Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

『マスカレードホテル』ネタバレ感想。映画と原作の違いを徹底解説!

  • Writer :
  • もりのちこ

ホテルに来る人々は、お客様という仮面を被っています。ホテルマンは決してその仮面を剥がそうと思ってはいけません。

東野圭吾のベストセラー小説「マスカレード・ホテル」が、木村拓哉をはじめ豪華出演陣で遂に映画化です。

連続殺人事件の予告現場が一流ホテルと判明。刑事の潜入捜査が始まります。

人を疑うことが仕事の刑事と、お客様を信じるのが仕事のホテルマン。互いに協力し合い、事件を解決することが出来るのでしょうか。

映画『マスカレード・ホテル』のあらすじに加え、原作と映画の違いにも注目しました。

映画『マスカレード・ホテル』の作品情報


【公開】
2019年(日本)

【原作】
東野圭吾

【監督】
鈴木雅之

【キャスト】
木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、生瀬勝久、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、松たか子、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎

【作品概要】
東野圭吾の小説「マスカレード」シリーズの第1作目「マスカレード・ホテル」の映画化。

木村拓哉、長澤まさみなど豪華出演陣が話題です。

次から次へとやってくる怪しげな客たち。いったい誰が犯人なのか。演じる俳優たちの演技にも注目です。

監督は『HERO』で木村拓哉とタッグの経験もあり、『プリンセス・トヨトミ』『本能寺の変』と小説の映画化が続く、鈴木雅之監督。

映画『マスカレード・ホテル』のあらすじとネタバレ


(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
東京では連続殺人事件が起こっていました。

犯人が事件現場に残す数字のメッセージから、次のターゲットの場所が判明しました。

一流ホテル・コルテシア東京。

場所の特定だけで、詳細が分からない警察は潜入捜査に乗り出します。

有能だが破天荒な刑事・新田浩介(木村拓哉)は、フロントクラークとしてホテルに潜入することに。

教育係として付いたのは、優秀なホテルマン山岸尚美(長澤まさみ)でした。

新田のホテルマンとしての初日です。

もっさい髪型に髭面、だらしなく制服を着こなした新田に山岸は、身だしなみから指導します。

「口うるさい女」「傲慢な刑事」と第一印象は最悪です。

一流ホテルにやってくるのは、くせ者の客ばかり。人を疑うことが仕事の新田は、目つきも険しく、横柄な態度で接します。

そんな新田の態度に「ここではお客様がルールです」と根気強く指導する山岸。

チェックインが遅いと怒り出す客。悪質クレームカップル。目の見えない老婦人。ストーカーを追い返してという女性。嫌がらせをする客。密会の男女。

すべてがお客様のため最善を尽くす山岸の姿に、新田は次第に心を許していきます。

山岸もまた、新田の観察力の鋭さとホテルマンとして奮闘する姿に、仲間意識を強めていきます。

事件は思わぬ方向へと進みます。同一人物の連続殺人事件と思われていた事件が、実は個別のもので連続に見せかけたものだったのです。

被害者に共通点が見つからず犯人が絞れない、事件はさらに謎に包まれます。

もはやホテルの従業員も疑われる事態に陥ります。

そのことを新田から打ち明けられた山岸は、お客様の安全を第一に考え、ホテルの営業停止を視野にいれ上司に相談しようとします。

それでは犯人逮捕のチャンスがなくなる新田は、待ってほしいとお願いします。

「そんなに手柄が欲しいのか」と詰め寄る山岸に、新田は「ホテルマンがお客様を守るように、自分も市民を守るのが仕事だ」と熱い思いを伝えます。

もしこのホテルで何かあったら、それぞれが責任をとり仕事を辞めると覚悟を決める2人。

以下、『マスカレード・ホテル』ネタバレ・結末の記載がございます。『マスカレード・ホテル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

その頃、ホテルでは結婚式を控えた新婦に見覚えのないワインの贈り物が届いていました。

聞けば新婦はストーカーに悩まされているとのこと。新郎には内緒にしてほしいとお願いされます。

犯罪の危険性があるとして警察は結婚式をマークすることに。

結婚式当日、不審な人物を発見した警察は男の確保に成功します。

しかし、その男はメッセージカードを渡すように言われただけだと訴えます。そのカードには例の数字が書かれていました。

ダミーだと察した新田の元に、元相棒で事件捜査に協力していた能勢(小日向文世)から連絡が入ります。

能勢は、事件の全貌を聞いていた山岸が以前こぼした、ほんの少しの疑問からたどり着いた犯人候補を追っていました。新田に入手した画像を送ります。

それを確認した新田は、その中に見覚えのある老婆がいることに気付きます。何日か前ホテルに宿泊した目の見えない老婦人、片桐瑶子(松たか子)でした。

慌てて山岸を探す新田。フロントに戻ると、片桐が再び宿泊に来ていることを知ります。しかも、以前宿泊した際、霊感が強く部屋を変えてほしいと申し出ていた片桐のために山岸はスペアとして5部屋押さえていました。

すべての部屋を確認に向かう新田。どの部屋にもいません。

しかし、新田にいつの間にか身に着いた、ホテルマンとしての心得が部屋の異変に気付きます。

バスルームへ隠れていた片桐が、山岸を殺害しようとした瞬間。新田が駆け込み取り押さえます。喚き散らす片桐。彼女は名前を変え老婆のふりをし、最初から山岸を狙っていたのでした。

それは、1年前。自分を捨てた男を追いかけてホテルにやってきた片桐は、彼の部屋を教えてほしいとフロントに頼みます。それを対応したのが山岸でした。

お客様を守るため山岸は、泊まっていないと嘘をつきます。それなら泊めさせてほしいという片桐に満室ですと断る山岸。

片桐はその日、ホテルの外で彼を待ち続け流産してしまった辛い過去がありました。

片桐は苦しみ彼を殺害。そして、山岸にも責任を取らせようと殺害を計画していたのです。

事件は解決したものの、自分の対応が招いた犯罪、警察の情報を知っていながら上司に隠していたことに責任を感じる山岸はホテルマンとしての自信を無くしていました。

そんな山岸に支配人は、自分たちも事件の全貌を知りながら捜査に協力していたのだから、責任を感じることはないと伝えます。

お客様は仮面を被ってホテルを訪れる。ホテルマンはその仮面の中を覗いてはいけない。この中では、お客様は自由なのです。

『マスカレード・ホテル』映画と原作の違い


(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
これまでにも東野圭吾の小説は、数多く映画化されてきました。

中でもヒーローシリーズとして『ガリレオ』の湯川学『新参者』の加賀恭一郎があげられます。

今回『マスカレード』シリーズから、新田浩介が新たなヒーローとして映画界に登場です。

東野圭吾原作を忠実に再現した作品が多く、キャストもはまり役の俳優ばかりです。

映画『マスカレード・ホテル』も然り、原作を見事に映像化しています。

配役も素晴らしく、ヒーロー新田浩介を演じる木村拓哉の初めてとは思えない刑事役に惚れ惚れします。

見事なまでに原作を映像化した『マスカレード・ホテル』の、それでも原作でしか明かされていないストーリーに注目します。

コンテシア東京・宿泊客リスト

一流ホテル・コルテシアには毎日多くのお客様が宿泊にやって来ます。

映画では原作の通り、ひとりの客も逃さず再現されています。しかも豪華キャストでそれぞれのエピソードが再現されているので、誰もが犯人に見えてしまうという面白さ。

中でも、菜々緒演じる安藤絵里子は、ストーカー犯罪の付箋として登場しますが、怪しさに騙されます。

原作の役を誰が演じているのか比べてみるのもおススメです。

山岸尚美がホテルマンになったきっかけ


(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
映画では、山岸が新田に「どうしてなったのか」聞かれて話ますが、原作では山岸の回想で紹介されます。

しかも素敵なエピソードが隠されています。

山岸が大学受験で上京した際、宿泊したホテルがコルテシア東京でした。

受験当日、ホテルに母からもらった受験のお守りを忘れた山岸でしたが、なぜか受験会場にそのお守りが届いていたのでした。

ホテルの人が届けてくれたお守りには「大切なものだと思ったので届けさせていただきました。試験がんばってください」と書かれたメモが入っていました。

母からの電話で、わざわざ受験先を聞きに連絡を寄越したことを知った山岸は、お礼をしようとフロントに行きます。

まだ十代だった山岸は、格式高いホテルで緊張し戸惑っていました。そこに声をかけてくれたひとりのホテルマンがいました。

届けてくれた人にお礼が言いたいと申し出ると、「その気持ちだけで充分です。スタッフ全員でお客様へのサービスに勤めていますから。もし喜んでいただけたのなら、また当ホテルをご利用ください。それがご入学のための上京であれば私どもも嬉しいです」とそのホテルマンは言いました。

男性の話術は魔法のようで、話しているだけで幸せな気分になりました。

後に山岸は無事に大学に入学し、再びコルテシア東京に泊まるも、彼の姿はありませんでした。

大学を卒業しこのホテルに就職した山岸は思わぬ再会を果たします。あのホテルマンは、コルテシア東京の総支配人になっていたのです。

映画では支配人・藤木(石橋凌)と山岸のエピソードは登場しませんが、強い絆を感じられます。

新田・山岸コンビの恋の行方

くっつきそうでくっつかない、新田と山岸。

映画では事件解決後、食事に招待された新田がホテルを訪れると、そこは仮面舞踏会に一変。真っ赤なドレスに身をまとい仮面をかぶった山岸が登場します。見惚れる新田。

それは新田の妄想で目の前には私服の山岸がいました。初めてプライベートで食事をする2人。恋の発展はありません。

原作では、山岸側からの新田を意識した場面も登場します。

犯人に拘束され隠れていた山岸を、新田が見つけるシーンで、映画ではホテルのロゴ入りの文鎮の向きが違っていたという点だけでしたが、原作では山岸の匂いがしたと言っています。

ずっと一緒にいたからと言う新田に、嬉しさを隠しきれない山岸。2人の距離が縮まる予感がします。

原作は続いていますが、やはり2人の距離はくっつきそうでくっつかないままです。

まとめ


(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
東野圭吾のベストセラー小説の映画化『マスカレード・ホテル』のあらすじに加え、原作と映画の違いを紹介しました。

ミステリーの要素の他にも、次々やってくるトラブルに迅速に対応していくホテルマンの仕事ぶりも見どころのひとつです。

さらに、刑事とホテルマン、どちらにもハマる木村拓哉の華麗な演技も注目です。

豪華キャスト演じる、訳ありの宿泊客にあなたも騙されることでしょう。どんな仮面をつけているのか。仮面舞踏会の幕開けです。

関連記事

サスペンス映画

映画『15ミニッツ』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ロバート・デ・ニーロ演じる刑事が凶悪連続殺人犯に立ち向かう

サイコパスコンビvs有名刑事と若手放火調査官の戦いを描いたサスペンスアクション! ジョン・ハーツフェルドが脚本・製作・監督を務めた、2001年製作のアメリカのサスペンスアクション映画『15ミニッツ』。 …

サスペンス映画

映画『ルイの9番目の人生』あらすじネタバレと感想 。ラスト結末も【エイダン・ロングワースおすすめ作品】

9歳のルイはこれまでに9回も命の危機を迎えました。不遇すぎる運命のその真相に迫ります。 ロングセラー小説「ルイの9番目の命」を原作に、ファンタジックに描かれたサスペンス映画をご紹介します。 CONTE …

サスペンス映画

『君だけが知らない』ネタバレ感想結末とあらすじの評価解説。どんでん返しの連続でソン・イェジがサスペンスを二転三転する展開にて魅せる

ドラマ『サイコだけど大丈夫』のソ・イェジ主演、初長編作となったソ・ユミン監督で送る韓国サスペンス 事故により記憶喪失になってしまったスジンは、夫ジフンの献身的なサポートにより少しづつ日常生活を取り戻し …

サスペンス映画

【ネタバレ】12日の殺人|結末考察と解説。実話未解決事件の闇を映画監督ドミニク・モルが活写!

『悪なき殺人』(2021)のドミニク・モル監督が未解決事件をテーマに描く 10月12日の夜、クララが焼死体となって発見されます。 事件を担当することになった刑事のヨアンとマルソーは、クララの周辺の関係 …

サスペンス映画

映画『アンブレイカブル』あらすじネタバレ感想とラスト結末の解説。シャマラン監督おすすめ映画とは⁈

『シックス・センス』で一躍その名を馳せたM・ナイト・シャマラン監督。そんな傑作に続いて彼が打ち出したのはなんとヒーローもの?! サミュエル・L・ジャクソンの怪演が光る『アンブレイカブル』をご紹介します …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学