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『六月の蛇』動画無料視聴はHulu!ネタバレあらすじと感想レビュー

  • Writer :
  • 山田苺

世の中には奇妙な映画がたくさんあり、そういった映画はラストが非常に暗かったり、異常に難解だったりすることが多いと思われます。

『野火』の監督・塚本晋也の過去作には、明らかに万人受けしなさそうなジャンルにも拘らず、そのラストは誰でも感動できるという、作風から想像できそうできなかった地点に着地します。

映画ファンの間でも、監督のこれまでの作品にしては、かなり楽観的に捉えることができると言われていています。

1.映画『六月の蛇』の作品情報


(C)2002 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

【公開】
2002年(日本映画)

【監督】
塚本晋也

【キャスト】
黒沢あすか、神足裕司 、塚本晋也 、寺島進、田口トモロヲ、鈴木卓爾

【作品概要】
セックスレスゆえに、人知れず欲求を抱ええる女と、それに一切目を向けない潔癖症の男の夫婦、さらに妻の性事情を盗撮する男による歪んだ性を描いたスリラー。

普段は悩み相談を受けつける電話窓口で働く清楚な女性が、異常な性癖に身をゆだねていく様はもはや圧巻の一言です。

字面にすると、非常にアングラな雰囲気が漂っていますが、夫婦と男の運命が交差することで、ラストはなぜだか感動してしまうエモーショなるな作品でもあります。

監督の塚本晋也は盗撮をする男を自身で演じているのもポイントで、他にも寺島進、田口トモロヲなど今では有名人名俳優がチョイ役で出ているのも、改めて見てみると面白いです。

第59回ヴェネツィア国際映画祭にて「コントロ・コレンテ」部門の審査員特別賞を受賞。また、辰巳りん子役を務めた黒沢あすかは、第13回東京スポーツ映画大賞の主演女優賞を獲得しています。

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2.映画『六月の蛇』のあらすじとネタバレ


(C)2002 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

梅雨が続く東京の、立派なマンションに住む辰己夫妻。

妻の辰己りん子は様々な悩みを受け付ける“心の健康センター電話相談室”で、優秀なカウンセラーとして勤めています。

その働きぶりは、子供が電話をしてきて、りん子の対応に親が直接出向いて感謝するほどでした。

一方夫は優秀なサラリーマンですが、異常なまでの潔癖症。

夫婦はここしばらく夜を共にしておらず、りん子は一人その欲求を持て余していました。

ある日、以前電話で死にたいと言っていた男性・飴口道郎から、再度窓口に電話が来ます。

道郎はりん子に「本当にやりたいことを見つけた」と嬉しそうに言って彼女に感謝し、死ぬことはやめたといいます。

ある日、りん子宛にひとつの封筒が届き、その中には自宅で自慰行為に耽っているりん子の写真が無数に入っていました。

怯えるりん子に追い討ちをかけるように電話が鳴ります。それは自宅ではなく封筒には行っている携帯電話でした。

電話の相手は、窓口に電話してきた道郎でした。

道郎は写真を返して欲しければ言うとおりにするよう指示し、数日前に彼女は部屋でこっそり履いていた非常に短いスカートを、町でも履いて歩けというものでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『六月の蛇』ネタバレ・結末の記載がございます。『六月の蛇』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

しかし写真を返してもらうために、りん子は男に言われたとおり、スカートを持って駅の公衆トイレに入ります。

そこでスカートに着替えると、道郎は下着は履くなと言い、要求をエスカレートさせます。

周りの目を気にしながらも、指定された格好でデパートを歩き、指示通りにしたりん子は写真を返すよう言いますが、道郎はまだ終われないと、次の要求を出します。

それはアダルトグッズの店に行き、「こけし」を買って、それをつけたまま八百屋に行って棒状の野菜を買うという常軌を逸したものでした。

りん子はほとんど泣きながら指示に従い、最後には個室で自慰行為をするよう指示まで受け、無事に写真を返してもらうことは出来ました。

それと同時に、りん子は何か隠していた性的欲望に気付き始めます。

しかし、再び道郎から電話が来ると、りん子に病院に行くようきつく言い放ちます。

彼女は乳がんを患っており、胸を切除する必要がありました。

そして道郎が彼女の病気に気付けたのは、彼自身もガンで余命わずかとなっているためでした。

夫はりん子だけでなく家庭や自分の母でさえ、逃げるように振る舞います。

夫の母が亡くなったときも、わざと仕事仲間と飲みに行ったり、喫茶店で時間をつぶしたりしている始末でした。

りん子の病気の話を聞いたときも、彼女の心配よりも胸の切除を嘆くようなことしか言いませんでした。

そんな夫に、りん子は手術をする必要はなくなったとウソをつき、それに気付かず夫は安堵します。

ある時、夫は道郎が撮った妻の写真を見つけると、道郎から電話があり、夫の日常を全て見透かすようなことを言いだし、夫は不審がります。

写真も彼が撮ったものだと知った夫は、突如何者かに連れ去られます。

そこは男女を強制的に性行為させた後、水を流しておぼれさせるという見世物小屋のようなところでした。

夫はあの見世物小屋とりん子が何か関係しているのではないかと考え、りん子を尾行します。

しかし、りん子は尾行されている間も道郎の指示を受けていて、彼女は最初の頃よりもずっと解放的に短いスカートを履き、路地裏で自慰行為に及びます。

さらに誰もいない駐車場に入っていくと、突如道郎が乗った車が夫の横を通り過ぎます。

りん子はその車の前で服を脱ぎ、全裸になるとカメラのシャッターが何度も切られます。

それに合わせるように、りん子は自慰行為をはじめると、覗き見ていた夫も一人で自身を慰めます。

道郎は全裸になったりん子がまだ胸を切除していないことに、愕然とします。

やがて夫婦はそれぞれ果てると、道郎は別のカメラを取り出して、恍惚としたりん子を取り続けます。

♂♂♀

道郎は写真を返すよう再び道郎に電話をしますが、写真を餌にお引き出された夫は、道郎に暴行を受けます。

さらに股間から真っ黒な蛇のような職種を夫に巻き付け、りん子に手術させなかったことを責めながら、ひたすら殴り続けます。

道郎は再びりん子に電話をかけると、彼は電話の向こう側で静かに息を引き取ります。

りん子も後を追うと言うと、そこへ夫が傷だらけで帰ってきます。

道郎に言われた言葉でりん子の想いを知った夫は、りん子を求めると、未だある乳房を見て泣き出します。

それでも2人はひたすら体を重ね続けるのでした。

3.映画『六月の蛇』の感想と評価


(C)2002 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

この映画がエロティックものにも関わらず、見た後に凄く好感が持てるのは、「この作品でこういうことをやってやりました」という見せ付けた印象ではなく、「この作品でこういう内容を描きたいんだ!」という熱量が凄く感じれた点です。

低予算ながらも、演出が非常に凝っていたり、作品の雰囲気にそぐわない、以外にもハッピーエンドに近い終わり方をしているので、そう感じるのかもしれません。

ラストの駐車場でりん子のワンマンストリップショー(正確には一人覗き見してる人がいますが)にしても、ただカメラでシャッター切ってるだけで、普通のエロティック映画ならなんともない描写が、塚本監督独自の演出によって、まったく目が離せないシーンになっています。

まとめ

実は、いわゆる有名タイトルを丸パクリしたエロティック映画以外は、ストーリーや完成度でも非常に高いものが多いです。

今回は邦画をご紹介しましたが、洋画も同じです。『それでも夜が明ける』でアカデミー賞を受賞した監督の過去作はセックス依存症を抱えた男性の話ですが、これもすごくいい映画なんです。

どうせR-18なんて、いかがわしい事しかしないような映画でしょ?と想っている方も、食わず嫌いせず、少しでも興味を持った人は騙されたと思って一度見ていてください。(いかがわしい事はたいていしてますが)

今まで見た映画とは違うのに、ついつい見てしまう怪しい魅力が詰まっていること必須です。

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作品によって追加料金がかかるVOD(定額制動画配信サービス)もありますが、Huluは全作品見放題というのも安心して使えるお薦めのポイントですね!

※紹介している情報は2017年10月時点のものです。配信作品の状況が変わっている可能性もありますので、詳細は公式ホームページにてご認ください。

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