イギリス出身の映画監督、クリストファー・ノーラン。これまで『バットマン』シリーズや『インセプション』など、世に送り出してきた映画は名作ばかりです!
クリストファー・ノーラン監督の作品は、CGやVFXなどの最先端技術が最小限に抑えられ、人間心理を深く探求した作風で知られています。また、洗練された緊張感みなぎる映像も高い評価を受けています。
まさに天才ともいうべき映画監督、クリストファー・ノーラン監督の映画の中から厳選した5作品をピックアップしてお届けします!
CONTENTS
1.父と娘の愛を描いたSF映画の傑作『インターステラー』(2014)
『インターステラー』の作品概要
2014年のアメリカ映画。クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル作品であり、実弟ジョナサン・ノーランが脚本に参加しています。
出演は、マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、マイケル・ケインほか。
第87回アカデミー賞視覚効果賞受賞。作曲賞、美術賞など4部門にノミネート。
『インターステラー』のあらすじ
地球は荒廃し、食料不足が深刻になり人類が滅亡に迫った近未来。あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜擢されます。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものでした。
地球に残さなくてはならない家族と人類滅亡の回避、男は二つの間で葛藤します。そして悩んだ末、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込みます。
『インターステラー』のおすすめポイント
ある男が愛する家族を地球に残し、新しい居住可能惑星を探すために宇宙へと旅立つ物語です。親子の繋がりを描いたヒューマンドラマであり、リアリティを追求したハリウッドの映像表現を尽くしたSFでもあります。
ノーラン監督は、この作品でスピルバーグやルーカス作品のような驚きと感動の映画を目指したと言われています。
CGを極力使わないことで知られるノーラン監督。この映画でも最先端技術を最小限に抑え、実物大の巨大宇宙船を制作し撮影に臨みました。
約3時間の長尺ですが、繊細な映像や音楽、宇宙の壮大なストーリー、家族愛などのバランスが良いのでかなり引き込まれますし見ごたえがあります。SFがちょっと苦手…という方でも親子の愛を感じられるので、おすすめですよ。
2.時間軸をさかのぼる異色サスペンス『メメント』(2000)
『メメント』の作品概要
2000年のアメリカ映画。出演は、ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノほか。
第74回アカデミー賞脚本賞、編集賞ノミネート。第59回ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞ノミネート。
『メメント』のあらすじ
舞台はロサンゼルス。ある日、保険調査員のレナードの家に何者かが押し入り、妻が殺害されてしまいます。その光景を目撃したショックで、レナードは10分しか記憶を保てない前向性健忘という記憶障害に…。
レナードはハンディを背負いながらも、必死に犯人を捜し出そうとします。ポラロイド写真にメモを書き込み、事件に関するキーワードを全身にタトゥーとして彫り込み、記憶をなんとか繋ぎ合わせようとします。
しかし謎を追えば追うほど、更なる謎が広がっていきます。
『メメント』のおすすめポイント
時間軸を解体し、時間を遡って描くという斬新な設定で描いた異色サスペンスです。
この映画は製作費900万ドルという低予算ながら、大きな話題となりインディペンデント・スピリット賞にて作品賞、監督賞を受賞しました。
あまりなじみのない手法で描かれているため、一度見ただけではイマイチ理解できないという評価も多い作品です。しかしサスペンスでありながら人間の心理描写がうまく描かれていて、いつの間にか感情移入してしまう不思議な感覚を味わえる作品です。
3.夢の中の世界を描くSFアクション大作!『インセプション』(2010)
『インセプション』の作品概要
2010年のアメリカ映画。出演は、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジほか。
第83回アカデミー賞撮影賞など4部門を受賞、作品賞、脚本賞など4部門にもノミネート。第68回ゴールデングローブ賞最優秀作品賞(ドラマ)など4部門にノミネート。
『インセプション』のあらすじ
ドム・コブは人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥底に潜り込み相手のアイデアを盗むという危険極まりない犯罪分野において最高の技術を持つスペシャリスト。
彼は裏切りに満ちた企業スパイの世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまいます。
そんなある日、彼に絶好のチャンスが訪れます。“インセプション”と呼ばれるその任務は、アイデアを“盗み出す”のではなく他人の潜在意識に入り込み、ある考えを“植えつける”という最高難度のミッションでした。
『インセプション』のおすすめポイント
クリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で挑んだアクション・エンターテイメントです。構想に10年ほど費やしてようやく映画化が実現したこの作品は、まさにノーラン監督の才能が爆発した映画といえるでしょう。渡辺謙が出演したことや日本でも撮影されたことでも話題になりました。
夢と現実の世界が錯綜し、見る人を緊張感あふれる世界にいざないます。一度見ると誰かと話したくなる、そんな映画です。決して分かりやすい内容ではありませんが、人と話したり作品をもう1度観ることによって、また違った感覚が生まれるかもしれません。
4.ヒース・レジャーの怪演が光る傑作『ダークナイト』(2008)
『ダークナイト』の作品概要
2008年のアメリカ映画。出演は、クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、マイケル・ケインほか。
アメリカン・コミック『バットマン』を原作とした実写映画作品。『バットマン ビギンズ』に続く「ダークナイト・トリロジー」の第2作目。
第81回アカデミー賞助演男優賞受賞、他にも撮影賞、編集賞など6部門にノミネート。
『ダークナイト』のあらすじ
悪のはびこるゴッサム・シティーを舞台に、ジム警部補やハービー・デント地方検事の協力のもと、バットマンは街で起こる犯罪撲滅の成果を上げつつありました。
しかし、ジョーカーと名乗る謎の犯罪者の台頭により、街は再び混乱と狂気に包まれていきます。最強の敵を前に、バットマンはあらゆる技術を駆使しながら、信じるものすべてと戦わざるを得なくなっていきます。
『ダークナイト』のおすすめポイント
ジョーカーを演じたヒース・レジャーがこの映画の撮影直後に急逝してしまいましたが、その演技が絶賛されアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。彼の魅せるジョーカーの圧倒的な存在感は必見です。
この映画は悪役のジョーカーをメインにした作品なのですが、正義と悪があえて不明瞭に描かれているのが印象的です。悪を前面に出しているわけではなく、正義と悪の両方で相手を混乱させ、見ているわたしたちも何が正義なのか?と考えさせられてしまいます。大迫力のアクションと練りに練られたストーリーで、大人が楽しめる映画だと思います。
5.二人のマジシャンの対立を描くサスペンス映画『プレステージ』(2006)
『プレステージ』の作品概要
2006年のアメリカ映画。出演は、ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソン、マイケル・ケインほか。
クリストファー・プリーストの小説「奇術師」を映画化。第79回アカデミー賞撮影賞、美術賞ノミネート。
『プレステージ』のあらすじ
19世紀末のロンドン。ボーデンはライバルであるアンジャーの瞬間移動マジックを調べるため、舞台下に侵入します。するとアンジャーはボーデンの目の前で、水槽に落ちて溺死してしまい、そばにいたボーデンはアンジャー殺害の容疑で逮捕されてしまいます。
遡ること数年前。若きアンジャーとボーデンは、ある奇術師の下で互いに修行していました。ある時、助手をしていたアンジャーの妻が水中脱出マジックに失敗し溺死。それを機に2人は決裂し、2人は互いに激しく競い合うようになり…。
『プレステージ』のおすすめポイント
この作品も期待を裏切らない作品です。映画全編にあらゆる伏線が大胆に仕込まれていてクライマックスから最後の種明かしまで、見ている私たちもまるでマジックを見ているかのようにドキドキさせられます。
また主人公の二人の対立や執着や欲望といった人間の醜い部分も重厚に描かれていて、非常にメッセージ性の強い作品になっています。
まとめ
ハリウッドの鬼才クリストファー・ノーラン監督の作品を5作品ピックアップしてお届けしましたが、いかがでしたか?
どの作品も傑作ですよね。自ら脚本を手掛けることも多くストーリーが緻密に作り込まれていますし、また人間の細かな心理も見事に映し出しています。頭を使う作品が多いですが、だからこそ何度も何度も観たくなってしまう面白さがありますよね。
これからも魅力的な映画を期待したいですね。
最新作の『ダンケルク(原題)』は2017年9月に日本公開です。