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Entry 2019/10/22
Update

映画『影踏み』あらすじと感想レビュー。山崎まさよし×横山秀夫が群馬ロケ地で結んだ縁

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『影踏み』は2019年11月15日(金)より全国ロードショー公開!

数々の警察小説・犯罪小説で知られるベストセラー作家・横山秀夫の小説『影踏み』を、『花戦さ』の篠原哲雄監督が実写映画化。

「映像化不可能」と言われた横山秀夫の異色作を、大胆な演出で見せきります。

そして主演を務めたのは、『月とキャベツ』で篠原哲雄監督とタッグを組んだ経験を持つ、シンガーソングライターの山崎まさよしです。

映画『影踏み』の作品情報


(C)2019「影踏み」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【監督】
篠原哲雄

【脚本】
菅野友恵

【原作】
横山秀夫

【主題歌】
山崎まさよし

【キャスト】
山崎まさよし、北村匠海、尾野真千子、中村ゆり、竹原ピストル、中尾明慶、滝藤賢一、鶴見辰吾、大竹しのぶ

【作品概要】
横山秀夫の同名小説を篠原哲雄監督・山崎まさよし主演で映画化。

かつて凄腕の「ノビ師(=深夜に人のいる住宅に忍び込み、現金を持ち去る泥棒)」として生きてきた男が、自身が逮捕・服役されるきっかけを生んだかつての事件、その事件の真相を追う中で引き起こされてゆく事件の数々と対峙する姿を描きます。

共演陣に北村匠海、尾野真千子、竹原ピストル、中村ゆり、滝藤賢一、大竹しのぶなど豪華キャストが集結したのも注目です。

映画『影踏み』のあらすじ


(C)2019「影踏み」製作委員会

真壁修一は寝静まった民家に忍び込んでは金銭を盗む「ノビ師」の泥棒。

全く証拠を残さないノビ師としての腕前に加え、かつては司法試験に臨んでいたもある程の優秀な頭脳、そしてどのような取り調べにも一切何も答えない「壁」のような強さから、警察内では“ノビカベ(=ノビ壁)”と呼ばれていました。

ある晩、地方議会議員の家に忍び込んだ修一。すると、そこには夫である議員を放火によって殺害しようとしていた妻・葉子の姿ありました。

とっさにそれを制止した修一は姿を見られてしまいます。さらに何者かの通報によって早く現場に現れた昔なじみの刑事・吉川に逮捕され、2年の懲役刑を下されます。

そして2年後。無事出所した修一を出迎えたのは、修一を「修兄ィ」と呼ぶ青年・啓二だけでした。

その足で吉川のもとを訪ねた修一は、葉子の家は事件から半年もたたずに破産・離婚したことを知らされます。

週一は次に「バッタ屋(=通常の仕入ルート以外のルートから商品を仕入れ、ダンピング価格で販売する競売屋)」こと大室を訪ねます。そして葉子の背後には関西系のヤクザがついており、破産・離婚後における家財道具の競売入札はそのヤクザたちが仕切っていたことを知らされます。

翌日、刑事の吉川が死体で発見されます。事故か事件かは不明ですが、繁華街のスナックから泥酔して出ていった後の出来事でした。そして、そのスナックこそが葉子の営業していた店でした。

吉川の同僚・馬淵にアリバイを聞かれた修一は、とっさに幼馴染の久子の名前を挙げます。


(C)2019「影踏み」製作委員会

久子は保育士を続けながら、修一を想い続ける女性でした。修一もまたその想いを知っていましたが、現在の自分の仕事ゆえに距離を置いていました。

意を決した修一は葉子の店を訪ね、葉子本人に事件の真相を訪ねますが、はっきりとした手掛かりは得られませんでした。ですが唯一、「葉子のアリバイを同席した判事が証明した」という情報を得ます。

一方、久子は以前お見合いをした相手である久能が半ばストーカーと化してしまい、さらに修一との関係が職場関係にバレてしまったことで仕事を辞めることになります。

家にいられなくなった久子を修一は意外な場所に連れていきます。それは葉子の店でした。

映画『影踏み』の感想と評価


(C)2019「影踏み」製作委員会

自分は俳優ではない」。それが、これまでの映像作品、そして今作の主演を通じて「多くの俳優に囲まれる」という経験の中で、強くコンプレックスとして感じたことであると山崎まさよしは語っています。

ですが今作に関して言えば、彼の俳優でないからこその「異物感」が映画全体に素晴らしい効果をもたらしています。

14年ぶりの映画主演」ということですが、その演技におけるブランク期間が、「懲役を終えて世間に出てくる」という映画『影踏み』の主人公・真壁修一のキャラクター像に活かされています


(C)2019「影踏み」製作委員会

作品内でのいかにも映画的な仕掛けも、北村匠海が演じた修一の弟分的存在・啓二との関係性も、山崎の誰にも真似することのできない「佇まい」があるからこそ成り立ったと言っても過言ではありません。

また、横山作品では珍しい「犯罪者側の人間が主人公」という設定にも、「俳優ではない演者」という特異な立ち位置で主演を務めた山崎まさよしのキャスティングにおける状況と重なっています。

実力派俳優の輪の中で、主演として「自分は俳優ではない」と感じている山崎まさよしがいる。その「異物感」、そして山崎が意識してしまう「孤独感」が結果として、映画全体の魅力を何倍にも増幅してくれています。

まとめ


(C)2019「影踏み」製作委員会

映画『影踏み』の制作に大きな貢献を果たした群馬・伊参(いさま)スタジオ映画祭は、映画『月とキャベツ』含む3本の映画を上映したイベント「なかのじょうキネマシアター」をきっかけに誕生したことでも知られています。

そしてその映画『月とキャベツ』とは、かつて篠原哲雄と山崎まさよしが監督と主演として初のタッグを組んだ作品でもあります。

元々は小栗康平監督の『眠る男』のロケ地になった廃校を改めて映画制作の拠点にしたところから始まった、映画の地・伊参。そして映画の上映に加え、群馬県ゆかりの小説家・横山秀夫などの審査員と篠原哲雄監督によるシナリオ・コンペも行うという一風変わった伊参スタジオ映画祭は、新人監督の登竜門になりつつあります。

この映画祭は始まってから15年以上になりますが、必ずお約束でクロージング作品に『月とキャベツ』が上映されることでも知られています。

映画『影踏み』の制作が決定されたのも、まさに2016年の映画祭でのこと。『月とキャベツ』公開20年記念上映により、篠原監督はもちろん主演・山崎まさよしも登場。更に審査員だった横山秀夫もその場に集ったのです。そして、山崎が横山作品の大ファンだったこともあって、この映画『影踏み』の陣容が揃いました。

今作は人と土地の縁が、長い月日を経て結びついた奇跡的な映画でもあるのです。




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