主演に若手注目株のトム・ホランドを迎え、ついにスパイダーマンがマーベルに帰って来た!
こちらも期待の新鋭、ジョン・ワッツ監督による新シリーズ『スパイダーマン:ホームカミング』をご紹介します。
以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『スパイダーマン:ホームカミング』映画作品情報をどうぞ!
CONTENTS
1.『スパイダーマン:ホームカミング』作品情報
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【原題】
『Spider-Man:Homecoming』
【監督】
ジョン・ワッツ
【キャスト】
トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファブロー、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ、ロバート・ダウニー・Jr.、ドナルド・グローバー、タイン・デイリー、トニー・レボロリ、ローラ・ハリアー、ジェイコブ・バタロン、アンガーリー・ライス
【作品概要】
ついに、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に我らが隣人“スパイディ”が本格参戦!
全世界待望の新シリーズが始動する!
『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公は、スパイダーマンこと15歳の高校生ピーター・パーカー。
ピーターが憧れのアイアンマンに導かれ真のヒーローになるまでの葛藤と成長を描く物語に加え、一人の高校生としての青春、恋愛、友情も瑞々しく描写されている。
圧倒的なスケールのアクションとドラマが展開する、この夏最高のヒーローアクション超大作!
2.MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)とは?
コミックスの世界ではそれぞれのヒーローたちがクロスオーバー(作品を超えた交流)するのは当たり前のことでした。
だったらそれを映画でやっちゃおうというのがこのMCUという一大プロジェクト。
まずはざっとその流れを日本公開の順に記載してみましょう。
【1】2008年『アイアンマン』
【2】2008年『インクレディブル・ハルク』
(↑主演はエドワード・ノートン。降板後のハルク役はマーク・ラファロが引き継ぎました)
【3】2010年『アイアンマン2』
【4】2011年『マイティ・ソー』
【5】2011年『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
【6】2012年『アベンジャーズ』
ここまでがフェーズ1(フェーズは一連の流れみたいなものと認識してます)。
【7】2013年『アイアンマン3』
【8】2013年『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
【9】2014年『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
【10】2014年『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
【11】2015年『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』
【12】2015年『アントマン』
ここまでがフェーズ2。
【13】2016年『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
(↑この作品で初めてMCUにスパイダーマンが登場!)
【14】2017年『ドクター・ストレンジ』
【15】2017年『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
そして、本作『スパイダーマン:ホームカミング』。
この後も続々公開予定です。
【17】『マイティー・ソー:バトルロイヤル』
【18】『ブラック・パンサー(タイトル未定)』
【19】『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー パート1(タイトル未定)』
【20】『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー パート2(タイトル未定)』
【21】『アントマン・アンド・ザ・ワスプ(タイトル未定)』
【22】『キャプテン・マーベル(タイトル未定)』
【23】『インヒューマンズ(タイトル未定)』
ここまでがフェーズ3。
ちなみに、日本でも昨年ヒットした『デッドプール』は『X-MEN』シリーズなのでマーベルのキャラクターではありますが、映画化の権利を20世紀フォックスが保持しているためMCUではありません。
3.現在のハリウッドはユニバース体制がトレンドに!
ついにトム・クルーズもユニバース参戦!『ザ・マミー』
2008年『アイアンマン』が大成功を収め、この企画が一気に軌道に乗ると、2012年『アベンジャーズ』が世界的大ヒットを記録しその人気は不動のものに。
この成功を受けハリウッドでは、このユニバース体制が一つのトレンドとなっています。
マーベルと双璧を成すコミックス出版社DCコミックスの「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」。これはスーパーマンやバットマンにワンダーウーマンなどですね。
レジェンダリー・ピクチャーズが仕掛ける「モンスターバース」は、キングコングやゴジラにキングギドラなどの怪獣祭り。
ユニバーサル・ピクチャーズが手掛ける「ダーク・ユニバース」は、現在公開中の『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』を始まりとし、フランケンシュタインや狼男に透明人間など古典的なモンスターが登場します。
ユニバースものとは違いますが、『スター・ウォーズ』シリーズなどももはやそれと同じような形になっています。
ただこれは始まりがコケると全てが失敗になる恐れがあり、上手くいけばブランド化されるという一つの賭け。一見さんには入り込みにくい作りになっていますが、毎年何かしら公開されるのでハマればこれ以上楽しい企画はありません。
さて、話はMCUに戻りまして。
序盤は時系列が公開順ではないので注意が必要ですし、今から予習や復習をするとなると本数がかなり多いです。
もちろん作品単体から入って気になるものをつまんでくスタイルでも問題ないと思います。
個人的なオススメは、
『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2本とも)あたりです。
本当にどの作品も間違いなく一定のクオリティを保っていますので、この後も含め全力でワクワクしたいなら全てを観ておく方がよいとは思います。
ちなみに人気者であるスパイダーマンがしばらくMCUに参戦出来なかったのは、映画化の権利をマーベルではなくソニーピクチャーズ・エンタテインメントが保持していたためです。
ファンの声に応える形で、提携によってついにスパイダーマンがMCUに参戦することになりました。
タイトルのホームカミングはもちろん劇中にも出てくるホームカミングデーのことですが、スパイダーマンがマーベルにホームカミング(帰郷)したことともかかっています。
4.『スパイダーマン:ホームカミング』あらすじとネタバレ
ベルリンでのアベンジャーズの戦いに参加し、キャプテン・アメリカからシールドを奪って大興奮していたスパイダーマン=ピーター・パーカー。
昼間は15歳の普通の高校生としてスクールライフをエンジョイし、放課後は憧れのトニー・スターク=アイアンマンから貰った特製スーツに身を包み、NYの街を救うべく、ご近所パトロールの日々。
そんなピーターの目標はアベンジャーズの仲間入りをし、一人前の<ヒーロー>として認められること。
ある日、スタークに恨みを抱く宿敵“バルチャー”が、巨大な翼を装着しNYを危機に陥れる。アベンジャーズに任せておけと言うスタークの忠告も聞かずに、ピーターはたった一人、戦いに挑むがー。
5.『スパイダーマン:ホームカミング』感想と評価
スパイダーマンの世界的な人気は高く、珍しいことにそれはアメコミが当たらないと言われている日本でも同じです。
それは、過去のサム・ライミ版とマーク・ウェブ版が日本でもヒットしたことで証明されています。
ただ今回は今までと違って純粋な単体作品ではないので、かなり省略されている部分があります。本当の意味でのスパイダーマン初見の方は注意が必要です。
前提としてピーターは両親がいない。ベンおじさんが亡くなっている。メイおばさんと二人暮らし。学校では学業優秀のいわゆるギークという立場。
ここら辺が頭に入っていれば、なぜメイおばさんがあれほどピーターを心配するのか。なぜ擬似的な父親になったアイアンマンに必死に認めてもらおうとするのか。なぜニューヨークの街を平和にしようと頑張るのか。それが説明されなくても理解できます。
監督のジョン・ワッツはピーターの人間性の構築に大きな影響を与えた出来事をあえて描きませんでした。
それは多分にスパイダーマンがすでに2度も作られている世界的な大人気シリーズで、説明の必要がないこともあるでしょう。
しかし、今回はそれ以上にウェットさを極力排除するための試みだと思いました。
ジョン・ワッツは『COP CAR/コップ・カー』が異色の青春ものとして高く評価され、今回のリメイクに大抜擢された人物です(この作品も素晴らしいので未見の方はぜひ!)。
スパイダーマンの一つの大きな魅力は、高校生のピーターが繰り広げる思春期の葛藤、つまり青春。
前作の『アメイジング・スパイダーマン』では、青春恋愛ものの名作『500日のサマー』を手掛けたマーク・ウェブが監督を務めました。
今作は監督も公言している通り、ジョン・ヒューズ監督が手掛けた『ブレックファスト・クラブ』に代表される学園青春ものの大きな影響を受けています。
そのため本作はあくまで学校でのシーンがメインです。
親友のネッドと組むボンクラコンビの微笑ましさや、恋愛、思春期特有の全能感。
このシリアスになれば必ずギャグで外すというのは、最近でいうと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『デッドプール』に近い感じでしょうか。
これが好みなら文句なしに楽しくて、かわいくて、胸が熱くなる素晴らしい作品でした。
ただアベンジャーズに馴れたせいで、全体的にアクションシーンが物足りない感じはします。特に序盤のショボさ(ただの高校生なのでしょうがない・・・)と最後の飛行機での戦闘シーン(暗くて何が起こってるのかよく分からない)。
また地球の危機を救うといった話ではなく、あくまで自分の周りの世界で完結してしまうのは話的にはスケールが小さく感じてしまうかもしれません。
ただスパイダーマンは今までの作品でもずっと何よりもまず身近な人の人命救助を第一義としてきました。
それが親愛なる隣人スパイディである所以であり、ファンが彼に惹かれてしまう理由でもあります。
トム・ホランドのチャーミングさも含め、スパイダーマンはこの先も愛されるキャラクターとなっていくことでしょう。
まとめ
本作は過去の2シリーズと比べるとより子どもっぽさが強調され、トム・ホランドの魅力全開です。
上記のインスタグラムの投稿を見ると、本当に運動神経がいいことがわかります。
さらに、監督のジョン・ワッツはその実力が間違いないことを証明してみせました。
最近のハリウッドのもう一つの潮流として、実績が幾ばくもない監督をすぐにブロックバスター超大作に抜擢するというものがあります。
例を挙げればキリがありません。
ジョン・ワッツは
『COP CAR/コップ・カー』
↓
『スパイダーマン:ホームカミング』
ギャレス・エドワーズは
『モンスターズ/地球外生命体』
↓
『GODZILLA ゴジラ』
↓
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
コリン・トレボロウは
『彼女はパートタイムトラベラー』
↓
『ジュラシック・ワールド』
↓
『Star Wars: Episode IX(タイトル未定)』
ライアン・ジョンソンは
『LOOPER/ルーパー』
↓
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
こう見ると『スター・ウォーズ』の重用ぶりはスゴイですね。キャスリーン・ケネディ恐るべし。
成功ばかりではなく、失敗例もあります。
マーク・ウェブは
『500日のサマー』
↓
『アメイジング・スパイダーマン』(3部作の予定が急遽打ち切りに)
ジョシュ・トランクは
『クロニクル』
↓
『ファンタスティック・フォー』(記録的な大コケ)
小規模な作品でも面白ければその本質を見抜いてくれるプロデューサーがいる。
ネームバリューに左右されずしっかりと作品の質を見極め、きちんとヒットさせる観客がいる。
映画大国アメリカとの差を猛烈に感じる現象でもあります。
そして、本作のような超大作にもしっかりと現代社会ならではの要素を落とし込んでいます。
資本主義の陽側であるトニー・スターク(アイアンマン)と陰側であるエイドリアン・トゥームス(バルチャー)。
そしておそらく意図的に多人種のキャストをピーターのクラスメイトに起用しています(MJの登場のさせ方は驚きました)。
暗いニュースが多い本国アメリカでこの幼稚で明るくて楽しい本作がヒットしているのも大納得。
それはおそらく日本でも同じことでしょう。
夏の大本命、スパイディの活躍をぜひ大きなスクリーンで!