映画『泣くな赤鬼』は2019年6月14日(金)全国ロードショー
ベストセラー作家・重松清の短編小説が待望の映画化。
“赤鬼”と呼ばれた教師と、余命半年の元生徒の交流を描きます。
映画公開に先立ち、原作短編小説『泣くな赤鬼』をネタバレありで登場人物やラストまでのあらすじをご紹介。
小説『泣くな赤鬼』の登場人物
赤鬼
55歳の高校教師。古文を教えています。野球部の部長兼監督。
10年ほど前はゴルゴの担任をしていました。
日焼けした顔と厳しさから“赤鬼”と呼ばれていましたが、現在の赴任先の高校では“メタボン”というあだ名に。
小説は彼の視点で進んで行きます。
ゴルゴ
26歳。本名は斎藤智之。
漫画『ゴルゴ13』の作者が“さいとうたかを”のため、高校時代は“ゴルゴ”と呼ばれていました。
高校時代は野球部で、才能もありましが、努力嫌いの性格ゆえに退部し、高校も中退。
現在は自動車工場で働いています。
雪乃
ゴルゴの妻。シュウという名のまだ幼い息子がいます。
和田
ゴルゴの高校の同級生で野球部員。
努力を重ね、高校2年の時にレギュラーになりました。
現在の様子は描かれていません。
小説『泣くな赤鬼』のあらすじとネタバレ
“私”こと赤鬼は、大学病院で、かつての教え子“ゴルゴ”と再会します。
ゴルゴは高校2年で中退し、暴力沙汰やバイクの暴走で警察に捕まり荒れていましたが、現在は大きな自動車工場で働き、妻の雪乃と息子のシュウとまっとうに暮らしているそうです。
彼が病院に来たのは、会社の健康診断で再検査項目があったため。
ゴルゴは“ゴルゴ”と呼ばれたのは久しぶりだと懐かしみますが、赤鬼もそう呼ばれたのは久しぶりでした。
今の勤務先の高校では以前の厳しさも無くなった赤鬼は、“メタボン”というあだ名を陰で付けられていました。
赤鬼はゴルゴの高校時代を回想します。
当時勤めていた高校の野球部は、甲子園まであと一歩と言う実力。赤鬼はその一歩のために部員である生徒たちに厳しく接して来ました。
甲子園という夢のため、何人もの弱い生徒を切り捨ててきた赤鬼。
特にゴルゴが在籍していたころは甲子園に一番近いチームでした。
野球のプレイの才能はあったゴルゴですが、地道な基礎練習に耐えられなかったんです。
病院での再会の数日後、雪乃がひとりで赤鬼を訪ねてきました。
雪乃は泣きながら、ゴルゴが末期のガンだったことを伝えます。
余命半年。進行が早ければ3ヶ月。
骨にまで転移したガンは、まだ26歳と言う若さのゴルゴの全身を蝕んでいました。
赤鬼は雪乃に、何故自分に会いに来たのか尋ねます。ゴルゴに恨まれていると思っていたからです。
雪乃は、赤鬼と再会した後のゴルゴの嬉しそうな様子を話します。
大人になった姿を見て、「しっかりがんばってるんだな」と、赤鬼先生が初めてほめてくれて嬉しかったんだと。
雪乃はゴルゴ本人に告知をすること、赤鬼に見舞いに来てほしいことを伝えて去ります。
再びゴルゴの高校時代を思い出す赤鬼。
努力を重ねて野球部レギュラーの座をつかんだ和田と、才能はありながらも努力が出来なかったゴルゴ。
次第に部活の練習に顔を出さなくなったゴルゴは素行も乱れ、退部しました。
赤鬼は当時どうしたら良かったのか、どう接したら良かったのか、いまでもその答えが出ないままです。
小説『泣くな赤鬼』の感想と評価
浜田廣介作の児童文学に、ご存知『泣いた赤鬼』という作品があります。
どちらの作品の赤鬼も、目の前のことに追われ毎日を過ごしていたら、いつの間にか大切なものは遠く旅立ってしまいました。
『泣くな赤鬼』の短編小説は文庫にして50ぺージと短く、とても読みやすい長さですが、その中にたくさんの人生が凝縮されています。
まずは主人公の赤鬼。人生も折り返し地点をとうに過ぎ、教師生活もあと数年と言う彼の、悔恨に満ちた語り口。
“先生”という存在は決して完璧なものではないと改めて気付かされますし、悩みながらいくつもの苦い選択をしてきたひとりの人間として描かれています。
彼がゴルゴと再会し、思い出を辿って現在に帰りつくことで、いままでの自分と向き合う。
教師と生徒という図が、最後には逆転し、赤鬼がゴルゴから学んだということが伝わるラストは涙なくして読めません。
また、ゴルゴの人物像と、彼を支える雪乃も魅力的です。
弱いのに見栄っ張りで流されやすいゴルゴがやっと努力して手に入れた幸せ。
それがぽろぽろと崩れて行くさまは残酷です。
遺された雪乃が心穏やかに過ごせる日が一刻も早く訪れて欲しいと願ってしまいます。
映画版では、赤鬼を堤真一、ゴルゴを柳楽優弥、雪乃を川栄李奈が演じるということで、あまりにイメージ通りなキャスティングに期待が膨らみますね。
映画『泣くな赤鬼』の作品情報
【日本公開】
2019年(日本映画)
【原作】
重松清『せんせい。』より「泣くな赤鬼」(新潮社文庫)
【監督】
兼重淳
【脚本】
上平満、兼重淳
【主題歌】
竹原ピストル『おーい!おーい!!』
【キャスト】
堤真一、柳楽優弥、川栄李奈、竜星涼、堀家一希、武藤潤、佐藤玲、キムラ緑子、麻生祐未、
【作品概要】
生徒と教師の絆を描いた重松清の同名短編小説を堤真一、柳楽優弥、川栄李奈の共演で映画化。
主演・赤鬼役を、NHKドラマ『とんび』(2012)に続く重松清作品となる堤真一。
ゴルゴ役を柳楽優弥、その妻役を川栄李奈がそれぞれ演じます。
ゴルゴの高校時代の野球部メンバー和田役は竜星涼です。
監督は『キセキ-あの日のソビト-』(2017)の兼重淳。
主題歌は、本作のために書き下ろされた、竹原ピストルによる『おーい!おーい!!』です。
映画『泣くな赤鬼』のあらすじ
日に焼けた赤い顔、鬼のような熱血指導から、かつては「赤鬼」と呼ばれていた城南工業野球部監督・小渕隆。
しかし、甲子園出場の夢はかなうことなく、10年の歳月が流れました。
あの頃のような野球への熱い思いは衰え、身体にもガタがきている50代の疲れた中年となった赤鬼は、診察を受けた病院でかつての教え子、斎藤智之=愛称ゴルゴと偶然再会。
類まれなる野球センスを持ちながら、努力もせずに途中で挫折し、高校を中退したゴルゴも、今では20代半ばとなり、妻と息子の3人で幸せな家庭を築く、一人前の大人に成長していました。
しかし、ゴルゴが若くし末期がんにより余命半年であることを知った赤鬼は、ゴルゴのためにあることを企画し…。
まとめ
👹#泣くな赤鬼👹
〈平成最後の甲子園〉第91回選抜高校野球大会が本日開幕⚾️
本作では #堤真一 さん演じる“赤鬼先生”と共に甲子園を目指す生徒との熱い絆が描かれています。#映画 #センバツ #選抜 #甲子園 #野球https://t.co/oxQusPEvQA— 映画『泣くな赤鬼』公式 (@nakunaakaoni) 2019年3月23日
2019年6月14日(金)全国ロードショーの映画『泣くな赤鬼』。
重松清の同名原作は50ページという長さながら、非常に濃く、読み手の想像力が膨らむ優れた小説でした。
映画化されるにあたり、映像だからこそできる表現にも期待しています。
また、個性的な登場人物たちを彩る俳優陣の演技も楽しみですね。
赤鬼を演じる堤真一は、阪神甲子園球場の近くで育ち、幼いころから野球をしていたといいます。ゴルゴのように、高校時代に途中で野球部を辞め、学校をさぼっていたそう。
野球が身近な存在だった堤真一だからこその、リアルな監督ぶりが滲みでるはずです。
その体系から現在は“メタボン”と陰口をたたかれている、という設定の赤鬼ですが、映画版ではメタボン堤は見られるんでしょうか。
また、柳楽優弥の不敵な笑みと、目で語る演技力はゴルゴにうってつけですね。
女優として着実に歩みを進める川栄李奈も、健気に夫を支える妻を好演してくれそうです。
映画『泣くな赤鬼』、6月14日の公開日が待ちきれません。