人間も喰種も食べなければ生きていけない
全世界発行部数累計4400万を超える、石田スイの人気コミック『東京喰種 トーキョーグール』の実写映画化シリーズ第2作。
ある事故をきっかけに人間からグールになってしまった、半喰種の主人公・金木研が、人間とグールの狭間で葛藤し成長していくストーリー。
生きるために喰う。人間は残酷でありながらも、命を喰って生きています。そこに、食物連鎖の頂点にいるであろう人間を喰う種族グールが誕生します。グールもまた生きるために人の命を喰うのです。
喰うか、喰われるか。そこに正義はあるのか。喰種VS喰種の切なくも美しい戦いが始まります。
映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』の作品情報
【日本公開】
2019年(日本)
【原作】
石田スイ
【監督】
川崎拓也、平牧和彦
【キャスト】
窪田正孝、山本舞香、鈴木伸之、小笠原海、白石隼也、木竜麻生、森七菜、桜田ひより、村井國夫、知英、マギー、ダンカン、柳俊太郎、坂東巳之助、松田翔太
【作品概要】
「週刊ヤングジャンプ」で連載された石田スイの人気コミック『東京喰種 トーキョーグール』を原作に、実写映画化されたシリーズ第2作。
原作でも高い人気を誇る「月山編」の「喰種レストラン」が舞台となります。
主演は前作同様、窪田正孝。ヒロイン・トーカ役は新たに山本舞香が務めます。そして、強敵の月山は、カリスマ性溢れる松田翔太が登場です。
映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』のあらすじとネタバレ
東京、雨の渋谷。人気モデルのマーガレットは、タクシーの中から流れゆく街並みを見ていました。その瞳は綺麗に輝いていました。
自宅に帰ったマーガレットを待っていたのは、煌びやかなマスクをつけた男でした。「美しい2色の瞳の味はどんな味だろう」。
怯えるマーガレット。マスクの男はためらう事なく、女の眼球を取り出し自分の口の中に入れました。「瞳が集まり深い味わいだ」。いらなくなった体は、窓を割り外へと放り出されます。悲鳴が東京の町に響き渡ります。
喫茶「あんていく」では、マーガレットのニュースが流れています。ここは、人間を食らう「喰種(グール)」が身を隠し働く喫茶店。
「人間を食うグールの中で、瞳だけ食すグールはめずらしい」。とテレビの解説者は言っています。人間を喰うことを何とも思わない「グルメ」と呼ばれるグールがいるようです。
不慮の事故で人間からグールになった「半喰種」のカネキは、一緒に働くトーカから特訓を受けていました。
「何で強くなりたいの?」。トーカの問いにカネキは「グールも人間も誰も傷つけたくないから」。と答えます。心優しいカネキは、人間を食べることを拒み、自分の中のグールと戦っていました。
そんな優しいカネキをトーカは心配しています。「グールは人間を食べて生きるもの。人間の友達とは縁を切れ」。と助言します。
人間に自分の存在をばれるのを恐れるトーカは、人間の友達を作ろうとしません。しかし、そんなトーカを心配して、会いに来る女友達の依子がいました。
トーカもまた、人間の依子と友達になりたいと思う反面、グールの自分はどう接っするべきか思い悩んでいました。
快楽を追い求めるグール「ピエロ集団」のBARでは、イトリとウタが賭けを楽しんでいました。名前があがるカネキ。どうやらやっかいな相手に見つかってしまったようです。
「カネキに会いたい。連れて来てよ」。イトリのわがままが始まりました。
その頃、豪邸に住む男が目を覚まします。ベートーベンをBGMに、朝日が差し込む部屋で、トレーニングを始めます。着るものを丁寧に選び、スーツに着替えたらテーブルに付きます。食事の時間です。
運ばれてきたメニューは、双子の合い挽き肉で作ったソーセージ。満足そうに頬張るこの男こそ、グルメと呼ばれるグール・月山です。
喫茶「あんていく」に、月山の姿がありました。「めんどくせえ奴が来た」。トーカは嫌な顔で迎えます。
カネキに近寄る月山。「不思議な香りだ」。月山はカネキを気に入ったようです。その後も、月山は巧みにカネキを誘いだします。紳士的な振る舞いにカネキも心を許していきます。
カネキは知り合いに誘われて連れて行かれたイトリのBAR で、あることを聞いていました。自分をグールにした事故の秘密。リゼを殺し、リゼの臓器をカネキに移植した人物がいる。
「それを知りたければ、グールレストランの場所を探してきて」。イトリは、カネキにお願いします。「仲良しの月山に聞けばわかるかもよ」。
イトリの言葉通り、月山はカネキを美食家が集まる「グールレストラン」に招待してきました。
月山のカネキへの愛は度を超していました。カネキの血の付いたハンカチを嗅ぎ、興奮しまくる月山。その姿は狂人です。「カネキ君、カネキ君、カネキ君」想いは募ります。
映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』の感想と評価
人間を食す喰種(グール)の存在、戦いを描いたダークファンタジー『東京喰種 トーキョーグール』。
前作に続き圧倒的映像で、喰種の魅力全開となっています。主人公・カネキ役の窪田正孝の哀愁あるグールに魅了されます。
もともとは人間だった主人公のカネキが、グールになっても人間を喰うことを拒み、人間を信じようとする姿が何とも健気です。
反面、喰種同志の戦いで見せる真のグールの姿。隻眼の瞳の色が変わり、背中から3本の鱗赫が生える姿は、まさに喰種という化け物。それでいて、美しい真の姿です。
恐ろしいと思いながらも、その姿を待っている自分がいます。窪田正孝のグールの姿がカッコイイ。アクションもレベルアップしています。
そしてこの物語は「食」がテーマのひとつになっています。グールが人間を殺し喰うように、人間もまた動物を殺しその命を食べて生きています。
時には、その料理に命があったことさえも忘れ、美食と称しどんどん欲張りになります。
グールはそんな人間の鏡のような存在です。動物の血肉を喰って生きる人間と、人間の血肉を喰って生きるグールは同類なのです。グールも人間も動物も、命の重さに変わりはありません。
また、グールだって人を信じたい。友達が欲しい。味がしなくても友達と食べる食事は、なによりも美味しく感じるはずです。
何を食べるか、誰と食べるか。「食」べるという行為の大切さがわかります。
さて、本作『東京喰種 トーキョーグール【S】』の見どころとして、新たにヒロイン・トーカ役に挑戦した山本舞香と、グルメ喰種・月山役の松田翔太のハマり具合が挙げられます。
人間と極力関わらないように生きるグール、トーカ。人間との共存を望むカネキの優しさに、呆れながらも窮地を救います。
タフなクールビューティー、トーカを演じる山本舞香は、プレッシャーを感じる中、みごとに役にハマりました。
空手の黒帯保持者でもある彼女のアクションは見事です。重そうなパンチを繰り出したかと思うと、軽やかにバク宙を披露。主人公カネキ役の窪田正孝との息もぴったりです。
都会の夜の屋上で、赤い羽赫を広げ悩むトーカの姿はとても綺麗でした。
また、月山役の松田翔太は、美食家気取りのナルシスト、グルメ喰種で変態喰種の月山を、カリスマ性溢れる演技で魅了します。
カネキの匂いに酔いしれ、陶酔する姿は変態そのもの。カネキの血を舐め、「トレビアン」とつぶやき昇天。変態です。美しい容姿なだけに恐ろしさが増し増しです。
際どいストーリーと、過激な描写でR15指定の今作は、前作よりもグールの世界観に迫った問題作です。
まとめ
石田スイの人気コミック「東京喰種 トーキョーグール」を原作に実写映画化されたシリーズ第2作『東京喰種 トーキョーグール【S】』を紹介しました。
カネキが喰種になった事故の真相は?カネキの成長を見守る宗太の存在。喰種カネキの戦いはまだまだ続きます。
主題歌、女王蜂の「Introduction」が、映画の世界をさらに広げます。エンドロールを見終わったあと、陶酔する自分の中にグールの存在を感じるかもしれません。あなたは、最後の晩餐に何を食べますか?