原作・宮月新、作画・近藤しぐれによる同名コミックを主演・橋本環奈で実写映画化
平和な高校生活を送っていた36人の生徒が、担任教師に「自殺催眠」をかけられた事で、生き残りをかけたデスゲームを開始する事になる映画『シグナル100』。
同名人気漫画を原作に、普段の何気ない行動が、命を奪われる「シグナル」に繋がる恐怖を描いた本作は、主人公・樫村怜奈を橋本環奈が演じ、担任教師の下部役を中村獅童が務めています。また共演に小関裕太、瀬戸利樹など若手キャストが多数出演。
『GANTZ』の渡辺雄介による脚本を、『さまよう小指』『春子超常現象研究所』で知られる竹葉リサ監督が演出を務めます。
36人の高校生が繰り広げるデスゲーム・スリラー映画『シグナル100』をご紹介します。
映画『シグナル100』の作品情報
【公開】
2020年公開(日本映画)
【監督】
竹葉リサ
【原作】
宮月新、近藤しぐれ
【脚本】
渡辺雄介
【キャスト】
橋本環奈、小関裕太、瀬戸利樹、甲斐翔真、中尾暢樹、福山翔大、中田圭祐、若月佑美、前原滉、栗原類、恒松祐里、工藤綾乃、中島健、三上紗弥、鈴木つく詩、白石拳大、北村優衣、市川理矩、小出水賢一郎、中村獅童
【作品概要】
原作・宮月新、作画・近藤しぐれによる人気漫画『シグナル100』を原作に、主人公の樫村怜奈と周囲の生徒達による、命をかけたデスゲームを描いたスリラー。出演は、4年ぶりの映画単独主演となる橋本環奈を始め、小関裕太や瀬戸利樹など、日本映画注目の若手俳優が集結。
監督は、2014年に初の長編作『さまよう小指』が、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014」で最高賞とシネガーアワードをW受賞するなど、注目の監督、竹葉リサ。
映画『シグナル100』あらすじとネタバレ
聖新学園の高校3年生、樫村怜奈は、親友の小泉はるか、サッカー部所属で、女子の人気が高い榊蒼汰たちと、楽しい学園生活を送っていました。
11月3日、文化の日の特別授業として、怜奈が所属するC組の生徒は、学校の視聴覚室に集まります。
視聴覚室では、担任の下部が作り出した、不気味な映像が流され、C組の生徒たちは全員、その映像を見てしまいます。
映像の上映が終了した後、その日、遅刻してきた生徒が、自ら教室の外に身を投げます。
突然の事に騒然とするC組の生徒たちですが、その後も次々と、生徒たちが自ら窓の外に身を投げて絶命していきます。
混乱するC組の生徒たちの前に、下部が姿を現します。
下部は、先程全員が見た映像には、生徒を「自殺催眠」にかける効果があった事を語ります。
「自殺催眠」は、「遅刻をする」「涙を流す」など、普段の何気ない行動がシグナルとなっており、シグナルが発動すると、自ら命を絶つ行動を取ってしまうという、恐ろしいものでした。
シグナルの種類は、100種類となります。
話を聞かされた、はるかは、スマホで助けを呼ぼうとしますが「スマホを使う」もシグナルの為、絶命します。
怜奈はショックを受けますが、泣く事もシグナルの為、涙を流せません。
下部は「これは、大人になった時の訓練である、大人になると少しのミスで大炎上する、だから動きを規制する必要がある」と、身勝手な言い分を並べた後、「自殺催眠」を解除するには「最後の1人になる」事が条件であると説明します。
下部に逆上し、殴りかかった生徒も、自ら絶命します。
「他人に暴力をふるう」もシグナルの1つでした。
下部の身勝手な言い分に、怜奈が反抗します。
下部は、怜奈に「ちゃんと進路を考えろ」と言い残し、自分も窓から身を投げました。
映画『シグナル100』感想と評価
高校生36人が、担任教師により「自殺催眠」をかけられた事で始まる、命がけのゲームを描いた『シグナル100』。
いわゆる「デスゲーム」を描いた作品で、有名どころだと、2000年に公開され、社会的に賛否両論が巻き起こおこった映画『バトル・ロワイアル』や、人気小説を題材に映像化された「リアル鬼ごっこ」シリーズがありますね。
ただ、本作が他の作品と違うのは、武器などを使用した戦いではなく、100種類ある禁じられた行動「シグナル」を発動させ、相手の命を奪っていくという点です。
「シグナル」が発動してしまい、次々と自ら命を絶っていく高校生の描写は、凄まじいものがあります。
また、『バトル・ロワイアル』や「リアル鬼ごっこ」シリーズと違い、ゲームを監視し、進めていく役割が存在しません。
生徒達に催眠をかけた張本人の下部は、作品の序盤で退場します。
つまり、ゲームの進行は、残された高校生達に任されている形となります。
突然、理不尽な状況となったのですから、主人公の怜奈のように「全員が助かる道」を探すのが当然かと思いますが、「シグナル」の発動条件を、半分把握した和田の存在により、ゲームを進めるしかない状況となります。
ゲームの勝ち方を知っている、たった1人の存在により、理不尽なゲームが進行され、参戦しなければならなくなった生徒達が、次々と命を落とす展開は、現在の競争化社会の構図のような、リアルさがあります。
下部の主張する「大人になれば失敗できない」という言葉は、あながち間違ってはいません。
また、本作は青春ドラマの側面も持っており、和田がゲームを始めたのも、幼馴染の榊が、高校生になってからサッカー部に集中した為、話ができなくなったという寂しさからでした。
サッカー部が、怜奈側に味方した理由もラストに明かされますが、実に高校生らしい理由で、失われてしまった、純粋な命の尊さを感じる、見事な演出となっています。
上映時間も88分となっており、凝縮した内容を、スピーディーに展開させた作品です。
まとめ
高校生が次々と命を落としていく本作は、嫌悪感を感じる方も多いかと思います。
ですが、登場人物の日常を描かなかったり、警察という組織の存在を感じさせないなど、本作は「リアルな部分」を全て排除し、まるで悪い夢でも見ているような感覚に陥ります。
特にラストの、怜奈と下部の地下室の場面は、地下室で豪快にラーメンを食べる下部を、冷たい状況で眺める怜奈という、かなりシュールな構図となっており、作中で描かれている事は「作り物である」事が強調されています。
それでも、命を奪われる極限状況の中で「どういう行動を取る事が正解か?」「自分ならどうするか?」などを考え、臨場感を味わう事が、こういった「デスゲーム」ものの醍醐味です。
本作を「楽しんだ」と言うと、不謹慎に思われるかもしれませんが、「作り物」の世界で、「本質」を感じる事が、映画の面白さの1つであると言えます。
悪夢のような88分を、是非、楽しんでいただきたいです。