アカデミー賞の常連として知られているメリル・ストリープ。ハリウッドを代表する大女優。
これまでアカデミー主演女優賞・助演女優賞含めて合計20回ノミネートされており、俳優・女優として史上最多記録を樹立しています!
訛りのある英語を使い分けたり、女性の葛藤を繊細に演じ分けたりと、その高い演技力は常に映画ファンの目をくぎ付けにしていますね。
メリル・ストリープは、1949年6月22日生まれで、米ニュージャージー州出身です。
米イェール大学の大学院・演劇科を卒業後、舞台俳優としてキャリアをスタートしました。
1977年の『ジュリア』で映画デビュー、翌78年の『ディア・ハンター』でアカデミー助演女優賞に初ノミネート。1979年『クレイマー・クレイマー』で同賞を受賞し、若手演技派女優のトップに躍り出ます。
1983年『ソフィーの選択』でアカデミー主演女優賞も受賞し、以降『愛と哀しみの果て』、『激流』、『マディソン郡の橋』、『めぐりあう時間たち』などの作品に出演しました。
2006年の『プラダを着た悪魔』では、鬼上司ミランダ役で強烈な存在感を見せつけ、2008年のミュージカル映画『マンマ・ミーア!』では美声を披露しました。
2011年『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でアカデミー賞17度目のノミネート、3度目の受賞を果たし、2016年『マダム・フローレンス!夢見るふたり』で、最多ノミネート記録を20回に更新しました。
どの映画でも圧倒的な演技力を魅せつけ、役を完ぺきに演じ切っていますね!
これまでたくさんの作品に出演してきたメリル・ストリープですが、今回はその中から5作品をピックアップしてお届けします!
CONTENTS
1.ABBAの名曲に載せて贈る大ヒットミュージカル『マンマ・ミーア!』(2008)
『マンマ・ミーア!』の作品概要
2008年のアメリカ映画。監督は、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』のフィリダ・ロイド。
出演は、メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、アマンダ・セイフライド、ドミニク・クーパー、ジュリー・ウォルターズほか。
世界的に有名なABBAの曲をベースにし、1999年にウェスト・エンドで、2001年にブロードウェイで公開されたミュージカル『マンマ・ミーア!』を映画化した作品。
『マンマ・ミーア!』のあらすじ
舞台はギリシャのエーゲ海のホテル。ホテルのオーナーであるドナ・シェリダン(メリル・ストリープ)と娘のソフィー(アマンダ・セイフライド)は、親子二人で仲良く暮らしていました。
ソフィーの結婚式が翌日に迫り、招待客が船で島に到着しはじめます。ドナは古い友人であるロージー(ジュリー・ウォルターズ)とターニャ(クリスティーン・バランスキー)を迎えに行き、久し振りの再会に大喜び。
一方ソフィーは自分の友人達にある計画を打ち明けます。ドナの日記を盗み読みした彼女は、自分の父親候補が3人いることに気付き、その3人の男性にドナの名前で招待状を送っていたのでした。
ヴァージン・ロードを父親と歩きたいと願うソフィー。もちろんドナはこの計画を知りません。父親候補のサム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステッラン・スカーシュゴード)はそんな事情も知らずに、20年ぶりにドナに会いに戻ってきて…。
『マンマ・ミーア!』のおすすめポイント
もともとブロードウェイやウェスト・エンドで大ヒットした舞台版を映画化。ABBAの曲をミュージカル・ナンバーとして用い、舞台版と同じ制作・脚本・演出を女性チームがそのまま映画版も手掛けています。
メリル・ストリープは、娘の結婚を控えたシングルマザーを演じています。当時60歳近いとは思えないメリル・ストリープが歌い踊り、凄いはしゃぎっぷりを披露してくれています!
この作品で描かれる核となるテーマは、ドナとソフィーの母娘の絆。結婚する娘を送り出す親の気持ちやお父さんに祝福してほしい娘の気持ちなどに心が打たれます。
父親候補が3人もいるなんてどう考えても気まずい雰囲気になりそうなものですが、それぞれ違ったタイプの素敵なお父さんが3人もいて逆に羨ましくも感じます。
また、ギリシャの風景の美しさや人物たちの明るさのおかげで前向きな気持ちにさせてくれます。
とにかく最初から最後までものすごく明るくて爽やか!ミュージカル苦手という方にも取っつきやすい作品ではないでしょうか。
2.圧倒的な演技でオスカー獲得!
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の作品概要
2011年のアメリカ映画。監督は、『マンマ・ミーア!』のフィリダ・ロイド。
出演は、メリル・ストリープ、ハリー・ロイド、ジム・ブロードベント、アンソニー・ヘッド、リチャード・E・グラントほか。
メリル・ストリープは、第84回アカデミー賞主演女優賞受賞。史上最多17回目のノミネートにして、3度目のオスカー受賞となりました。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』のあらすじ
父の影響で政治家を志すようになったマーガレット(メリル・ストリープ)は1975年、50歳で保守党党首に選出され、79年にはイギリス初の女性首相となりました。
国を変えるため男社会の中で奮闘するマーガレットはいつしか「鉄の女」と呼ばれるようになります。しかしそんな彼女にも妻や母としての顔があり、知られざる孤独と苦悩があったのでした。
イギリス初の女性首相マーガレット・サッチャーの人生を、戦中の若年期から1990年の首相退陣に至るまで回想を挟みながら描いています。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』のおすすめポイント
男性社会で堂々たるリーダーシップを発揮したサッチャーの素顔を、メリル・ストリープが本人そのままのような迫力で演じきり、本作でアカデミー賞史上最多の17回目となるノミネート記録を打ち立て、見事3度目のオスカー像を手に入れました。
この映画の約2年後にマーガレット・サッチャーは亡くなってしまいましたが、当時はまだ実在する人物を演じたということで、メリル・ストリープ自身もプレッシャーは感じていたようです。
実在した人物だからこそ、できるだけ正確に、真実に近い形で伝えることを大切にしたそうです。
アカデミー賞授賞式で、ストリープはステージ上で「もうこの舞台に立つことはないだろう」とスピーチしました。「3度ももらったし、彼ら(アカデミー会員)もいい加減、私に飽きているはずよ(笑)」と会場を笑わせていました。
マーガレット・サッチャー本人かと間違えるような見た目、話し方、ふるまい方、…メリル・ストリープの演技力・プロ意識の高さに脱帽です!
3.鬼上司を熱演!すべての女性を応援する映画『プラダを着た悪魔』(2006)
『プラダを着た悪魔』の作品概要
2006年のアメリカ映画。監督は、TVシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」のデビッド・フランケル。
出演は、メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチ、エイドリアン・グレニアーほか。
2003年4月に刊行されたローレン・ワイズバーガーによるアメリカ合衆国の小説が原作。
メリル・ストリープは、第79回アカデミー賞主演女優賞にノミネート。第64回ゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞(コメディ・ミュージカル部門)を受賞。
『プラダを着た悪魔』のあらすじ
名門大学を卒業し、ジャーナリストを目指すために田舎からニューヨークへとやってきたアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)は、幸運にも女性の憧れの仕事・ファッション雑誌『ランウェイ』の編集部へと就職します。
しかもその編集長でファッション業界に対し絶大な影響力を誇る、ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のアシスタント職。
しかし、ミランダは自分の身の回りの世話をアシスタントに押し付けるなどの横暴を発揮する最悪の上司であり、今までに何人もがこの仕事を辞めていたのでした。
ファッションには何の興味もなかった彼女でしたが、本来の目的である文芸誌での仕事への足がかりとして、彼女の悪魔のような要求に耐えていきます。
『プラダを着た悪魔』のおすすめポイント
ジャーナリスト志望の主人公が悪魔のような最悪の上司の下で直向きに頑張る姿を描いた物語で、同世代の女性たちから絶大な人気を得た作品です。
メリル・ストリープは、アン・ハサウェイ演じる主人公の上司ミランダを貫禄たっぷりに演じました。近寄りがたい雰囲気だけど、意外と繊細な性格で仕事には厳しい“悪魔”のような役柄はきっと彼女にしか演じられなかったでしょうね。
アン・ハサウェイは仕事に恋に頑張っている等身大の女の子を好演していて、共感できます!いまいちな服装からどんどんカッコいい女の子へと変身していくのが面白いです。
ファッションに恋に仕事、頑張るすべての女性におすすめの元気が出る映画です!
4.メリル・ストリープの名演技は必見『ソフィーの選択』(1982)
『ソフィーの選択』の作品概要
1982年のアメリカ映画。監督は、『ペリカン白書』『大統領の陰謀』などのアラン・J・パクラ。
出演は、メリル・ストリープ、ケビン・クライン、ピーター・マクニコル、リタ・カリン、ジョシュ・モステルほか。
ウィリアム・スタイロンの小説(1979年)が原作。
メリル・ストリープは、第55回アカデミー賞と第40回ゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞。
『ソフィーの選択』のあらすじ
1947年。ニューヨークへやってきた作家志望の青年、スティンゴ(ピーター・マクニコル)はソフィー(メリル・ストリープ)とネイサン(ケヴィン・クライン)に出会います。
ソフィーはナチの強制収容所から逃げ延びた後、アメリカで出会ったネイサンと共に暮らし始めます。やがて三人は親しくなり、幸福な関係を築くかに見えましたが…。
『ソフィーの選択』のおすすめポイント
ニューヨークで知り合った作家志望の青年、自由奔放な男、暗い影のある女、3人の織りなす人間ドラマを描いています。
メリル・ストリープは、反ユダヤ主義の環境に育ちながらナチに人生を踏みにじられた女性を熱演、アカデミー賞主演女優賞などの映画賞に輝いた感動作です。
1982年、メリル・ストリープの初期の頃の作品なのでとても若いですね。メリル・ストリープはこの映画の役作りのためにポーランド語訛りのある英語、ポーランド語、ドイツ語をマスターしたそうです。
作品の背景や役柄によって言葉の訛りも巧みに使い分けるところはさすがですよね。
「ソフィーの選択」が何を差すかはスティンゴとの一夜での彼女の独白で明らかになります。あまりにも悲しく重い物語なのですが、メリル・ストリープの迫真の演技は一見の価値ありです。
5.ダスティン・ホフマンと共演した家族ドラマの名作
『クレイマー・クレイマー』(1979)
『クレイマー・クレイマー』の作品概要
1979年のアメリカ映画。監督は、『プレイス・イン・ザ・ハート』などのロバート・ベントン。
出演は、ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー、ジョージ・コー、ジェーン・アレクサンダーほか。
第52回アカデミー賞作品賞など5部門で受賞、第37回ゴールデングローブ賞 ドラマ部門作品賞など4部門受賞。メリル・ストリープは、アカデミー助演女優賞とゴールデングローブ賞最優秀助演女優賞に輝いています。
『クレイマー・クレイマー』のあらすじ
毎晩深夜に帰宅する仕事人間の夫テッド(ダスティン・ホフマン)に愛想を尽かし、自分自身を取り戻すために家出した妻のジョアンナ(メリル・ストリープ)。
その翌日からテッドは7歳の息子(ジャスティン・ヘンリー)を抱え、仕事と家庭の両立に励みますが、妻の家出から1年後、彼女が息子の養育権を主張、テッドを提訴しますが…。
『クレイマー・クレイマー』のおすすめポイント
ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが夫婦役を演じ、アカデミー賞作品賞など5部門を受賞したファミリードラマの名作です。
1979年の大ヒット映画なので、昔見たことがあるという方も多い作品だと思います。
原題は「原告クレイマーVS被告クレイマー裁判」の意味で、同じ名前の人が争っている裁判、つまり離婚裁判を描いた作品です。
自立を求め家出する妻と、取り残された夫と息子に起こるさまざまな問題を描き、当時のアメリカで社会問題となっていた親権・離婚を真正面から捉え、高い評価をえました。
この映画には数々の名シーンがあります。フレンチトーストのシーンなどはとても印象的で、いまだにフレンチトーストを食べるときはこの映画を思い出します。
家族、親子愛について深く考えさせられる素晴らしい作品です。
まとめ
メリル・ストリープの出演する映画の中からおすすめの5作品をピックアップしてお届けしました。
最近の作品から初期の頃の作品まで、良い作品がとても多いですね。
とくに『クレイマー・クレイマー』や『ソフィーの選択』などはずいぶん前の作品ですが、時が経ってから見る事で、受ける印象が違ったり新たな発見があったりするものです。
ぜひメリル・ストリープの過去の作品もご覧になってみて下さいね!
今後もどのような活躍を見せてくれるのか楽しみです。