2030年の日本。
AIが暴走する未来がやってくる!?
2030年の日本を舞台に、AIの暴走を描く、近未来サスペンス『AI崩壊』。
映画『22年目の告白 私が殺人犯です』の入江悠監督が、自身のオリジナル脚本を映画化。日々、進化を続ける人工知能の未来をリアルに描いています。
全国民の重要なライフラインとなっているAI。AIの突然の暴走で、日本はパニック状態に陥ります。なぜ、人の生活に寄り添っていたAIが暴走を始めたのか?私たち人間とAIの未来とは?
まさに現代社会で起こり得る、最も身近な事件『AI崩壊』を紹介します。
映画『AI崩壊』の作品情報
【日本公開】
2020年(日本)
【監督・脚本】
入江悠
【キャスト】
大沢たかお、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典、高嶋政宏、芦名星、玉城ティナ、余貴美子、松嶋菜々子、三浦友和、田牧そら、野間口徹、マギー、黒田大輔、酒向芳、毎熊克哉、MEGUMI、坂田聡、芦那すみれ、螢雪次朗、荻野友里、川瀬陽太
【作品概要】
入江悠監督によるオリジナル脚本で映画化された『AI崩壊』。2030年の日本を舞台に、AIの暴走を描いた近未来サスペンス。主人公の天才科学者・桐生役には大沢たかお、妻・望役に松嶋菜々子、義弟・悟役に賀来賢人、そのほか広瀬アリス、岩田剛典、松嶋菜々子、三浦友和など、豪華キャストの共演となりました。
映画『AI崩壊』のあらすじとネタバレ
学習・推論・認識・判断など人間の知能を持たせたコンピューターシステム、人工知能(AI)。近年、様々なジャンルでAIを利用した開発が急激に進んでいます。
2023年、天才科学者の桐生浩介は、妻の望と共に、医療AIの開発に取り組んでいました。AIの医療への導入は、新薬の開発から、人間の健康管理、治療に至るまで可能性が広がっていました。
しかし、国の認可が下りないことには、導入は出来ません。
浩介と、望の弟・西村悟は、焦っていました。どうしても、癌細胞に効く新薬の開発を急がなければ。望は、癌をわずらい、余命わずかでした。
望は、ルールを守らず開発を進めることに反対でした。「いつか、たくさんの苦しんでいる人を救う日が来るわ」。そう言い残し、望は息を引き取ります。
2024年、医療AI「のぞみ」の認可が下ります。悟は、HOPE会社を立ち上げ、姉の意思を受け継ぎ、人に寄り添うAI「のぞみ」の導入に力を入れていきます。
2027年、学習する医療AI「のぞみ」は進化し、体に身に付ける腕時計型デバイスでは、常に体温や心拍数を計り健康状態を管理し、病気の早期発見を実現。
車、家電などネットに繋がるあらゆるデジタル機器との連携により、AIは人間の生活に欠かせないライフラインとなりました。
開発者の浩介はというと、娘の心(こころ)と日本を離れ、シンガポールで暮らしていました。
2030年、浩介の元に悟から連絡が入ります。浩介に内閣総理大臣賞が贈られることになり、日本に一度帰って欲しいということでした。
浩介は、望の死後、日本へ帰ることを拒んでいました。妻の癌治療にAIを搭載出来なかった後悔がありました。
渋る父に娘の心は、それでも母の残した成果をこの目で見たいと反抗します。浩介はしぶしぶ日本帰国を決めました。
日本は、働ける人間は国民の50%、未来を担う子供は10%未満、残り40%は老人と生活保護者、地方格差も深刻になっていました。
会社HOPEで悟と久しぶりの再会を果たした浩介と心は、進化したAI「のぞみ」と対面します。「のぞみ」は、地下のサーバールームで厳重に保管されていました。
「こんにちは」。挨拶する心に、「のぞみ」も答えます。「コンニチハ、キリュウココロサン」。
悟の帰国に、大勢のマスコミが駆け付けています。挨拶をする悟は、AI反対を訴える過激派に襲われてしまいます。
間一髪、張り込んでいた警察に助けられましたが、「人口知能は人間を幸せにすると思いますか?」記者の質問は続きます。
その場を逃げるように車に乗り込む浩介と心。持っていた家族写真がないことに気付いた心は、会社の中に戻って行ってしまいました。「兄さん、先に行って下さい」。悟が後を追いかけます。
悟に任せ、浩介は官邸に向かっていました。車はAIによる自動運転で進みます。
心と悟は、サーバールームに戻り写真を探していました。その時、何やら緊急警報が鳴り出します。
AI「のぞみ」に異変が発生しました。「ボウエイヲカイシシマス。レイキャクサドウ」。サーバールームの扉が閉まっていきます。
中には、まだ心が取り残されていました。悟の命令にも「ノー」と答えるAI「のぞみ」。画面には大量のプログラムに映像が映し出されています。完全に暴走です。
その頃、日本中で異変が起こっていました。心臓をおさえ倒れ込む人々。相次ぐ事故による渋滞。病院のあらゆる機器の誤作動。「のぞみ」に繋がるすべての端末が狂いだします。
浩介も渋滞に巻き込まれていました。悟からの連絡で状況を知った矢先、浩介の車は警察の特別部隊に包囲されてしまいます。
警察庁のサイバー犯罪対策課の追跡により、浩介はAIを暴走させたテロリストとして指名手配されていたのです。
「はめられた」。浩介は、サーバールームに閉じ込められた娘の心を助けるために逃亡を図ります。
AI「のぞみ」は、世界中の残虐事件を物凄いスピードで学習していました。そう、この学習プログラムは、日本全国民の学歴、年齢、家族構成、納税額、病歴、犯罪歴などから、人間の生きる価値を選別し、殺戮を始める準備でした。
日本中に、内閣総理大臣死亡のニュースが流れます。総理は、AI「のぞみ」で管理されたペースメーカーを埋め込んでいました。
「のぞみ」の暴走を止めるには、新しいプログラムを完成させ読み込ませるしか方法はない。警察に追われながら浩介は、悟に伝言を残します。「螺旋の部屋で」。
警察庁のサイバー犯罪対策課を指揮する桜庭誠は、捜査AI「百眼」を、今こそと起動させました。
捜査AI「百眼」は、脅威なまでの学習スピードで、日本中のありとあらゆるカメラの映像から、現在起こっている犯罪を見つけていきます。
「桐生浩介の居場所を検索しろ」。顔認識、背格好、歩き方の特徴、行動予測まで行う「百眼」は、すぐに居場所を突き止めます。
その様子を見ていた所轄のベテラン刑事・合田は「個人情報も何もあったもんじゃねえな」と、現場に向かいます。
「AIですぐ捕まりますよ」。呆れながらも合田に付き合う新米刑事・奥瀬。2人は、足をつかって浩介にせまっていきます。
映画『AI崩壊』の感想と評価
映画『AI崩壊』は、今から10年後の日本を舞台に、AIの暴走を描いたフィクションです。
しかし、2020年の現在、日本のあらゆる業界で、AI導入は着実に進んでいます。果たして近い未来AIの暴走が起きないと断言することは出来るのでしょうか。
劇中では、国民の学歴、家族構成、年齢、犯罪歴、年収、納税額、病歴、遺伝子情報と健康を掌握したAI「のぞみ」が、合理的に命の選別をするという悲劇が起こります。
自分の命は必要とされるのか、それとも不要なのか。ギャーっと思った方も多いのではないでしょうか。データだけで判断されると、自分の価値の薄さに悲鳴をあげてしまいます。
AIの導入は、私たちの生活を飛躍的に豊かにしてくれると同時に、使用を間違えると、とんでもない怪物に変化してしまうということを理解しておかなければなりません。
主人公の浩介(大沢たかお)の言葉で印象的なセリフがいくつかあります。
ひとつ目は、「どんなに人工知能が進んでも、人にしか出来ない事がある。それは、責任をとること」。
人間は失敗したことへの責任を取る。ここでは、アフターフォローということではないでしょうか。
もうひとつは、人工知能と人間の関係について言い換えたセリフです。「それは、親は子を幸せにできるのか?という事と似ている」と言っています。
AIと人間を親子関係に例えています。これは、ひとつめの責任を取るということにも繋がります。
親は子を幸せにしたいと思いながらも、幸せに出来ると断定は難しいものです。また、子の未来も予測できません。
AI=子供がどのように進化していくのか、親である人間は責任を取っていかなければならないのです。
映画『AI崩壊』では、AI暴走の陰には、人間の悪意の操作がありました。AIを良くも悪くも導くのは、人間にあるのです。
また物語には、最新の技術で逃走を追うサイバー犯罪対策課の桜庭(岩田剛典)と真逆の人間として、所轄のベテラン刑事合田(三浦友和)が登場します。この対照的な2人の動きにも注目です。
「刑事は足で稼ぐんだよ」というアナログタイプの合田に、思わずほっとし、応援してしまう自分。まだまだアナログ人間です。
しかし、そんな合田の「刑事の勘」ならぬ、感情を持って物事に接するという点は、AIには出来ない人間のスキルとも言えます。
近い将来、AIが様々なジャンルに導入され、人々の暮らしが管理され、便利な世の中になったとしても、大事な最後の判断は、やはり人間の手に委ねられているように思います。
映画『AI崩壊』は、壮大なアクション映画でもあります。容疑者にされた浩介が、娘の心を救うため、サイバー犯罪対策課の特殊部隊と戦います。
サイバー犯罪対策課には捜査AI「百眼」が登場。「百眼」は、人を救う医療AI「のぞみ」とは異なり、容赦なくあらゆる個人情報を網羅し、浩介に迫ります。
制御不能となった自動運転車の暴走、小型ドローンによる追跡、血も涙もない特殊部隊との銃撃戦など、アクションも見どころ満載です。
まとめ
2030年の日本を舞台に、AIの暴走を壮大に描いた近未来サスペンス『AI崩壊』を紹介しました。
AIが国民の個人情報、健康を完全に管理する未来。人を救うためのAIが、人類の命の選別を始める。あなたの命は、必要か、不要か。
AI暴走テロの容疑者とされた開発者・浩介の、事件の真相を追う決死の逃亡が始まります。はたして、浩介はAIの暴走を止めることは出来るのでしょうか。
AIと人間の共存世界。『AI崩壊』は、すでに始まっているのかもしれません。