老老介護のリアルな姿を描いたほのぼのドキュメンタリー
認知症を患う99歳の母と自身も71歳の映像作家・谷光章監督が介護をする姿をほのぼのと描いたドキュメンタリー『99歳 母と暮らせば』が6月8日(土)より新宿 K’s cinema 他全国順次公開が決定しました。
谷光章監督自身が白寿を迎えた母・千江子さんと同居し寄り添いながら、日々の情景やそこで巻き起こる様々な出来事を、約1年に渡り撮影したセルフドキュメンタリー。
15周年を迎えるK’s cinema。2019年5月11日から6月7日まで休館し、6月8日のリニューアルオープンを本作が飾ります。
公開に先駆けて場面画像が届きましたのでご紹介します。
CONTENTS
映画『99歳 母と暮らせば』思わずほっこり
映画『99歳 母と暮らせば』から解禁された画像は2枚。
冒頭の画像は白寿を迎え、満面の笑顔を浮かべる千江子さん。
何か楽しい話でもしていたんでしょうか。笑い声が聞こえてきそうな笑顔です。
もう1枚は千江子さんと谷光章監督。2人が仲睦まじく手を繋いで歩く様子です。
谷光章監督からすれば、自身が10代~60代の時は母親と手を繋ぐなんて考えもしなかったかもしれません。
それでも、この作品の柔らかな雰囲気を象徴するような温かい雰囲気が醸し出されています。
映画『99歳 母と暮らせば』の監督・谷光章
参考映像:DXな日々 美んちゃんの場合(2012)
ドキュメンタリー映画の監督・谷光章。
1984年発表の『さわる絵本 盲児たちの世界』では、盲目の児童たちのために、立体的にした絵本を制作するボランティアのお母さんたちを描きました。
2012年の『DX(ディスレクシア)な日々 美んちゃんの場合』ではディスレクシア(難読症)という発達障害を抱えたまま大人になった女性を追いました。
これまでなかなか日常生活ではとらえにくいものを題材にしていた谷光章監督ですが、今回は誰もが抱えるであろう問題です。
認知症での昼夜逆転や、足腰の衰え、下の失敗など、高齢になれば殆どの人が経験するトラブルを抱えながらも、母の人生最終章を気持ち良く楽しく過ごさせるべく奮闘する家族の姿に、「人生100年時代」と言われる現代において、介護する人もされる人も共に楽しく生きるヒントが満載の映画です。
谷光章監督メッセージ
本作を手がけたきっかけや、本作に込めた想いを谷光章監督はこう語っています。
2025年には3人に1人が65歳以上の超高齢化社会を迎え、殆どの人が介護に向き合わなければならなくなります。
この映画を作ろうと思ったきっかけは、たまに実家に帰ると近くに住む家族が来ていて、母の認知症の症状が出るたびに「また同じことを聞く!」「さっき食べたばかりでしょ!」などと母を激しく怒るのをたびたび目にしたからです。
自分ではどうすることもできない老いと認知症のため、本来天真爛漫で明るい性格の母が申し訳なさそうに小さくなっているのです。
私は母のこうした現状を少しでも改善したいと同居することにしました。
母の症状は認知症特有の《同じことを何度も何度も聞いて来る》《朝と夕の区別がつかない》《さっき食べた食事を忘れて「まだ食べてない、お腹がすいたー」と騒ぐ》などなど。
しかし、こうした姿は紛れもなく介護する者の十数年後の姿なのです。
映画では99歳の母と71歳の息子のユーモア溢れるとぼけた会話が続く日々の暮らしを中心に、江の島などの四季を折込みながら、次々に起こる驚くべき認知症のリアルな姿を描いていきます。
映画を通して、介護される人もする人も、「楽しく幸せに暮らせる介護はどうすればよいか」を考えるきっかけになればと思います。
2018年7月には神奈川県藤沢市で披露上映会が行われ、地元新聞などでも大きく取り上げられました。
上映会で映画を観た人々は、「笑顔あふれる映画をありがとう」、 「私もこんなかわいいおばあちゃんになりたい」、「介護する側、される側の人間性で どれほど豊かな人生の最後が過ごせるかと思いました」等、介護について考えるきっかけになったと言う感想が多く寄せられたようです。
谷光章監督の想いが観客に伝わったんでしょう。
誰もが自分自身の姿と重ね合わせることができる作品になっています。
映画『99歳 母と暮らせば』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督・企画・撮影・編集・ナレーション】
谷光章
【キャスト】
谷光千江子、谷光賢、谷光育子、谷光章、小田中通子、谷光家の人々、川邊壽子、松本尚子、長田典、高橋綾子、前田由美子
【作品概要】
71歳の映像作家である谷光章監督が、自身の母親を介護する姿を描いたドキュメンタリー。
99歳で認知症を患う母の千江子さんとともに、介護をする側もされる側も楽しく過ごすための方法を模索しながら奮闘していく姿を約1年間記録しています。
映画『99歳 母と暮らせば』のあらすじ
認知症を患っている99歳の母。
足腰の衰えも進行して一人暮らしがちょっと心配な母を介護すべく、71歳の息子が実家に移り住みました。
老老介護に四苦八苦しながらも、母の人生最終章の日々を撮影していきます。
日常茶飯事で起こる失敗や苦難、そして母のチャーミングな一面や日々の出来事で輝く発見の数々。
介護され、介護する人たちが共に幸せに暮らせる介護とは?
生きていることの愛おしさが心に沁みるドキュメンタリー映画です。
まとめ
高齢化が進み、介護従事者が少ないとされる現在の日本では、老老介護はもはや珍しい光景ではありません。
映画『99歳 母と暮らせば』は支え、支えられながら、共に生きることの愛おしさが、じんわりと心に染みる作品です。
いずれは自分たちも谷光章監督のように介護する側になり、最後は千江子さんのように介護される側になります。
現在同じような状況下にいて、しんどい思いをしている人もいるでしょう。
この作品を見て少しでも、心が軽くなるようなきっかけになればと願います。
映画『99歳 母と暮らせば』は6月8日(金)より新宿K’s cinema ほか全国順次公開します。
ぜひ、ご覧になり心温まってください。