時計館を舞台に、惨劇の幕は再び開く……
2024年に実写ドラマ化され、令和の時代に再び話題となった推理小説『十角館の殺人』。
推理作家・綾辻行人のデビュー作であると同時にすべてが覆される衝撃的な一文が有名で、アメリカの「タイム」誌が選ぶ「史上最高のミステリー&スリラー本」オールタイム・ベスト100に選出されているほどの名作推理小説です。
一方、『十角館の殺人』は以降も建築家の中村青司の建築を推理作家の島田潔が巡る旅、としてシリーズ展開がされていくこととなります。
今回はそんな「館シリーズ」の5作目にして、「十角館の殺人」に並ぶほどの高い評価を得た作品の実写ドラマ『時計館の殺人』(2026)をご紹介させていただきます。
ドラマ『時計館の殺人』の作品情報
【配信】
前編:2026年2月27日
後編:2026年3月20日
【監督】
内片輝、山本大輔
【脚本】
戸田山雅司、早野円、藤井香織、内片輝
【キャスト】
奥智哉、青木崇高、鈴木福、岡部ひろき、吉田伶香、渡辺優哉、阿部凜、藤本洸大、山中崇、今野浩喜、向里祐香、神野三鈴、矢島健一、六平直政、志水透哉
【作品概要】
配信サービス「Hulu」にて独占配信された、推理作家・綾辻行人の「館シリーズ」を映像化したドラマシリーズ第2弾。
前作で「十角館の殺人」の謎に挑んだ大学生の江南を演じた奥智哉と推理作家の島田潔を演じた青木崇高は本作にも続投し、本作には新たに鈴木福や山中崇と言った話題の俳優からベテラン俳優が参加しました。
ドラマ『時計館の殺人』のあらすじ
3年前の1986年、K大学に通う大学生だった江南孝明は、角島の「十角館」で起きた殺人事件の謎を島田潔と解き明かしました。
大学院を修了後、現在は編集者として働く江南は、ペンネーム「鹿谷門実」で推理作家デビューを果たした島田潔と再会します。
そこで江南は、オカルト雑誌「CHAOS」に配属となったこと、9年前に亡くなった時計メーカーの社長が鎌倉に建てた「時計館」の取材に行くことを明かします。
少女の幽霊が現れるという館では、雑誌の特別企画のために《交霊会》を行われるとのこと。島田は時計館が、十角館と同じく建築家・中村青司が設計した建物であることに興味を持ちますが、小説の締め切りが近いために参加を見送りました。
しかし交霊会当日の夜、参加メンバーの一人が姿を消します。そして閉ざされた館の中では、仮面を被った正体不明の何者かが、江南たちに襲い掛かります。
ドラマ『時計館の殺人』の感想と評価
108個の時計が奏でる惨劇の3日間
「時計館の殺人」は被害者の人数がシリーズ内だけでなく、「ミステリ」というジャンル内でもトップクラスに多い作品です。
外部と隔絶された状況で次々と起こる殺人は原作の段階から恐怖描写全開で描かれており、「Another」や「殺人鬼」といった「ホラー」も手掛ける綾辻行人らしい作品となっています。
そんな「時計館の殺人」の映像化である本作も、仮面の殺人者による殺人の数々が無機質かつ残酷に映像化されており、施錠もバリケードも意味をなさないどこから来るか分からない殺人者の恐怖が、スラッシャードラマと言っても過言ではないほどに、「ホラー」描写たっぷりに描かれていました。
常識を覆すトリック
綾辻行人の「館」シリーズといえば、読み手の先入観を利用し文章で騙す「叙述トリック」が有名であり、「十角館の殺人」は日本の推理小説における「叙述トリック」作品の代表作とも言えます。
「館」シリーズ内には他にも「叙述トリック」の作品は存在しており、作中にも登場した「迷路館の殺人」も「叙述トリック」の名作として知られています。
そんな「叙述トリック」の代名詞といえる「十角館の殺人」の映像化とは異なり、「時計館の殺人」は構成に工夫はあるものの「叙述トリック」ではないため、前作に比べて映像化の難しさを感じるものではありませんでした。
しかし、たったひとつの種明かしですべてが覆るという、前作と同じ衝撃の種明かしは原作同様に印象的であり、小説でしか味わえなかった衝撃がドラマで味わうことが出来る良質な映像化となっています。
まとめ
ひとつの常識を覆すだけで旧館内で発生するあらゆる違和感の正体につながるという、結末を知った後に誰かに言いたくなるほどの驚天動地のトリック。
抜け道の存在が最初から明かされており、密室殺人の謎もすぐに解明されるものの、最後のトリックだけはきっとあなたの想像を裏切ってくるでしょう。
そんな、名作小説の映像化ドラマは「Hulu」にて独占配信中、ぜひとも綾辻行人によるホラーミステリの世界を映像でも楽しんでみてください。


































