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Entry 2021/03/05
Update

実話映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー 』ネタバレ感想評価と結末解説のあらすじ。ピンチャス・ローゼンバウムを‟ナチスになりすました男”として戦争サスペンス救出劇として描く

  • Writer :
  • 秋國まゆ

ナチス兵に成りすました青年が、ユダヤ人救出のために奔走する戦争サスペンス

マーク・シュミットが原案の担当・監督を務めた、戦争サスペンス映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』。

本作は実在のピンチャス・ローゼンバウムをモデルに映画化された、2014年製作のアメリカ・カナダ・ルーマニア・ハンガリー合作映画です。

第二次世界大戦下のハンガリーでナチス兵に成りすまし、同じユダヤ人たちを救おうとする青年の姿を描いた物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

戦争サスペンス映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』の作品情報


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2018年(アメリカ・カナダ・ルーマニア・ハンガリー合作映画)

【脚本】
ケニー・ゴールド

【監督・原案】
マーク・シュミット

【キャスト】
ジョナス・アームストロング、ハンナ・トイントン、ベン・キングズレー、チャールズ・ハベル、ウィリアム・ホープ、サイモン・クンツ、サイモン・ダットン

【作品概要】
マーク・シュミットが原案を考え、監督を務めたアメリカ・カナダ・ルーマニア・ハンガリー合作の戦争サスペンス作品です。

ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の『未経験ゾーンの映画たち2018』で上映された作品でもあります。

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)のジョナス・アームストロングが主演を務め、『ガンジー』(1983)『サンダー・バード』(2004)「アイアンマン3」(2013)などに出演するベン・キングズレーが共演。

映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』のあらすじとネタバレ


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

第二次世界大戦において、ナチス・ドイツ同盟国のハンガリーは当初、戦火を免れていました。

しかし、戦況が連合国側に傾いたことで、ハンガリー政府は連合国との講和を模索。ドイツがその思惑に気づいたことで、両国間に緊張感が漂います。

1944年冬、 ナチス軍はハンガリーに侵攻し、連合国のソ連軍と激しい銃撃戦を繰り広げています。

ナチス軍に侵攻される9カ月前の1944年の春。ハンガリーのブタペストでは、一部のハンガリー人によるユダヤ人差別はあったけれど、人々は戦争のことなど気にもかけず、ダンスや他のことに現を抜かしていました。

レコード店に勤めるユダヤ人大学生のエレク・コーエンは、友人のフレンツとライラシュと共にクラブへ赴き、そこで出会ったハンナやレイチェルら3人の女性とそれぞれ恋に落ちました。

しかし、エレクたちが幸せな夜を過ごした翌日。ナチスの親衛隊は国境を越え、ブタペストへ侵攻してきたのです。

たった一晩で戦争の矢面に立たされてしまったブタペスト。エレクとフレンツが働くレコード店のユダヤ人店主ヨージェフは、2人に少ない売上金を渡し、「戦争で街が完全に封鎖される前に、これを使って故郷の村に帰った方が良い」と言います。

エレクとフレンツは汽車に乗り、故郷の小さな村へ帰りました。しかし帰った矢先、ナチスから村のユダヤ人男性は、明日労働奉仕に駆り出されることを知ります。

エレクはとりあえずフレンツと別れ、父親のラビと一緒に家族が待つ家へ帰ろうとしました。

そこへ、コーエン一家とフレンツ一家と家族ぐるみの付き合いがあるハンガリー人の村人、バレスが声をかけてきます。

「ドイツ人が来たらユダヤ人は酷い目に遭ってしまう。もし逃げるなら力になれるかもしれない」と。

これに対しラビは、自分の信徒を放って自分だけ村を離れることなんてできないと言い、バレスの話に全く耳を貸そうとしません。

エレクはバレスの言葉に興味を抱き、ラビに内緒で夜こっそり彼と会うことにしました。バレスがエレクを連れて行ったのは、教会でした。

エレクは神父から、母親のアンナと幼い弟のアブラム、妹のソフィアにラビ、そして自分の分も含めて5人分の洗礼証明書を受け取りました。

そして出発当日、エレクはソフィアに洗礼証明書を渡し、「これを家のどこかに隠しておいて。何か問題が起きたら父に渡して、説得するんだ」と言います。

もし家族に何か起きた時、洗礼証明書を持っていればナチス兵から逃げられるかもしれないと信じて…。

その後、エレクはフレンツらユダヤ人男性と一緒に、ナチス兵に西部国境地域にある、ユダヤ人労働収容所へ連れて行かれました。

そこでユダヤ人労働収容所の所長から告げられたのは、道路の整備や橋梁の建設などの国の重要事業に力を尽くしてほしいとのことでした。

働きが良ければ家族の元に帰れますが、もし脱走を試みた場合は絞首刑に処されます。

所持品を奪われたエレクたちは、家族の元に無事に帰るため、恐怖に怯えながら所長たちナチス兵に従うしかありませんでした。

一方、ブタペストの街に拠点を築いたナチスの親衛隊。アイヒマン中佐はユダヤ人評議委員会のシュテル議長を呼び出し、ユダヤ人に対する制限事項を告げます。

それは、ラジオや電話、旅行の禁止と夜間の外出禁止。それからユダヤ人は全員、星マークを付けた衣服を着用せよとのことでした。

エレクたちはユダヤ人労働収容所に収監されて以降、来る日も来る日もずっと、ナチス軍が残した戦争の爪痕を追い、働き続けていました。

仕事内容は、戦いで壊れた線路の修復や塹壕の掘削、ナチス軍が殺した死体の埋葬。所長は体が弱った者にも容赦なく働かせ、動けなくなれば銃を使って躊躇なく殺していました。

その頃、ハンガリー政府の首脳であり摂政ホルティの失脚を狙う、ハンガリー人至上主義の矢十字党の党首サーラシ・フェレンツは、アイヒマン中佐に提言します。

「ナチス軍の意向を国政に反映させることができれば、政治の力でハンガリーからユダヤ人を排除できる」と。

橋の上にある線路の修復作業をしていたエレクとフレンツは、別の場所で作業していたユダヤ人男性が足を負傷したせいで、所長に殺されそうになっている場面を目撃します。

その時、アメリカ軍の戦闘機が4機、橋に接近。エレクたちもろともナチス兵に攻撃を仕掛けてきました。

エレクとフレンツはその混乱に乗じて、橋から下の川へ落ちて森の中へ逃げ込み、そのまま故郷に帰ろうとします。

それに気づいて邪魔をする所長。近くに落ちたミサイルによる爆撃の衝撃で、所長がバランスを崩した隙を狙い、エレクは彼が持っていた銃を奪いました。

所長はエレクたちを見逃す素振りを見せたものの、実際はそうは思っておらず、エレクの不意を突いてピストルで殺そうとします。

そんな所長を撃ち、エレクたちを救ったのは足を怪我して動けなくなったユダヤ人男性です。エレクたちは、彼のおかげで脱走することが出来ました。

しかしエレクは、所長が実はハンガリー人だったことから誰も信用できなくなり、通りには出ず森の中を歩き続けることにしました。

エレクたちは無事、故郷へ帰還。ようやく家族に会えると、2人はそれぞれの家へ戻ります。

しかし、フレンツの家にはハンガリー人の村人一家が勝手に暮らしており、家族の姿はありません。

フレンツは、彼に殺されそうになりながら家を追い出されることに…。エレクの家にも家族は誰もおらず、荒らされた部屋には家族写真を入れた写真たてがあり、裏には洗礼証明書が挟んでありました。

村の住人は皆、当然のようにユダヤ人を見捨て、故郷を奪った。その事実に、エレクたちの心は深く傷ついてしまいました。

そんなエレクたちに声をかけたのはバレス。彼はエレクたちに、労働奉仕命令を出した本当の理由を話してくれました。

労働奉仕命令を出し、村からユダヤ人男性を追い出したのは、そうすれば女子供を簡単に追い出せると考えたからです。

エレクたちはバレスから、離散した家族や他のユダヤ人は皆、ナチス兵に西へ連れて行かれたと聞き、家族を探すため村を出ます。


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ナチスの列車に乗ったスコルツェニー中佐は、ブタペストに到着。ホルティの元へ向かいました。

ホルティは秘書であり息子のミクローシュと、民族の浄化を進めるベルリンのヒトラー総統に従うのではなく、同胞の粛清を続けるソ連のスターリン首相に休戦協定を持ち掛けようと話していました。

そこへ、アイヒマン中佐とサーラシを伴ったスコルツェニー中佐が到着。彼はアイヒマン中佐がユダヤ人の統制を行い、自分が石油の生産管理をすると告げます。

それを勝手に決めたのはサーラシです。彼にそんな権限はないと主張するホルティたちに対し、スコルツェニー中佐は「ベルリンに従わなければ、我々への反逆とみなす」と脅します。

一方、貨物車に忍び込んでブタペストの街に戻ってきたエレクたちは、ヨージェフを探しました。

エレクたちに気づいた、ヨージェフのアパートの隣人は、彼らに「ヨージェフたちは、ブタペストのバイノク通り18番地にあるユダヤ人専用アパートに移送された」と教えます。

そこにはハンナとレイチェルが家族と一緒に暮らしており、ヨージェフの姿もありました。エレクたちは無事、ハンナたちと再会。彼らに、離散した家族の居場所を知っているか尋ねます。

しかし、アパートの部屋にいたユダヤ人は誰1人行方を知らず…。

そこで分かったのは、ハンナの伯母から送られた絵葉書にある、ポーランドのアウシュヴィッツにいるのではないかということと、イスの保護証書がブタペストの街にいるユダヤ人の命綱になっていることだけでした。

以下、『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』ネタバレ・結末の記載がございます。『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


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ハンナは仕事の帰り、クラブから出てきたナチス兵2人に絡まれ、アパートまで追い回されてしまいます。

ハンナは走って逃げ、エレクたちや家族がいる部屋に帰ることが出来ましたが、ナチス兵2人に捕まって別室に連れ込まれてしまいました。

ハンナが襲われるのを阻止しようとした、ハンナの父親はナチス兵に殺され死亡。

エレクは襲われているハンナを助けようと、ハンナが連れ込まれた扉に体当たりし、ナチス兵から奪ったピストルで、彼女の上に跨っていたもう1人のナチス兵を殺します。

そんなエレクも、ピストルを奪ったナチス兵に殺されかけますが、錯乱したハンナが彼を棒で殴殺。

エレクはハンナを宥めた後、フレンツやヨージェフと一緒にアパートの地下に、死んだナチス兵2人の遺体を埋めました。

ナチスの親衛隊による捜索と、他の住人からの密告を恐れたヨージェフたちは、エレクたちを連れ、「ガラスハウス」という場所へ助けを求めることにしました。

そこはハンナのおじ、スイス大使館の別館「ガラスハウス」を管理するミクロスが、ユダヤ人を外交の力で救おうと、スイス市民に国籍を変更できる保護証書を発行している場所でした。

ミクロスは、ハンナたちをガラスハウスへ避難させることを許可し、そこにいたライラシュと共に、エレクとフレンツに保護証書の配達をお願いしました。

エレクは離散した家族の情報を掴めるかもしれないと希望を持ち、ライラシュたちと一緒に保護証書の配達へ向かいます。

しかしエレクたちが街で見たのは、ラジオを使っただけでナチス兵に殺される、ユダヤ人たちの姿でした。

エレクは、殺された母親に縋りつく息子アダムを保護します。エレクはハンナに相談し、孤児を預かっている修道院に勤める彼女の幼馴染、マルケタに頼んで保護してもらうことにしました。


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一方スコルツェニー中佐は、街にスイスへ国籍変更できる保護証書が出回っていると知り、ホルティと面会中のカール・ルッツ領事を詰問しに行きます。

スイスのルッツ領事は、中立国スイスに血縁を持つユダヤ人が、ブタペストだけでも7,000人以上いると知り、彼らを救うべくスイス政府に保護証書の発行を要請したのです。

ユダヤ人の国籍変更を認めないと言うスコルツェニー中佐と、ドイツと連合国の橋渡し役を担い、外交面で協力してくれるスイスとの関係を、何千人のユダヤ人だけの為に悪化させる気かと反論するホルティたちの意見は対立します。

ホルティはその夜、ミクローシュを伴ってスターリン首相の秘書と密会。連合国とハンガリーの双方が出す、休戦協定を結ぶための降伏条件について話し合いました。

その頃エレクは、ハンナたちと一緒に20万人いる街のユダヤ人を救うべく、公式では7,800人分しか発行できないスイスの保護証書を発行・配達し続けていました。

しかしフレンツが、街を巡回していたコヴァルツたち矢十字党員に捕まってしまい、保護証書の出所を吐けと拷問されます。

エレクとライラシュはフレンツを救うため、死んだナチス兵の制服を着て彼らに成りすまし、ナチスの親衛隊の拠点に潜入しました。

何とか適当な理由をつけ、フレンツを救い出したエレクたちでしたが、玄関先で遭遇したアイヒマン中佐に、エレクの顔が知られてしまいました。

これをエレク本人から聞いたミクロスは、「君の無謀な行いによって、何千人もの命が危険に晒された!」と忠告します。

ミクローシュは豪雨の中、再びスターリン首相の秘書と密会。連合国が出した降伏条件を全て飲むと伝え、休戦協定を締結させる書類を手渡しました。

次の日、街にはソ連とハンガリーが休戦協定の合意に達したことで、戦争が終結したとのラジオ放送が流れます。

普通なら降伏した国の人々は嘆くものですが、エレクたちユダヤ人にとっては何よりも喜ばしい吉報でした。


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

しかし、ナチスの親衛隊はホルティたちがいる建物を襲撃し、ホルティとミクローシュを拘束。それ以外の政府職員は射殺しました。

エレクたちが嬉々として駆けつけたラジオ局も、無理矢理政権を奪ったサーラシによる差し金で動いた矢十字党によって占拠され、こんな放送が流されます。

「矢十字党のサーラシ首相が、ドイツ帝国との連携を確立した。前政権が画策した休戦協定の実施は見送られました。これからもハンガリー軍は祖国のため、一丸となってソ連軍と戦います」と…。

その直後、矢十字党は街にいるユダヤ人をトラックに乗せて拉致したのち、1人ずつ射殺していきます。

エレクとライラシュはレイチェルが、他のユダヤ人と一緒に捕まったと聞き、再びナチス兵に成りすまし、ユダヤ人の処刑を中止するよう求めました。

しかし、その訴えもコヴァルツによって却下され、最後に残ったレイチェルも目の前で殺されてしまったのです。

サーラシが政権を握って以降、事態はますます悪化し、サーラシは矢十字党の集会でユダヤ人をハンガリーから一掃すると宣言します。

村から追い出されたラビたちユダヤ人は、アイヒマン中佐の部下ヴィスリツェニー率いるナチス兵によって、アウシュヴィッツに連れて行かれました。

そして1日1万人のペースで、ユダヤ人は毒ガスが充満する建物の中に閉じ込められ、殺されてしまいます。

それを知らないエレクは、家族の情報を掴むべく、単独でナチス兵に成りすましてクラブに潜入。そこで中尉とナチス兵から、「今週から6週間かけて、村に住むユダヤ人を北から1人残らず拉致し、鉄道駅まで歩かせて毒殺する」という情報を得ます。

しかもその場所は、絵葉書にあったアウシュヴィッツ。エレクは、ナチス兵の残酷な計画を知って呆然とします。

最後まで戦うと決心したエレクは、ライラシュたちと一緒に昼夜を問わず、ナチス兵に成りすましてユダヤ人を救出、ガラスハウスに避難させていきました。

しかし、ガラスハウスに避難する人が増えれば増えるほど、安全な場所とはいえなくなってしまいます。

ガラスハウスに来たノヴァック神父は、エレク・ハンナ・ミクロスに、「誰かに密告されて、匿っていたユダヤ人が矢十字党に捕まって、川に連れて行かれた」と伝えました。

エレクはライラシュたちと一緒に、ナチス兵に成りすまして川へ行き、コヴァルツたち矢十字党員がユダヤ人を虐殺しているのを阻止しようとします。

列に並ばされたユダヤ人2人が脱走したことをきっかけに、エレクたちはそれぞれ持つ武器で戦いました。

激しい銃撃戦の末、エレクたちは矢十字党員を退けることが出来ましたが、敵の機関銃によってライラシュが死んでしまったのです。

フレンツはライラシュの死をきっかけに、エレクにもう協力できないと告げます。

さらにフレンツは、ユダヤ人を殺すナチス兵や矢十字党に自分たちは何もできないのに、どうして自分の命を危険に晒してまで、ユダヤ人を助けることにこだわるのだと問いかけました。

これに対しエレクは、「もう何もないからだ! 愛する者やそれまでの生活、何から何まで全て奪われ、消えてなくなってしまったんだ! 自分たちのような辛い思いを他の誰かにさせないために、ユダヤ人を多く救わなきゃならない」と答えます。

エレクはルッツ領事に協力を頼み、スイスの保護証書の有効性を利用して、今度はオーストラリアに連れて行かれるユダヤ人を救おうとしました。

しかし中尉に見つかり、新聞紙の切れ端を保護証書にして、脱走を試みるユダヤ人がいることがバレてしまいます。

保護証書を持つユダヤ人を救うことは出来た反面、保護証書を持たないユダヤ人100人以上が列から切り離され、エレクたちの目の前で機関銃で殺されてしまうのです。

呆然としながらガラスハウスに戻ったエレク。ハンナはそんな彼を抱き締め、慰めました。

一方、ナチスの親衛隊はヒトラー総統によって、西部へ拠点を移すことを却下され、最後まで残って戦うよう指示されます。

これに対しアイヒマン中佐は、ヴィスリツェニーにブタペストの現場指揮を任せ、ベルリンへ1人逃亡しました。


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ナチスの親衛隊を逃がさぬよう、街を包囲しにかかるソ連の赤軍、陸軍第23兵団。エレクはナチス兵に成りすまし、矢十字党の集会に潜入します。

そこでエレクは、サーラシたちがガラスハウスを襲撃し、ミクロスをスパイとして殺そうとしていることを知りました。

矢十字党により、ガラスハウスは爆撃を食らい、ミクロスたちスイス大使館の職員は捕まり、殺されそうになります。

そこへルッツ領事が駆けつけ、ガラスハウスへの侵入はスイス領への侵入だと言い、今すぐユダヤ人の処刑を止めるよう命じました。

コヴァルツはルッツ領事の命令に従う素振りを見せたものの、彼とユダヤ人を解放後、死んだユダヤ人に駆け寄るミクロスを射殺します。

エレクはガラスハウスへ戻るべく、遭遇したナチスの親衛隊の列に紛れ込もうとしました。

その瞬間、近くの廃墟に潜んでいたソ連軍が狙撃。これを皮切りに、ソ連軍はナチスの親衛隊に猛攻撃を仕掛けます。

エレクはナチス兵の死体に紛れることで回避し、ガラスハウスに戻ってフレンツと合流。彼からミクロスの死と、地下にユダヤ人を避難させたことを聞きました。

しかしそこに、ハンナとヨージェフがいないことに気づいたエレクは、フレンツから2人が戦争に巻き込まれた修道院へ向かったと聞きます。

ハンナたちは爆撃を避けながら、修道院にいたマルケタやアダムたちを連れ、ガラスハウスへ避難しようとしました。

しかし、その途中でヴィスリツェニー率いるナチス兵が検問しているのを目撃。すぐさま引き返そうとしましたが、その前にヨージェフたちは、コヴァルツたち矢十字党員に見つかってしまったのです。

スイスの保護証書を破り捨てられ、殺されそうになるヨージェフたち。そこにエレクが駆けつけ、彼らの処刑を中止するよう求めます。

さらに中尉が現れたことで、事態はますます悪化。そこへ騒ぎを聞きつけたヴィスリツェニーが現れ、ユダヤ人の女子供を殺すよりも、今はソ連軍を何とかしろと命じます。

コヴァルツたちや中尉がそれに従って離れようとした時、ハンナと一緒にいたアダムがエレクに駆け寄り、彼の名前を呼んでしまうのです。

エレクの正体に気づいた中尉は、振り向きざまに彼へ銃を発砲。そんな中尉はヴィスリツェニーが射殺し、ハンナたちを見逃しましたが、エレクは致命傷を負い、意識を失いました。

それから13年後、1957年のアメリカ・ニューヨーク。戦後、養子に出されたアダムは、結婚したハンナとエレクの養子となり、ニューヨークで出会ったマリヤと結婚しました。

アダムの結婚式に参加するのは、あの戦争を生き延びたルッツ領事たち。エレクは彼らに死んだ者たちの面影を重ねつつ、ハンナと幸せそうに見つめていました。

映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男』の感想と評価


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

レコード店で働くユダヤ人の青年エレクが、ナチス兵に成りすまし、自分と同じユダヤ人を救出していく戦争サスペンス作品です。

突然のナチスの労働奉仕命令、村人の裏切り、救えなかったユダヤ人たちと家族、仲間の死。

こんな辛くて悲しすぎる現実に直面し、そのたびに心を傷つけられ、打ちのめされていくエレクの姿が痛ましくて、思わず目を背けたくなるほど悲しいです。

ナチスの親衛隊や矢十字党に支配され、虐殺されていくユダヤ人の視点で描かれていくストーリー。

ユダヤ人がナチスやハンガリーの人々に、一方的に殺されなくてはならないほどの何かをしたのかと怒りたくなるほど、彼らが行った行為は冷酷非道なものばかりでした。

そんなナチスの親衛隊のスコルツェニー中佐と最後まで戦い、言葉だけで渡り合ったホルティとミクローシュ、ルッツ領事の活躍は本当に素晴らしかったです。

連合国のソ連と、無事休戦協定を結び、戦争が終結したとエレクたちが喜ぶのも束の間、次の場面でスコルツェニー中佐と矢十字党によって、彼らは一気に絶望へと叩き落されます。

エレクやフレンツたちがナチス兵に成りすまし、多くのユダヤ人を救っていきますが、ナチスの親衛隊や矢十字党に邪魔されて救えなかった展開もありました。

その上げては落とす演出に、エレクたち同様、観ているこちらも一喜一憂することでしょう。

このようなドキドキハラハラするスリルと、絶望と喜びが繰り返しやってくる展開に、戦争映画好きはドハマりすること間違いなしです。

物語のラストでは、死んだかと思ったエレクが生きており、ハンナと結婚してアダムの養父となっていたことが描かれた後日談があります。

これまでの彼らの苦難を見てきたからこそ、胸にグッとくるものがあって感動しました。

また、エンドロール前には、本作のモデルとなったピンチャス・ローゼンバウムと実在したナチス兵、それらの写真とキャストの顔が並んだ映像が流れ、その後の彼らの消息が伝えられます。

戦争がもたらす重苦しい結末に胸が締め付けられることでしょう。

まとめ


(C)2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

第二次世界大戦下のハンガリー・ブタペストで、多くのユダヤ人を救ったピンチャス・ローゼンバウム氏を、ジョナス・アームストロングが演じた戦争サスペンス作品でした。

ジョナス・アームストロング演じるエレクが、フレンツやライラシュたちと一緒にナチス兵に成りすまし、命懸けでユダヤ人救出作戦に挑む物語は、どの場面もドキドキハラハラする場面ばかりです。

エンドロール前に描かれた後日談、そこでは逃げたアイヒマン中佐を含め、ユダヤ人を眩しめ虐殺したナチス兵や矢十字党は絞首刑に処されたことなど、実在したローゼンバウム氏たちがその後どうなったのかが語られています。

エレクたちユダヤ人にとって、辛く悲しい現実でしかないことばかり起きてしまいます。けれども、エレクとハンナの恋模様や、ユダヤ人同士の絆とエレクたちの友情が描かれた場面もあったので、心が和みウルッとしました。

そして何より、エレクたちユダヤ人があの戦争を生き延び、ニューヨークで皆幸せに暮らしているという事実が、嬉しくて仕方がなく、思わず涙が溢れました。

ナチス軍と連合国の戦いと、エレクたちと矢十字党による銃撃戦は、ピストルや機関銃などの銃器や手榴弾、ミサイルが使用された迫力満点なアクションばかりです。

戦争映画やアクション好きにとって、大興奮すること間違いなしでしょう。

ユダヤ人の視点で描かれた第二次世界大戦と、ナチスが支配するブタペストで、ユダヤ人を1人でも多く救おうとした青年の奮闘劇が描かれた戦争サスペンス映画が観たい人にとって、とてもオススメな作品です。

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