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映画『伊藤くんAtoE』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 村松健太郎

『伊藤くんAtoE』2018年1月12日(金)より全国一斉ロードショー

柚木麻子のベストセラー小説を『ナミヤ雑貨店の奇蹟』や『PとJK』そして2018年春に『ママレード・ボーイ』が公開の廣木隆一が映画化。

女性の心情を描かせることに定評のある廣木監督のもとに木村文乃、佐々木希、志田未来、池田エライザ、夏帆ら豪華女優陣が集結。

そんな彼女たちを振り回す自意識過剰で幼稚で無神経なクズ男と伊藤を岡田将生が演じる⁈

1.映画『伊藤くんAtoE』の作品情報


(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
柚木麻子

【監督】
廣木隆一

【キャスト】
岡田将生、木村文乃、佐々木希、志田未来、池田エライザ、夏帆、田口トモロヲ、中村倫也、田中圭

【作品概要】
『ランチのアッコちゃん』などで知られる柚木麻子の2013年に発表した同名恋愛小説を映画化。

直木賞候補にもなった原作を、岡田将生&木村文乃のダブル主演で、『PとJK』や『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の廣木隆一監督が演出をと止めています。

2.映画『伊藤くんAtoE』のキャラクター

伊藤誠二郎(岡田将生)

自意識過剰、幼稚で無神経、実家は資産家。口先だけのクズ男。

矢崎莉桜(木村文乃)

かつてヒット作を放った脚本家。目下大スランプ中。

島原智美(佐々木希)

伊藤と5年間友達以上恋人未満の関係が続いている才色兼備OL。

野瀬修子(志田未来)

本当にやりたいことのためにつなぎでバイト中。伊藤の同僚。

相田聡子(池田エライザ)

リア充タイプの。親友の実希が伊藤に夢中なことが気になる。

神保実希(夏帆)

学生時代から伊藤一筋。自身が処女ということ過剰に気にしている。

田村伸也(田中圭)

莉桜の元カレのドラマプロデューサー。

久住健太郎(中村倫也)

莉桜の後輩で目下人気上昇中の売れ子脚本家。

3.映画『伊藤くんAtoE』のあらすじとネタバレ


(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

かつて恋人だったドラマプロデューサー田村と組んだ連続ドラマ「東京ドールハウス」で一世を風靡した女流脚本家の矢崎莉桜。

その後のヒット作を出せずに長いスランプが続いています。

師匠と慕ってくれる若手脚本家“クズケン”こと久住健太郎にも追い抜かれている。

そんな彼女の今は恋愛指南キャラでエッセイを出版したり、トークショーをしたりする時間が多く、肝心の脚本家としての仕事はすっかりご無沙汰。

田村も別の女性と結婚して別れています。

そんな中、トークショーに来た女性のアンケートに直接莉桜が答えるという企画が持ち上がります。

一般の女性、現実の女性にドラマのヒントなどないと期待していなかった莉桜でしたが、意外にもドラマのヒントになりそうな女性が出てきます。

その四人をA~Eとナンバリングして脚本の取材であることは隠して、直接彼女たちに会って話をすることに。

ところが、その4人の女性の話全てに“伊藤”という男が絡んでいることが分かり、それがどうやら自分が講師を務めるシナリオ講座の受講生の伊藤のようで…。

以下、『伊藤くんAtoE』ネタバレ・結末の記載がございます。『伊藤くんAtoE』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
Aこと島原智美の場合。5年にわたって伊藤と友達以上恋人未満の関係が続いている。

智美としては何とかして、関係を一歩深めたいという思いを莉桜にぶつけます。

何とか性行為まで持ち込みたい智美ですが、伊藤はあれやこれやと言い訳をしながらかわし続けます。

その一方で別に好きな子ができたと言い出したり、その子にぴったりのプレゼントを買わせたり、果ては自己啓発セミナーの参加費用を無心したりと雑な扱いをするばかり。

Bこと野瀬修子は学芸員の仕事を探していて、そのつなぎとして塾の講師のアルバイト中。

ただつなぎ仕事の意識が強くて、講師の仕事にも身が入りません。

しかも最近新たに悩み事が。というのも塾長の甥っ子で同僚講師の伊藤からどういうわけか、過剰な好意を寄せられてしまっています。

傍から見ればストーカー寸前の伊藤の行動ですが、伊藤自身には自覚がなく、てむしろ伊藤自身の言い分としては自分が好意を向けているのに何でそれに答えようとしないのかが不思議でならないという具合です。

修子は現状を打破できるかもと思いとある自己啓発セミナーに参加しようとします。

その会場に伊藤の姿がありました。

CとDは親友同士の相田聡子と神保実希。学生時代の伊藤の後輩で、親友同士ですが、タイプは正反対。聡子は男を切らしたことのないリア充タイプ。

一方神保実希は学生時代から伊藤一筋、処女であることにコンプレックスを持ちすぎていて若干拗らせ気味。

そんな中、伊藤と実希が急接近。

しかし、伊藤は実希が処女だと知ると伊藤は引き気味に。それでも伊藤への想いを募らせる親友の姿を見て、どこか寂しい思いを抱いた聡子は伊藤を誘惑してしまいます。

そんな伊藤をめぐって右往左往する姿をドラマのプロットに落とし込んでいく莉桜。ちょうどクズケンの企画が難航しているということを田村から聞くと、莉桜はその枠に狙いを定めます。

ところが、伊藤が同じような企画を田村に持ち込み、そちらが採用されそうな流れだという話が舞い込みます。

事情を聴いて田村に迫る莉桜。そんな彼女に向かって田村は伊藤の企画には5人目の女Eとして莉桜のことも描かれているときかされます。

田村に縋りついて自分の企画を採用するように迫りますが、周囲では伊藤の企画を莉桜が盗んだという話まで出てきてしまいました。

結果として莉桜の企画はもちろん、伊藤の企画も採用されませんでした。

企画の盗作疑惑もあって閑古鳥が鳴くシナリオ講座の教室に伊藤がやってきます。

莉桜が伊藤に迫りますが、伊藤は何事も本気にならず、人とも深く関わらず生きていけば傷つくこともないといって見せます。

しかし、色々なことを乗り越え吹っ切れた莉桜は、そんなスタンスで人生を過ごしていても全く成長することもできないままで終わると言い返します。

伊藤は一見すると全く響いていないような顔をしていますが、気が付けば伊藤の周りには、あれだけたくさんいたはずの女性は全員姿を消していました。

莉桜は新しい規格の売り込みを始め、智美は仕事に邁進して、修子は学芸員の職探しに本腰を入れます。

親友だった聡子と実希は伊藤との一件を乗り越え友情を再確認しあいました。

ところが…、街の一角では独りぼっちになったと思われた伊藤が女性と電話をしている姿がありました。


(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

4.映画『伊藤くんAtoE』の感想と評価


(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

最近、なんだかイケメンがどうしようもないクズ男を演じることが多い。

『彼女がその名を知らない鳥たち』と松坂桃李と竹野内豊は、どう考えても同情できないクズぷり。

甘い言葉をささやきながら、相手(蒼井優)にさせてることは非道外道と言いようがないです。

夏帆がひどい目に遭うドラマ『監獄のお姫様』の伊勢谷友介は、民放連続ドラマ初出演にしてどうしようもないクズ男で登場します。

本作『伊藤くんAtoE』での岡田将生は、自分で演じていいて、ヤバい奴というほどのクズ男・伊藤で登場しています。

強面や癖のあるタイプのある役どころをイケメンが演じる。

演技の幅を拡げるためと言えば分からなくもないですが、それにしてもイケメンが演じたことでそのクズっぷりが際立ちます。

クズ男の効能なんてものがあるとも思えないのですが、敢えて言うとすればクズ男を経験した女性たちはとても強く、美しくなるということでしょうか。

とは言いつつもこれは別にクズ男経由でなくてもできることなので、やっぱりクズ男はいないに越したことはないですね。

まとめ


(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

本作は2013年に柚木麻子が発表した、直木賞候補にもなった連載小説『伊藤くんAtoE』を、女性の心情を描かせることに定評のある廣木隆一監督が映画化しました。

A〜Eといった5人の女性を振り回すクズ男の伊藤誠二郎役を岡田将生が演じ、伊藤に振り回される矢崎莉桜役を木村文乃が務め、人間の“毒”を演技で見せた作品です。

映画『伊藤くんAtoE』は2018年1月12日(金)より全国一斉ロードショー!

ぜひ、ご覧くださいね。

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