映画『魔女の香水』は2023年6月16日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他で全国ロードショー!
テレビ・映画業界でドラマの演出やプロデューサー業で活躍する宮武由衣監督が自らオリジナル脚本を手がけた映画『魔女の香水』が、2023年6月16日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他で全国ロードショーを迎えます。
自らのオリジナル脚本で手がけ、2023年6月16日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他で全国ロードショーを迎える映画『魔女の香水』。
「魔女」と呼ばれる香水店の店主が創り出す香水との出会いを通じて、
将来への希望を見失っていた女性が自分自身の人生を切り開いてゆく様を描いた作品です。
このたびの映画『魔女の香水』の劇場公開を記念し、本作で黒木瞳さん演じる「魔女さん」こと白石弥生と出会う女性・若林恵麻役を演じられた桜井日奈子さんにインタビュー。
若林恵麻を演じられる上で大切にされたことや、女優として“大先輩”である黒木瞳さんとのご共演への想い、自身が女優というお仕事を“天職”にしたい理由など、貴重なお話を伺うことができました。
CONTENTS
“何者かになりたい”恵麻から見出せた自分
──黒木瞳さん演じる香水店の店主・弥生との出会いを通じて成長してゆく女性・恵麻を演じられるにあたって、どのような点を最も大切にされたのでしょうか。
桜井日奈子(以下、桜井):映画冒頭でのセリフの中で、恵麻は「自分の足で立っていける人になりたい」という想いを語りますが、彼女はその時点で「何者かになりたいとは思っているけれど、どうしたらいいか分からない」という想いも抱いていると感じたんです。
「不安でどうしようもないけれど、恵麻は人生を生きることを諦めたくないんだ」「恵麻はこの想いを胸に秘めて、これからの7年間を突き進んでいくんだ」と思えたからこそ、映画の後半でも彼女の“初心”を大切にしながら演じていこうと考えていました。
桜井:また、これまでの出演作品では「実年齢より上の年齢」の人間を演じたことがなかったので、本作では「23歳から30歳まで」という恵麻の7年の時間を演じことに多少不安もあったんですが、お芝居をご一緒した黒木さんの女優としてのエネルギーに、自分自身にとって未知だった演技の手助けをしてもらえたと感じています。
「『何者かになりたい』ともがきながらも、自分を導いてくれる人の言葉に助けられながらも人生を歩み続ける女性」という恵麻の役柄は、黒木さんに手助けをしてもらえた撮影中の自分自身の状況にも重なりましたし、これまでの芸能界でのお仕事をいつも近くで見守ってくれていたマネージャーさんの存在を思い出しました。
未知の演技を求められる役柄ではありましたが、恵麻の境遇と現在の自分自身の間にあるつながりも見つけられたのは、本作でのお芝居にとって本当に良かったと思っています。
女優・黒木瞳との“新たな修行”の時間
──桜井さんの目から見て、女優として大先輩である黒木瞳さんの撮影現場での姿はどのように映ったのでしょうか。
桜井:黒木さんはとても繊細に、そしてしなやかにお芝居を作り上げていくんです。その場面での一つ一つの仕草や表情など、より良い演技のことを常に考えながらも、そのために監督やスタッフ・キャストさんとも緻密に、密接にコミュニケーションをとられていて「これが“本物の女優”の振る舞いなんだ」と理解できました。
また先ほども触れたんですが、撮影現場では黒木さんが持つエネルギー、「オーラ」や「貫禄」と言うべきものに圧倒されました。そのエネルギーの量や質、深さは自分とは比べ物にならないものだったので、撮影現場ではとにかく黒木さんのエネルギーにぶつかっていくと言いますか、受け取った分だけでも自分自身のエネルギーをお芝居を通じて返そうと集中し続けていました。
桜井:黒木さんとは『そして、 誰もいなくなった』(2016)というドラマでご共演したことはありましたが、本格的にお芝居を共にさせていただいたのは『魔女の香水』が初めてでした。
自分が本当にひよっ子だった頃以来のご共演だったので、「あれから少しは経験を積めた中で、黒木さんとお芝居をご一緒できる」という喜びも噛み締めながらも、本作の撮影は自分自身にとって、黒木さんや宮武監督に導かれながらの“新たな修行”の時間でもあったと感じています。
女優という仕事を“天職”にしたい理由
──弥生が恵麻に贈る香水のように、女優というお仕事もまた、その演技を通じて人々の幸せを後押しできることがあると感じています。桜井さんご自身は、女優というお仕事をどう捉えられているのでしょうか。
桜井:映画の作中で、弥生さんは「あなたの天職を見つけなさい」「そうすれば、あなたは人に幸せを与えられるし、自分を幸せにできる」と語る場面があります。ただ私は、天職となる仕事を見つけること自体はもちろん、その仕事を「天職にしたい」と自分自身が思えることが、何よりも大切だと思っているんです。
私は女優というお仕事を自分の天職にしたいと思っています。決していいことばかりではないけれど、どんなことよりも楽しいと感じられる女優業を「私の“天職”です」と言えるぐらいになるまで、もっともっと色々な役を演じていきたいと思っています。
──桜井さんが女優というお仕事を「天職にしたい」と思えるほどに楽しいと感じられる、その理由とは一体何でしょうか。
桜井:やっぱり、ファンの方々がいるからだと感じています。
ファンクラブのイベントなど、ファンの方々とふれ合える場で「女優のお仕事を始めてくれて、続けてくれて本当にありがとう」「出演作を通じて、桜井さんと出会えたことが本当にうれしい」という想いを伝えられるたびに、「やっぱり、この仕事をやっていてよかった」と実感します。
またファンレターも、私が返信を書くのもあって半ば文通のような状態になっているんですが、そうしたやりとりの中でファンの方々とのつながりを深めるからこそ、自分自身を女優という世界につなぎ止められているのではという感覚を抱くことがあります。
そして、今の自分が女優業を天職にするために努力を続けられるのも、ファンの方々の存在があってこそだと思います。
インタビュー/河合のび
撮影/田中舘裕介
ヘアメイク/サカノマリエ
スタイリスト/阿井真理
《衣装クレジット(靴)》
・CHARLES & KEITH/CHARLES & KEITH JAPAN
桜井日奈子プロフィール
1997年4月生まれ、岡山県出身。2014年に「岡山美少女・美人コンテスト」で「美少女グランプリ」を獲得し芸能界デビューを果たし、2015年には「いい部屋ネット」のCMで全国的な知名度を獲得する。
2016年には『そして、 誰もいなくなった』(日本テレビ)で連続テレビドラマ初出演を、2018年には映画『ママレード・ボーイ』で初主演を飾る。
ドラマ・映画・舞台と活躍の場を広げ、近年の主な出演映画作品は『任侠学園』(2019)や間宮祥太朗とのダブル主演作『殺さない彼と死なない彼女』(2019)など。
映画『魔女の香水』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【脚本・監督】
宮武由衣
【主題歌】
川崎鷹也
【キャスト】
黒木瞳、桜井日奈子、平岡祐太、水沢エレナ、小出恵介、落合モトキ、川崎鷹也、梅宮万紗子/宮尾俊太郎、小西真奈美
【作品概要】
「魔女」と呼ばれる香水店の店主、そして彼女が創る香水との出会いを通じて、将来への希望を見失っていた女性が自分自身の人生を切り開いてゆく様を描く。
「魔女さん」こと香水店の店主・弥生役には、宝塚歌劇団月組の娘役を経て女優に転身後、演技派女優として多数のドラマ・映画・舞台作品などに出演し、近年では映画監督としても活躍する黒木瞳。また魔女との出会いによって成長する女性・恵麻役を、2018年に映画『ママレード・ボーイ』で初主演を飾るなど、注目を浴び続ける若手女優・桜井日奈子が務める。
平岡祐太、水沢エレナ、小出恵介、落合モトキ、宮尾俊太郎、小西真奈美というキャスト陣が映画を彩る他、主題歌を担当したシンガーソングライター・川崎鷹也が本作にて映画初出演を果たした。
映画『魔女の香水』のあらすじ
白髪の美しく高貴な上品さを漂わせる女性・白石弥生(黒木瞳)が香水店で2つの香水を見せながら常連客を相手に語る──「世の中には似て非なるものがたくさんある」と。
一方、華やかなセレブたちが集うバンケットホールで派遣社員として働く若林恵麻(桜井日奈子)。高卒の彼女は「いつか正社員になり、一流の仕事を与えられる」のを目標に奮闘していたが、 後輩の見習い女性への上司のセクハラ行為に抗議したことで職を失ってしまう。
自暴自棄になった恵麻は、夜の街のスカウトマンに連れられ「魔女さん」と呼ばれる弥生の店に足を訪れ、その店を手伝うことに。そして手伝いを続ける日々の中で、彼女は金木犀の香り漂う男性・横山蓮(平岡祐太)と巡り逢う。
弥生に授けられた言葉と香りによって自分の人生を切り開くのは自分自身だと気づかされ、天職を探し求めるように香料会社で働き始める恵麻。すっかり香りの世界に魅了されていく恵麻は、営業先で蓮と再会することに……。
魔女の香水《Parfum de prières(パッファンドプリエール)》の力に後押しされるように懸命に未来を切り開いていく恵麻の運命は、果たしてどんな風に変わっていくのだろうか!?
編集長:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身の詩人。
2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、映画情報サイト「Cinemarche」編集部へ加入。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける(@youzo_kawai)。