ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で観客賞受賞作。
2018年の『カメラを止めるな!』に続き、2019年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で観客賞である「ゆうばりファンタランド大賞」の作品賞を受賞し、カナダのファンタジア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、現在までに11の賞を受賞している映画『いつくしみふかき』。
映画『いつくしみふかき』が、満を持して2020年6月19日よりテアトル新宿にて公開されます。
この度、ポスタービジュアルとキャストのコメントが解禁されましたのでご紹介します。
CONTENTS
映画『いつくしみふかき』について
本作は、劇団チキンハート主宰の遠山雄の親しい知人と、その父についての実話です。
ひきこもりの知人が、葬儀で父親をかばいながらも謝罪をした姿が衝撃的だったことが映画化のきっかけになったそう。
実際に知人が住んでいた長野県飯田市に、劇団員が実際に代わる代わる住み込んで、今回の映画化に漕ぎ着けました。
監督を務めるのは、劇団チキンハート演出家の大山晃一郎。
父親・広志役を、意外にも本作が映画初主演となる渡辺いっけいが演じます。
遠山の知人を基にした、息子・進一役を遠山雄自身が演じ、W主演を飾ります。
2人を取り持つキーとなる牧師・源一郎役に、ベテランの金田明夫、広志の舎弟・浩二を劇団チキンハートの榎本桜が演じるほか、三浦浩一、眞島秀和、塚本高史ら、大山監督と親交のある豪華な俳優陣が脇を固めました。
映画『いつくしみふかき』のキャストコメント
この度、映画初主演となる渡辺いっけい、本作の企画から息子・進一役を務めた遠山雄、牧師・源一郎役の金田明夫より以下のようにコメントが届きました。
広志役:渡辺いっけいのコメント
6年前「TEAM」と言う刑事ドラマに出演中、面白い役者に出会った。芝居が妙にすっとぼけていて魅力がある。助監督のヤマちゃんこと大山晃一郎に「あれは誰?」と聞くと「遠山雄、ウチの劇団員です」と嬉しそうに言われた。それから彼らの劇団公演を観に行くようになり、「実は映画を撮りたい」と2人から切り出されたのが4年前。この度、映画はようやく完成した。怪作である。闇鍋的に面白い。笑えて泣ける。
撮影地・飯田下伊那のロケーションの美しさ、人々の暖かさが画面から滲み出ている。僕は出演者なのに、一観客としてじっくりと何度でも繰り返し見たくなる、そんな映画です。
進一役:遠山雄のコメント
映画『いつくしみふかき』は長野県飯田下伊那の皆さんと5年かかりで作った映画です。無名俳優として死んで行くわけにはいかないと思い自分が一番大切にしている場所で一世一代の大博打を打ちました。完成までに時間がかかってしまったせいで映画を助けてくれた方々が亡くなったり多額の借金を背負ったりと気持ちが何度も折れましたが、たくさんの方の支えがあって公開が決まりました。この映画をもって映画俳優として生きていく心に迷いがなくなりました。売れない俳優の大勝負ぜひ見届けに来て頂けましたら幸いです。
牧師・源一郎役:金田明夫のコメント
人の贖えない運命だとか色んなことを正攻法というよりは俯瞰の位置で見ていて、観ている方に、ボディブローのように効かせていって、最後ノックアウトしちゃうような映画でした。監督の中では12ラウンドをちゃんと戦う戦い方をした映画だなと思いました。家族と地域に生きている力強い人間たちの生きる力と生きる愛が見える映画です。ヒーローは出てこない、日常の切り取りの中で淡々と起きていく中でものすごいドラマが進んでいきます。
中盤のコミカルなシーンは、チャップリンの言葉で、「クローズアップで撮ると悲劇で、ロングショットで撮ると喜劇だ」という言葉がありますし、チェーホフもそうだけれど、本人たちにとってはとんでもない悲劇なんですけれど、周りにしてみると喜劇という構図で面白かったです。
将来性がある面白い監督なので、彼がこれからも撮るためにも劇場で観て下さい。後で「最初の作品を映画館で観てるんだよ」と自慢できると思います。
映画『いつくしみふかき』の予告編
この度公開になったの予告編では、タテタカコが主題歌を歌う「いつくしみふかく」の曲とともに父子の人生が交差し始める様子が映し出されます。
冒頭に「あいつの居場所を知りませんか?」という進一の声とかぶさるように「どうして僕には父親が居なかったんだろう」というテロップが。
その真相を垣間見るような“悪魔”と言われた父・広志、嘆き悲しむ母、取っ組み合う父子の様子が描かれます。
終盤進一の「ただ普通でよかったんだよ、普通で」と絞り出すような声が印象深く響きます。
父子との悲劇がどういう着地点を迎えたのか、余韻を残す映像となりました。
映画『いつくしみふかき』のポスタービジュアル
この度、解禁されたポスタービジュアルには、進一と父・広志がバスタブで対面する姿がモノクロームの色合いで映し出されています。
服を着たままバスタブで向かい合う父子という奇異なシチュエーションと手書きで白抜きされた「いつくしみふかき」という映画タイトル題字が思わず目を引くビジュアルとなっています。
映画『いつくしみふかき』の作品情報
【日本公開】
2020年(日本映画)
【監督】
大山晃一郎
【脚本】
安本史哉、大山晃一郎
【キャスト】
渡辺いっけい、遠山雄、平栗あつみ、榎本桜、小林英樹、こいけけいこ、のーでぃ、黒田勇樹、三浦浩一、眞島秀和、塚本高史、金田明夫
映画『いつくしみふかき』のあらすじ
30年前。母・加代子(平栗あつみ)が進一(遠山雄)を出産中に、あろうことか母の実家に盗みに入った父・広志(渡辺いっけい)。
「最初から騙すつもりだったんだろ?」と銃を構える叔父を、牧師・源一郎(金田明夫)が止め、父・広志は“悪魔”として村から追い出されます。
進一が母の知らないものを持っているだけで、「取ったのか?この悪い血が!」と狂う母。進一にとって父親は“触れてはいけない存在”として育ちます。
30年後。進一は、自分を甘やかす母親が見つけてくる仕事も続かない、一人では何もできない男になっていました。
その頃父・広志は、舎弟を連れて、人を騙してはお金を巻き上げていました。
ある日、村で連続空き巣事件が発生し、進一は母を始めとする村人たちに、「悪魔の子である進一の犯行にちがいない。警察に突き出す前に出ていけ」と言われ、牧師のいる離れた教会に駆け込みます。
「そっちに行く」という母親に「来たら進一は変わらない」と諭す牧師。
一方、父・広志は、また事件を起こし、相変わらず様子。ある日、広志は牧師に金を借りに来ます。
「しばらくうちに来たらどうだ?」と提案する牧師。
牧師は進一のことを「金持ちの息子」だと嘘を吹き込み、進一と広志は、お互い実の親子だとは知らないまま、二人の共同生活が始まります…。
まとめ
本作の企画者でもあり、主演の遠山雄がコメントにも寄せたように、長野県飯田下伊那を舞台に5年という歳月を経てこの度、完成された映画『いつくしみふかき』。
金田明夫のコメントからは、家族と地域のなかで生き抜く、熱を帯びたドラマが誕生したことを告げています。
ぜひ劇場で、父子に起きた悲劇と喜劇をご堪能ください。
映画『いつくしみふかき』は、2020年2月14日(金)からロケ地である長野県飯田市のトキワ劇場及びセンゲキシネマズで、2月21日(金)から主演の渡辺いっけいの出身地である愛知県のイオンシネマ豊川で先行上映を行い、6月19日(金)よりテアトル新宿にて公開予定です。