アンソニー・マッキー&セバスチャン・スタンW主演ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』
ついに“フェーズ4”へと到達し、2021年からは映像配信サービス「Disney+」にてマーベルスタジオによる公式ドラマが始動した大人気シリーズ「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」。
そして第1弾『ワンダヴィジョン』に続いて製作されたMCUドラマ第2弾こそが、『ファルコン&ウィンターソルジャー』(2021)です。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)にて初代“キャプテン・アメリカ”のスティーブから盾を譲り受けた“ファルコン”ことサムと、>スティーブの相棒であり“ウィンター・ソルジャー”の過去に苛まれ続けるバッキーが主人公の本ドラマ。
本記事では、新たな“キャプテン・アメリカ”をめぐる物語『ファルコン&ウィンターソルジャー』をネタバレあらすじを交えてご紹介させていただきます。
CONTENTS
ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』の作品情報
【配信】
2021年(Disney独占配信)
【原題】
The Falcon and the Winter Soldier
【監督】
カリ・スコグランド
【脚本】
マルコム・スペルマン
【キャスト】
アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、ダニエル・ブリュール、エミリー・ヴァンキャンプ、ワイアット・ラッセル、ジョルジュ・サンピエール
【作品概要】
マーベル・コミックス作品の映像化を行う「MCU」シリーズの『ワンダヴィジョン』に続く“フェーズ4”第2弾となる配信ドラマ。
監督を務めたのは『ザ・ラウデスト・ボイス-アメリカを分断した男-』を始め、多くのドラマ監督を務めるカリ・スコグランド。
ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』のあらすじとネタバレ
“ファルコン”ことサムは“キャプテン・アメリカ”ことスティーブ・ロジャースから彼の象徴でもあるヴィブラニウム製の盾を受け継いでいましたが、盾を自身のものと思うことができず博物館に寄贈してしまいます。
その一方で、バッキーは「ヒドラ」の暗殺者“ウィンター・ソルジャー”だった頃、暗殺を目撃された日本人を殺害してしまった記憶の悪夢にうなされていました。
暗殺者としての過去を恩赦する代わりにカウンセリングの受診を強要されたバッキーは、サムからの連絡を無視し続けていること、現代に友人と呼べる人間がいないことをカウンセラーに指摘されます。
またサムは、テレビのニュースで国防総省が新たな世代の“キャプテン・アメリカ”を選出したことを知ります。
2代目キャプテン・アメリカに選出されたジョン・ウォーカーは、過酷な訓練を遂げ仲間を思う強い勇気もあるものの、“キャプテン・アメリカ”の名が持つ重圧を常に感じていました。
ある時、ミュンヘンに統一世界を目指すゲリラ組織「フラッグ・スマッシャーズ」のアジトがあることを突き止めたサムは単身任務へ向かおうとしますが、“2代目キャプテン・アメリカ”の存在とサムが盾を手放したことに納得のいかないバッキーが現れます。
ついには任務先にまでバッキーは着いてきてしまい、サムは嫌々ながらもバッキーと任務を共にすることになってしまいます。
「フラッグ・スマッシャーズ」が薬品を積み込んだトラックを走らせる様子を見た2人は、その運搬を阻止しようとしますが、「フラッグ・スマッシャーズ」は予想以上に高い戦闘力を備えていたことでサムとバッキーは苦戦を強いられます。
そこに盾を持ったジョンと彼の戦友ホスキンスが現れ4人は共闘することになりますが、全員がトラックから落とされ「フラッグ・スマッシャーズ」を取り逃してしまいます。
帰路、サムとバッキーは“世界の秩序”を守るため組織された「世界再定住評議会(GRC)」の人間であったジョンとホスキンスに勧誘を受けますが、“2代目キャプテン・アメリカ”の存在をどうしても受け入れられない2人はその誘いを断ります。
やがて情報を得るため、バッキーはサムを連れボルティモアの老人イザイアを訪ねます。イザイアはかつてバッキーが「ヒドラ」の手先だった頃、アメリカ軍兵士としてバッキーと対峙した超人兵器の1人でした。
しかしイザイアは国のために働いたにも関わらず、超人兵器の存在を隠すために政府に逮捕・拘束された過去を持っていたため、バッキーたちは話を聞くことすらもできません。またサムも、黒人の超人兵器が政府から酷い扱いを受けていることに憤慨し、彼の存在をスティーブにすらも黙っていたバッキーに怒りを募らせます。
また超人兵器を作り出す血清が元は「ヒドラ」に開発されたものであることから、サムとバッキーは「ヒドラ」に詳しい人物に話を聞くため、かつてバッキーを洗脳し「アベンジャーズ」を内戦状態に陥らせたジモを訪ねることにしました。
今も「アベンジャーズ」の一員であることを理由に、バッキーはサムを置いて刑務所に収監中のジモと面会します。ジモはバッキーが洗脳状態から脱していると知った上で、彼から超人兵士を作り出す血清が出回っていることを聞きます。
超人兵士の存在はジモの理念にとっても目障りな存在であり利害は一致しましたが、ジモの出した協力の条件は彼を脱獄させることでした。その話を聞いたサムは強く反対しますが、バッキーによって既にジモは脱獄しており、サムの前に現れます。
監視下に置くことを条件に2人はジモと協力することになり、早速ジモの知る手がかりの1つである売人セルビーのもとへ向かいます。
無法地帯と化している街「マドリプール」でセルビーと会った3人は、彼から超人血清はマドリプールの王と呼ばれる“パワー・ブローカー”がネイゲル博士に作らせたものだと聞かされます。しかしその直後、何者かによってセルビーが射殺され、セルビー殺害犯として3人は多額の懸賞金をかけられてしまいます。
追われる3人を助けたのは、スティーブのかつての恋人ペギーの姪であるシャロンでした。彼女はジモが起こした「アベンジャーズ」の内乱時にスティーブへ肩入れしたことで国を追われ、マドリプールでのブローカー業で大金を得ていました。
ネイゲルの行方をシャロンなら突き止められると考えたサムは、シャロンの恩赦を勝ち取ることを対価にネイゲルをシャロンに探させます。
シャロンは早速ネイゲルの研究所を突き止め、3人は彼と接触します。ネイゲルは“パワー・ブローカー”のもとで「ヒドラ」とCIAが研究を進めていた超人血清を完成させ、その総数は20人分にもなると明かします。
しかし、全ての血清が「フラッグ・スマッシャーズ」のリーダーのカーリによって奪われており、唯一の手がかりはカーリが救おうとしていたマダーニという女性の名だけでした。話を聞き終えると、ジモがネイゲルを射殺してしまいます。
サムとバッキーは不安を抱えながらもシャロンを残し、マダーニという女性が病死したとされるラトビアへと向かいます。
マダーニのいた収容施設に入る前、追手の存在に気づいたバッキーは1人路地へと入り追手を誘き寄せます。そこには、かつてジモに国王を奪われたワカンダの国王親衛隊「ドーラ・ミラージュ」のメンバーであるアヨがいました。
6年前、スティーブにバッキーを託されたワカンダのアヨとシュリは、長い時間をかけてバッキーを「ヒドラ」の洗脳状態から解放しました。それ故にアヨは元凶であるジモをバッキー自身が解放したことに納得が出来ず、8時間後にジモを明け渡すように告げ去っていきます。
マダーニの葬儀の場へと赴く3人に、追いかけていたジョンとホスキンスも加わります。2人はカーリを見つけ次第、サムが対話での解決を行うという条件で3人に同行することにします。
葬儀の場でカーリと2人きりになったサムは、彼女が抱える世界への問題意識に同意する一方で、殺人を含む行為の愚かさを説き彼女の信頼を得ていきますが、約束を破り突入したジョンによって話し合いは決裂してしまいます。
乱戦状態に陥る中、先回りしていたジモがカーリから超人血清を奪い破壊。しかしジョンはジモを昏倒させ、残った1つの超人血清をポケットへとしまいました。
カーリを逃してしまい再度の作戦を練り直すサムとバッキーでしたが、ジョンとホスキンスはすぐにでもジモを刑務所へと戻そうとします。そして「ドーラ・ミラージュ」を引き連れたアヨも現れますが、混乱の隙を突きジモは姿を消しました。
ドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』の感想と評価
「星条旗」を背負う“キャプテン・アメリカ”と今対峙する
1941年に創造されたキャラクター“キャプテン・アメリカ”は、「星条旗」をデザインコンセプトとし、アメリカ合衆国を象徴するキャラクターとして長い人気を博すことになります。
そして初代“キャプテン・アメリカ”であるスティーブ・ロジャースは「金髪・碧眼の白人男性」というステレオタイプな当時のアメリカ人像が反映されているキャラクターでした。
時代は移り変わり、人種や性別による差別が少なくなってもなお「キャプテン・アメリカは白人男性」という強いイメージは残っており、現に『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の公開当時も、2代目“キャプテン・アメリカ”に黒人キャラクターであるサムが就任した際には一部ファンからの批判も起こりました。
本ドラマでは、アメリカの象徴と化したキャラクター“キャプテン・アメリカ”が現在まで抱え続けてきた「ステレオタイプなアメリカ人像」という課題に真正面から描き、「そういう時代だから」という便利な言葉で逃げない作品となっていました。
過去シリーズ登場キャラクター/ヴィランが再び
本ドラマは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)と深くリンクしており、スーパーパワーを持たない普通の人間でありながら強い復讐心のみで行動し「アベンジャーズ」の内乱を引き起こしたヴィランであるジモが再登場します。
ジモに道具として利用されたバッキーと、ジモのせいで法を犯すこととなったサムが共闘する展開が熱いだけでなく、スティーブのかつての恋人ペギーの姪であるシャロンも再登場。
一筋縄ではいかないキャラクターたちに挟まれ、心に傷を負うバッキーと自身の行動に迷いが生まれるサムが、どのように成長しスティーブの不在を乗り越えていくのか。今までのMCUシリーズのキャラクターたちの登場にも注目してほしいドラマシリーズです。
まとめ
スティーブから盾を受け継ぎながらも手放してしまったサムと、正式に2代目“キャプテン・アメリカ”に就任しながらもその名の責任に苦悩し空回りし続けるジョン。そして、真の2代目になるためにもがく2人を“キャプテン・アメリカ”の友人として支えるバッキー。
それぞれの思惑が“キャプテン・アメリカ”という概念を中心に動き回る世代交代のドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、“キャプテン・アメリカ”というキャラクターが好きな方にこそ観てほしいドラマです。