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Entry 2017/01/29
Update

『男と女(1966)』ネタバレあらすじ感想とラスト結末解説。フランス恋愛映画の名作にしてクロード・ルルーシュの大出世作

  • Writer :
  • リョータ

たちきれぬ過去の想いに濡れながら 愛を求める永遠のさすらい
………その姿は男と女

1966年に公開されたフランスの恋愛映画『男と女』。

「フランスの恋愛映画」と聞いて多くの映画ファンがその名を挙げるであろう本作は、名匠クロード・ルルーシュの代表作であり、愛する者を失った男女の出会いと恋愛の行方を描きます。

揺れ動く男と女の心情を巧みに描いた、あまりにも美しい愛の物語。

クロード・ルルーシュの名を世に知らしめた不朽の名作『男と女』をご紹介します。

映画『男と女』の作品情報

【公開】
1966年(フランス映画)

【原題】
Un homme et une femme

【監督】
クロード・ルルーシュ

【キャスト】
ジャン=ルイ・トランティニャン、アヌーク・エーメ、ピエール・バルー、ヴァレリー・ラグランジュ

【作品概要】
第39回アカデミー賞(1967)の脚本賞(クロード・ルルーシュ、ピエール・ユイッテルヘーベン)、外国語映画賞受賞。監督賞(クロード・ルルーシュ)、女優賞(アヌーク・エーメ)ノミネート。

第24回ゴールデングローブ賞(1967)にてドラマ部門最優秀主演女優賞(アヌーク・エーメ)受賞。最優秀監督賞(クロード・ルルーシュ)、最優秀作曲賞(フランシス・レイ)、最優秀主題歌賞(“A Man and A Woman”)ノミネート。

第19回カンヌ国際映画祭(1966年)ではグランプリを受賞するなど、数々の受賞・ノミネート歴を持ち、フランス本国のみならず世界中で支持を集めるラブストーリーの歴史的名作。

映画『男と女』のあらすじとネタバレ

映画のスクリプト・ガール(進行を記録する監督助手)として働くアンヌは、パリで一人暮らし。彼女の毎週末の唯一の楽しみはドーヴィルにいる娘を訪れることでした。そこにある寄宿舎に娘を預けていたアンヌは、この日も汽車に乗って出掛けていきます。

一方、アンヌと同じドーヴィルの寄宿舎に一人息子を預けていたレーシング・ドライバーのジャン=ルイ。そんな彼も、同じ日に車で息子の下を訪れていました。

その日、つい長居し過ぎてしまったアンヌは最終の汽車に乗り遅れてしまいます。途方に暮れるアンヌの様子に気付き、送りましょうかと声を掛けるジャン=ルイ。

帰りの道中、美しいアンヌに密かに期待を寄せるジャン=ルイでしたが、アンヌが話すのはいかに夫を愛していたかということばかり。しかし、話していく内にスタントマンだった彼女の夫ピエールが撮影中の事故で数年前に亡くなっていたことが分かります。

彼女の自宅に到着し、来週末一緒にドーヴィルへ行こうと提案するジャン=ルイ。曖昧な返事と共に、彼に電話番号を告げるアンヌ。

数日後、出場予定であるモンテカルロ・ラリーの準備に精を出していたジャン=ルイがアンヌに電話を掛けると、一緒にドーヴィルに行くことを承諾してくれます。

日曜日、連れ立って歩く4人の姿がそこにはありました。すぐに打ち解けた様子の子供たちに安心した2人は見つめ合い、急速にその距離は縮まっていくようでした。

楽しい時間はすぐに過ぎ去り、再びの帰り道。車中で手を握り合う二人。

ジャン=ルイの妻のことを聞きたがるアンヌに、彼は正直に打ち明けました。事故の絶えないレーサーである夫を待つ苦しみから、精神を病み、数年前に自殺してしまった妻のことを。そして、今度のモンテカルロ・ラリーに出場することを話し、二人は別れます。

以下、『男と女』ネタバレ・結末の記載がございます。『男と女』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

迎えたレース当日。数日間にも及ぶ長きにわたる過酷なレースを、苦しみながらも何とか完走を果たしたジャン=ルイ。そして、その様子をテレビで見守っていたアンヌは、一瞬迷いながらも彼に電報を送ることにしました。「愛してます」、その一言を。

電報を受け取ったジャン=ルイは居ても立っても居られず、モナコにあるモンテカルロからパリのアンヌの自宅へと車を飛ばします。

一方その頃、アンヌはドーヴィルの娘の下を訪れていました。ジャン=ルイの息子と共に砂浜で遊んでいると、突然一台の車がやってきます。降りてきたジャン=ルイの姿に思わず駆け出すアンヌ。熱い抱擁を交わす2人を見て微笑む子供たち。

その夜、2人はついに愛を交わそうとしていました。しかし、ジャン=ルイの胸に抱かれるアンヌから当初の喜びは消え失せてしまっていたのです。

アンヌの脳裏をかすめる夫ピエールの影。振り払おうとしても消えない夫への愛。

気まずい空気が流れる中、2人は別々に帰ることにします。アンヌは汽車で、ジャン=ルイは車で。どうしてこんなことになってしまったのかと考え込むジャン=ルイは、進路を変更し、アンヌが乗り換える汽車の駅へと向かいます。

一方、汽車の中でジャン=ルイへの思いに耽るアンヌ。駅に到着すると、彼女の目に飛び込んできたのはジャン=ルイの姿でした。彼の胸に飛び込むアンヌ。そして、2人は口づけを交わしたのでした。

映画『男と女』の感想と評価

『男と女』という映画そのものをご存知ない方でも、この作品の挿入歌“A Man and A Woman”を知っているという方は非常に多いのではないでしょうか。

あの耳に残る“ダバダバダ~♪”というスキャットは、きっと誰もが一度は耳にしたことがあるはずです。

単なる映画の添え物に過ぎないBGMとしての音楽とは一線を画し、それ自体がテーマ性を持った一つの作品として成立していることで、いまだに人々に心に残り続けているのに違いありません。

さらには、音楽と映像のテンポ、もしくはセリフのテンポが絶妙にマッチしており、それゆえセリフすらも音楽の一つに溶け込んだように非常に耳に心地良く流れ込んでくるのです。

こういったことからも分かる通り、『男と女』における音楽の位置付けというものは、この作品の大きな魅力の一つと言えるでしょう。

他にも、モノクロとカラーを使い分けることで、アンヌとジャン=ルイの揺れ動く心情を巧みに表現したクロード・ルルーシュのセンス溢れる演出であったり、劇中のモンテカルロ・ラリーが実際にレースに参加しながら撮影していたりと、注目ポイントが多々あります。

ちなみにレースでは、運転席にジャン=ルイ・トランティニャン(ジャン=ルイ役)、助手席に監督クロード・ルルーシュが乗り込み、カメラを回しながらレース全工程に参加したそう。

全体から見れば非常に短いシーンでしかないにも関わらず、こういった監督の細かなこだわりによって、この作品が創り上げられていったことを示すひとつのエピソードといえます。

まとめ

1966年にクロード・ルルーシュ監督がこの作品を引っ提げてカンヌにやって来た時、彼の成功を予見したものはほとんどいませんでした。

しかし、『男と女』を機にその状況は一変しました。その後も『白い恋人たち』(1968)や『愛と哀しみのボレロ』(1981)などの傑作を世に送り出し、いまだに現役の映画監督として第一線で活躍しているのです。

そして、2016年。『男と女』が発表されてちょうど50周年の節目を迎えました。それを記念して、2016年10月15日からデジタル・リマスター版が全国で順次公開されるなど、日本でも高い評価を受けていることが窺われます。

さらには、2017年5月2日にデジタル・リマスター版のDVDとブルーレイの発売が予定されているとのこと。劇場公開時同様、早朝のパリの街をフェラーリで駆け抜ける幻の短編ドキュメンタリー映画『ランデヴー』までもが観られるという何とも豪華な特典付きですので、ぜひお見逃しなく!

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