かわいらしい雰囲気と高い演技力で人気の女優、麻生久美子。
すでに60本以上の映画に出演し、日本アカデミー賞など多くの映画賞を受賞した経験をもっている演技派女優です。
麻生久美子は、1998年の映画『カンゾー先生』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞を始め、数々の映画賞を受賞し、女優としての地位を確立しました。
2006年にはTVドラマ『時効警察』に出演し、主演のオダギリジョーとの掛け合いやコミカルな演技が話題を呼び、女優として新境地を開拓しました。
2011年の映画『モテキ』では、みゆき(長澤まさみ)の友人・るみ子を演じ、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞しました。
その他の作品に『夕凪の街 桜の国』、『アキレスと亀』、『グッモーエビアン!』、『森山中教習所』などがあります。またアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』などで声優を務めたこともあります。
今回は、幅広い演技力をもつ麻生久美子の出演映画からおすすめの5作品をピックアップしてお届けします!
CONTENTS
1.黒沢清監督のホラー映画!ネット上に現れる幽霊の正体は…『回路』(2001)
『回路』の作品概要
2001年の日本映画。監督は、『CURE』『カリスマ』の黒沢清。出演は、加藤晴彦、麻生久美子、小雪、有坂来瞳、松尾政寿、武田真治、風吹ジュン、哀川翔、役所広司ほか。
第54回カンヌ映画祭「ある視点部門」出品作品。
『回路』のあらすじ
一人暮しの平凡な毎日を送るOLのミチ(麻生久美子)。ある日彼女の周囲では同僚の自殺、勤め先の社長の失踪など無気味な事件が相次いでいました。
時を同じくして、大学生の亮介(加藤晴彦)の自宅のパソコンには、インターネットにアクセスしてもいないのに「幽霊に会いたいですか」という奇妙なメッセージが浮かび上がり、黒い袋に覆われた異常な人の姿が現れます。次第に廃虚となる町で、ミチと亮介は出会い、迫り来る恐怖に挑みます。
『回路』のおすすめポイント
インターネットの世界を舞台に巻き起こる恐怖を描いたサスペンス・ホラーです。
麻生久美子もそうですが、加藤晴彦や小雪などこの頃はとても若いですね。
冒頭から主人公の身近な人が一人ずついなくなり、PCにはいきなり奇妙なメッセージが出てくるという恐怖におそわれます。
飛び降りのシーンや光や影の使い方などゾッとする演出が印象的で、怖~いシーンが続々と出てきます。ストーリーは正直すっきりしない「?」が残る終わり方ですが、見る者をドキドキさせるような映像は見ているだけでも面白いと思います。
PCやスマホが発展した今となっては、つっこみどころもあるかもしれませんが、生理的な恐怖は存分に味わえる作品です。
2.ドラマ「時効警察」の三木監督×麻生久美子が再びタッグ『インスタント沼』(2009)
『インスタント沼』の作品概要
2009年の日本映画。監督は、『転々』の三木聡。出演は、麻生久美子、風間杜夫、加瀬亮、
相田翔子、笹野高史ほか。
深夜の人気ドラマ「時効警察」の三木聡監督&麻生久美子が再タッグを組んだコメディ映画。
『インスタント沼』のあらすじ
雑誌編集長のハナメ(麻生久美子)は、担当の雑誌が休刊になり退職。ジリジリと貧乏になっていく泥沼のような人生をやり直そうと思っていた矢先、偶然見つかった手紙をきっかけに、まだ見ぬ実の父親に会いにいくことを決意します。
すると骨董屋を営む怪しい風ぼうの“電球”という男(風間杜夫)が現れます。
“電球”を訪ねるうちに自室で骨董屋をはじめることを思いついたハナメですが、お宝が眠る蔵の鍵を“電球”に100万円で売りつけられ…。
『インスタント沼』のおすすめポイント
会社を辞めたOLが実の父親の存在を知ったことから、さまざまな不思議な体験を重ねていくヒューマン・コメディ映画です。
個性的なキャラクターと小ネタで独特の世界観を作り上げる三木聡監督と麻生久美子がタッグを組んでいるということで、独特な笑いが満載な映画だと想像できますね。
タイトルからは全く内容が読めないのですが、麻生久美子演じる“ジリ貧”の元OLが実の父や個性的な人々との交流で成長していくドラマになっています。
麻生久美子が初めて本格的なコメディ映画に臨んだ作品で、底抜けに明るいハイテンション・キャラを演じているところが見どころです。
また、キャラ強すぎな脇役たち、何軒もの骨董屋から調達したという怪しげな小物やセットにも注目してみて下さい。
3.岡田准一と共演したロマンチック・ラブストーリー『おと・な・り』(2009)
『おと・な・り』の作品概要
2009年の日本映画。監督は『ニライカナイからの手紙』の熊澤尚人。出演は、岡田准一、麻生久美子、谷村美月、岡田義徳、池内博之、市川実日子ほか。
『おと・な・り』のあらすじ
風景写真を撮りたいという夢を抱きながら、友人でもある人気モデルの撮影に忙しい日々を送るカメラマンの聡(岡田准一)。
一方、フラワーデザイナーを目指して花屋のバイトをしながら、フランス留学を控えた七緒(麻生久美子)。
同じアパートの隣に住む2人は、お互いに顔を合わせたこともなかったが、壁越しに聞こえる生活音で次第に心を通わすようになり…。
『おと・な・り』のおすすめポイント
隣の部屋から聞こえてくる生活音がそれぞれ心地よくて、顔も合わせたことがない相手に心を惹かれていく様子が、コミカルかつ切なく描かれています。
少しあどけなさの残る岡田准一と、ナチュラルな可愛らしさの光る麻生久美子の演技がとてもマッチしていて、とても癒される作品です。
ふつうは隣の部屋の音が聞こえすぎるのはいやなものですが、この映画のような心地いい生活音にはちょっと憧れてしまいますね。
エンドロールの2人の声には胸キュンです。ぜひ最後の最後までご覧ください。
4.豪華キャストが集結!11人の男女の物語『シーサイドモーテル』(2010)
『シーサイドモーテル』の作品概要
2010年の日本映画。監督は『スクールデイズ』の守屋健太郎。出演は、生田斗真、麻生久美子、山田孝之、成海璃子、玉山鉄二ほか。
『シーサイドモーテル』のあらすじ
山奥にポツンと建つ「シーサイドモーテル」。インチキなクリームを扱うセールスマン亀田(生田斗真)が部屋にいると、呼んでもいないコールガールのキャンディ(麻生久美子)が現れます。
一方、別の部屋にいたギャンブラーの朝倉(山田孝之)と留衣(成海璃子)の元にはヤクザの相田(玉山鉄二)が借金を取りにやって来ます。
『シーサイドモーテル』のおすすめポイント
海もないのに「シーサイド」と名づけられた山奥の廃れたモーテルで繰り広げられるワケありの男女11人による愛と金と欲のダマし合いと駆け引き、そして様々な人間模様と葛藤をコミカルに描いたアンサンブル・ストーリーです。
麻生久美子は、安っぽいコールガールの演技がお見事。そして生田斗真や山田孝之など日本映画界をリードする主演クラスの若手俳優が集結しており、さらに温水洋一や古田新太ら超個性派の俳優陣が作品を盛り上げます。
4つのエピソードと登場人物が微妙に影響しあっていて、テンポもよく予測不能な展開へと物語は進みます。
キャストの衣装やモーテルの内装、小物に至るまでかなりこだわっているのでその辺にも注目してみて下さい。
5.園子温監督が25年前に書いた脚本を映画化!『ラブ&ピース』(2015)
『ラブ&ピース』の作品概要
2015年の日本映画。監督は、『新宿スワン』『アンチポルノ』などの園子温。出演は、長谷川博己、麻生久美子、渋川清彦、西田敏行、マキタスポーツほか。
『ラブ&ピース』のあらすじ
ロックミュージシャンになる夢に破れて以来、パッとしない毎日を送るサラリーマンの鈴木良一(長谷川博己)は、職場の同僚・寺島裕子(麻生久美子)が気になっているものの話し掛けることができません。
ある日、デパートの屋上で1匹のミドリガメと運命的に出会い、ピカドンと名付けますが、同僚に笑われてトイレに流してしまいます。
すぐに後悔する鈴木だったが、ピカドンは下水道を通って地下に住む謎の老人(西田敏行)のもとにたどり着いたことで、良一とピカドンに思いもよらない展開が待っているのでした。
『ラブ&ピース』のおすすめポイント
愛をテーマに園子温監督自身初となる怪獣特撮映画の要素を取り入れて描いたオリジナル作品です。
園監督らしさにファンタジー、ロック、特撮…いろいろな要素が絡み合った刺激的な作品になっています。園監督のファンなら見て損はないと思いますよ。
また長谷川博己のダメ男っぷりや歌のシーンが見もので、彼の芸達者ぶりには本当に驚かされます。また、麻生久美子もこれまでにない地味な女を演じていて新鮮。でも相変わらずキレイです。
異色でシュールな世界観に驚かされますが、すぐに引き込まれて、最後にはなぜか感動してしまう不思議な映画です。
まとめ
麻生久美子の出演映画からおすすめの5作品をピックアップしてお届けししました。
コメディからシリアスまで幅広くこなし、作品や役柄によって全く違った一面を見せてくれますよね。
ナチュラルでかわいらしい役柄も良いですが、独特のキャラクターをコミカルに演じるのがとても得意な女優さんだと思います。
多くの映画賞の受賞経験もあり、女優としての才能を発揮し続けている麻生久美子。次の作品ではどんな演技で楽しませてくれるのか、期待したいですね!