映画『みぽりん』は2019年12月21日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開!
全編オール神戸ロケを敢行した映画『みぽりん』(2019/松本大樹監督)は、現代のアイドル業界に警鐘を鳴らす衝撃のパニック・ホラー・コメディーです。
2019年の春に神戸・元町映画館で予告編が流れるや、瞬く間にSNSで話題となり、公開前から「みぽらー」と呼ばれるファンが誕生。金沢21世紀美術館で開催された“カナザワ映画祭2019”での初上映時には、全国各地から「みぽらー」が集結し、熱気溢れる中、見事“観客賞”を受賞しました。
松本監督の地元・神戸の元町映画館での上映も、連日立ち見が出る大盛況となりました。
主演みほ(みぽりん先生)役の垣尾麻美さん
地下アイドル・優花役の津田晴香さん
マネージャー相川役の合田温子さん
関西の映画館を席巻した映画『みぽりん』がいよいよ東京・池袋シネマ・ロサに登場します。主演のみほ役の垣尾麻美さん、優花役の津田晴香さん、マネージャー相川役の合田温子さんに映画の裏話や現在の心境など、お話を伺いました。
CONTENTS
垣尾麻美主演で“ジャパニーズ・ミザリー”を!
──垣尾さんありきでスタートした映画だとお聞きしましたが、どのような経緯でみほ役を演じることになったのでしょうか。
垣尾麻美(以下、垣尾):以前に松本大樹監督とネットのCMでご一緒したことがあって、そのあと2年ぐらい間があきましたが、事務所(澪クリエーション)のマネージャーさんから「この前ご一緒した松本監督が、また一緒に仕事したいと仰っている」と聞かされていたんです。
ただそういう話はまず実現することがないから当時は流していたんですけど、2年目に映画への出演依頼が来て、「ジャンルはなんですか?」と尋ねると、ホラーだと(笑)。“ジャパニーズ・ミザリー”を作るということで映画『ミザリー』のDVDを松本監督からお借りして観たんですが、「あぁ、なるほど」と納得しました。ホラーというジャンルは初めてだったので、純粋に楽しみでした。
──脚本を受け取られたときはどんな印象を持ちましたか?
合田温子(以下、合田):いただいた脚本には“最後の10分”として話題になった結末部分はまだなかったんです。「どんな映像になるんだろうな」とワクワクしていました。
津田晴香(以下、津田):脚本をもらったときはめちゃくちゃ嬉しかったです。一番最初の段階ではまだどの役になるか決まっていなかったんですけど、「みぽりん先生に虐められる優花役がやりたい!」と凄く思いました。優花をやることが決まって、歌うシーンがあるんですけど、「へたくそに歌ってください」って言われた際には「得意分野だな」「暴れていいんだ」と感じました。
──それぞれのキャラクターを、みなさんはどのような思いの中で演じられましたか?
垣尾:みほの性格は自分にも通ずるところがあるというか、「凄くよくわかるな」という部分があったので、それほど苦労することはなかったです。ただ、松本監督から「“怒り”を“笑い”で表現して」と言われたため、劇中の私はほぼ全編笑っているんですが、演じ続ける中で“笑い”のレパートリーがなくなっていったことには苦労しました。あとで作品を観た際にも、「もっと笑いの変化がつけられたらよかったのに」と感じましたね。
津田:優花は反骨精神のある子なんです。最初、みぽりん先生に怒られてすぐシュンとしていたら松本監督から「もっと反抗して」と言われて、先生の言葉に抵抗するように演じました。
それと自分は剥製がめちゃくちゃ苦手なんですが、劇中では剥製を投げられる場面があるんです。あそこはお芝居でなく、素で叫んでいます(笑)。
合田:せっかくのマネージャー役なので、アイドル役の子たちよりは少しお姉さんの雰囲気を出すよう心がけました。アクの強いキャラクターが多い中、いたってとがらないように演じました。
柔軟で居心地のいい現場
──松本大樹監督の印象はどうでしたか?
合田:「映画監督」というと「シブい、コワモテな方」をイメージしていたのですが、松本監督はとても丁寧で誠実な方で、「こんな監督さんもいらっしゃるんだな」というのが第一印象でした。現場も楽しい雰囲気で、こちらが提案すると柔軟にそれを取り入れてくださいました。レフ板で喧嘩を止めるシーンは、待ち時間に遊びでやっていたのを見た松本監督さんが「それでいきましょう!」と採用してくださったものです。
垣尾:映画の前にご一緒したことがあったので、その時から何やってもゲラゲラ笑ってくださるので、接しやすい方だと感じていました。本当にまたお仕事ができるとは思っていなかったので、まさかまさかという気持ちでした。現場では助監督がいないこともありずっと動き回ってらっしゃって、お弁当の手配にいたるまで、全てを監督さんがやってくださいました。
津田:私も映画の前に何度か一緒にお仕事させてもらったことがあって、初仕事として淡路島に一人で放り込まれ、「どうしよう」と困惑していた時にもいろいろフォローしていただいたり、映画のときも「好きにやってくれていい」と言ってくださって、凄くやりやすかったですし、撮影のときもずっと楽しかったですね。
垣尾:他の現場だともっと空気がはりつめていて、ちょっと変な動きをしようものなら怒鳴られたりするんですが、まったくそんなこともなく、「こんな感じでいいの?」「私、大丈夫?」と最初はこちらが逆に気を遣ったくらいでした。でもだんだんと雰囲気に慣れてきたら、みんなこたつでくつろいでたりしました(笑)。
津田:夜のシーンでみんなの集中力が切れたときに、松本監督が「一回、こたつに入りましょうか」と仰ったことがあるんです。みんなこたつに入ってお菓子を食べて、リフレッシュしました。時間も押していたので、監督だけ疲労回復のためにお菓子を食べてらっしゃいました。
垣尾:あの休憩は大事でした!
脚本からすっかり変わった”最後の10分”
──本作の“最後の10分間”は大きな反響を呼んでいますが、その“10分間”の撮影はいかがでしたか?
垣尾:最初は「みほが全員を殺す」という設定だったんですが、最終的にはまったく違う展開に変わっていきました。
津田:「とりあえず回りながら罵り合ってください」と言われて、かなり大まかな演出の中での撮影だったんですが、咄嗟にアドリブが出て。撮影を終えた後に松本監督さんから「10日間撮影していて初めて鳥肌立った」「すごいものが撮れちゃった」と声をかけられたときはとても嬉しかったです。
──本作へのご出演を通じて、ご自身が「なにか変わったな」と感じることはありますか?
垣尾:基本、映画は監督と観客のものだと思っているので、できるだけ脚本のとおり演じることを心掛けていたのですが、自分からこうしてみたいとプランを出してみたら監督が受け入れてくださって。それが嬉しかったですね。与えられるだけじゃなくて、自分からもアプローチしていきたいなと思うようになりました。
採用されたプランというのは、優花を閉じ込めて扉を閉めたあと、一瞬おいて画面に顔を出すところです。あのシーンを撮ったときはもう押しに押していて監督が見るからにあせってらっしゃったんです。ぎりぎりまで言うか言うまいか迷っていて、一度撮影が終わって、監督に「別のアングルで撮りましょう」と言われた時に思い切って言ったら「それやりましょう!」って松本監督のテンションが急に上がって、押してるけど大丈夫、大丈夫って何度も撮影していただけて嬉しかったですね。
津田:私はインディーズ映画を観るようになりました。『みぽりん』に出演するまで、インディーズ作品を全く知らなかったんです。インディーズ映画って監督が自分が撮りたいと思うものを撮っているので、映画にエネルギーが溢れていますよね。万人受けするものではないのかもしれませんが、だからこそ刺さるときは苦しいほど刺さってきます。その世界を知ることが出来てよかったです。
合田:『みぽりん』に携わるまでは、思い切って上京することができなかったという“東京コンプレックス”がありました。東京の方がライバルも多いけれどお仕事も多いだろうし、「華やかな世界は無理だろうな」というネガティブな気持ちもあったんですけど、関西で撮った『みぽりん』という映画が東京の映画館で上映されるということに、勇気をもらいました。「こんなルートがあるなんて!」「一旗あげたるぞ!」という気持ちにもなりました。
それぞれの“アイドル”観
──この作品はアイドルの世界が描かれていて、一種のアイドル論としても観ることができるかと思います。みなさんは、アイドルとはどのようなものだと思われますか?
合田:「アイドルだって人権があるでしょう」派です。ファンの立場として言うなら、好きだからこそアイドルの人権を守りたいと思いますし、アイドルの幸せを願っているんですね。だからこそ、「アイドルである以上、うまく隠してね」とも思っています。
津田:「アイドルがアイドルしている」のが素敵だと思うので、別にその人が結婚していてもいいと思います。ただ、手の届かない遠い存在でキラキラしていてほしいですね。その点はみぽりん先生と同じ考え方です。
垣尾:アイドルにはあまり興味がなかったんです。映画に関わるようになってアイドルの番組を観てみたら、想像以上に過酷な世界だと気づかされて驚きました。「十代の子たちが、なんてエグいことをさせられているんだろう」って。それまでは「ちょっと歌って・踊って・顔がよくって、という感じなんでしょ?」と思っていたのですが、そこにかける憧れや情熱がわかるようになりました。
自分たちが今、ファンの方に応援していただける立場になって、「え?いいの?」と驚いています。私は今、人生で一番「可愛い」って言われてます(笑)。逆に「すみません、申し訳ありません」という気持ちです。
津田:「“可愛い”って言われるのはこの時期が最後だろうな」とすごい噛み締めています。言われなくなった時に、あの時の言葉を思い出せるように(笑)。
ひとりでも多くの人に『みぽりん』を観てほしい
──『みぽりん』は一度観ると無性に応援したくなる、まさに“アイドル”のような作品です。「みぽらー」という熱心なファンが生まれているのもその証拠と言えます。皆さんも、毎回の舞台挨拶、ビラ配りなどの宣伝を精力的に行われていますね。
合田:『みぽりん』を応援してくださっている人にお会いでき、「次の仕事がみつかったらいいね」と声をかけていただけるような経験が今まで本当になかったのも相まって、「“人前に出る”っていうのはこういうことなんだな」と意識が変わりました。
出来上がった映画がどうなっていくのか、どのように配給され、映画館にどんなふうにかかるのかといったことを、これまで考えたことがなかったんです。予算もないし、無名だし、「自分たちでがんばるしかないですよ」となったことで、「じゃぁいっちょやってやろう」と思えたんです。
『みぽりん』の“はじまり”と言える元町映画館での上映時にも、「なんかやらないとお客さんに来てもらえない」「じゃあ応援上映やりましょうか」ってなったんですね。「でも、盛り上がらなかったらどうしよう」という心配もあったので、「まず私たちがリードしよう」と考え、「ここでこう言おう」と応援の練習もしました。苦肉の策から始まったものですがそれが受け、「私達も一緒になってお客さんたちと騒ぐ」という形が出来上がっていきました。京都みなみ会館での上映では私達が通路にいるというので、「通路側の席から予約が埋まっていく」という現象も起こりました。私達自身、とても楽しんでやっています。
自分たちでチラシを配ったり、SNSを頑張ったりしているのも、自分のためだけだったらこんなにはやらないです。本作のみならず、松本監督に早く次回作を撮っていただきたいからなんです。
津田:ファンの方は、ビラ配りをしていても「風邪ひかないようにね」と気遣ってくださったり、皆さんとても優しいです。
応援上映といえば、「ニャニャニャニャ」のレッスンの場面では「ニャニャニャニャ」と返してくださって凄く盛り上がりました。この場面は実はカットされるはずだったんですけど、私が頼んで残してもらった場面でもあるんです。
映画って、観てもらえないことには始まらないじゃないですか。少しでも多くの人に届いてほしいと思います。
垣尾:「私が出ているこの映画を、みんな楽しんでくれるんだろうか?」と半信半疑だったんですけど、たくさんの方が「面白かった!」と言ってくださったことで、「じゃあ、もっといろんな人に観てもらいたいな」という気持ちが強くなりました。
『みぽりん』が知られていき、その結果として私の名前も覚えていただければいいなとは思いますけど、今はとにかく『みぽりん』をひとりでも多くの人に観ていただきたいです。
本当に松本監督には早く、次の作品に取り掛かっていただきたいです。『みぽりん』という作品の次はいったい何を撮るのか、純粋に気になっているんです。
インタビュー・撮影/西川ちょり
映画『みぽりん』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【製作・脚本・監督・撮影・編集】
松本大樹
【撮影】
ヨシナガコウイチ
【出演】
垣尾麻美、津田晴香、mayu、井上裕基、近藤知史、合田温子、木野智香、吉田洋子、篁怜、前田智広、桜島大樹、キテン館主、神田悠、まおち、松本こんぶ、松本ひじき(友情出演)
【作品概要】
現代のアイドル業界に警鐘を鳴らす衝撃のパニック・ホラー・コメディー映画。全編オール神戸ロケを敢行した松本大樹の初監督作品。
カナザワ映画祭2019「期待の新人監督部門」で初上映され、観客賞を受賞。神戸・元町映画館にて予告編が公開された段階から「みぽらー」と呼ばれるファンが生まれ、現在も増え続けています。
映画『みぽりん』のあらすじ
声優地下アイドルユニット「Oh!それミ~オ!」のメンバーのひとり神田優花は、ファンによる人気投票1位を獲得しソロデビューを決めました。
ソロデビューライブが目前に迫った優花は練習に励みますが、実は極度の音痴で、プロデューサーの秋山とマネージャーの相川は頭を抱えていました。
「Oh!それミ~オ!」のメンバーである里奈は、2人のそんな様子を見て「知り合いにボイストレーナーがいるので、優花にレッスンを受けさせたらどうか?」と提案します。
六甲山のボイトレ合宿に参加することになった優花を車で迎えに来たのは、みほという女性でした。山荘に案内された優花は美しい眺めをスマホで撮影しようとしますが、充電が切れており、充電器を忘れてきたことに気が付きます。
「明日、私が充電器を持ってきてあげるから」とみほに言われほっとする優花でしたが、次の日、みほは充電器を持ってきませんでした。
最初は親切だったみほですが、突然態度が豹変。厳しいレッスンを強いられたあげく、みほは「アイドルに相応しくない」と優花を断罪し、山荘に監禁してしまいます。
一方、秋山と相川はPV撮影を格安で済ますため、優花推しのファンである加藤を呼び出し、のんびりと撮影を行っていました。しかし、ソロデビューライブが明日に迫り、ようやく優花と連絡が取れなくなった事に気付きます。
秋山と相川と加藤の3人は、優花が最後にインスタグラムを更新した画像を手がかりに、優花を探し始めますが…。
山小屋に監禁され、助けを呼ぶこともできない優花の運命は如何に?!
池袋シネマ・ロサ上映後イベント情報
東京初公開となる池袋シネマ・ロサでの上映期間中にも、『みぽりん』松本大樹監督&キャスト陣が登壇する上映後イベントの開催が決定!
※日程・登壇者は急遽変更になる場合もございます。
■12月21日(土) 20:15〜/本編(108分)上映後
「『みぽりん』東京初上陸だよ!全員集合!主題歌LIVE」
登壇者(予定):垣尾麻美、津田晴香、井上裕基、合田温子、近藤知史、mayu、篁怜、片山大輔、松本大樹
※入場者プレゼント(みぽりん瓦煎餅)有
■12月22日(日) 20:15〜/本編(108分)上映後
「『みぽりん』キャスト大集結!キャラソンメドレーLIVE」
登壇者(予定):垣尾麻美、津田晴香、井上裕基、合田温子、近藤知史、mayu、片山大輔
※入場者プレゼント(みぽりん瓦煎餅)有
■12月23日(月) 20:15〜/本編(108分)上映後
「『みぽりん2(仮)』のヒロインは誰の手に?ヒロインナイト」
登壇者(予定):垣尾麻美、津田晴香、合田温子、近藤知史、松本大樹
■12月24日(火) 20:15〜/本編(108分)上映後
「人力4DX関東初上陸!『みぽりん』クリスマスイブ監禁絶叫上映」
登壇者(予定):垣尾麻美、津田晴香、合田温子、近藤知史、篁怜、片山大輔、松本大樹
※初見の方も大歓迎!
■12月25日(水) 20:15〜/本編(108分)上映後
「とっておきの『みぽりん』裏話をプレゼント!みぽりんクリスマスSPトークショー」
登壇者(予定):垣尾麻美、津田晴香、井上裕基、合田温子、近藤知史、篁怜
■12月26日(木) 20:15〜/本編(108分)上映後
「問題と共に撮影秘話をお届け!みぽりん検定【中間試験】」
登壇者(予定):垣尾麻美、津田晴香、井上裕基、合田温子、近藤知史、篁怜
※初見の方も大歓迎!