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映画業界のハラスメント防止に向けて、是枝裕和、諏訪敦彦、西川美和ら連盟で文化庁へ要望書提出

  • Writer :
  • 星野しげみ

業界のハラスメントに監督たちが立ち向かう!

声明文「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」が、2022年3月18日(金)に是枝裕和、諏訪敦彦、岨手由貴子、⻄川美和、深田晃司、舩橋淳(五十音順)の連名で発表されました。

細かい契約の書面化が進んでいない映画界。そのことがハラスメント、精神的・身体的暴力などさまざまなトラブルの要因の一つとなっています。


左より⻄川監督、諏訪監督、寺本課⻑、中山専門官

契約書作成がないことを危惧したのは、是枝裕和&諏訪敦彦&西川美和らが名を連ねる映画監督有志の会。

会の有志メンバーは、この契約書の作成において特にハラスメント防止が重要な検討項目と考え、文化庁が発出を進める「文化芸術分野の適正な契約関係構築」において、ハラスメント防止に向けての要望書を文化庁に24日に提出しました。

文化庁・省庁へ要請の実施

諏訪敦彦(映画監督・映画監督有志の会)と⻄川美和(映画監督・映画監督有志の会)が、2022年3月24日(木)に文化庁に赴き、要請を提出しました。

諏訪敦彦の言葉:「文化芸術分野の適正な契約関係構築について検討を始められているということでかなり重要な局面にあると思います。3/18に出した声明文を出したのですがかなり大きな反響がありまして、実に様々な現場の声が届いています。事態は想像以上に深刻です。そのような状況の中で、ぜひハラスメント防止の観点から幅広い現場の調査と約書の項目についてもっと十分に時間をかけて検討していただきたい。」

⻄川監督の言葉:「声明を出してから5日間で、300件ものメッセージをいただき、中には痛ましい実情の告白も多数寄せられました。このことは、そういう苦しみの受け皿が映画・映像業界に全く用意されずに来たことの表れでもありますし、また過酷な労働環境の中でスタッフや俳優はプレッシャーを受け続け、傷を負った人が上の立場に立った時には無意識に加害的になっているような連鎖もあります。ハラスメントの問題を重要な課題として捉えていただき、作成中の契約書のひな型のプラス面が将来的には広く当事者に伝わるようにしていただきたいと思います。」

⻄川監督、諏訪監督両名のお願いに対し、文化庁の寺本課⻑は「この取り組みは始まったばかりで、まずは最初の一歩として踏み出そうとしております。その中でさらに現場の方の声を取込みながら使っていただけるよりいい雛形をまずは作っていきたいと思ってます。」と答えられました。

まとめ

業界のハラスメントなどの問題を重くみた「映画監督有志の会」が、文化庁が進める「文化芸術分野の適正な契約関係構築」において、ハラスメント防止に向けての要望書を提出しました。

その前に連名で出された「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」という声明文にも、大きな反響があったと言います。

個々の小さなつぶやきも集まれば大きなざわめきになります。「映画監督有志の会」の決断に期待しましょう。

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