきます。やがてルイスは、ジャドからこの場所が先住民によって語り伝えられてきた秘密の森だということを聞かされます。

そしてある日、エリーが交通事故で命を落とし、悲しみに暮れながらもルイスは、ある一つのことに思いを巡らせますが…。

映画『ペット・セメタリ―』の感想と評価


(C) 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

1989年に公開された過去作も同様の傾向はありましたが、2019年にアメリカで公開された本作『ペット・セメタリ―』は、さらにメッセージ性を強めた作風となっています。

過去作との差異として、過去作では末の子のゲージが最初に亡くなるエピソードとなっていましたが、本作ではその姉であるエリーが無くなる設定となっており、以降母のレイチェル、父のルイスとその犠牲の連鎖が続いていきます。

ここでポイントとなるのは、エリーが生き返ってからのエピソードですが、まだ物心のつかないゲージが生き返るのと対照的にエリーはルイスに山に埋められ、明確な意思、自己をもって家に戻ってきます。

それが結果的には不幸のはじまりとなるわけですが、ルイスとしては娘の帰還は願ってもない幸せでありながら、それがそうでないと徐々に気づき、明確に認識した時には時すでに遅し、自分が犠牲となる不幸に陥れられるのです。

その一連の構図は、まさに何かの罠にはめられたようでもあり、一方で例えば“死者に生を求めてはならない”と、生きていることへの重要性を説いているような教訓が与えられています。

これはいうまでもなく明確な意思表示ができないゲージの生還は、その前に起きた飼い猫チャーチの生還とあまり変わらない印象であります。エリーの生還がもたらした不幸で、ルイスの起こした過ちがどれほど罪深いことだったかを明確にしているのです。

また過去作では冒頭でいきなり亡くなりながら、ルイスの前に亡霊として度々現れ警告を与える学生のヴィクター・パスコウの存在がありましたが、本作でも登場するものの冒頭での死亡シーン、そして死んだ後の物語の序章部分に一度だけ現れるだけにとどまっています。

この部分に関しては、もともとナビゲーション的な存在として登場させていた感のある彼の存在が、逆に作品のB級感を強めていた印象もあり、これを最小限にとどめることで物語の中心をクリード一家に集中させ、整理することで安っぽさを排除しているのでしょう。

まとめ


(C) 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

なお、本作に関してはこの物語の前日譚を続編として製作しようという企画が進んでいるという話もあります。前日譚という関係ではスティーブン・キングの映画(テレビのミニシリーズ)『ローズ・レッド』の前日譚となる『ローズ・レッド:ザ・ビギニング』があります。

原作は小説家リドリー・ピアソンによる2001年の作品ですが、製作総指揮としてやはりスティーブン・キングが担当しており、その深い世界観を見事に映像化しています。

過去作は高い評価を受けながらも続編の評価が振るわず、隠れた名作的な扱いを受けているものでありますが、その意味では本作に関して是非続編の企画が成就し、そのイメージを挽回させることを願うばかりであります。

映画『ペット・セメタリ―』は2020年1月17日(金)より全国ロードショー!

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