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Entry 2020/01/06
Update

【クリス・フォギン監督インタビュー】映画『フィッシャーマンズ・ソング』コーンウォールのコミュニティで歌い明かした素晴らしき日々

  • Writer :
  • 増田健

映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』は、2020年1月10日(金)より新宿ピカデリー・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

イギリス南西部のコーンウォール地方にある、港町ポート・アイザック。その地に住む漁師たちの歌唱バンド、“フィッシャーマンズ・フレンズ”が2010年にデビューすると、伝統フォークソングのアルバム初の、英国チャートトップ10入りを果たします。

誰もが驚くサクセスストーリーが、『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』として映画化されると、英国では異例のロングランヒットを記録。

撮影中のクリス・フォギン監督


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

本作品の監督はクリス・フォギン。イングランド北東部出身の監督が、イングランド南西部の風光明媚な漁師町で出会った驚きと、人々との交流を映画の中に描き出しています

日本公開を記念して、クリス・フォギン監督にインタビューを行いました。劇中で描かれたコーンウォールに対する思いと、楽しい撮影の舞台裏についてお話を聞かせて頂きました。

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映画制作への経緯


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

──本作の製作に至るまでの経緯をお聞かせください。

クリス・フォギン監督:(以下、クリス)僕は本作のプロデューサー、ジェームズ・スプリングのスタジオで元々仕事をしていましたが、そこで初めてこの作品の脚本を読みました。

凄く気にいり監督したいと言いましたが、その時はダメと言われました。その後彼と長編デビュー作『キッズ・イン・ラブ』を監督した後、2017年頃に彼の方から「気に入ってたあの脚本、まだやる気ある?」と電話で尋ねてきたんです。ずっと記憶に残っていた、本当に手がけたかった作品なので大喜びして、二つ返事でやりたいと答えさせてもらいました。

郷土愛と“美しい風景”


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

──クリス監督はロケハンや撮影の中で、コーンウォールまたはポート・アイザックをどう捉えたのでしょうか。そこにはイングランド北部の出身である、監督の故郷に対する思いも含まれているのでしょうか。

クリス:おっしゃる通り僕は北部の出身で、自分の土地に対する誇りみたいなものを、特に北部の者は強く持っています。コーンウォールの人たちが持つ思いというのは、自身のものと重ね合わせることが出来ました。

僕はダラム出身ですが、そこにもコミュニティーを大切にする感覚があります。コーンウォールも同様で、それが実に素晴らしくって…。そしてポート・アイザックは凄く美しいんです。その風景そのまま捉えたい、と思いました。

幸運な事に今回は撮影中ずっと天気に恵まれました。映画で見て頂いた美しい風景、それがそのままポート・アイザックにあるのです。沿岸もステキだし、村自体も絵みたいな村だし、本当に素敵な場所なんです。

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フッシャーマン・フレンズへの思い


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

──コーラスバンド“フッシャーマン・フレンズ”という存在の意味、彼らのイギリス国内での人気の理由について、クリス監督はどうお考えでしょうか?

クリス:やはり友情とか家族、そういったものを象徴しているバンドである、そう思うんですね。そして誇らしい気持ちと共にある、自分たちのコミュニティーに対するリスペクトを持っているのが、彼らが人気を持つ理由の一つだと思います。

本当は国中の人々が、お互いにリスペクトの気持ちを持って接するべきですが、彼らは自然とそう暮らしているし、そんな彼らの物語だから皆音楽を楽しむと共に、そのような生き方が持つ意味を見い出すんじゃないかと思うんですね。

彼らの歌聞き、家族の話を聴かせてもらう


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

──クリス監督はコーンウォールいう土地と、“フッシャーマンズ・フレンズ”について何を思い、何に注意してそれらを描こうとしたのですか。

クリス:映画を作る前に実際にコーンウォールに行って、色んな準備をする中で、歌にまつわる歴史に触れたり、実際に歌う姿を見させてもらったのですが、そういった中で、村で時間を過ごす事が実に重要でした。彼ら自身がコーンウォールの、ポート・アイザックというコミュニティーを象徴している訳で、その彼らを知るという事が、この土地とこの物語の精神、そして心の部分を捉えるのに凄く大切だと思いました。

自分たちが映画を作る過程で、村に没入するように触れて行く、その中で家族の歴史とかを聞いたりしている内に、彼らの全てをきちっと表現しなければ、と思ったんですよ。僕にとって歌の魅力は、単純に歌うことで人を幸せにしてくれることかな、と思っています。何らかの感情が喚起させられるし、歌を通じて他人も自分自身もハッピーになれるからね。

この映画も音楽と歌っていうものがあるからこそ皆を惹きつけ、そして楽しんでもらえたんじゃないかな、と思ってます。ちなみに僕は音痴なんだけれども(笑)。

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仲間たちと集まり歌を唄う


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

──デヴィッド・ヘイマンら、イギリス映画界を支えてきた名優たちが出演していますが、彼らと共にお仕事をされた感想や面白いエピソードがあればお聞かせ下さい。

フォギン監督:パブで歌った事が一番かなぁ。その日の撮影が終わると、仕事を終えた俳優たちと現地の方々が普通に接して一緒に盛り上がって、それを見るのが僕には本当に楽しかったんです。

映画の準備段階から、そして撮影が始まってからも毎日、終了後映画に登場するパブに皆で行ってました。本物の漁師たちが歌い始めて、キャストやスタッフも参加して歌って、ビールを飲みながらその日の撮影を締める、最高だったよ。

今だに毎週金曜日はパブに行くと、何処からともなく誰かが歌い出し、やがてみんなが歌い始める。それが今も習慣になっています。


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

監督にとっての“映画”


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

──クリス監督のお話を聞きながら感じたのですが、漁師たちと撮影クルーたちは共に似たコミュニティに感じました。監督にとって映画のスタッフとは、どういったものだと考えてますか。

クリス:そうですね、今回の撮影現場は最高でした。ロンドンでの撮影だと一日の仕事が終わると、皆家に帰ってバラバラになりますよね。今回はロンドンから来たクルーと、現地の者数名の全員がこの村に滞在して準備を始めましたが、その時点から本当に皆ウマが合っていました。

そして撮影が始まると毎日終了後、皆で一緒に夕食を食べたり、その後クイズの時間になったり、ピザを食べたりして過ごすことが出来たので、コミュニティの感覚が強かったです。本当に楽しかったよ。

──では、クリス監督にとって映画とは何でしょうか?

クリス:人を一つにするものですね。それが友達であれ家族であれ、たとえ短い時間であっても共に過ごさせてくれる、そういうものだと思います。

ぜひ、今度いつか東京で撮影を行い、一緒にパブで飲みましょう(笑)。

インタビュー/増田健
インタビュー・構成/出町光識

クリス・フォギン監督のプロフィール

1985年、イングランド北部カウンティ・ダラムの、サンダーランドに生まれ。大学でメディアと映画を学んだ後、TVドラマのアシスタントとして働き始める。

2010年映画とTVドラマのアシスタントディレクターとなった後、短編映画を撮り始め、2012年監督作『フレンド・リクエスト・ベンディング(未公開作)』が各国の映画祭で評価されます。

2016年『キッズ・イン・ラブ』で長編映画デビュー、本作が長編映画2作目となります。

映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』の作品情報

【日本公開】
2020年1月10日(金)(イギリス映画)

【原題】
Fisherman’s Friends

【監督】
クリス・フォギン

【出演】
ダニエル・メイズ、ジェームズ・ピュアフォイ、デヴィッド・ヘイマン、デイヴ・ジョーンズ、サム・スウェインズベリー、タペンス・ミドルトン、ノエル・クラーク

【作品概要】
イギリスに実在する舟唄バンド“フィッシャーマンズ・フレンズ”のサクセスストーリーを、歴史ある港町コーンウォールを舞台にユーモラスに描いた作品。映画の顔である現役漁師ボーイズバンドの面々を、TVドラマ『ROME ローマ』や『ザ・フォロイング』で人気を獲得したジェームズ・ピュアフォイ、そしてデヴィッド・ヘイマンやデイヴ・ジョーンズといったイギリスを代表するベテラン俳優が演じます。

ひょんなことから彼らを売り込むことになる音楽マネージャー役は、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』『1917 命をかけた伝令』のダニエル・メイズ。予期せぬ出会いから新たな人生を歩む男を演じています。

監督はクリス・フォギン。長編映画デビュー作『キッズ・イン・ラブ』で、ロンドンに住む若者の群像劇を手がけた彼が、今回は歴史ある漁師町を舞台に、ミドル・シニア世代の姿を描きます。

映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』のあらすじ


(C) FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

イギリス南西部のコーンウォール地方にある小さな港町、ポートアイザック。ここは漁師たちが暮らす漁業の町であると同時に、大西洋を見渡す絶景を持つ観光地でもありました。

ロンドンの音楽業界で活躍する男、ダニー(ダニエル・メイズ)は、結婚間近の悪友の独身最後のお楽しみ旅行で、同僚や上司とともにこの町にやってきました。

羽目を外して騒動を引き起こしたダニーたちは、偶然浜辺で古くから伝わる舟唄を歌う漁師たちの姿を見かけます。それを目にした上司は、ダニーにこの中高年ボーイズバンドと契約を結べと命じ、彼を残してロンドンに帰ってしまいます。

ポートアイザックに残されたダニーは、民宿を経営するシングルマザー、アルウィン(タペンス・ミドルトン)を通じ彼らに近づこうとしますが、不用意な発言から彼女に嫌われます。それでもダニーの音楽にかける情熱に心動かされ、徐々に心を開き協力するアルウィン。

漁師たちの舟唄バンドの名は“フィッシャーマンズ・フレンズ”、リーダーはアルウィンの父であるジム。人間嫌いの偏屈なこの男と、ダニーは交渉を始めます。

バンドの見事な歌唱力と、メンバーであるアルウィンの祖父ジェイゴ(デヴィッド・ヘイマン)やその友人リードヴィル(デイヴ・ジョーンズ)らの素朴な人柄に魅了されてゆくダニー。

熱意が認められ、ついにバンドと契約を結んだダニー。アルウィンとの関係も親密さを増していきます。ところが彼は、上司から思わぬ意図を聞かされることになります。

このままでは、音楽業界でのメジャーデビューの話は立ち消え。ダニーは“フィッシャーマンズ・フレンズ”、そして大切な存在となったポートアイザックの人々のために立ち上がる!

映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』は2020年1月10日(金)より、新宿ピカデリー・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!





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