2018年2月に公開されるオススメの邦画をご紹介します。
人気コミックの実写化として話題作を松坂桃李と沢尻エリカ共演で贈る『不能犯』から、アイドルから女優に華麗な変身を見せた“真のアイドル映画”『サニー/32』までをピックアップ!
シネコンのメジャー作品から、ミニシアター系のアート作品まで幅広いジャンルから厳選4作品紹介します。
さあさあ、あなたは2月に劇場で出かけて何を見ます?
*今回はおまけとして最後に4選以外の邦画もセレクト。今月は邦画が熱いですよ!
CONTENTS
2月1日(木)公開の映画『不能犯』
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
宮月新
【監督】
白石晃士
【キャスト】
松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗、テット・ワダ、菅谷哲也、岡崎紗絵、真野恵里菜、忍成修吾、水上剣星、水上京香、今野浩喜、堀田茜、芦名星夢、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍
【作品概要】
集英社の発刊する「グランドジャンプ」連載中の人気コミックの実写映画化で、思い込みやマインドコントロールによって殺害の犯行をする男とそれを追う女性刑事の多田を描くサスペンス&スリラー映画。
主演の松坂桃李が「不能犯」の宇相吹正役を演じ、それを追いつめる刑事の多田友子役を沢尻エリカが演じています。
共演に『ちはやふる』の新田真剣佑、『帝一の國』の間宮祥太朗も集結。演出は『ある優しき殺人者の記録』や『貞子vs伽椰子』の白石晃士。
映画『不能犯』のあらすじ
都会で起きた不可解な連続変死事件には、必ず黒スーツの宇相吹正が目撃されていした。
彼はSNSで“電話ボックスの男”と噂されている人物。
ある電話ボックスに命を奪って欲しい相手の連絡先と、その訳を書いた手紙を貼るだけで完璧に実行してくれる、そのように噂をささやかれていました。
そんな宇相吹の犯行は病死や自死、または事故など、いずれも殺人として立証が行えるものではありません。
しかし、警察の多田刑事が立ち上がり、宇相吹の身柄をようやく確保すると任意の事情聴取を始めます。
宇相吹の能力にベテラン捜査官たちは翻弄されてしまうが、なぜか多田だけが宇相吹にコントロールされない事実が分かると…。
映画『不能犯』の見どころ
本作を演出した白石晃士監督は、日本POVによるモキュメンタリーの第一人者。それだけでもホラー映画ファンには伝説的な存在の映像作家です。
「POV」とは視点ショットや主観ショットのことで、ホラー映画の何者かの視点や襲われる側の怯えた主観に使用されるものです。
また、白石監督は前作『伽倻子VS貞子』でも最強のダークヒーローを誕生させていましたよね。
本作『不能犯』では、松坂桃李演じる宇相吹正がそのダークヒーローぶりを演じています。
それだけに相対する好敵手が必要で、それをエリカ様こと沢尻エリカが女性刑事多田友子を演じています。
コミックでは多田友樹なところを大胆に、友子したことで映画としては面白みを増しています。
“桃李VSエリカ”の演技力の引き合いや、もう1人の主人公である刑事を女性として描いた違いを楽しんで観てはいかがでしょう。
2月3日(土)公開の映画『羊の木』
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
山上たつひこ、いがらしみきお
【監督】
吉田大八
【キャスト】
錦戸亮、木村文乃、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯大、松田龍平、中村有志、安藤玉恵、細田善彦、北見敏之、松尾諭、山口美也子、鈴木晋介、深水三章、川瀬陽太、木原勝利、白神允、中沢青六、村上和成、江原政一、大矢敬典、西山清孝、中野剛、鈴木隆仁、山口尚子、白川朝海、船崎良、渡邉蒼、大智、三宅希空、川上凛子、安藤結埜
【作品概要】
原作は山上たつひこ、作画いがらしみきおの同名コミックの実写映画化のヒューマン・ミステリー映画。
演出は『桐島、部活やめるってよ』や「紙の月』で知られるの吉田大八監督。主演の月末一役には錦戸亮。月末の同級生の文役に木村文乃、6人の元殺人犯役に北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平と実力派の豪華キャスト。
吉田監督作品『クヒオ大佐』の香川まさひとが脚本を担当しています。
映画『羊の木』のあらすじ
寂れた港町・魚深に移住して来た、それぞれ見知らぬ男女6人。
市役所の職員として働く月末一は、上司に彼らの受け入れを担当する命じられます。
それは町が抱えた過疎問題のため、身元引受人として元受刑者を受け入れる極秘の国家プロジェクト。
しかし、月末や町の住人は一見普通に見える彼らを当たり前に受け入れます。
ある日、港で起きた死亡事故をきっかけに、月末は彼らは何かがおかしいと疑問を抱くようになります。
やがて月末の同級生の文を巻き込み、男女6人の全員が元殺人犯だという事実を知ってしまう月末。
小さな町の住人たちの日常は、6人の宿命とともに狂いはじめます…。
映画『羊の木』の見どころ
主人公の月末一役を演じたのは、ジャニーズのなかでも演技派で、これまでにDVのストーカー役などキワドイ役柄にも挑んできた錦戸亮。
彼の良い意味で“得体の知れない表情”は、本作『羊の木』で元殺人犯の男女6人を演じた北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平と相まって活かされています。
“得体の知れない”というのを“困惑”と置き換えると分かりやすいですが、彼が所属するアイドルグループ「関ジャニ∞」という芸達者の多いメンバーの中でも、それは異彩として見ることがあります。
他のメンバーの戯けた様子をチョコンと静かに笑って眺めている。それだけでも錦戸亮の存在感はいつも大きいです。
それが本作の中でも、如何にも他人の命を奪ってきたようにしか見えない演技派の役者たちのなかでも十二分に発揮されていきます。
それは錦戸亮のアイドルとして、何を求められてもすぐに発揮できる瞬発力の高さといえるでしょう。
2つのアイドルグループ「NEWS(元)」と「関ジャニ∞」をまたにかけ自身の居場所を探してきた錦戸亮。
彼の居場所は今後も俳優として劇場で見たいと思わせる代表作になっています。
もちろん、元殺人犯の演技もかなり素敵ですよ。
2月9日(金)新潟・長岡先行公開され、続く2月17日(土)全国公開
映画『サニー/32』
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
白石和彌
【キャスト】
北原里英、ピエール瀧、門脇麦、リリー・フランキー、駿河太郎、音尾琢真、山崎銀之丞、カトウシンスケ、奥村佳恵、大津尋葵、加部亜門、松永拓野、蔵下穂波、蒼波純
【作品概要】
映画『凶悪』の白石和彌監督と脚本家の高橋泉がふたたびタッグを組み、かつて殺人犯の少女サニー32はネットで神格化され、それを信奉し続けた男たちに誘拐監禁された女性教師の運命を描いたオリジナル脚本のサスペンス映画。
秋元康がスーパーバイザーを務め、NGT48の北原里英は映画初主演を果たし、ピエール瀧&リリー・フランキーは、白石作品『凶悪』に引き続き出演。
そのほか『二重生活』の門脇麦や『関ヶ原』の音尾琢真、また『湯を沸かすほどの熱い愛』の駿河太郎も共演しています。
映画『サニー/32』のあらすじ
教員の仕事や私生活でもパッとしない中学校教師の藤井赤理は、心のどこかで“危険な冒険”に憧れを持っていました。
盗聴や不法侵入されたストーカーに追われながら、それを楽しんでいたのです。
しかし24歳の誕生日を迎えたその日、藤井赤理は何者かに拉致されてしまいます。
廃屋らしき場所で目を覚ました赤理は、2人組の柏原勲と小田武という男がそこにはいました。
小田はビデオカメラを持ち、拘束した赤理を必要なまで撮影し、柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー…」と、彼女に親近感を持ちそう呼びます。
“サニー”とは、かつて世間を騒がせた、小学生による同級生殺害事件の犯人の通称。
その事件とは、当時11歳であった小学生女児が同級生の命を、突然、カッターナイフで命を奪ったというものでした。
事件の発覚後にマスコミがメディア媒体に使用した被害者の写ったクラス写真から、加害者の女児の顔も割りだされてしまいます。
その犯行とのギャップのある、まだ幼くいたいけな女子児童ルックスから、“犯罪史上、最も可愛い殺人犯”と、たちまちネットを中心に神格化していき、狂信的な信者を生み出すことになります。
特に出回った写真の独特の決めポーズである、右手が3本指、左手は2本指でハンドサインが話題を集め、信者たちの間で「32(サニー)ポーズ」と名付けられます…。
映画『サニー/32』の見どころ
秋元康がスーパーバイザーとして参加した本作『サニー/32』。
この作品はもともと彼からNGT48の北原里英を女優にしたいと、わざわざ日活に出向き、白石和彌監督に直談判したそうです。
その理由は北原里英自身が、白石監督の『凶悪』を生涯の1本に挙げるほどの白石監督ファンだということが理由にあったそうです。
やがて秋元康と白石監督、そして白石作品の『凶悪』の高橋泉で、“真のアイドル映画”を製作しようを立ち上がったそうです。
ここで言う“真のアイドル映画”とは、昭和アイドルが過酷な撮影現場に身を置き、俳優としての演技を身につけていった時代の映画を指しています。
例えば本作で共演しているリリー・フランキーは、脚本を読んだだけで「本当に、このひとたちは…」と、白石監督や脚本を担当の高橋泉に良い意味で呆れるほどの過激な内容でした。
また撮影に入ると冬の海に浸かったり、あまりの過酷さなロケ現場に血糖値の落ちてしまったピエール瀧は、スタッフにブドウ糖を白湯に混ぜて欲しいと要求して挑んだそうです。
その2人が揃って北原里英は誰よりも過酷な撮影現場の中心で頑張っていた俳優だと認めています。
さらには北原里英の演技力を引き出すために、タッグを組んで演技合戦をしたのは、若手で筆頭の演技派女優の門脇麦。
実に面白いスタンスで出演していて、きっとこの役は彼女にしかできないとマジマジと思わされることでしょう。
白石監督は『凶悪』の脚本家の高橋とふたたびタッグを組んで、ある実話の事件をモチーフに本作『サニー/32』を挑んでいます。これは注目です!
2月16日(金)公開の映画『リバーズ・エッジ』
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
行定勲
【キャスト】
二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵
【作品概要】
原作は岡崎京子の人気の同名コミックを実写映画化でダブル主演に二階堂ふみと吉沢亮を迎え、モデルとして活躍するSUMIREや上杉柊平、テレビに映画に引っ張りだこの森川葵など若い層からの支持を集めるメンバーが集結。
演出は『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』で知られた行定勲監督。主題歌を小沢健二。
映画『リバーズ・エッジ』のあらすじ
「若草さん、今晩ヒマ? 僕の秘密の宝物、教えてあげる」。
若草ハルナは、彼氏の観音崎が苛める山田を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ放置された死体を目にします。
「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナ。
さらに、宝物として死体の存在を共有しているという後輩でモデルのこずえが現れ、3人は決して恋愛には発展しない特異な友情で結ばれていきます。
ゲイであることを隠し街では売春をする山田、そんな山田に過激な愛情を募らせるカンナ、暴力の衝動を押さえられない観音崎、大量の食糧を口にしては吐くこずえ、観音崎と体の関係を重ねるハルナの友人ルミ。
閉ざされた学校の淀んだ日常の中で、それぞれが爆発寸前の何かを膨らませていました。
そうした彼らの愛憎や孤独に巻き込まれ、強くあろうとするハルナもまた、何にも執着が持てない空虚さを抱えています。
そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたという報せを、山田から受けます…。
映画『リバーズ・エッジ』見どころ
本作の演出を務めるたのは『世界の中心で、愛をさけぶ』や『ナラタージュ』などの恋愛映画を得意とした行定勲監督。
そのほかにも『ひまわり』は、第5回釜山国際映画祭の国際批評家連盟賞の受賞や、『GO』で日本アカデミー賞最優秀監督賞など評価を上げている監督です。
また行定勲監督は、女優を魅力的に輝かせた作品つくりにも定評があります。
この作品のダブル主演のひとり、既に演技派女優の一角を築いた二階堂ふみを、どのように活かしたのかに注目してください!
さらには俳優の浅野忠信とミュージシャンのCHARAの娘のSUMIREも、1月27日に公開された映画デビュー作『サラバ静寂』に続き、どのような女優としての力をつけていくのかを見守ってくださいね。
そのほか新世代の女優として、土居志央梨や森川葵も出演しています。
本作の映画主題歌にも触れておきましょう。
原作者の岡崎京子と親交があり、二階堂ふみとも交友のある小沢健二が担当。新たな青春群像劇に花を添えています。
今しかない、純粋なまでの輝きを作品にする行定節に、ぜひ注目してください。
まとめ&おまけ
今回は上記の2月厳選の4作品のまとめは、以下同文としてちょっと省略カット!
なぜなら!
既に1月27日から公開中の邦画『祈りの幕が下りる時』を筆頭に、いよいよ2018年の邦画が本気モード。
この作品は「新参者」シリーズを観たい観客に、かなり満足度のあげて驀進ヒット中!
もちろん鑑賞の際には「人形焼」をパクパクを片手にみようね。映画の事前学習するなら野村芳太郎監督の名作『砂の器』レンタルで観ておきましょう!
これにより邦画の熱い戦いがスタートしたんです。
実は今回2月にご紹介した4選の作品以外にも、2月は邦画公開が粒ぞろいなんです!
そこで【編集部のおまけ】で、いくつかをピックアップしておきます。(選べなかっただけという話もあるが…)
2月3日(土)より公開の『blank13』
この作品を演出したのは斎藤工監督。そう俳優の彼です。主人公の松田コウジ役の高橋一生と、その父親役にはリリー・フランキーで出演しています。
すでに国内外で映画賞を取っているこの作品。知らなかった方は注目ですよ。2月3日より東京・シネマート新宿にて公開され、2月24日(土)より全国順次上映です。
2月10日(土)より公開の『今夜、ロマンス劇場で』
綾瀬はるか&坂口健太郎の初顔合わせで、完全オリジナル脚本の飛び切りロマンティックなラブストーリーです。
モノクロ映画のスクリーンから出てきたヒロインと、現実の世界に生きる青年の恋の模様を描いた作品は、2月10日(土)全国公開。
2月10日より公開の『赤色彗星倶楽部』
本作『赤色彗星倶楽部』は、PFFアワード2017で日活賞と映画ファン賞を受賞。また田辺・弁慶映画祭でグランプリを獲得している作品で、映画通のあいだで公開を待ち望まれている青春SF群像劇です。
長編映画デビューとなる武井佑吏監督が、くだらないことに没頭する仲間たちとの充実した時間を描く、2月10日より公開。
2月10日(土)より公開の『犬猿』
『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔監督が約4年ぶりとなるオリジナル脚本を映画化です。
キャストに窪田正孝、新井浩文、「ニッチェ」の江上敬子、筧美和子ら異色の組み合わせで、兄弟姉妹という不思議な関係性を描いた本作は、テアトル新宿ほかにて全国公開。
2月10日(土)より公開の『富美子の足』
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で人気と評価を得た映画『リュウグウノツカイ』のウエダアツシ監督作品。文豪谷崎潤一郎の小説を現代劇にした「TANIZAKI TRIBUTE」プロジェクトの映画です。
美脚を持つ富美子の足を偏愛する富豪とフィギュア作家を狂わせる様を描いた本作は、東京・テアトル新宿ほか全国で順次公開。
2月17日(土)より公開の『パンとバスと2度目のハツコイ』
この作品は深川麻衣と山下健二郎(三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)という、フレッシュな2人が共演作品です。
恋愛映画に定評のある今泉力哉監督が粋な演出を見せ、2月17日より全国のイオンシネマにて公開。
2月17日(土)より公開の『チェリーボーイズ』
この作品は古泉智浩のコミックを実写映画化したもので、主演は『しゃぼん玉』の林遣都、共演は『勝手にふるえてろ』のコンビニ店員役の栁俊太郎、同作品で駅員役の前野朋哉。
25歳の童貞3人組を演じた青春コメディ。この3人組は今後も何かで共演を見せて欲しい!そう思える作品となっています。映画『チェリーボーイズ』は2月17日より全国順次公開。
では、また次回2月最終週に「2018年3月公開の邦画メジャー&ミニシアターおすすめ映画4選!」でお会いしましょう!
来月は4本ビシッと決められるかしら…。ふあん。