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深作欣二おすすめ映画『赤穂城断絶』あらすじ。代表作に見られるテーマとは

  • Writer :
  • 森谷秀

2月1日にNHK BSプレミアムにて深作欣二監督による忠臣蔵映画『赤穂城断絶』放映されます。

忠臣蔵の季節は過ぎてしまいましたが、この機会に是非、鑑賞しましょう!!

1.映画『赤穂城断絶』の作品情報


【公開】
1978年(日本映画)

【海外用作品名】
The Fall of Ako Castle or Swords of Vengeance

【監督】
深作欣二

【キャスト】
萬屋錦之介、千葉真一、岡田茉莉子、三田佳子、西郷輝彦、近藤正臣、森田健作、若林豪、寺田農、金子信雄、芦田伸介、大滝秀治、松方弘樹、渡瀬恒彦、丹波哲郎、三船敏郎

【作品概要】
『柳生一族の陰謀』のヒットを受けて製作された、深作監督・萬屋錦之助主演タッグによる時代劇映画第2弾。

忠臣蔵映画としては25本目、深作欣二が監督する時代劇としては2本目の作品で、昭和53年度文化庁芸術祭賞参加。

1.映画『赤穂城断絶』のあらすじ

元禄14年、江戸城・松の廊下で高家肝煎の吉良上野介は、赤穂藩の藩主・浅野内匠頭に切り付けられる事件が発生。

この日は、朝廷の使者に馳走を振舞う大事な接待の最終日でした。

5代将軍・徳川綱吉は激高し、加害者である浅野は即日切腹、吉良はお咎めなしと処分を決めます。

浅野を吟味した多門伝八郎は、浅野の武士らしい振舞から再吟味を申し出るも、将軍の右腕である柳沢吉保は却下してしまいます。

そして、浅野の切腹が執り行われました。

堀部安兵衛ら江戸に詰めていた家臣は、浅野切腹の報せを持って赤穂まで急行。藩内は混乱。

その後、領地召し上げ、お家断絶の報せを聞いた筆頭家老・大石内蔵助は、浅野内匠頭を追って殉死する選択を決めます。この選択に集まった家臣は総勢56人。

全員に誓紙血判をさせますが、実はこれ、仇討の同士を集う為の大石の策略だったのです。

大石を筆頭とした赤穂浪士たちは、仇討の機会を狙い江戸へ潜伏します。

大石は内匠頭の弟・浅野大学を立て、浅野家再興を柳沢に嘆願し、柳沢もこれを認めます。

しかし、大石が吉良上野介の再吟味も加えたため、お家再興は白紙に戻される事となります。

一方、急進派の堀部安兵衛は、慎重すぎる大石のやり方に反感を持ち始めます。

安兵衛は一部の同士と共に、吉良の屋敷の引っ越しを狙い奇襲を試みます。

しかし、吉良側に察知され計画はご破算に。作戦に参加した橋本平左衛門は、吉良側の刺客と戦闘になり足に深手の傷を負います……。

こうした動きに対し大石は、自分のやり方が気に入らないのなら、誓紙血判を各人に返し、脱名しても構わないという態度を見せます。

そして、橋本は傷をきっかけに自堕落な生活へと落ちていきます。

吉良側も指を咥えて見ている訳ではありませんでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『赤穂城断絶』ネタバレ・結末の記載がございます。『赤穂城断絶』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
吉良家の家老・小林平八郎の暗躍が始まります。刺客を放ち大石暗殺を謀るものの、大石につき従っていた浪人・不破数右衛門によって刺客は斬殺されてしまいます。

討ち入りの準備を着々と進める浪士たち。大石の息子・主税、矢頭右衛門七らは吉良邸の探索、大高源吾は吉良と親交のある茶人・山田宗偏の茶会に忍び込み計画を練ります。

大高が茶会で12月14日に吉良の屋敷で茶会があることを知り、この日に討ち入りを決行します。

大石と47人の浪士は作法通り、吉良邸へ討ち入ります。

油断を突かれた吉良家の家臣たちは軽装。浪士によって次から次に切り倒されていきます。

ここで小林平八郎が現れ、赤穂浪士たちは彼相手に難儀します。事態を見た不破数右衛門が駆けつけ、不破VS小林の激しい鍔迫り合いに!!乱戦の末、不破は小林を斬ります。

しかし、何処を探しても吉良上野介が見つかりません。

浪士の一人・間十次郎が聞いた僅かな物音によって吉良を発見。「儂を斬れば、お前らは逆賊じゃ」と言う吉良を、大石は「問答無用」と斬り捨てます。

討ち入りを果たした浪士の話は、幕府内、全国に広まります。

主君の仇を果たした浪士たちを、武士の鑑だと大名や幕臣は称賛します。しかし、柳沢吉保は“これは幕府への反抗だ”と異を唱えます。

審議の結果、赤穂浪士47人は全員切腹となりました。各浪士が切腹していき、最後は大石……。大石は「身分の上下はともかく武士は武士でございます」と言葉を遺し、切腹します。

1.映画『赤穂城断絶』の感想と評価

『柳生一族の陰謀』に続く時代劇ということで、深作欣二は革新的な作品にしようと考えます。

本来主役である大石内蔵助を『仁義なき戦い』(1973)で怪演を見せた金子信雄、敵役・吉良上野介に時代劇スターの萬屋錦之介をキャスティングしようと試みます。

プランとしては、吉良上野介の視点による忠臣蔵映画となる予定だったのです。

しかし錦之介側から反対され、大石=錦之介・吉良=金子信雄のキャスティングに落ち着きます

『柳生一族の陰謀』撮影時にも衝突があった、深作と錦之介。この作品でも錦之介はカメラマンの変更を申し出るなど、またも深作と錦之介は衝突します。

結果、当初の構想通りにはならず、オーソドックスな忠臣蔵映画になってしまったと感じざるを得ません。

しかし深作は、途中で脱名する近藤正臣演じる橋本平左衛門のエピソードや、千葉真一と渡瀬恒彦による殺陣などでカバーします。

また、本作にも他の深作作品に通じるテーマが描かれています。

それは権力への反抗というテーマです。

深作欣二は終生このテーマに取り組みました。

本作『赤穂城断絶』では、赤穂浪士たちを幕府、すなわち権力への反抗の象徴として描いているのです。

終盤の柳沢吉保の台詞や、大石の最後の台詞はこのテーマが反映されています。

他の深作作品に当てはめみましょう。

・『仁義なき戦い』:組の上層部=権力側、若いやくざたち=権力への反抗者。
・『バトル・ロワイアル』:大人=権力側、殺し合いをする生徒たち=権力への反抗者。

このような図式になるのです。

参考映像:『仁義なき戦い』(1973)予告編

『仁義なき戦い』も『バトル・ロワイアル』(2000)も権力側の理不尽さによって、狂わされていく若者、その若者の反抗を描いています

時代劇、やくざ映画、ジャンルは違いますが、深作欣二が映画で伝えたいテーマの基本ラインはこの事だと思います。

まとめ

参考映像:『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994)予告編

今回ご紹介した『赤穂城断絶』に不満があった深作欣二監督は、後に今度は松竹で『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994)を監督します。

こちらは忠臣蔵に四谷怪談をミックスするなど、より大胆な翻案がなされています。

この作品でも重要な役で、再び、渡瀬恒彦と近藤正臣が出演しています。

『赤穂城断絶』と併せての鑑賞をお勧めします。

NHK BSを見られない環境や、見逃したあなたに、深作欣二監督作品『赤穂城断絶』はHuluでご覧いただくことが可能です。

また最後にご紹介した『忠臣蔵外伝 四谷怪談』も見られます。

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実はそのほかにも『仁義なき戦い』や、そのシリーズ、『バトルロワイアル』などの深作欣二作品も一緒に見ることができます。

監督が生涯のテーマにした「権力への反抗」を見比べることもできますので、オススメなHuluでの視聴をぜひ考えてみてはいかがでしょう。

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※紹介している情報は2018年1月時点のものです。配信作品の状況が変わっている可能性もありますので、詳細は公式ホームページにてご確認ください。

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