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【堀田茜インタビュー】映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』唯一無二の存在となるための自分自身と“女優”の在り方

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』は2019年10月4日(金)より全国ロードショー!

婚活パーティーで一人の女性に言い寄ってきたハイスペックなイケメン10人。しかしそのうち9人の男性は大嘘つき!?

ヒロインはオトコたちの嘘をすべて見破り、真の愛を見つけ出すことができるのか!?


(C)Cinemarche

映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』は、「恋愛ドラマアプリ」シリーズとして2015年から配信された大ヒットゲームを元に製作されたラブコメディー。婚活パーティーに参加した一人の女性が男性たちの嘘を暴く一方で、真の愛を見つけようと奔走する姿を描きます。

この中で主人公のヒロイン桜井香菜役を演じているのが、女優として活躍する一方でモデル・バラエティと幅広い活動を行っている堀田茜さん。堀田さんは本作が映画初主演となります。

今回は堀田さんにインタビューを敢行。映画初主演への思いや演じた役柄への向き合い方、自身の役者としての仕事への思いなどをおうかがしました。

縁を感じとったオファーと“主演”の苦労


(C) 映画「ダウト ~嘘つきオトコは誰?~」製作委員会

──今回の作品は堀田さんにとって映画初主演ということですが、オファーを受けた際のお気持ちは?

堀田茜(以下、堀田):正直「まさか私が」という気持ちもありました。これまでそれほどお芝居の経験もありませんし、自信もない。でもそんな私がこの役を演じさせてもらえることには、絶対に何らかの意味があると思っていました。

原作となったゲームについては、私自身も周りのスタッフさんもプレイをしたことがあったんですが、映画化の話をうかがって、そのイメージがどんな風になるんだろうと思っていました。

そんな中、その作品で主演をやらせてもらえるというお話をいただき、縁を感じました。だから、「やるからには自分が今持っているものを全部出し切ろう」という思いで挑みました。

一方で、キャストとして多くの先輩方が出演されている中で、自身がしっかりしているかどうかで作品の良し悪しを左右するのが“主演”という存在だと思いますし、プレッシャーはありました。

ただ、それを考えたところでいい芝居ができるというわけでもないので、そこは敢えて考えないようにやっていました。


(C) 映画「ダウト ~嘘つきオトコは誰?~」製作委員会

──実際に現場ではいかがでしたか?

堀田:撮影においては、主演ゆえのスケジュール面のタイトさを実感しました。当然出演するシーンも多いし、一番セリフも多いわけですから。また毎日撮影をしている中で、明日の撮影のことも考えていかなければいけなかったり。本当に大変でした。

その中での役づくりについても、私の演じる役は十人の男性に婚活パーティーで言い寄られるというところからスタートするのですが、そこで「なぜ私に言い寄ってくるのか」という理由が語られることなく物語はスタートするので、そこには説得力を持たせるのが必要だと捉えていました。

具体的に言えば、「この人だったら言い寄られるだろうな」というような雰囲気。現場では「どうすればその説得力を持たせられるだろう」といったことについて、試行錯誤を続けていました。

どちらかというと作品を観られるのは女性の方が多いと思いますし、そういった意味で、ヒロインの“説得力”に対する女性の目は厳しいですから。

嘘に込められた意味と思いを問う


(C) 映画「ダウト ~嘘つきオトコは誰?~」製作委員会

──本作では「嘘をつく」という行為以上に、「相手を疑う」という行為を重要視して描かれているように受け取れました。

堀田:この作品の大きな筋には、実は「嘘をつくのは悪いことなのか」という問いかけが裏テーマとしてあるのではないかと私は感じてました。

嘘には良い嘘と悪い嘘がある…そんな日常で誰もがついたことがある嘘に込められた、さまざまな意味や思いをいろいろと感じられる作品ではないかと思います。

特にその中でも、人を思い過ぎたがためについてしまった嘘、人を思ってついてしまった嘘というものは、また違う印象があるとも思いました。

なかなかそこまで思ってくれる人ってきっといないし、逆にそこまで思ってくれていたんだと気づいたときに、嘘は嘘でも許せるものがあるんだなと。そういった嘘が、人としての器の大きさを試し、かつ広げてくれるんだと思います。

近くて遠いヒロインの女性像


(C) 映画「ダウト ~嘘つきオトコは誰?~」製作委員会

──香菜という“女性”としての人間像を、彼女を演じられたご自身はどのように分析されましたか?

堀田:すごく性格も明るいし、しっかりしていてちゃんと仕事もバリバリしている、絵に描いたような「モテ女」として生きてきた女性というイメージがありました。

一方で、プライドも高い。人に振られたことは一度もなく、恋愛に対するプライドも人としてのプライドも結構高い人で、だからこそ周りからうらやましがられる完璧な女性だと思いました。

自分自身の性格と比べると…遠いですね(笑)。性格としては、すごく明るくてどん欲、好奇心旺盛といったところは似ていると感じられますが、恋愛経験においてはもちろんパーフェクトではありませんし(笑)。

──今回の出演に対して、ご自身が「“爪痕”を残せた」と満足できたシーンはありましたか?

堀田:本作の劇中において、気絶した状態で長時間スプリンクラーから出る水に打たれ続けるシーンがあるんです。

上から水が降り続ける中でずっと気絶をしていないといけないシーンでして、耳にもすごく水が入ってくるし、けれど動くことは決して許されない…体力的にも精神的もつらかったシーンでした。

でも終わった後には、大きな達成感がありましたね。「やり切った!」という思いが込み上がってきました。

新しいポジションを見つけるために

映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』完成披露上映会・舞台挨拶にて


(C) Cinemarche

──堀田さんは女優のみならず、モデルとしての活動、テレビでは数々の人気バラエティ番組に出演するなど幅広い活躍をされていますが、“女優”あるいは“役者”をご自身の中でどう位置づけてお仕事をされているのでしょうか?

堀田:お芝居は自分が続けているお仕事の中で一番歴史も浅いし、難しい挑戦だと常に考えています。その反面、「これからももっと頑張りたい」と強く感じているものでもあり、自分の中では一番と言っていい挑戦の場と位置づけています。

演技という行為そのものもやっぱり好きだと思っていますし、自分が“そこ”で演じることに納得できるような作品に出演し続けたいと今は考えています。

モデルのお仕事についても、キャリアが少しずつ増えてきた中でも挑戦を続け、もっと視野を広げていきたい。いろんなファッションにも挑戦したいと考えています。バラエティ番組についても課題がたくさんあると感じつつ、その課題を乗り越えたいというやりがいもあります。

その中でも、お芝居は自分自身にとって「もっと追究したい」という気持ちが一番大きいものだと思っています。

──将来的には何か一つのお仕事に焦点を絞っていこうと考えたことはあるのでしょうか?

堀田:いえ、「一本に絞るよりも、全部やり続けたい」と考えています。

ただ、なにか一本“芯”になるものがないと本人そのものに説得力がなくなってきてしまいますし、モデルとしての仕事は自分にとってのホームとして持ち続けながら、お芝居の分野でももっと生きていける人になることを目指しています。

そして活躍のジャンルを複数持つことで、「堀田茜って、新しいポジションだよね?」と思ってもらえるような、唯一無二の存在になれたらいいなと思っています。

「こういう役柄も」と思わせる女優へ


(C) Cinemarche

──“女優”あるいは“役者”として、堀田さんは今後どんな役柄やキャラクターに挑戦していきたいですか?

堀田:「いろんな役をやって経験を重ねたい」という思いは強いですね。特に自分と似ている役は入り込みやすいだろうし、演じやすいと感じてます。

その一方で自身とは全く違う人柄の役、例えばものすごく暗い人間や狂気的な人間といった役も演じてみたいですね。今はとにかく経験を積みたいという思いがあるので、できるのであればどんな役柄でも挑戦してみたいです。

同じ方向性を突き詰めていきたいというよりは、その演技を観た人から「こういう役柄もあるんだ」と思ってもらえる女優さんになりたいと思っています。

例えば好きな女優もいますが、海外で好きな女優はクリステン・スチュワート。年齢もそんなに遠くないんですが、ナチュラルであまり感情が強く出ない印象があり、それがかえってカッコイイ生き方に見える。人間臭さみたいなものがないところに人間臭さを感じるんです。

ただ今回の映画で私の役柄の1番象徴的な「ダウト!」ポーズは、逆に振り切って思い切りやらせていただきました(笑)。この作品でないとできないことを、すごく楽しんでやらせていただきました。

また男性キャスト陣もまさに“キャラ合戦”という状況だったので、とても勉強になりました。本作での撮影は本当に楽しかったです。

ヘアメイク:神戸春美
スタイリスト:野村昌司

堀田茜(ほったあかね)のプロフィール


(C)Cinemarche

1992年生まれ、東京都出身。

2009年の「第12回全日本国民的美少女コンテスト」の本選出場をきっかけに事務所へ所属。バラエティ番組への出演やモデルとしての活動をスタートします。

2014年に連続スペシャルドラマ『恋の合宿免許っ!』(フジテレビ系)で女優デビュー。以後幅広い活動を展開する傍らで、映画『不能犯』やドラマ『家政夫のミタゾノ』『3年A組-今から皆さんは、人質です-』に出演するなど女優としても精力的に活躍し、本作では映画初主演を果たしました。

インタビュー・撮影/桂伸也

映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』の作品情報

【日本公開】
2019年(日本映画)

【監督】
永江二朗

【キャスト】
堀田茜、稲葉友、西銘駿、岩永徹也、佐伯大地、三津谷亮、藤田富、水石亜飛夢、牧田哲也、永山たかし、久保田悠来、鶴見辰吾

【作品概要】
大ヒット恋愛アプリゲームを映画化した恋愛コメディー映画。彼氏に振られたのきっかけに婚活パーティーに参加することになったヒロインが、言い寄ってくる男性たちの嘘を暴きながらも真の愛を見つけていく姿を描きます。

監督を務めたのは、大人気漫画の実写化作品である『トモダチゲーム』シリーズなどを手掛けたことで知られる永江二朗監督。

キャストでは、主演の桜井香菜役を女優・モデル・バラエティ番組と多岐にわたって活躍する堀田茜が担当。他にも稲葉友、西銘駿、岩永徹也、佐伯大地、三津谷亮、藤田富、水石亜飛夢、牧田哲也、永山たかし、久保田悠来らのイケメン俳優、そしてベテランの鶴見辰吾が脇を固めます。

映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』のあらすじ


(C) 映画「ダウト ~嘘つきオトコは誰?~」製作委員会

恋人に裏切られたブライダルプランナーの桜井香菜(堀田茜)。彼女はある日、一人の占い師(鶴見辰吾)に「婚活パーティーで運命の出会いがある」と告げられる。

半信半疑で婚活パーティーに参加した香菜でしたが、そこでクリエイターや医者など、ハイスペックなイケメンたちに次々に声を掛けられ、ついホクホク顔に。

ところが会場にはなぜか占い師が現れ、「言い寄ってきた10人の男性の中で、一人だけが本当のことを話している」と驚きの言葉を口にします。

果たして香菜は、男性たちの嘘を暴くことができるのでしょうか?

映画『ダウト ~嘘つきオトコは誰?~』は2019年10月4日(金)より全国ロードショー


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