Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2018/07/30
Update

映画『検察側の罪人』あらすじネタバレ感想とラスト結末の解説考察。最後に木村拓哉×二宮和也が辿り着く“罪人”の正体

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『検察側の罪人』は、2018年8月24日より公開!

雫井脩介の同題ベストセラーを『関ケ原』『日本のいちばん長い日』など、スケールの大きな作品が続く原田眞人監督が映画化。

正義を巡ってやがてぶつかり合うことなる二人の検事に木村拓哉と二宮和也が演じます。

共演に吉高由里子、松重豊、平岳大、大倉孝二、八島智人、山崎努など豪華キャストが並びました。

原作とは違ったキャラクター設定やエンディングは必見です!

映画『検察側の罪人』の作品情報

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
雫井脩介

【脚本・監督】
原田眞人

【キャスト】
木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、八嶋智人、音尾琢真、大場泰正、谷田歩、酒向芳、矢島健一、キムラ緑子、芦名星、山崎紘菜、松重豊、山崎努

【作品概要】

犯罪心理や法律の矛盾など、日本の犯罪の裁き方にメスを入れ続けてきた雫井修介原作の「検察側」で巻き起こる葛藤・人間ドラマ。

ジャニーズの中でも演技派として評価されている木村拓哉と二宮和也の共演も話題の作品ですが、名脇役俳優として活躍している酒向芳の怪演も注目の作品です。

映画『検察側の罪人』の配役とキャスト

最上毅(木村拓哉)
エリート街道を進む検事。さまざまな過去を抱えている。祖父はインパール作戦の生き残りでその体験をもとにした小説で知られている。

沖野啓一郎(二宮和也)
最上と師弟関係に近い関係にある若手検事、ある事件から正義の在り方に悩む。

橘沙穂(吉高由里子)
沖野の事務官。最上の姿勢に疑問を持ち始める。一方である秘密を抱えて事務官の仕事をしている。

諏訪部利成(松重豊)
用意できないものは何もないと言い切る闇ブローカー。父親がインパール作戦で命を落としていることから最上に奇妙な縁を感じている。

丹野和樹(平岳大)
最上と大学の同期で法曹界から政界に転じた、収賄疑惑で東京地検に事情聴取を受ける予定。

松倉重生(酒向芳)
過去に複数の事件の犯人、重要参考人になったが法律の網の目を縫って、一般社会で生きている。

弓岡嗣郎(大倉孝二)
松倉有力説を覆す新たに浮上した事件関係者。

映画『検察側の罪人』のあらすじとネタバレ

沖野啓一郎たち若手検事が研修を受けている、教官役は最上毅。

最上は己の正義に固執しすぎた検事は正義を汚し、悪の側の存在、犯罪者となっていくと語ります。

数年後、沖野は研修と地方での実務を経て東京地検に配置されました。そこには憧れていた最上もいました。

最上は沖野のことを買っていて、曲者の闇ブローカー諏訪部の取り調べを任せます。

諏訪部は沖野を最上のポチとからかってまともに相手にしません。

その様子を心配そうに沖野の事務官橘の沙穂が見つめています。

そんな中、蒲田で老夫婦が殺害される事件がおきました。

金庫も狙われていて強盗殺人事件の可能性が高い犯行でした。

さらに、個人的に金を貸している人間も多く、被疑者の名前が挙がり始めます。

沖野から報告を受けた最上は、そのリストの中にある男の名前があることを知ります。

男の名前は松倉重生。

かつて、最上が学生時代を過ごした荒川の学生寮“北豊寮”のアイドル的存在だった、管理人夫妻の一人娘の由季を殺害された事件の重要参考人の男でした。

以下、『検察側の罪人』ネタバレ・結末の記載がございます。『検察側の罪人』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
当時、法曹界を目指していた最上の同期には、目下東京地検からの取り調べを受ける可能性の高い政治家丹野もいました。

丹野と密会し、助言を与えていた最上は“正義の不在”を感じます。

警察側にも松倉の過去を知る人間がいて、捜査も松倉の犯行という流れで動き始めています。

沖野もそれに追随していきます。

しかし、橘は松倉の過去にとらわれるあまりに、捜査陣が自ら流れを作っているのではと危惧します。

最上は諏訪部を使い、松倉を別件逮捕の証拠をつかみ、松倉を逮捕・勾留します。

検察側の人間で取り調べを担当するのは沖野。本来の逮捕の案件ではなく、あくまでも老夫婦殺害の犯人として追及していきます。

松倉の過去の事件をネタに揺さぶる沖野に対して、可視化・録音を切ることを前提に荒川の事件は犯人だったと自供。

このやり取りを聞いていた最上は松倉への個人的な憎しみを募らせていきます。

松倉の時効が過ぎた荒川の事件の犯行を自供したことで最上、丹野ら由季をしる同期生は、時効という壁で下されなかった正義の鉄槌の存在を悔やみ続けます。

一方そのころ、事件の捜査では意外な動きがありました。

弓岡という一度は重要参考人に名前が挙がった男が、酔いの席で事件の自慢話をしていたと情報が入ります。

同じころ、自身の政党と政権の不正を暴こうとしたものの、逆に罠にはまり進退窮まった丹野は自ら命を絶ちます。

その丹野の決断を知った最上は無理にでも松倉に正義を執行するため、諏訪部を使って弓岡をかくまうと騙して連れ出し、箱根の別荘地で弓岡を殺害します。

かつて「自身の正義に固執した検事は犯罪者になる」と語った最上が自らその道に進んでしまったのです。

その姿を見て沖野と橘は検察を離れます。

二人はひそかに松倉の国選弁護人にアドバイスを送り、結果的に松倉は釈放されます。

釈放パーティーの場で松倉に謝罪の意思を示しに来た沖野に対して、松倉は本性をあらわにして暴走し、橘が怪我をしてしまいます。

後を追った沖野の眼の前で暴走した車が松倉を跳ね飛ばします。

むろん偶然のことではなく、諏訪部の手によるものでした。

数日後、最上の祖父の別荘に招かれた沖野。

その眼の前に丹野から送られてきた汚職の証拠を見せる最上。

最上は自身への疑念を捨てて、改めて正義の執行者になろうと沖野を誘うが沖野はこれを断ります。

かつて師弟関係にも似た関係を持っていた二人が完全に決裂した時でした。

映画『検察側の罪人』の感想と評価

『HERO』からダーク“HERO”へ

木村拓哉の代表作といえば型破りな検事を久利生公平を演じた「HERO」シリーズ。

2シーズンの連続ドラマに、一本のスペシャルドラマ、そして映画版が二作品作られた大ヒットシリーズ。

ここでは名前通り公平な正義を追求し続ける検事を演じました。

一方の本作『検察側の罪人』では自己の正義を追及するダークヒーローともいうべき存在を演じています。

また、松重豊、八嶋智人、大倉孝二など、『HERO』にも出演していたキャストも出演しています。

強い信念を持ちダークサイドに自ら落ちていった男の心には、愛弟子の必死の訴えも届かず、その道を突き進み続けることを宣言します。

ラストの二宮和也演じる沖野の絶望的な叫びも、むなしく響くだけでした。

まとめ

元スマップの木村拓哉と、嵐の二宮和也の初共演で、雫井脩介のミステリー小説を映画化した『検察側の罪人』。

演出を務めたのは『クライマーズ・ハイ』や『日本のいちばん長い日』、また『関ヶ原』といった話題作を多数手がける原田眞人監督が務めています。

ある殺人事件を巡った2人の検事の対立とは?

木村拓哉がエリート検事の最上毅を演じ、二宮が若手検事の沖野啓一郎を務めます。

映画『検察側の罪人』は、2018年8月24日より公開!


関連記事

サスペンス映画

韓国映画『国家が破産する日』あらすじネタバレと感想。結末で述べられたのは権威主義に陥ることへの警告

国家破産の日まで残された時間は7日間。その時、政府は何をしていたのか!? 1997年に韓国で実際に起きた通貨危機の裏側を描いた、社会派エンターテイメント作品『国家が破産する日』。 シヒョン役をキム・ヘ …

サスペンス映画

映画『あのこと』ネタバレあらすじ感想と結末評価の解説。原作短編小説「事件」で書かれた望まぬ妊娠をした大学生の目線とは⁈

ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーの実体験をもとにした著作を女性監督オドレイ・ディワンが映画化 1960年代、法律で中絶が禁止されていたフランス。 大学生のアンヌは、大事な試験を間近に控え、妊娠 …

サスペンス映画

デスノートLight up the NEW worldあらすじネタバレと感想!ラスト結末も

11月17日に地上波「金曜ロードSHOW!」にて放送される、前作から10年のときを経て製作された、正統な映画『デスノート』続編。 一見無謀のようにも思える、この続編の制作。果たして原作ファンの期待に答 …

サスペンス映画

Netflix映画『アンカット・ダイヤモンド』ネタバレ感想と考察評価。 A24サフディー兄弟が描くギャンブル中毒男の人生の結末とは

アダム・サンドラーが「ヤバい宝石屋」に扮し、「ヤバい取り引き」が始まる! Netflix映画『アンカット・ダイヤモンド』は、ニューヨークを舞台に、アダム・サンドラーが、一攫千金を狙うギャンブル依存症の …

サスペンス映画

映画『パーフェクトルーム』あらすじネタバレ。フル動画を無料視聴!

映画『パーフェクト・ルーム』は、2014年に公開されたアメリカのミステリー映画で、2008年にベルギーで制作された『ロフト』のリメイク作品です。 妻帯者5人が情事を楽しむためだけに用意したマンションの …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学