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【藤田健彦インタビュー】映画『特撮喜劇 大木勇造』主演俳優としての共演者や過酷な特撮現場での思い出を語る

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

映画『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』は2022年12月9日(金)より池袋HUMAXシネマズほか順次公開!

特撮ドラマ「ウルトラマンギンガ」の監督や、「ゴジラ」シリーズの助監督を務めた石井良和監督が製作した、映画『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』。

本作の主演には、ルネシネマ制作の『かぞくあわせ』(2019)、『あらののはて』(2021)、『とおいらいめい』(2022)などの出演で知られる藤田健彦が、主人公である大木勇造役を熱演しています。


(C)Cinemarche

藤田健彦が単独初主演、初の特撮映画に挑んだ映画『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』。共演にベテラン俳優・町田政則や実力派俳優・藤崎卓也が務めており、特撮ばかりではなく、滑稽な人間模様と演技合戦も見どころのひとつです。

このたび、映画『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』の池袋HUMAXシネマズの公開を記念して、藤田健彦にインタビュー取材を敢行。

初単独主演かつ、初の特撮映画『特撮喜劇 大木勇造』の撮影に挑んだ意気込み。また個性あふれる共演者たちへの思い、そして、少年時代から映画を愛した藤田自身が俳優になるきっかけなどを大いに語っていただきました。

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単独初主演にかける思い


(C)チーム・ベター・トゥモロー

──藤田健彦さんにとって『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』は単独初主演であり、初の特撮映画出演となります。脚本を読まれた際にどのようなことを感じられましたか。

藤田健彦(以下、藤田):W主演作は2019年にルネシネマ製作で公開したオムニバス映画『かぞくあわせ』が過去にありましたが、単独での主演は今回が初めてのことであり、俳優部の座長としての責任の大きさを感じました。

それと同時に、ほぼ全ての登場人物と関わる役で、かつ、ほぼ全てのキャストの方々が初共演だったので、俳優の皆さんがどのようなお人柄で、どのようなお芝居をなさるのかワクワクしました。

──本作で藤田さんが演じられたタイトルキャラクター、大木勇造をどのよう人物だと思いますか。また役作りで難しかった点はありますか。

藤田:お調子者のおバカさん、そして、とても運の強い人だと思います。好調の時はテングになり、逆風が吹くと落ち込む。しかし、どのような時も結局は人間関係に恵まれ、ちゃんと自分の居場所を作れる人だと思います。演じることの難しさよりも、全編のシークエンスを通して環境や心情がコロコロと変化する“大木勇造の人生”を楽しみながら演じました。

撮影に入る前に石井監督から実際の僕の年齢より「5歳くらい若くなって!」と言われ、白髪を染める事にしました。はじめて髪を染めてみて分かったのですが、一度染めると元のまばらな白髪に戻すには結構な時間がかかるんです。ある意味それが一番大変でしたね。

本作には僕が演じる大木を含めて変人しか登場しません。特異なキャラクターを演じる上で、わざとらしくなり過ぎず、また表現として小さくなり過ぎないよう、非常に繊細な演出を石井監督から指導されました。

“個性派俳優”と“巨大怪獣”との共演


(C)チーム・ベター・トゥモロー

──様々な俳優さんとの共演が一つの見どころですが、キャストさんとの演技の掛け合いやリアクションで苦労されたことはありますか。

藤田:俳優の皆さんとの掛け合いには本当に苦労させられました。彼らのハチャメチャな演技に吹き出してしまわないよう耐えるのに!(笑)

脚本を読んだ際の活字の段階で、変人ばかり登場する事は承知していました。それでも実際にその役を演じられた俳優の皆さんは活字を遥かに超えた変人…いや、活字を遥かに超えたお芝居をされる方々ばかりで、戸惑った表情で大木を演じつつも、石井監督のカットの声が掛かるたびに大笑いしていました(笑)。

──怪獣との共演はいかがでしたか。また特撮撮影など、ご苦労はありましたか。

藤田:怪獣(ヴァイラスキング)の特撮シーンは石井監督が最もこだわりを持って撮影したところで、僕もスタッフの一人として参加させていただきました。全日程の中で一番ハードな撮影でした。

真夏の頃、灼熱の太陽の下ビルの屋上にて撮影を行い、スタッフもあまりの暑さにバテそうでしたが、怪獣の中に入っていた坂間健司さんの暑さは我々の比ではなかったと思います。

特撮シーンはこだわりを持ちつつも、出来る限りテイク数を減らすことを心がけ、全員が集中力を高めていました。怪獣の着ぐるみに入ったスーツアクターの坂間さんが撮影の合間は皆で扇いで風を送り、飲み物を運んだりして熱中症にならないよう細心の注意を払っていました。

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藤田流の“俳優という存在”


(C)チーム・ベター・トゥモロー

──藤田さんの映画俳優としての原点やこだわりなどのエピソードを教えてください。

藤田:演技や演じることの答えのほとんどは“日常の中にある”と思っています。俳優の仕事は「表現すること」「演じること」ではなく、「観察すること」ではないかと考えています。

自分や他者の日常の行動や心情を観察し、気付いたことを「引き出し」に入れておく。表現とはその「引き出し」の中身の組み合わせで出来るというのが我流の持論です。僕自身、演技メソッドをしっかり学んできたわけでもないので、今後の経験次第では全然別のことを言い出すかも知れませんね。

──藤田さんは映画俳優になるため、大部屋に入りたいと思ったことがあると聞きました。

藤田:そうなんです!僕は様々なことに興味を持ち、何でもやってみたくなる質なんです(笑)。けど、物事をあまりちゃんと調べない。俳優になろうと上京した時もあまり調べず、それまでに見た映画の影響で「自分も大部屋俳優から成り上がってやる!」と鼻息荒く撮影所に突撃したんです。

そんなスタートでしたが、人に恵まれ何だかんだで30年近く俳優をやってます。その辺は大木勇造の生き方と通ずるところがあるかも知れませんね。僕の方がもっとおバカな気もしますが…(笑)。

──藤田さんは子供の頃、どのような状況で映画を見ていましたか。

藤田:子供のころから視力が悪く、小学校の6年間家にテレビが無かったんです。弟の強い希望により、中学入学時にようやくテレビが手に入り、それからというもの家にいる時はずっとテレビ漬けの日々でしたね。とにかくテレビというものが珍しくて(笑)。

帰宅するなり勉強もせず、テレビにへばり付いている僕に父が見かねて「映画でも見てこい!」と、お小遣いをくれたんです。それが映画との出会いでしたね。

当時映画は二本立てで、入れ替えなし。また福島の田舎なので、近所の試写会や鑑賞券プレゼントに応募するとけっこうな確率で当たりました。地元で上映される映画のほとんどを複数回見ていたと思います。そうこうするうちに俳優という仕事に興味を持ちました。それでも実際に行動を起こしたのはそれから暫く後の事です。

映画『大木勇造』の“見どころ”


(C)チーム・ベター・トゥモロー

──映画をたくさんご覧になっている藤田さん。今ご覧になって好きな映画や、憧れの俳優さんを教えてください。

藤田:最近は邦画ばかり観ています。劇場で鑑賞した洋画は『トップガン・マーヴェリック』が久しぶりでした。興味が無い訳ではもちろんないのですが、日本には魅力的な映画が沢山あり、どちらか迷ったら邦画を選んでしまいます。

現在活躍されている俳優さんにも好きな方、尊敬している方はいるのですが、最も憧れているのは志村喬さんです。演技もさることながら、存在そのものに惹かれます。不器用で頑固だけど心の底には温かいものがある。いわゆる“日本の親父”や“昭和の親父”にいつか僕もなりたいです。

──最後に“日本の親父”を目指す藤田さん!『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』の見どころを教えてください。

藤田:『特撮喜劇 大木勇造』の見どころは大きく2点!

まずは何と言っても石井良和監督の思いの詰まりまくった特撮です。アナログの怪獣着ぐるみとデジタル技術を駆使したシーンの数々。日本の特撮ファンのみならず、世界中の方にご覧いただきたいです。

もう1つは、強烈な魅力を放つキャスト陣。役を離れれば紳士・淑女な皆さんですが、劇中では「この人大丈夫?」というようなキャラクターを見事に演じられています。ストーリー的にも難しいことは何もなく、子供から大人まで全ての方に楽しんで頂ける作品に仕上がっています。

インタビュー/出町光識

藤田健彦プロフィール

1972年生まれ。福島県出身。
俳優しゅはまはるみと監督長谷川朋史とともに映画制作ユニット「ルネシネマ」を結成。近年の出演作にドラマ「量産型リコ」「鎌倉殿の13人」(2022)、映画『あらののはて』(2021)、『とおいらいめい』(2022)などがある。石井良和監督作品『ゲームマスター』(2014)、『アタック・オブ・ザ・ジャイアントティーチャー』(2019)に2作続けて出演し、本作では初の単独主演を務める。

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映画『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』の作品情報

【日本公開】
2022年(日本映画)

【製作・監督・脚本・特技監督】
石井良和

【撮影】
高橋義仁

【録音】
飴田秀彦

【脚本】
田中元

【怪獣造形】
佐藤大介

【キャスト】
藤田健彦、町田政則、藤崎卓也、斉木テツ、草場愛、前田ばっこー(瞬間メタル)、豊田 崇史、行永浩信、中條孝紀、石井花奈、杉山裕右、野村宏伸

【配給】
Cinemago

【宣伝協力】
todoiF、モクカ

【作品概要】

「トラック野郎」鈴木則文監督の愛弟子にして、「ウルトラマンギンガ」など特撮作品を多数手がけてきた石井良和監督。
『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』は、「混迷の時代にこそ、喜劇と特撮を絡めた娯楽映画で楽しんでもらいたい」「日本特撮の《怪獣着ぐるみ》の伝統を後世に伝えたい」という石井良和監督の信念のもと制作した、痛快コメディ映画。

『あらののはて』『とおいらいめい』で知られる藤田健彦が主人公・大木勇造を務め、脇を固めるのは実力俳優の共演に、子役時代から高倉健や勝新太郎と共演を果たしてきたベテラン名優・町田政則、そして黒木和雄監督に愛された俳優・藤崎卓也が務め、そのほか、お笑い芸人「瞬間メタル」の前田ばっこーが独自の踊りをコミカルに演じています。特撮ファンはもちろん国内外・老若男女問わず楽しめる一大エンターテインメント作品となっています。

映画『特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦』のあらすじ


(C)チーム・ベター・トゥモロー

2020年、世界は新型コロナウイルスの脅威に晒された。

その影響は人々の健康のみならず経済へも波及し、 リモート生活を満喫していた自称エリートの大木勇造はリストラされてしまいます。

慌てて再就職したものの、勇造を待っていたのは銭ゲバ社長を筆頭に、ブルース・リー信者のフィットネ ス講師や廃品回収とは名ばかりの粗大ゴミ泥棒、ギャンブル狂の営業担当や着ぐるみの中に引きこもる男 など、社会の底辺に限りなく近い場所を這いずるクレイジーな面々ばかり。

そんな職場にもめげずにがんばる勇造だったが、身勝手な彼らに振り回されたあげく、最愛の恋人・玲子 にもフラれてしまいヤケを起こす。

ところが、突如として出現した巨大怪獣によって街は大混乱に陥ってしまう……!



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