Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ホラー映画

『ウォーハント 魔界戦線』あらすじ感想と評価解説レビュー。ミッキーロークは新作でも存在感を示して“物語にひねり”を加えた!

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ウォーハント 魔界戦線 』は2022年5月20日(金)より全国ロードショー!

戦時中のドイツで起きた奇妙な事件。森の中に墜落した輸送機を追い求める捜索隊が遭遇した恐怖とは…?

映画『ウォーハント 魔界戦線』は、第二次世界大戦のさなかにドイツの森に突然墜落した連合軍輸送機の行方を追って出発した捜索隊が、森の中で遭遇した恐怖の様を描いたホラー作品。

アクション演出で高い評価を得ているマウロ・ボレッリ監督が作品を手掛けました。また名優ミッキー・ロークを始めとしたキャストが躍動感あふれる演技の中で、恐怖と緊張の瞬間を見どころたっぷりに作り上げています。

映画『ウォーハント 魔界戦線 』の作品情報


(C) 2021 OU WARHUNT FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
WARHUNT

【監督・共同脚本】
マウロ・ボレッリ

【脚本】
レジー・ケヨハラⅢ、スコット・スバトス

【出演】
ミッキー・ローク、ロバート・ネッパー、ジャクソン・ラスボーン、アンナ・パリガ、ロー・スタッセン、ポリーナ・プシュカレヴァ・ニオリー

【作品概要】
戦争アクションのスリルと、オカルト・ホラーの恐怖の融合による、エンタテインメント大作。第二次世界大戦のさなかにドイツの森に連合軍の輸送機が墜落、輸送機の捜索に向かった連合国の捜索隊が、森の中で遭遇した邪悪な精霊たちと戦う姿を描きます。

「トワイライト」サーガを手掛けたジャクソン・ラスボーンが監督を務めます。また、キャストには『レスラー』『アイアンマン2』などのミッキー・ローク、大ヒット・ドラマ「プリズン・ブレイク」シリーズのロバート・ネッパーらが名を連ねています。

映画『ウォーハント 魔界戦線 』のあらすじ


(C) 2021 OU WARHUNT FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

第二次世界大戦のさなかにあった1945年。連合軍の輸送機がある日突然カラスの大群に襲われ、ドイツ南部の森林地帯に墜落するという事故が発生します。

重要な情報があるとされていた輸送機の捜索に向かうことになった米軍のブリューワー軍曹。

この特殊任務に対しジョンソン少佐は、情報回収に部外者のウォルシュという特務兵を連れてゆくよう命じ、不信感を持ちながらもブリューワー軍曹の隊は捜索隊を引き連れ創作に出発します。

森の中を進み、遭遇したドイツ部隊と交戦する捜索隊。彼らは敵を制圧しますが、敵の部隊は正気を失い、廃人のような状態でどこかおかしい様子を見せます。

やがて捜索隊は墜落機の落下地にたどり着きますが、ボロボロになった残骸と相反して奇妙なことに、乗員の死体は見当たりません。そしてそのときから、捜索隊は奇怪な事態に見舞われますが…。

映画『ウォーハント 魔界戦線 』の感想と評価


(C) 2021 OU WARHUNT FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

第二次大戦下の都市伝説的な物語。いにしえより戦いの悲惨さを例えば北欧神話で語られるワルキューレのような特殊な存在として戦場に登場させる話はいくつもありました。

また第二次大戦下の都市伝説的テーマは、よくB級ホラー作品でも見られます。

例えば『処刑山 デッド・スノウ』は、旧ドイツ軍の都市伝説とゾンビ・ホラーを絡めた物語。また2004年の『ヘルボーイ』では第二次世界大戦におけるドイツの指導者アドルフ・ヒトラーの命により邪悪の神を味方にするという陰謀を前振りに織り込んでいます。

この物語ではヒトラーの陰謀論をにおわせながら、結果的にその陰謀さえ相まみれずドイツ軍側にも恐怖を及ぼす、つまり三つ巴の関係となっています。

例えば現世界の勢力図に置き換えると、終戦後の大きな二つの勢力同士の対立がある中で、対立とはまた別のもう一つの存在があるわけですが、このような力関係を描いた物語は意外に少ない傾向にあります。

争っている二つの勢力はどちらかが正義、悪と割り切れるものではなく両者とも人間であり、なにかのきっかけで対立してしまう。そして対立の原因こそが、この物語にも描かれるもう一つの存在という格好であります。

このように考えると、なにかの対立の中で示される「悪」「邪悪」という存在の正体とはどのようなものなのかを、改めて考えさせられます。例えば対立したときにどちらの「人間」が悪い、のではなく「悪」たらしめる要因が、外的に入り込んでいるのではないか、といった仮定です。


(C) 2021 OU WARHUNT FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

見方によっては単にモンスターパニックを、第二次世界大戦を背景に描いたというジャンルもの的な見え方にとどまってしまうかもしれません。

しかし物語の人物構成や背景とのつながりを考えると、人間にとっての恐怖は何なのだろうか、などといった根本的な問題へと帰着する可能性もあります。

物語に登場するブリューワー軍曹、ジョンソンは、当初自分たちの敵はあくまでドイツ軍だと認識していましたが、結果的に得体のしれない存在と恐怖の遭遇を果たすこととなり、敵と認識していたドイツ軍兵士すら自分たちと同じ立場となりその恐怖に対面してしまうことになります。

一方に向けていた矛先をいきなりふっと変えられた上で、自身の力の及ばない状況に置かれることの恐怖が、この作品の最大の魅力といえるでしょう。

まとめ


(C) 2021 OU WARHUNT FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

凶器にむしばまれる人々の演技も素晴らしいですが、やはり一番印象的なのはミッキー・ロークでしょう。若いころは「イケメン」の部類に入るほど端正なマスクでしたが、わざわざ整形で不細工な面構えに変え、『レスラー』『アイアンマン2』と一目置かれる役者として注目を浴びています。

彼の持ち味は、その表情の裏にある感情の読めなさ。裏が見えない気の許せなさは、『アイアンマン2』における悪役でも大きな存在感を示していました。

本作では悪役とはなっていないものの、両軍隊が遭遇する邪悪な存在の正体を示す鍵として、ハラハラドキドキの中最後の切り札を絶妙なタイミングで切るように登場しており、主役以上のポジションに立ったといえるでしょう。

映画『ウォーハント 魔界戦線 』は2022年5月20日(金)より全国ロードショー

関連記事

ホラー映画

映画『フッテージ』ネタバレ感想と結末あらすじ。どんでん返しホラーに登場する犯罪小説家を通じて観客が同一化される怖さ

連続殺人の死にまつわる不可思議な秘密を解き明かす者は死ぬ、ホラー映画『フッテージ』。 『フッテージ』は、家族連続殺人事件の真相を探る為に、殺人現場の家に引っ越して来た犯罪小説家が、家に残された前代未聞 …

ホラー映画

福士蒼汰の実写映画『BLEACH』あらすじとキャスト。公開日も

福士蒼汰による実写映画『BLEACH』は、7月20日より全国でロードショー! 漫画家の久保帯人が2001年から『週刊少年ジャンプ』に連載をした同名作品を、佐藤信介監督が描いた話題のホラー・エンターテイ …

ホラー映画

映画『地獄の警備員』ネタバレ感想と結末解説あらすじ。松重豊×黒沢清のホラーバイオレンスがデジタルリマスターで復活

『地獄の警備員』がデジタルリマスター版として復活! 出口が封鎖された真夜中のビルで、怪物のような警備員と対峙する恐怖を描いた映画『地獄の警備員』。 世界的人気を誇る映画監督・黒沢清が29年前の1992 …

ホラー映画

映画『ブライトバーン』ネタバレあらすじと感想評価。ホラー的なスーパーマンを通して描かれる家族の姿

子供に恵まれなかった夫婦が「天からの授かりもの」と信じて育てた子供は、地球に破壊をもたらす者だったという恐怖を描いた『ブライトバーン/恐怖の拡散者』。 スーパーヒーロー作品をホラー映画で描くという「異 …

ホラー映画

Netflix映画『呪われし家に咲く一輪の花』ネタバレ感想と考察。美しいホラーは“私の恐怖”を詩的な展開と真相で描く

見ているのに見えない恐怖が静かに追い込む、真相の正体を目にした時に彼女を襲った衝撃は死に値する恐怖 本作は怖がりな看護師がホラー小説家の介護をするために、人里離れた森の一軒家で住み込みで働き、小説にま …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学