映画『触手』は2月27日(火)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田の特集上映「未体験ゾーンの映画たち」ほか全国公開!
本作は『エリ』で知られるアマト・エスカランテ監督が、ヴェネツィア映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞したSFエロティック・ホラー作品で、スタッフには『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のスタッフも参加。
森の奥にひっそりと佇む屋敷に潜む、謎のクリーチャー(怪物)との禁断の関係を描いた異色の作品をご紹介。
1.映画『触手』の作品情報
【公開】
2018年(メキシコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スイス合作映画)
【原題】
La region salvaje
【監督】
アマト・エスカランテ
【キャスト】
ケニー・ジョンストン、シモーネ・ブチオ、ヘヘス・メサ、ルース・ラモス
【作品概要】
『エリ』でカンヌ国際映画祭の監督賞を獲得したメキシコのアマト・エスカランテ監督作品で、“究極の快楽”をもたらすクリーチャーの恐怖を描くSFホラー作品です。
ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催される「未体験ゾーンの映画たち2018」にて上映されます。
2.映画『触手』のあらすじ
トラブルの絶えないを夫婦の関係は冷え切っていて、夫アンヘルは妻アレハンドラにDVを振るう卑劣さに、子どもたちの精神状態も安定していませんでした。
またアンヘルはアレハンドラに隠れ、彼女の弟と肉体関係を結んでいました。
ある日、アレハンドラは弟の友人である不思議な少女ヴェロニカに出会います。
彼女はアレハンドラを森の奥にポツンと立つ屋敷に案内しました。
実はその母屋には蛸の足のような姿のクリーチャーが隠れていたのです。
少女ヴェロニカはクリーチャーの持つ禁断の“性の魔力”を彼女に見せるのだが…。
3.映画『触手』のプロデューサーは
本作『触手』の制作総指揮はトーマス・ガメルトフト。
2016年の『ヒトラーに屈しなかった国王』でもプロデューサーとして参加しています。
その際は歴史ドラマという重厚な作品で手腕を見せ、ナチスの侵攻に抵抗をしたノルウェーの国王ホーコン7世の決断するまでの3日間を描き、米国アカデミー外国語映画賞のノルウェー代表にまでになる、ノルウェーでのヒット作を生み出しました。
参考映像:トーマス・ガメルトフト製作
『ヒトラーに屈しなかった国王』の予告編
またもう1人の制作総指揮のニコラス・セリスは、2015年の『ノー・エスケープ 自由への国境』にプロデューサーとして参加。
この作品はご存知、あの『ゼロ・グラビティ』の原点の元ネタとして知られる作品で、アメリカに不法入国を試みるメキシコ移民たちが謎のスナイパーに狙われ極限状態を描いたサバイバル・スリラー。
父アルフォンソ・キュアロンと息子ホナス・キュアロン共同脚本で執筆し、新たな才能ホナス監督を世に送り出した作品として、映画ファンのあなたならご覧になった方も多いのでないでしょうか。
参考映像:ニコラス・セリス製作
『ノー・エスケープ 自由への国境』の予告編
この2作品を並べるだけでも制作総指揮のトーマス&ニコラスの実力は理解できるのではないでしょうか。
本作『触手』が単なるSf的なアイデアを持ち出して制作したB級映画ではないことはお分かりになりますよね。
実は唯ならなぬこの作品『触手』には、製作総指揮のコンビだけではなく、彼らが組んだ監督のアマト・エスカランテにも大きな期待ができる点となっています。
4.アマト・エスカランテ監督のプロフィール
アマト・エスカランテ(Amat Escalante)は、1979年2月28日生まれのメキシコの映画監督。またプロデューサーをはじめ、脚本家やキャメラマン、編集なども熟す、ヌエーヴォ・シネ・メヒカーノの映画作家です。
「ヌエーヴォ・シネ・メヒカーノ=新しいメキシコ映画」とはこのような映画における芸術運動の総称で、1990年代以降のメキシコ映画界で起きた行動を指しています。
この映画運動に含まれる主な監督は、アルフォンソ・アラウ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、アルフォンソ・キュアロン、カルロス・カレラなどがいます。
彼ら映像作家と肩を並べられるアマト監督は、映画に携わった当初の1999年の頃です。
アメリカ・ロサンゼルスで撮影を行なった、ケニー・ジョンストン監督の短編映画『ルッキング・アウト』のセカンド助監督を務めます。
2002年にメキシコのグアナフアトにて、短編映画を監督して映画作家となります。
2005年には、ふたたびロサンゼルスで行われたケニー・ジョンストン監督の短編映画で撮影監督を務め、その他にカルロス・レイガダス監督の『バトル・イン・ヘブン』の助監督も務めます。
さらに同年には、自らの監督作品『サングレ』を発表すると、第58回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門にノミネートされ上映。
関連映像:アマト・エスカランテ監督の初長編作『サングレ』
同映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞したほか、テサロニキ国際映画祭で銀のアレクサンダー賞を受賞します。
さらに快挙は留まることを知らず世界に広がり、翌2006年にブラチスラヴァ国際映画祭で監督賞を受賞、メキシコシティ国際現代映画祭(FICCO)で第一作部門でフェスティヴァル賞を受賞を果たします。
関連映像:アマト・エスカランテ監督の第2作『よそ者』
2008年の『よそ者』は、ブラチスラヴァ国際映画祭で監督賞と学生審査員賞の2冠を獲得しました。
さらにマール・デル・プラタ国際映画祭では最優秀イベロアメリカ賞を受賞、モレリア国際映画祭では長編映画賞を受賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭ではニューヴィジョンコンペティション部門で最優秀作品賞を受賞しています。
2013年には『エリ』で第66回カンヌ国際映画祭の最優秀監督賞を受賞しました。
フィルモグラフィ
【短編映画】
『Looking Out』(1999:セカンド助監督)
『Amarrados』(2002:監督・脚本・撮影・製作)
『The Legend of Pete Jones』(2005:撮影)
【長編映画】
『バトル・イン・ヘブン(Batalla en el cielo)』(2005:助監督)
『サングレ』(Sangre)』(2005年:監督・脚本・編集・製作)
『よそ者(Los bastardos)』(2008:監督・脚本・編集・製作)
『エリ(Heli)』(2013:監督・脚本)
アマト・エスカランテ監督のプロフィールを読めば、その精力的に映画制作に挑み、また演出のみならず映画の技術面にも精通した監督であることはお分かりになったでしょうか。
関連映像:アマト・エスカランテ監督の第3作『エリ』
例えば、映画『エリ』は社会派サスペンスドラマで、日本では2013年の東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門にて上映されています。
メキシコのグアナフアトの貧しく小さな田舎町から、忽然と姿を消した父親を探す青年エリが社会の汚れた現実に目にしていく問題作でした。
アマト監督のどの作品を見ても、力強い演出を見せたお墨付きなものばかりです。
さて、本作『触覚』はヴェネツィア国際映画祭でを観た観客たちは絶句!
誰もが予測できない衝撃的なストーリーの展開や、恐ろしく官能的なシュチエーションに心を鷲掴みにされました。
アマト監督の類のないオリジナリティを見せた世界観の巧みな演出力は評価を受け、監督としての才能の証であるヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得したのです。
映画ファンのあなたなら、まずは怖いもの見たさで要チェックですよ!
まとめ
映像作家ならではのアマト・エスカランテ監督は、キャメラマンとしての才能があることもご紹介しました。
監督が本作『触覚』で組んだキャメラマンは、デンマークの鬼才として知られるラース・フォン・トリアー監督の2011年の映画『メランコリア』や、2013年の映画『ニンフォマニアック』のVol.1、Vol.2で、撮影監督を担当したマヌエル・アルベルト・クラロ。
あのラース監督のSF映画『メランコリア』や、エロティックな『ニンフォマニアック』のどちらもが、“融合をテーマ”に扱っていました。
キャメラマンのマヌエルが『触手』のストーリー展開のなか、クリーチャーとの禁断な関係(融合)を、どのように美しい映像としてキャメラでフレームを切り取るのかに要注目です。
また『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のスタッフが特殊効果で参加。
誰にも予測不能な衝撃すぎるヴェネツィア映画祭が認めた問題作とは?
映画『触手』は2月27日(火)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田の特集上映「未体験ゾーンの映画たち」ほか全国公開です。
ぜひ、お見逃しなく!