カナザワ映画祭2019「期待の新人監督」グランプリ受賞作。
とある一家族から映し出される、中国朝鮮民族の「今」。
「中国朝鮮民族」の一家族を追ったドキュメンタリー映画『血筋』が、2020年3月14日(土)より新潟シネ・ウインドで先行公開、来春にポレポレ東中野ほかで全国順次公開されます。
映画公開に先駆け、ティザービジュアルが到着しました。
映画『血筋』について
参考動画:『血筋』を観た観客の反応
本作『血筋』は、韓国・北朝鮮の他に、もう一つ存在する「中国朝鮮民族」に着目した、世界初のドキュメンタリー映画です。
彼らの多くが韓国へ憧れ、韓国へ出稼ぎに行ったという、これまで注目されてこなかった中国朝鮮民族を、とある一組の家族の父子を通じて追っていきます。
国内外で自主上映を行ったり、映画祭に出品された本作は、その中のひとつカナザワ映画祭2019「期待の新人監督」部門において、グランプリを受賞(賞金200万円は辞退)しています。
監督自身のルーツをたどっていくセルフドキュメンタリー
参考動画:上映後に挨拶をする角田龍一監督
本作で被写体となる中国朝鮮民族の一家族とは、監督にしてプロデューサーでもある角田龍一自身の家族です。
1993年に中国朝鮮民族自治州・吉林省延吉市生まれた角田は、新潟県立大学卒業後に、映画製作の道に進み、ベルリン国際映画祭正式招待作品『Blue Wind Blows』で助監督を務めます。
大学在籍中から、新潟・市民映画館シネ・ウインドが刊行する映画雑誌で映画紹介文を書く傍ら、長期休暇を利用して本作の撮影・制作を行いました。
製作途中で資金難に陥るも、クラウドファンディングで資金を募りつつ、2018年3月から京都・大徳寺で書生として半年間居候しながら編集作業を続けたのち、5年の歳月をかけて完成にこぎつけました。
当初から世界公開を想定していた角田は、「日中英韓」の4カ国語字幕のポスティング(字幕を貼り付ける)作業と日本語訳をすべて自身で担当。
ヴァイオリン音楽を担当した郷古廉は、角田とは中学校時代の同級生で、現在、国内外で最も注目されている若手ヴァイオリニストとして活躍中です。
プロデューサーは『エヴァンゲリオン』の山賀博之
角田とともに本作のプロデューサーを務めるのは、劇場アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987)の監督・脚本や、プロデューサーとして大ヒットテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を手掛けた、アニメ会社GAINAXの元代表取締役社長の山賀博之です。
角田のアルバイト先に偶然訪れたことがきっかけで知り合ったという山賀は、映画製作以外に、2017年からの京都・大徳寺真珠庵「襖絵新調プロジェクト」に参加し、襖絵「かろうじて生きている」を描き上げるなど、多方面でも活躍。
アニメ監督としても、NHK総合で放送のテレビアニメ『ピアノの森』(第2シリーズ)の監督を務めています。
映画『血筋』の作品情報
【日本公開】
2020年(日本映画)
【外国語題】
핏줄(英題:Indelible)
【監督・製作・撮影・編集】
角田龍一
【製作】
山賀博之
【音楽】
郷古廉
映画『血筋』のあらすじ
主人公の少年は、中国朝鮮族自治州・延吉で生まれ、10歳のときに日本へ移住。
20歳を迎えた時に、自らのルーツを探るため、画家だった父を探すことを決意します。
中国の親戚に父の行方を尋ねるも、誰も消息を知らないばかりか、父の話題に触れたがりません。
それでも、叔父の助けにより再会を果たした父は、韓国で不法滞在者として日雇い労働をしながら借金取りに追われる日々を送っていたのです。
それでも息子への虚栄心と自己満足的な愛情を「お金」によって表現しようとする父に、息子は…。
まとめ
参考:『血筋』公式ツイッター
劇場公開へ向けて
ポスターリニューアルしました。@kamikoku2009 @T_kub_
ご協力ありがとうございます!#血筋#来春劇場公開へ pic.twitter.com/PavQDkiS5h— 映画『血筋』2019(英題/原題: Indelible/핏줄) (@indelible2019) November 11, 2019
映画祭や自主上映も含め、これまで全国8か所で上映を重ね、観客も老若男女を問わず、香港、中国、韓国、台湾、ニュージーランド、フィリピン、デンマーク、フランス、コンゴなどさまざまな人種に観てきてもらったという角田監督。
彼は、本作『血筋』の劇場公開決定に際して、以下のようなコメントを残しています。
この作品では、政治的な要素はほとんど出てきません。全く知らない場所にいる、誰も知らない、一家族の物語です。
今、社会ではそれぞれの国の間での問題が報道されています。その中でも、上映して一定の共鳴が起きたことは、それ程人間に違いは無いという事実を示しているのではないかと思います。
だからこそ僕は、この映画をシンプルに「中国朝鮮民族のひとつの家族の物語」として楽しんでほしい。そして、「自分の映画」として持ち帰ってもらいたいと考えています。
角田監督の個人を通して、観客に「家族とは何か」を問いていく本作を、ぜひともご覧になってください。
ドキュメンタリー映画『血筋』は、2020年3月14日(土)より新潟シネ・ウインドで先行公開、来春にポレポレ東中野ほかで全国順次公開。