映画『明治東京恋伽』が2019年6月21日(金)より全国ロードショー!
スマートフォン向けのゲームアプリから人気を博し、舞台、アニメなどのメディアミックス化でも大きな人気を集め、テレビドラマ、映画と実写化が続く『明治東京恋伽』。
明治時代にタイムスリップした、物の怪(もののけ)の姿を見ることができるという不思議な力を持つ女子高生・綾月芽衣役を演じた伊原六花(いはらりっか)さん。
本作でメガホンをとったのは、2009年にドラマ『イケ麺新そば屋探偵~いいんだぜ!~』で監督デビュー、『リアル鬼ごっこ THE ORIGIN』『松本清張時代劇』『山本周五郎人情時代劇』などを手掛けた副島宏司。
今回は、本作で初主演を果たし、女優・歌手と幅広く活躍し注目を集める伊原六花さんにインタビューを行いました。
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ドラマから映画への新たなキャラクター展開
──今回、『明治東京恋伽』の映画版が公開される運びとなりました。ドラマ版に比べて、映画版のストーリーはどのように展開するのでしょうか?
伊原六花(以下、伊原):ドラマ版のお話では、どちらかというと出会った人たちとのエピソードが多いのですが、映画版では芽衣が、現代を生きてきたときのことを思い出すシーンが登場します。
このシーンでは芽衣の過去のことや、どんな風に周りから見られて、どういう思いでそれに接してきたか、芽衣自身のパーソナルな部分に触れるシーンが映し出されます。
そのエピソードがあった上で、今回新しく登場する岩崎桃介さん(松島庄汰)や最後にチャーリーさん(小林豊)とどうなるのかという見どころもありつつ、芽衣自身が明治に来てどうのように変わったかが見えてきます。
──例えば伊原さんがこの芽衣という女の子の立場になったとしたら、明治に残りたいですか?それとも現代に戻りたいと思うでしょうか?
伊原:私は明治に残るかな(笑)。出会う人はメチャメチャいい人ばかりだし、あの時代の建物とか、袴という服装もすごく好きなので。無いものねだりかもしれないけれど、明治に魅力を感じちゃいます。もちろん現代も現代で、いいこともあるんですけど。
登場人物の持つ不思議な力の裏に感じるもの
──今回の映画では、芽衣のバックグラウンド的なところがクローズアップされます。その中で芽衣の持つ“魂依(たまより)”という能力について、伊原さんご自身にはどのような部分を印象として感じましたか?
伊原:ドラマの中のセリフで芽衣が「自分にまさかこんな力があったなんて?ずっと普通だと思ったのに…」と言うシーンがあるんですが、まさに自分も、最初は絶対そういう気持ちになると思いました。
芽衣が、過去にその“魂依”の力のせいで周りから“普通にしなさい”“普通の子のように接しなさい”と言われていた思い出を、自分が生きた明治時代の時間を通して見つめ直し、そこで芽衣が最後にはどうしていくのか?やっぱり周りに合わせるのか?それともしっかり意見をもって、ちゃんと自分を貫いていけるのか?という、決意が描かれているのが印象的です。
その一方で、“魂依”だから物の怪のために何かをしたいとか、物の怪は悪さをするわけじゃなく、何かを守るために存在していることを理解しているなど、そんな“魂依”の役割を果たしていく場面もあり、芽衣自身の成長も感じられるお話だと思います。
結構原作のファンの方は、ドラマが始まる前に「芽衣のバックグラウンドって、どう描くんだろう?」という不安も多く持たれたかと思いますが、作品ではそういったところもしっかりと描かれています。
それぞれのキャラクターのシーンもありつつ、芽衣の過去のことも描かれているので、是非楽しみにして観ていただけたらと思います!
──例えばこの芽衣の持つ魂依という性格のように、人と違ったことをするから、という理由で周りや友達から仲間外れにされたりするようなことは、割と現実にも起こる可能性はあると思います。そういった部分を、伊原さんご自身としてはどう思われますか?
伊原:そうですね。なにか新しいことを始めたり、みんなと違うことを言ったりしても、ほとんどの人は多数派に行っちゃう傾向ってありますよね?そのほうが安心する。だからこそ芽衣は、最初は自分を出せずにみんなに合わせていたところもあったと思うんです。
今回のお話自体は、タイムスリップや非現実的なことが多いですが、芽衣の過去について、その人物像は今の自分と置き換えても当てはまることだと思います。
でも一歩踏み出したり、自分が他人と違う部分があったり、みんなと違う意見を出すことがあったとしても、それに賛同してくれる人も、少なからず絶対現れる。そういったところを大事にできたらいいなという思いは、私自身も演じながら感じていました。
みんなと違うことがなかなか言い出せなかったり、みんなと同じに合わせてしまったり。そんなことはよくあると思うけど、みんなと違っていても、しっかり自分の好きなものは好きと言える、そういうのも素敵だということを、今回は大切にしました。そんな雰囲気も、映画を観て感じてもらえたらと思います。
自分のキャラクター「人前で発言するのが好き」
──ちなみに伊原さんご自身の性格は、芽衣と比較するといかがでしょう?
伊原:私は人前で発言をするのが好きなんです。小学校、中学校とずっと学級委員をやっていたり、応援団長を小学校、中学校、そして高校でもやっていたり。
みんなに合わせるというよりは、割と自分のやりたいことをやってきた人生というか(笑)。わがままな部分もあるんですけど、それはもちろん本当に周りに恵まれてこそだと思っています。家族も自由にやりたいことをやらせてもらえる環境でした。
あまり悩んだことはないんですが、普段友達としゃべっているときに、ちょっとしたことで「意見は違うけど、ここでそれを言ったら場の雰囲気を崩すかな」と思ったら、みんなに合わせたりすることももちろんあります。「人と違うからこれが言えない」みたいな思いは私にもあります。
芽衣との共通点は食べ物。好きな食べ物が一緒です(笑)。それ以外の性格といえば、芽衣ってかまってあげたくなる、ほっとけないキャラだと思うんです。周りの人からしたら、ちょっとみんなと違うし、不思議だけど天然なところもありつつ、突き進んでいく強さもあって、気になる存在だと思います。
私は結構「一人で生きられそうだね」って言われることが多いです(笑)。自分では「生きていけないよ~他みんな助けて」とも思いますが、クラブ活動でキャプテンをしていたから、強いイメージがあるのかな……。
現場での“印象”を大切にした撮影
──今回初主演でのお仕事を振り返ると、いかがでしょう?ご自身の成長を感じられたことはありますか?
伊原:撮影が始まる前は、ゲームをしたりして、ストーリーに出てくる芽衣の性格を書き出し、芽衣像を作っていきました。でも現場(明治村)に入ると、実際に芽衣が明治にタイムスリップした感覚と同じように、私も素直な感じで、“わっ!明治の世界観がすごくある素敵な場所だ”、と思いながらスタートしたんです。
だから自分で「芽衣はこうだから」「こういう性格だから」「絶対にこういう動きをするだろう」というようにイメージを固めてしまわずに、初めて明治に行った時の気持ちや反応を大事にしようと思いました。そうやって役作りが出来たことは、大きな成長の一つではないかと思います。
それと自分が考えていた相手のお芝居が、撮影の時には違うことがもちろんあって、そういったときに相手のお芝居に合わせて演じられたのことも収穫です。
また、今回は私が主演で、というお話をうかがったときには、正直「大丈夫かな?」と思いましたが、現場に行ったらずっと支えてくれるスタッフさんがいたり、男性ばかりの現場でもキャストの皆さんがリラックスさせてくださったり、合間で楽しくお話をさせていただいて、すごく助けられて1か月を過ごせました。
その一方で、台本を読んだ印象として、芽衣自身も最初から最後にかけての成長がよく見えてくる。それならば、私も芽衣と一緒に、この作品で成長できたらいいな、と思って撮影に挑んでいました。周りの人に何か声を掛けるとか、そういう主演らしいことは正直できなかったですが、私の中では“毎日、出来るだけこの現場に来るのが楽しみになるように”と自分で思うことを目標にしていました。
皆さんが撮影で行ったり来たりする中で“あ、明日明治東京恋伽の撮影だから楽しみだな”と思えるような、すごく明るい雰囲気の現場にできたらいいなと。実際私が素直に楽しみ過ぎた、というのもあるんですけど(笑)。和気あいあいとした明るい現場だったので、まさしく楽しみながら成長できたと思います。
──伊原さんはミュージカルにあこがれてこの世界に入られたということですが、例えば今回のようにドラマ、映画の役者という仕事は、その目標と比較して印象的なところはありましたか?
伊原:ミュージカルは、稽古をして“このセリフをしゃべる際には、この場所にいて…”というようにかなりお互いの決め事を詰めて、理解しあいながら舞台を完成させていきます。
お客さんの前でそれを演じる時は“生もの”でもありますし、最初から最後まで全部通す中で何が起こるかわからないんです。でもその見えないというところが面白い部分だと思うんです。
それに対してドラマや映画では、事前に稽古をするということが無いんです。リハーサルはするかもしれないですが、実際に現場に行って、その場で限られた時間の中でお互いに話したり。どういうお芝居が返ってくるかわからない、現場ではそういうところに難しさを感じていました。
今回は、撮影の合間に練習が出来たり、次のセリフのシーンを読んでいたら、それに続いて相手のセリフを読んでくれたりとか、様々に気遣いをいただいたので、とても助けられました。
今後の目標
──女優としてのお仕事や、ミュージカル、舞台と、様々な目標もあるかと思うのですが、今後特にやってみたいことなどはありますか?
伊原:このお仕事って、例えばもし絵を書く役であれば絵の練習ができたり、ダンスをめちゃくちゃ踊れる役だったらダンスを教えてもらえたり、役によっていろんなことにチャレンジできるお仕事だと思うんです。
もちろん舞台はいつかやってみたいと思いますが、最近は歌も歌わせていただいたり。私自身は、一つやり始めたら、極めたくなるタイプなので、やりたいことが増えすぎちゃって(笑)。
「こういう役がやりたい」「こういう世界観の作品に出たい」という役者としての目標もあるけど、まずできることを増やしたいと思っています。
ダンスは好きだし、ずっとやってきたから、少しだけど自信はあります。でも歌はまだ始めたばかりで全然違うなと感じるところもあるので、“ちゃんとできます”と言えるくらいにレベルを上げていきたいです。
もうすぐ20歳になるので、そんな風に自分が“素敵だな”と思うことを極めたいと思います。何か仕事を“やってください”と言われた時に”今からやります”というより、その時に”できます”と言えるようにしたいと思っています。
ヘア&メイク:菅野綾香
スタイリスト:網野正和
衣裳協力:Million Carats/OKIRAKU/RANDA/GOLDY
伊原六花(いはらりっか)のプロフィール
1999年生まれ。高校時代にダンス部に所属、2017年夏に「日本高校ダンス部選手権」で披露した、自身がセンターを務める「バブリーダンス」が注目を集め、さまざまなメディアでとり上げられ注目を浴びました。
2018年のドラマ『チア☆ダン』(TBS系)でドラマデビューを飾り、本作でドラマ、映画とも初主演を果たしました。また2019年1月にはCMソングで大沢伸一プロデュースによる楽曲「Wingbeats」で歌手デビューも行っています。
さらに2019年4月から放送中のNHKの連続テレビ小説『なつぞら』への出演も決定しています。
インタビュー/桂伸也
撮影/出町光識
映画『明治東京恋伽』の作品情報
※タイトルの「京」の字は、正式には旧字体
【公開】
2019年(日本映画)
【監督】
副島宏司
【キャスト】
伊原六花、小林豊、宮崎秋人、岩永徹也、松島庄汰、とまん、山崎大輝、高橋真佳把、久保田悠来
※高橋の「高」の字は、「はしごだか」
【作品概要】
2011年に携帯アプリ配信版からスタートし、絶大な人気を誇る人気ゲームが、メディアミックスによるドラマ、映画化。これまでもテレビアニメ化、劇場アニメ化、舞台化など様々なメディアミックス展開を行っており、今回は全8回のドラマ(TVKほか)が放送され、その続編となる映画が公開となります。
主人公の綾月芽衣役を伊原六花が演じ、その芽衣を明治の世界に誘う謎のマジシャン・チャーリー役を、BOYS AND MENのメンバーである小林豊が務めます。
撮影は、愛知県犬山市にある、明治建築を保存展示する野外博物館「博物館明治村」が使用され、明治の世界をリアルに描いています。
映画『明治東京恋伽』のあらすじ
謎のマジシャン・チャーリーによって明治時代にタイムスリップしてしまった女子高生・綾月芽衣。
森鴎外や菱田春草、川上音二郎、泉鏡花、小泉八雲や藤田五郎らとと出会い、さらに自分に“魂依”という不思議な力があることを発見、様々な事件の捜査に協力するなどの出来事が続き、現代に帰るチャンスを逃して気が付けば3か月の月日が過ぎていました。
そして今度は、今まで共にこの時代を過ごしたチャーリーとはぐれてしまうことに。気が付けば宿無しになってしまった芽衣でしたが、新たに出会った岩崎藤助の好意で、大学の研究室に居候させてもらうことになります。
芽衣はさらに電気の実用化の研究を進めていた桃介に、自分のスマートフォンのバッテリー充電を依頼、現代の記憶を取り戻そうとします。
しかし、芽衣は桃介との距離を近づけていく一方で、彼もまた“魂依”の力を持ちながらも、一方で物の怪のことを心から憎んでいることを知り、一抹の不満を覚えます。
そんな中、スマートフォンの充電が完了、芽衣は再び桃介の研究室を訪れますが、芽衣はある事件に巻き込まれることに。果たして芽衣は現代の世界に戻れるのでしょうか?