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Entry 2020/03/19
Update

映画『その手に触れるまで』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。ダルデンヌ兄弟がカンヌ監督賞を受賞した感動作!

  • Writer :
  • 石井夏子

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督最新作。

第72回カンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督。

(C) Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

受賞作である『Le Jeune Ahmed』が『その手に触れるまで』の邦題としてヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて2020年6月12日(金)より公開されます。

この度、予告編とポスタービジュアルが解禁となりました。

映画『その手に触れるまで』について

(C) Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

本作の主人公は13歳の少年アメッド。どこにでもいる少年でしたが、尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込んでいきます。

まだ世界を知らないまま、善と悪、純粋と不純を分け、たどり着いた過激な正義。それは宗教的思想に限らず、他者を受け入れなくなる思春期の経験に重なります。

人の変化は急には起こらず、周囲の人たちとの関わり合いの中から、その人なりの正解を導き出します。いくつもの出来事を積み重ね、感情の変化を丁寧にすくいとり、緊張感を持ったまま、厳しさと優しさに満ちたラストシーンを迎える本作。

主演はダルデンヌ兄弟が見出した新星イディル・ベン・アディ。第10回ベルギー・アカデミー賞で有望若手男優賞を受賞しました。

ダルデンヌ兄弟作品のカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品は8連続の快挙。さらに、監督賞受賞により、同映画祭で審査員賞を除くすべての主要賞受賞という史上初の偉業を成し遂げました。

ダルデンヌ兄弟とは?

本作の監督、ダルデンヌ兄弟兄のジャン=ピエールは1951年4月21日、弟のリュックは1954年3月10日にベルギーのリエージュ近郊で生まれました。

リエージュは工業地帯であり、労働闘争のメッカ。ジャン=ピエールは舞台演出家を目指して、ブリュッセルへ移り、そこで演劇界、映画界で活躍していたアルマン・ガッティと出会います。

その後、兄弟はガッティの下で暮らすようになり、芸術や政治の面で多大な影響を彼から受け、映画製作を手伝うように。原子力発電所で働いて得た資金で機材を買い、労働者階級の団地に住み込み、土地整備や都市計画の問題を描くドキュメンタリー作品を1974年から製作しはじめます。

同時に1975年にはドキュメンタリー製作会社「Derives」を設立し、1978年に初のドキュメンタリー映画『Le Chant du Rossignol』を監督しました。その後もレジスタンス活動、ゼネスト、ポーランド移民といった様々な題材のドキュメンタリー映画を撮りつづけます。

1986年、ルネ・カリスキーの戯曲を脚色した初の長編劇映画『ファルシュ』を監督、ベルリン、カンヌなどの映画祭に出品されました。

劇映画第4作『ロゼッタ』はカンヌ国際映画祭コンペティション部門初出品にしてパルムドール大賞と主演女優賞を受賞

そして、第11作である本作『その手に触れるまで』も同映画祭コンペティション部門に8作品連続出品という前人未到の快挙を達成し、さらに監督賞も受賞。本受賞により、審査員賞以外の主要賞受賞の偉業を成し遂げました。

近年では共同プロデューサー作品も多く、マリオン・コティヤールと出会った『君と歩く世界』の他、『ゴールデン・リバー』『プラネタリウム』『エリザのために』などを手掛けています。他の追随をまったく許さない、21世紀を代表する世界の名匠です。

映画『その手に触れるまで』のポスタービジュアル

(C) Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

解禁されたポスタービジュアルは、どこか一点を真剣に見つめる13歳の少年アメッドの表情が印象的な2枚の写真がメインとなりました。

また、場面写真には、勉強を教える先生、畑で見つめ合う少女、抱き寄せる母親など、アメッドと登場人物たちとの交流が見えます。

それぞれアメッドに向き合っているものの、どこか無表情なアメッド。

ぬくもりを知るとき、隣に誰かがいることの尊さを知る。」というキャッチコピーのように、アメッドは向き合ってくれる人の大切さに気付くことができるんでしょうか。

映画『その手に触れるまで』の予告編

予告編は、アメッドが足もとに隠していたナイフを手に取り、学校の先生・イネスに襲い掛かる、緊張感あふれるシーンから始まります。

母親の心配をよそに熱心に礼拝所へ通い、思春期特有の潔癖さも手伝い、過激なイスラム思想に感化され、イネスを拒んでいくアメッド。

彼が出会う人々と共に過ごす時間を通じて、頑なになったアメッドの心を変えることができるのか?アメッドが突如として車を飛び出し、駆け出した先に待っているものとは?

「アクション映画のように緊迫感に溢れる」「社会の現実に根差した感動的なドラマ」というレビューの通りに、ダルデンヌ兄弟の十八番ともいえる「人の心がどう動いていくのか」をサスペンスフルに描きながらも、感動的なドラマを予感させる映像です。

映画『その手に触れるまで』の作品情報

(C) Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

【日本公開】
2020年(映画)

【原題】
LE JEUNE AHMED

【英題】
YOUNG AHMED

【監督・脚本】
ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ

【キャスト】
イディル・ベン・アディ、オリヴィエ・ボノー、ミリエム・アケディウ、ヴィクトリア・ブルック、クレール・ボドソン、オスマン・ムーメン

映画『その手に触れるまで』のあらすじ

(C) Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

13歳の少年アメッドはどこにでもいるゲーム好きの普通の少年。

ですが、尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込み、学校の先生をイスラムの敵と考え、抹殺しようとするように。

狂信的な考えに囚われた少年の気持ちを変えることはできるんでしょうか。

まとめ

(C) Les Films Du Fleuve – Archipel 35 – France 2 Cinéma – Proximus – RTBF

“特別な子ども”ではなく、すぐそばにいる子どもの成長を見届けるような温かさをもって、普遍的でいて、これまでにない少年の成長物語が誕生しました。

胸を強く締め付ける、厳しさと優しさに満ちた本作にご期待ください。。

映画『その手に触れるまで』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて2020年6月12日(金)より公開です。



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