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Entry 2017/11/05
Update

映画『ITイット』2017リメイクあらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 馬渕一平

本国アメリカでホラー映画歴代興行収入ナンバーワンを記録!

スティーヴン・キングの原作小説を映画化した話題作がいよいよ日本上陸。

ただのホラーにあらず! その溢れる80年代愛に驚くなかれ。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』をご紹介します。

以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の作品情報をどうぞ!

1.映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の作品情報


(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原題】
It

【監督】
アンドレス・ムシェッティ

【キャスト】
ジェイデン・リーバーハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリス、ニコラス・ハミルトン

【作品概要】
スティーヴン・キングの小説を2部作で完全映像化。

第1部にあたる本作では、ペニーワイズと子どもたちの対決が1989年を舞台に描かれます。

映画ファンの心をくすぐる80年代テイストにも要注目!

ホラーとジュブナイルが融合した新たな名作が誕生しました。

2.映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のあらすじとネタバレ


(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1988年10月、アメリカの田舎町デリー。

土砂降りの雨の日、ジョージーは兄のビルに紙でできた船を作ってもらいました。

ビルは外に出て一人で遊ぶ幼い弟の姿を2階の窓から見送ります。

ジョージー号と名付けられたその船は手を離した瞬間、流れに沿ってどんどんと進んでいき、ジョージーはそれを必死で追いかけます。

船は側溝の中に流されてしまい、兄に怒られることを恐れたジョージーはなんとか船を取り出そうと側溝の中を覗き込みました。

すると、そこにはピエロの姿をした不気味な人物がいて、ジョージーの船を手に持っています。

そのピエロは自らを踊る道化師、ペニー・ワイズと名乗りました。

ジョージーは、兄のビルに怒られるから返して欲しいと頼みます。

するとペニー・ワイズは船を渡してあげるから手を伸ばしてごらんと囁きます。

ジョージーが恐る恐る側溝の中に手を伸ばすと、そのピエロは口を開け牙をむき出しにし、ジョージーの右腕を噛みちぎりました。

そして、そのままジョージーは身体ごと側溝の中に引きずり込まれてしまいました。

雨が降りしきる道路には赤い血の色の広がりだけが残されています。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』結末の記載がございます。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ビルの弟、ジョージーが行方不明になってから8ヶ月が経ちました。

学校が終わり、夏休みが始まります。

学校内のイケていないグループ、自称ルーザーズ・クラブでいつものようにつるんでいるビル、リッチー、エディ、スタンリー。

ビルは吃音の症状を持つ内気な性格。リッチーはお喋りでお調子者。エディは過保護な母親によって縛り付けられていて神経質な一面が。スタンリーはラビの父親を持つユダヤ系で几帳面な性格。

ビルは弟のジョージーの行方を探すため、荒地に行くことを計画し、他の3人もそれに付き合うことに。

転校生のベンは目立たない太っちょのいじめられっ子。夏休みの間はデリーの歴史について図書館で調べています。

色んな男と関係を持っているという噂が広まっているべバリーも女子から嫌がらせを受けていて、家では父親から性的暴力をふるわれ精神的にも支配されていました。

黒人のマイクは祖父の精肉業を手伝う気の優しい青年。屠殺にためらい、祖父からもしっかりしろと怒られる毎日。

そんな彼らの前にペニー・ワイズが幾度となく出没し、恐怖心を植えつけていました。

ある日、ベンはいじめっ子のヘンリー・バワーズのグループに捕まり、命からがら逃げ出し、偶然ビルたちのグループに遭遇。

負傷していたベンを治療するため、たまたま薬局に居合わせたべバリーの力も借り、6人の間に不思議な友情関係が芽生えました。

べバリーとまた会うことを約束し、次の日にはビル、リッチー、エディ、スタンリーにベンとべバリーを加えた6人で川遊びを楽しみます。

その後に、ベンの家に遊びに行った彼らはベンから驚きの事実を聞かされます。

それは最近頻発している子どもの行方不明事件は偶然ではなく、デリーの町の歴史を調べると大きな事件が必ず27年周期で起こっていること、そして1989年の今が正にその周期であるということでした。

ヘンリーにいじめられているところをビルたちに助けられたマイクも仲間に加わり、彼らは事件解決に乗り出します。

古い地図と今の地図を重ね合わせ、事件が起こった場所を照らし合わせると全ては下水が繋がっている場所で起こっていました。

その元となる場所、井戸の家こそがペニー・ワイズの住処であることを突き止めたビルたち。

ビル、リッチー、エディが中に入り、後の4人は外で見張ることに。

気付いたらペニー・ワイズの術中にハマり、1人1人バラバラにされてしまいました。

なんとか逃げ出すことに成功しましたが、2階から落下したエディは右腕を骨折し、エディの母親はビルたちとの絶交を宣言。

ビルとべバリーは再びペニー・ワイズを倒すために力を合わせようと呼びかけますが、他の者たちも日常へと帰って行きました。

その後、べバリーは支配しようとする父親を気絶させ家から逃げ出そうとしたところ、ペニー・ワイズに捕まってしまいました。

一方その頃、いじめっ子のヘンリーは警官で抑圧的な父親が寝ている隙に、ペニー・ワイズが用意したナイフで父親を刺し殺しました。

べバリーを助け出すため再び集まったルーザーズ・クラブ。

井戸の中に順に入って行き、後はマイクが入るというところで錯乱したヘンリーが襲いかかってきます。

殺されかけたマイクがヘンリーを思い切り突き飛ばすと、ヘンリーはそのまま井戸の底へ落ちて行きました。

途中で再びペニー・ワイズの術中にハマりそうになりますが、なんとかみんなで奥まで辿り着きました。

そこにはべバリーを含め今まで行方不明になっていた人たちが浮かんでいます。

宙に浮かぶべバリーの足を掴んで引きずり下ろすと、ベンがべバリーに口づけをしました。

すると、べバリーは目を覚まし、意識もはっきりと戻ってきました。

先に到着していたビルは、弟のジョージーと対峙し、涙を流しながらお家に帰ろうと言います。

そして、屠殺用の銃でジョージーの額を撃ち抜きます。

ジョージーが偽物であることをわかっていたビルは恐怖に打ち勝ちました。

慌てたペニー・ワイズはビルを捕まえると、このまま立ち去れば今回はこれで最後にすると交渉を持ちかけます。

しかし、恐怖を克服したみんなはペニー・ワイズに総攻撃を仕掛け、見事にやっつけることに成功。

力を失ったペニー・ワイズは逃げ出し、浮かんでいた犠牲者たちもゆっくりと降りてきました。

高く積み上げられた瓦礫の山の下の方に、ジョージーが着ていた黄色のレインコートを見つけたビル。

そんな彼をみんなは後ろから優しく抱きしめ、これで全ては終わりました。

夏休みも終わりに近づき、再び集まった7人。

27年後にまたペニー・ワイズが現れたらその時は再び集まり、力を合わせて退治することを誓いました。

一人一人その場から立ち去り、残ったのはビルとべバリー。

叔母の元へ引越しをするというべバリーをビルは呼び止めると、キスをしました。

そしてもう一度キスを交わし、二人はお互いの好意を確認し合いながらも別れます。

3.映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の感想と評価


(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

原作であるスティーヴン・キングの大ベストセラー小説「It」の映像化は1990年のTV版に続いて二度目です。

原作小説自体は大人になった現在(1985年)と子ども時代(1958年)を交互に語るお話ですが、本作は2部構成で完全に話を分けて製作。

さらに、時代設定も製作陣が実際に子どもとして体験していた1989年に変更されています。つまり本作の27年後にあたる続編は2016年、ほとんど現代です。

この80年代への変更は今の80,sブームの影響もあってか、本国アメリカにおける大成功の要因の一つに考えられています。

本作でリッチーを演じたフィン・ウォルフハードは80,sブームの火付け役ともいえるドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』にも出演。

外見はいわゆるジャンル映画と呼ばれるホラーでありながら、中身はなかなか良くできたジュブナイルもの。

あぁ、これはみんな大好きなやつだと、ヒットするのも大納得でした。

観た方の誰もが想起するであろう名作『スタンド・バイ・ミー』(1986年、日本は1987年公開)。

ビル役のジェイデン・リーバーハーの繊細な美少年ぶりがリヴァー・フェニックスを彷彿とさせますし、全員の顔つきがなんとも80年代的でした。

そのほかにも『E.T.』(1982年)であったり『グーニーズ』(1985年)であったり。

さらには70年代ではありますが同じくスティーヴン・キング原作の『キャリー』(1976年、日本公開は1977年)。

血の吹き出しは初潮の比喩ですが、あの全身血だらけは間違いなく『キャリー』へのオマージュでしょう。

そして、予告から期待されたホラー演出も近年ハリウッドで流行ったJホラー的な見せ方であったり、あるいは単純なビックリ箱的であったりとバリエーションを多く見せることで飽きさせない工夫が凝らされていました。

特にジョージーが連れ去られてしまう冒頭の一連のシーンは秀逸で、予告が物凄い再生回数を叩き出したのも大きく頷けます。

それでも登場人物が多いのでどうしても単調になりがちなところを、所々にほのぼのとした可愛らしいやり取り(ブリーフ姿最高でした!)を挟み込むことでうまく緩和。

非常に丁寧に作られた良作ではありますが、少し気になる箇所もありました。

これってよくよく考えたらものすごく凄惨で辛い話なんですよね。

特に、両親を亡くしているマイク、父親から肉体的にも精神的にも支配されているべバリー、そして同じく父親から抑圧的に支配されているいじめっ子のヘンリー。

正直この3人の問題は根本的に解決していません。

自業自得とはいえ同情したくなるヘンリーには救いがないし、マイクとべバリーは一生傷を抱え込むことになるでしょう。

この辺りの落とし前は第2部でうまくつけられるのでしょうか。

ただそれ以上に、今回のメインであるビルと弟のジョージーを巡る話の解決には感動せずにはいられませんでした。

罪の意識を背負い、家に帰る度に自分を責め続けたビルの告白。

実際に歳の離れた弟がいる方は本当に感情移入しすぎて辛いので、心して臨まれた方がいいと思います。

まとめ


(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ペニー・ワイズとは一体何なのか?

モデルとなった実在の殺人鬼、ジョン・ウェイン・ゲイシーがピエロの格好をしていたことから不気味なピエロ姿ではあるのですが。

これは個人的には、子どもの時に持っていた想像力と純粋さそのものだと捉えています。

大人には見えないということは、それは大人になったらなくしてしまうものです。

それを、相手の恐怖の対象へと様変わりし、その恐怖を食べて生きる異形の化け物、ペニー・ワイズというキャラクターに具現化。

本作がもう一段階面白いのは、その具現化させたペニー・ワイズは自らが作り上げた幻に過ぎず、きちんと現実と向き合い受け入れることでその恐怖はなくなるんだよと、また抽象的な存在に戻しているところです。

それによりただの悪者退治の話ではなく、子どもたちが自分の心と向き合う成長譚へと昇華させています。

この一度具現化させることこそが物語ることの本質だなと、改めて考えさせられました。

27年後、大人になったルーザーズ・クラブは果たしてどんな姿になっているのでしょうか。

2019年公開予定の次回作が早くも楽しみです!

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