服飾デザイナー志望の少女を襲うストーカーの暴走を描いたサスペンス・スリラー。
クレイグ・ゴールドスタインが監督を務めた、2018年製作のアメリカのサスペンス・スリラー映画、『インスタキラー』。
服飾デザイナーとして成功することを夢見る少女、優しい両親がその娘を守るべく、暴走したストーカーに立ち向かっていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
家族と穏やかな日常を送っている、服飾デザイナー志望の少女がSNSに夢中になっていくにつれて、正体不明のストーカーが暴走していく恐怖を描いたサスペンス・スリラー映画、『インスタキラー』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
映画『インスタキラー』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【脚本】
ジェセニア・ルイス、カーリー・マラミュート
【監督】
クレイグ・ゴールドスタイン
【キャスト】
ケリー・サリヴァン、リゼ・ブロードウェイ、ショーン・クリスチャン、 ダレン・バーネット、トゥニシャ・ハバード
【作品概要】
『フェイク・マザー』(2017)や『ザ・サイコ 異常な愛情』(2018)、『キリング・ブラッドリー』(2019)などを手掛けた、クレイグ・ゴールドスタインが監督を務めたアメリカのサスペンス・スリラー作品です。
『ボーイフレンド・シークレット』(2018)や『キラー・イン・ファミリー』(2018)などに出演する、ケリー・サリヴァンが主演を務めています。
映画『インスタキラー』のあらすじとネタバレ
大学教授の母レイラと、カフェを経営する父デレクに愛されながら、服飾デザイナーとして成功することを夢見る一人娘ハーパー・ウッズは、自身が手掛けた服をSNSにアップすることに夢中でした。
そんなある日、ハーパーのSNSが突如フォロワーが増え、さらに若き服飾デザイナーとして注目され、一躍人気者になりました。
金曜日の夜。両親がディナーに出かけた後、ハーパーは親友のモニカと一緒に、自宅で次にSNSにあげる写真のことを話し合っていました。
その時ハーパーは、モニカが無断で、自分の写真を載せたことを知ります。それに驚くハーパーの元に、チャドという男からコメントが送られてきました。
チャドは中学の時に、ハーパーたちの学校に転入してきた同級生であり、ハーパーが長年片想いしている相手でもありました。
ハーパーと彼女の恋を応援しているモニカは、チャドからのコメントに大喜び。さらに、別のアカウントから、ハーパーにDMが送られてきます。
それを見たハーパーたちは、チャドだと思い返信していました。しかしその後のやり取りで、アカウントの主がチャドではなく、ただのストーカーだと判明。
ハーパーはすぐさま男のアカウントをブロックします。男は、ハーパーに拒絶されたことで車内で怒っていると、不審に思った警官のフロイドに声を掛けられます。
ストーカーは運転席から飛び出し、激昂する気持ちをぶつけるかのようにフロイドに襲い掛かり、彼を殺害しました。
後日。学校帰りにデレクの店に寄ったハーパーとモニカは、従業員のジョーイから、ハーパー宛にプレゼントが届いていると言われます。
ジョーイから手渡された紙袋には、クマのぬいぐるみと、「今もこれからも、君のただ一人の彼氏より」とだけ書かれたメッセージカードが入っていました。
また別の日。「ハーパーの彼氏」という新しいアカウントを作ったストーカーは、学校帰りのハーパーを隠し撮りした写真や、ハーパーがSNSにあげている服の写真をSNSにアップしていました。
これを見たモニカは、「さすがに住所が特定されているから、アカウントを今すぐ削除すべきだ」と、ハーパーに警告します。
ハーパーは、自身のSNSが若き服飾デザイナーとして注目されたことで、このまま夢の実現に繋げたい一心であったため、聞く耳を持ちません。
その頃街では、ハーパーを隠し撮りするストーカーを注意し襲われた男と、その男の行方を捜索していたフロイドが行方不明になった事件が発生。
このことを話していたレイラとデレクに、モニカは「ハーパーにストーカーができて、住所も特定されてしまった」と教えます。
これを知ったレイラたちは、1年前に心臓の移植手術をしたばかりの娘の身を案じ、アカウントを削除するよう説得しました。
最初は猛反対したハーパーでしたが、両親の強い説得に折れ、泣く泣くアカウントを削除することにします。
ハーパーのアカウント削除に発狂したストーカーは、ハーパーの家の車の窓ガラスを割った挙句、運転席側の窓ガラスに赤い塗料で、「俺たちの邪魔をするな」というメッセージを残しました。
これを受け、レイラとデレクは、警察のキャナバン刑事にストーカー犯罪の捜査を依頼。
しかしキャナバン刑事からは、「物理的な被害の証拠があっても、公共の駐車場でどの店でも売られている塗料での犯行だけでは、犯人の特定は難しい」と言われ、断られてしまいます。
そこでレイラたちは、店の事務所側の出入り口に、防犯カメラを設置。その後帰宅した2人は、ハーパーに仲直りの印として振る舞われた手料理を食べ、レイラは彼女と仲直りしました。
レイラたちは夕食後、ストーカーが誰か特定するべく、独自に捜査を開始。するとレイラの元に、ハーパーに成りすましたアカウントを使って、ストーカー自ら接触してきます。
ストーカーから送られてきたのは、ハッキングして得たのであろうハーパーと家族の写真、そして大学で教鞭をとるレイラの姿を映した写真。
そしてストーカーからの、レイラへの激しい恨みが込められたメッセージの数々でした。その後ストーカーは、追跡防止のためか、レイラをブロックします。
映画『インスタキラー』の感想と評価
暴走するストーカーvsウッズ一家
ハーパーに執着し、狂った愛情故に常軌を逸した行動に出るストーカー。ストーカーがハーパーたち、ウッズ一家とその周辺にもたらす恐怖は、画面越しでも背筋が凍るほど怖くてたまりません。
警察はストーカー犯罪に対し、優先順位が低いせいか中々捜査してくれず、それまで穏やかな日常を送っていた一般人であるレイラとデレクが、ハーパーに迫るストーカーの魔の手から守っていきます。
そんなレイラたちを嘲笑うかのように、設置した防犯カメラを破壊し、追跡もさせてくれないストーカー。
レイラたち両親と、彼女たちに協力するペイジ教授による犯人の追跡劇と、ストーカーの執拗な襲撃に、画面から目が離せなくなるほどハラハラドキドキします。
その恐怖とは別に、穏やか日常を送るウッズ一家と、ハーパーとチャドの恋模様は、観ていて微笑ましいです。
暴走するストーカーの正体
ハーパーを執拗につけまわし、ハーパーとの恋路を邪魔する人たちを排除していくストーカー。その正体は、物語の後半までラスに違いないと、誰もが思うことでしょう。
ラスは、ハーパーにフラれてもなお、彼女を恋い慕っている描写が多く描かれており、襲われたレイラをタイミングよく救出する場面もあります。
物語の後半、ラス逮捕後に明かされたストーカーの正体は、従業員のジョーイです。ジョーイもまた、ハーパーに片想いをしていました。
最初は心臓病で亡くした母を、助けられなかった代わりに、同じ病気のハーパーを支えたいだけだったジョーイ。それがいつしか恋になり、愛情へと変わっていきました。
好きな人にいつまで経っても、振り向いてもらえないどころか、好意にすら気づいてもらえない苦しさが、ジョーイの恋心を狂わせてしまったのでしょう。
ジョーイがストーカー化してしまった経緯を、彼の告白と共に考察していくと、胸が苦しくなります。
そんなジョーイの暴走した恋が招いた事件は、どれも観ているこちらも恐怖に震えるものばかりです。
まとめ
独占欲が強いストーカーが暴走し、好きな人とその両親を恐怖に陥れていく姿を描いた、アメリカのサスペンス・スリラー作品でした。
本作の見どころは、暴走したストーカー、ジョーイの常軌を逸した行動と、ストーカーに狙われている娘を守ろうとする両親の奮闘劇です。
正体不明のストーカーに、個人情報も居場所も何もかも知られており、どこかで行動を見ているかのように妨害工作を講じられる恐怖。
現実世界でも、世界中の誰もがSNSを使っていることもあって、とてもリアルに感じ、他人事とは思えません。
ジョーイの常軌を逸した行動に恐怖する一方、「人は愛があれば強くなり、どんなことでも平気でやってのけてしまう」ということを、改めて思い知らされます。
娘のSNSをきっかけに、暴走したストーカーに立ち向かう両親の姿を描いた、リアルな恐怖を感じられるサスペンス・スリラー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。