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Entry 2021/05/29
Update

アップリンク吉祥寺にて映画『想像』舞台挨拶!チェルフィッチュ演劇と俳優演技の成り立ちをドキュメンタリーとして公開

  • Writer :
  • 名保田奈緒子

ドキュメンタリー映画『想像』は2021年5月28日(金)よりアップリンク吉祥寺にて、29日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティにて劇場公開!

演出家・岡田利規が主宰する演劇カンパニー「チェルフィッチュ」の代表作『三月の5日間』リクリエーションの創作過程をカメラが追ったドキュメンタリー映画『想像』。


(C)Cinemarche

劇場公開初日の2021年5月28日(金)、アップリンク吉祥寺ではこのたびの劇場公開を記念しての舞台挨拶が実施され、カメラマンの鈴木宏侑さんと太田信吾監督が登壇しました。

本記事ではその模様をご紹介させていただきます。

『想像』初日舞台挨拶に太田信吾監督ら登壇!


(C)Cinemarche

2021年5月28日(金)に劇場公開を迎えた映画『想像』。同日にはアップリンク吉祥寺にて、劇場公開を記念しての初日舞台挨拶が実施されました。

同イベントでは本作の撮影を担当した一人である鈴木宏侑さん、そして太田信吾監督が登壇。作品の制作経緯や見どころについて、イベント後の映画上映を楽しみにしている観客たちに向けて語りました。

「人間の想像力に対する暴力」に立ち向かう


(C)ハイドロブラスト

『想像』が無事に劇場公開を迎えられたこと、そして『想像』を鑑賞しに多くの人々がアップリンク吉祥寺に訪れてくれたことへの両名の感謝の言葉から始まった舞台挨拶。

太田監督は『想像』の制作経緯について、レバノンでの自爆テロ、フランスでのパリ同時多発テロ事件など、かつてチェルフィッチュの別作品での海外公演の際に実感させられた「人間の想像力に対する暴力」について言及。

そうした自身の体験から、「人間の想像力に対する暴力」に対して演劇はどう立ち向かえるかを想像し始めたことが、演出家・岡田利規さんとチェルフィッチュによる『三月の5日間』再演の過程の撮影、そして映画『想像』の企画のきっかけとなったと明かしました。

「演技」を立ち上げていく過程を楽しんでもらいたい


(C)ハイドロブラスト

そしてイベントの最後、「『想像』とはどのような映画か?」というMCからの質問に対し、鈴木さんは自身がカメラを通じて見つめた人々と作中での“想像”の在り方について言及し、「“そこにないもの”を“あるもの”として共有できると信じながら舞台を作っていた」と感じられたと語りました。

一方で太田監督は、『三月の5日間』は舞台セットがなく、役者の芝居によって戯曲に描かれる情景やイメージを伝えていく作品であるとコメント。その上で映画『想像』では「演技を立ち上げていく過程を楽しんでもらいたい」という言葉によって締めくくられ、同イベントは無事幕を閉じました。

映画『想像』太田信吾監督インタビュー記事紹介

初日舞台挨拶終了後の太田信吾監督


(C)Cinemarche

Cinemarcheサイト内では、ドキュメンタリー映画『想像』を手がけた太田信吾監督へのインタビュー記事も掲載しております。

オーディションにて選ばれた7人の役者の1人・板橋優里に焦点を当て、彼女が本読みからパリ公演までの2年間にわたり“想像”によってパフォーマンスを豊かにしていく姿を、ミニマルに繰り返す手法を用いて描き出した『想像』。

本作の制作を決意するきっかけとなった大きな出来事をはじめ、役者として活躍する自身の経験を本作でどのように活かしたのかなど、貴重なお話を語ってくださいました。

映画『想像』の作品情報

【公開】
2021年(日本映画)

【監督・製作】
太田信吾

【出演】
板橋優里、岡田利規 ほか

【作品概要】
世界的に注目される演劇カンパニー「チェルフィッチュ」の作品創作を追ったドキュメンタリー作品。2005年に第49回岸田國士戯曲賞を受賞したチェルフィッチュの代表作『三月の5日間』の再演に挑むオーディションで選ばれた7人の俳優のうち、1人に焦点を当て、本読みからパリ公演までの2年間をカメラが追う。

小道具やセットを極力配したシンプルな空間で、俳優が想像だけを武器にパフォーマンスを豊かにしていく過程を、ミニマルに繰り返す手法を用いて描いていく。

監督は『わたしたちに許された特別な時間の終わり』『解放区』の太田信吾。

映画『想像』のあらすじ


(C)ハイドロブラスト

世界的に注目される演劇カンパニー「チェルフィッチュ」。

同カンパニーの演出家の岡田利規は、役者自身による「想像」という営みを重要視し、観客のイマジネーションをも膨らませる豊かなクリエーションへを生み出すことを試み続けている。

映画『想像』はチェルフィッチュの代表作『三月の5日間』のパリ公演に向けてのリクリエーションを通じて、若き役者たちの「想像」の過程とその成長を2年間にわたって追う。

小道具やセットを極力排したシンプルな空間で、俳優が「想像」だけを武器に充実したパフォーマンスを繰り広げるまでの過程は、「他者への想像」が希薄化した現代に痛烈な批評性をもって作用することになる……。

まとめ


(C)ハイドロブラスト

初日から多くの人々が映画館に訪れ、太田信吾監督とカメラマン・鈴木宏侑が登壇した初日舞台挨拶イベントも盛況の中で幕を閉じたドキュメンタリー映画『想像』。

「他者への想像」が希薄化し、それゆえに「想像力に対する暴力」が生じてしまう現代において、演劇という芸術の力、何よりも「想像」という力を信じる人々を『想像』という映画はどのように描き出したのか。

「他者への想像」の重要性がより露わになった2021年にこそ、ドキュメンタリー映画『想像』は観客により「想像」を働きかけるでしょう。

ドキュメンタリー映画『想像』は2021年5月28日(金)よりアップリンク吉祥寺にて、29日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティにて劇場公開!


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